実践研究助成(初等中等教育現場の実践的な研究に関する助成制度)実践研究助成(初等中等教育現場の実践的な研究に対する助成制度)

活動情報/第34回特別研究指定校活動情報/第34回特別研究指定校

坂出市立府中小学校の活動報告/平成20年度4〜7月
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セールスポイント

  1. ICT機器の環境作りをする。
  2. 教員全員がICT機器に対する共通の意識をもつ。
  3. 実際にICT機器にふれてみる、使ってみる、情報交換をしてみる。
  4. ICT機器を使った子どもの反応を読みとる。

実践経過

ICT機器の環境作り

校内にICT機器を整備していった。本校では13学級あるが、昨年まではプロジェクタ1台、実物投影機は0台だったので、プロジェクタを2台、実物投影機などを3台購入した。今までは、使用の度ごとにセットする必要があったが、プロジェクタと実物投影機をセットにしてワゴンに載せ必要時に即使えるようにした。さらに、使用マニュアルを情報主任が作成しその機器に備え付けておくようにした。
しかし、7月段階では2セットしか整備できていないので、これから整備を進めていく予定である。

教員全員がICT機器に対する共通の意識をもつこと

昨年末の学校評価において、特に本校で課題となったのはICT機器の活用能力に落ちこみがみられた。昨年度では、特定の教員は使っていたが、全体では活用されていない状況にあった。そこで本年度の現職教育のテーマの中「ICT機器の活用」を設定し全職員が共通の意識・目標を持って取り組むように場の設定を行った。

実際にICT機器にふれてみる、使ってみる、情報交換をしてみること

職員16名の中、ICT機器にほとんど触れていない職員も数名いたので、まずは触れて、使ってもらうために研究の中で、必ず研究授業のなかではICT機器を活用することを共通理解した。
本期間(6月20日)には研究授業を行い、京都教育大学の浅井和行教授にもおいで頂き授業のご指導や講話をしていただいた。
機器を購入した際には、研究主任から機器の使用について説明会を開き、同じ土俵にたてるようにした。また、7月には県教育センターから講師を招いて授業におけるICT機器ICTの活用について研修を行ったり、これまでの活用実践について一人ひとり研修報告を行い情報交換を行ったりした。
研究授業県教委を招いての研修会校内研(実践報告)

ICT機器を使った子どもの反応を読みとること

ICT機器を使ったときとそうでないときの学習意欲の高まりについてのアンケート調査を行った。ICT機器の活用を多く行ったクラスは、ICT機器の活用によって学習への意欲・関心が高まった、理解しやすかった、という結果がでてきた。
 

成果と課題

●成果
  • ICT機器が増え、これまでより使いやすくなった。そのためICT機器を使ってみようかと考える教員が少し増えた。今までICT機器を使うことが苦手な教師も使ってみると案外よかったという声も聞かれた。
  • ICT機器活用実践について一人ひとり研修報告を行う時間を設定したことで、ICT機器を使う機会を増やすことができた。また、その活用の仕方を研修し共有化することにより、使用の幅がそれぞれ広げることができた。
  • ICT機器のプロジェクタを使って大きく映すことで、子どもの視線を集めることができ、今はみんなで考える時間だという意識をつくれた。
  • 視覚的に教材を見ることで、子どもたちは課題への理解が深まった。
●課題
  • ICT機器が増えたとはいえ、クラス数から考えるとまだまだ十分ではないためICT機器を使いたいときにすぐ使える環境までには至っていない。ICT機器活用がすぐできるようにするには、学年ごとにプロジェクタと実物投影機は1台ずつ整備したい。
  • 今は、教師が授業で何かを提示するためICT機器を活用するのがほとんどである。もっと子どもたちが自分の考えを発表するために使えるようにももっていきたい。
  • ICTを今はとにかく使ってみようという段階で、意欲の向上と基礎・基本の確実な定着につながる効果的な活用ができていないものもあった。今後子どもにとって必要な情報を考えて次は活用していけるようにしたい。
 

裏話(嬉しかったこと、苦心談、失敗談 など)

  • ICT機器活用には、教師のなかでも温度差が大きい。この温度差を縮めるには時間と労力が必要だ。何かいい手はないでしょうか・・・。
  • この機器はいいですよ!と紹介し、使ってみた先生が「ええなあ!これ」と言ってくれたら購入をお願いした甲斐があったと思った。まずは、使ってみてこの機器でこんなふうにやってみたい!と思ってもらえるようにしていきたい。
  • プロジェクタを使おうとセットして授業を始めた。子どもたちに話をしていると、子どもから「先生なにか焦げ臭いで〜。」すると、プロジェクタからけむりが!!プロジェクタのふたを取り忘れたまま熱心に話をしていたので、ふたが熱くなってこげちゃいました。
  • 教育事務所や委員会の方が参観にこられる校内研究会。ICT機器を活用した授業をみてもらおうと教員は取り組んだ。そのため数少ないICT機器は上へ下へと大騒動。授業が延びると次のクラスに影響がでると思い、みんなヒヤヒヤ。やっぱり機器はたくさんないと・・・。
 

解説と講評

コメント:京都教育大学教授 浅井和行先生

「素晴らしいはじめの第一歩」

 本校は、「昨年末の学校評価において、ICT機器の活用能力に落ちこみがみられた」ということを研究助成申請のきっかけとして挙げられている。一般的には、本財団の申請にはICTの先進的活用方法の提案が多いのであるが、実はこれが全国の多くの学校の実態かもしれないと私は考えた。
 そういう意味では、
  • 今までは、使用の度ごとにセットする必要があったが、プロジェクタと実物投影機をセットにしてワゴンに載せ必要時に即使えるようにした。さらに、使用マニュアルを情報主任が作成しその機器に備え付けておくようにした。
  • 県教育センターから講師を招いて授業におけるICTの活用について研修を行ったり、これまでの活用実践について一人ひとり研修報告や情報交換を行ったりした。
という実践は有効であったと思われる。特に後者の「これまでの活用実践について一人ひとり研修報告や情報交換を行う」というのは、言うのはたやすいが実行は難しいことである。なぜなら、これまであまりICT機器を活用してこなかった教職員が学校には少なからずいるからである。そういう意味では、本校の一人ひとりの研修報告や情報交換を行うという実践は、貴重なはじめの一歩となっていると思う。本校ではICT活用名人を作るのではなく、子どもたちの学習環境整備のために全教職員がICT機器を活用できるようにする取り組みが始まっている。派手さはないかもしれないが、このような実践を積み上げていくことはとても大事なことであると思われる。
 また、「今は、教師が授業で何かを提示するためICT機器を活用するのがほとんどである。もっと子どもたちが自分の考えを発表するために使えるようにももっていきたい。」と課題も明確であり、今後の実践研究によって、本校のICT機器活用の取り組みが進んでいくことが予想される。
 6月20日に第1回の学校訪問を行い、授業研究会とともに「教育メディアの意義」についてお話をさせていただいた。私たちがなぜ教育にメディアを持ち込み、子どもたちにどのような力をつけたいかについて有意義な議論が行えた。
 
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