実践研究助成(初等中等教育現場の実践的な研究に関する助成制度)実践研究助成(初等中等教育現場の実践的な研究に対する助成制度)

活動情報/第34回特別研究指定校活動情報/第34回特別研究指定校

三次市立三和小学校の活動報告/平成20年度8〜12月
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セールスポイント

プレ公開研究会の開催(9月11日)

事後協議会は11月の研究大会の練習を兼ねて,「ポスターセッション」を実施した。実践や授業の流れを書いたポスターがあるため,具体的な協議ができ,短時間で多くの実践について協議することができた。外部から参加した先生にも好評だった。

広島県小学校視聴覚教育研究大会の開催

なるべく多くの外部評価を得るために,公開授業前の研究発表,公開授業アピールタイム,ポスターセッション,パネルディスカッションなど,研究大会のプログラムを工夫した。公開授業では本校のこれまでの取組みがわかるよう,多様なICT活用の授業を提案でき,参加者から,指導の工夫がよくわかったという評価を得た。

研究紀要・リーフレットの作成

全教職員が研究紀要の作成に携わった。特に算数科・国語科の章は,各研究部会で執筆担当者を分担し,原稿のチェックをした後,さらに全員で校正作業を行うことで,内容を共有することができた。研究紀要の中から,特にICT活用に関する内容をコンパクトにまとめ,リーフレット版として作成・配布した。他地域から「取り寄せたい」という申し込みもあった。

実践経過

公開研究会に向けて ―授業づくり研修を中心に

8月
  • 備北教育事務所管内研究発表会
  • 研究全体会(研究会指導案検討)
9月
  • プレ公開研究会(9月11日)
    ◆3年 国語科「道具を使う動物たち」 写真1
    • 読み取りや「順番」の確認等で電子情報ボードを活用したことで,根拠となる文章を全員で確認できた。
    ◆4年 ことばの学習「ばっちり伝えることば術」
    • 放送番組を活用することにより,「描写」の意味や,情報をわかりやすく伝えるポイントなどをしっかりつかませることができた。
    ◆6年 算数科「単位量あたり」習熟度別指導 写真2
    • 電車のアニメーションは,問題場面のイメージ化に有効であった。(じっくりコース)
    • 多様な発展問題を準備でき,速さの概念が深まった。(どんどんコース)
10月
  • 研究紀要原稿執筆・校正 研究大会指導案検討
11月
  • 広島県小学校視聴覚教育研究大会(11月28日)
    ◆研究発表 写真3
    • 授業アピールが斬新だった。前後の時間が忙しくなった。
    ◆公開授業
    ◆ポスターセッション
    • 質問に的確に答える,相手を引き込むなど,研究に対する理解や,コミュニケーション力が必要だった。
    • 意見をもらうための手立てがもっと必要だった。
    写真4
    写真5
    ◆分科会提案 写真6
    ◆パネルディスカッション
    • いろいろな立場の人の意見を聞くことができ,講演とは違ったよさがあった。
12月
  • 研究大会の反省 2学期研究部会活動の反省
 

成果と課題

●成果 プレ公開研究会,視聴覚教育研究大会と,多くの参加者に本校の研究実践について参観してもらい,意見を伺うことができた。準備等大変な面もあったが,その過程で,さらに研究内容の共有化がすすみ,新たな課題も見つかった。研究部会の取組みも活性化し,各教職員が主体的に研究実践に取り組むことができた。
●課題 ICT活用の幅を広げること,ICT活用する際にはその意図をしっかりと持ち,焦点化した活用をすべきだという意見を多く得た。これまでの実践を再度見直し,全員で今後の方向性を確認する必要がある。また,ICT以外の指導の工夫が十分徹底できていない面がある。研究部会長を中心に,教科における指導のポイントの徹底を図りたい。
 

裏話(嬉しかったこと、苦心談、失敗談 など)

本校研究についてもう少し積極的に外に向けたアピールを行う必要を感じた。ホームページのこまめな更新に心がけるとともに,教育研究団体や企業とのつながりを作り,本校研究について広く知ってもらえる機会を作っていきたい。
 

解説と講評

コメント:大阪教育大学教授 木原俊行先生

実践研究の外部評価へのチャレンジ

 2学期,広島県三次市立三和小学校の教師たちは,実践研究の内容等に関する「外部評価」の企画・運営,その充実を図っている。彼らのチャレンジは,次のような側面に象徴される。
 まず,11月の研究大会の開催である。この日,全クラスで,ICT活用の授業が公開された。また,その前には,研究主任による研究発表や全授業者による公開授業アピールの機会が設定された。そして,公開授業後には,ポスター発表形式での事後検討会が準備された。授業ごとにポスターが作成され,その前に当該授業の実践者が位置し,聞き手からの質問に応じていくというスタイルである。短い時間で,三和小学校の教師たちと他校からの参加者の密なコミュニケーションが繰り広げられていたが,それは,このような形での協議に同校の教師たちが挑戦したから実現したことである。他校の教師たちの実践報告やパネルディスカッションの時間も確保されている。こうした点から,三和小学校の研究大会のメニューは,参加者が豊かな実践情報を獲得できる,よきプログラムであったと言えよう。
 次いで,研究大会時に配布された,研究紀要の内容や構成が見事である。研究紀要では,同校の実践研究の軌跡や枠組みが,分かりやすく,また構造的に描かれている。取り組みの成果を示すデータも,豊富に載せられている。もちろん,授業の実際も見事にレポートされている。加えて,それらをコンパクトにまとめた,「リーフレット版」までもが,作成されている。筆者はこれまで,学校が作成する研究紀要を何百と目にしてきたが,その経験からしても,同校のものが秀逸であると言える。同校の研究紀要は,多くの教師たちにとって,すぐれたモデルになりうるものだ。と同時に,その内容や構成が工夫に富んでおり,同校の実践研究の特徴,実際,課題をあますところなく表現しているので,研究大会に参加できなかった教師たちが評価的コメントを同校に届けてくれる可能性を高めているとも言えよう。
 さらに,同校の外部評価が連続的・発展的であることにも注目したい。9月にも,「プレ公開研究会」なる,他校の教師が参加できる機会を有していた(21年2月にも,やはり他校の教師が参加する授業研究会が開催される予定である)。また,ホームページでは11月の研究大会の様子や反省が述べられている。
 筆者は,同校の教師たちから,11月の研究大会終了後の慰労会で早くも,「2月の授業研究会で,木原先生や他校の先生に,授業を見てもらいたいんです」という声を聞かせてもらった。それは,同校の実践研究において,上述したような外部評価が十全に機能していることを雄弁に物語っていよう。
 
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