実践研究助成(初等中等教育現場の実践的な研究に関する助成制度)実践研究助成(初等中等教育現場の実践的な研究に対する助成制度)

第37回特別研究指定校(活動期間:平成23〜24年)

勝山市立村岡小学校の活動報告/平成23年度1月〜3月
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セールスポイント

<研究テーマ>
「楽しく なるほど よく分かる 授業づくり」〜ICTで分かりやすく伝えて〜
  • 転移・継承可能な部分を抽出する。
  • 村岡スタンダードとしてまとめる。

実践経過

1月23日(月) 校内授業研究会
(高橋先生・パナソニック桐井さんの参観とご指導)

全学年公開  市内外小中学校へ案内した。研究会では教育研究所から2名参加された。ICT機器の活用は無理なくできている。活用における使用前後の発問や指示を的確に行うことが今後の研究課題になるであろうことが確認された。

「学力の向上に主眼を置くのはもちろんのこと,子どもたちが喜んで参加してくれるような授業プランや演出を用意する」ことにした。
 
 
2月27日(月) 校内研究会
(平成23年度の研究のまとめ)
  一年間のまとめとして、ICTを活用した事例をファイルにまとめることにした。
まとめる授業の観点例は以下のようにした。
  1. 「いつでも、だれでも、どこでもICT」の場面
    ネットの地図を表示し、今学習している場所がどこにあるのかを説明した。
  2. 「わかりやすく、日常的に、無理なくICTを活用」している場面
    教科書の表を拡大表示して、スクリーンに書き込んで指導した。
  3. 児童も日常的に自由自在にICTを使いこなしている場面
    自分のプリントや発表資料を提示して、説明や発表を行った。
  4. ICTを使い、工夫して授業することを楽しんでいる場面
    教科書を提示したり、教材などを拡大提示したりすることで指導の効果を上げようと工夫した。
  5. その他、授業で自分が満足した場面
 

  以上のようにICTを使用した前後の約15分間の授業場面を共有サーバーにファイルとしてまとめ、二年次の研究に使用できるようにした。
 

成果と課題

一年間のまとめとして、教職員全員が校内研究の方針や方向性を確認し、二年次に向けて、各個人で行った研究実践をまとめた。その成果を以下にまとめる。
  1. 教師も児童も分かりやすく伝えることで、教師は指示の正確さや徹底ができ、児童は集中力を高めることができた。教師の指示や学習内容、児童の発表や説明の大切な部分などをプロジェクターと実物投影機でスクリーンに映し出すことで、児童はその内容を把握できるため、学力向上につながっていると考える。

  2. 教師も児童も日常的に使うことで指導の効率化が図られ、効果を実感できる。いつでもどこででも日常的に使うことで授業の課題、作業の理解だけでなく、朝の会や帰りの会などいろいろな場面での時間短縮ができた。

  3. 教師も児童も無理なく使うことで誰でも活用でき、活用が継続できる。ICTに慣れて、どのような場面でも自然に無理なく使用することでスムーズな授業の流れが生まれ、使用の負担が軽減される。このことで、全教師がICT活用を継続できる。
課題としては「学力の向上に主眼を置くのはもちろんのこと,子どもたちが喜んで参加してくれるような授業プランや演出を用意する」にはどの様な授業プランを立て、演出すればよいのかを今後の研究に組み込んでいかなければならない。
 

裏話(嬉しかったこと、苦心談、失敗談 など)

研究の実践記録の方法で、授業者が写真を撮ることが不可能であるため、日々の実践を記録することができない時があった。子どもの発表時も時間の流れに沿って変化することでよい場面を記録することができないことがあった。
そのようなとき、空き時間がある教員に授業を見てもらいながら記録したり、校長は時間のある限り校内巡視をして授業の記録をして頂いたりした。カメラを手足のように使う人間でなければ、大変な作業であるが、その結果、500Gのサーバーが足りなくなるほどの記録量になった。
 

1年間の実践を終えての感想

年度初めに挙げた課題
  • ICT機器を全教室に配置する。
    助成金をもとに各教室にプロジェクターと実物投影機が設置できた。また、国語のデジタル教科書も購入できた。理科と社会については市教育委員会が市内小学校に購入、配布された。スクリーンが全教室に配置できず、理科室など特別教室の使用が課題である。

  • ICTを日常的に(チョークや黒板と同様に)使っている授業を目指す。
    朝の会から電源を入れ、「いつでも、だれでも、どこででも」を実践した。
    「いつでも」授業や朝礼、集会、職員会議、研究研修会等、「だれでも」教員、児童、保護者等、「どこででも」教室、体育館、職員室、図書室、廊下等でいろいろな機会に活用した。どの場所でも必要であるが、電源がとれるところに限られるため準備が必要になることもある。

  • 児童が「えっ」「はてな」「どうして」と感じる授業を目指す。
    児童が興味関心を示す授業、学習に集中できる授業のプランや演出を考えながら、授業をしようと試みたが、まだまだ十分ではない。これまでの実践を振り返り,転移・継承可能な部分を抽出して村岡スタンダードとしてまとめていく。また、これからの実践も村岡スタンダードとしてまとめられるようにすること。

  • デジタル教科書を活用した授業を実践する。
    デジタル教科書「国語1年〜6年、算数4年・6年、社会3年〜6年、理科3年〜6年」が使用できる。今年度は試行錯誤で使用し、使用方法とその効果を検証できた。特に新出漢字の練習など繰り返しが必要なものには効果があった。また、教科書の一部を表示することができ、指示を理解させやすかった。今後はさらに効果的な使用方法を見つけ出していくことが必要である。
 

次年度への思い(課題、目標など)

次年度は「話す力・伝える力の向上」を目指し、「なるほどそうだったのかと納得できる場面のある授業」と「適切な表現力と正確な理解力」を中心に研究を進めていく。

「なるほどそうだったのかと納得できる場面のある授業」では「言語活動を支援するプレゼン資料の作成」「資料提示方法と発問・指示を組み合わせた教材の開発と授業プランの提案」を具体的活動内容として実践していく。
 

解説と講評

コメント:富山大学 准教授 高橋 純先生

 村岡小学校では,授業のみならず朝礼や集会,職員会議においてもICTが活用されている。また,教員のみならず,児童も発表活動等でICTを活用している。合い言葉である「いつでも,だれでも,どこでもICT」が浸透していることは間違いない。デジタル教科書等のICTの良さを活かすことを第一に目指すのではなく,これまでの授業をより効果的・効率的に改善する手段としてICTを活用している。その結果として,学力向上への寄与はもちろんのこと,ICTの特長を活かした実践にもなっている。村岡小学校の周辺地域においてもICT環境整備が進んでいることは,これらの成果の表れと思われる。

 既に,村岡小学校には豊富な実践経験がある。今後は,着実に学力向上や授業改善に結びつくICT活用を抽出し,他校にも継承可能なICT活用としてまとめていくことになるだろう。まずは,4月に人事異動で他校から来た先生方にも,無理なくICT活用が定着することがポイントなる。このプロセスで,これまでの村岡小学校の取り組みを自己評価することができる。

 2年目は,これまでの豊富な成果を検証し,まとめていくとともに,さらに質の高い実践が行われることを期待したい。

 
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