実践研究助成(初等中等教育現場の実践的な研究に関する助成制度)実践研究助成(初等中等教育現場の実践的な研究に対する助成制度)

第38回特別研究指定校(活動期間:平成24〜25年)

川崎市立平小学校の活動報告/平成23年度8月〜12月
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実践経過
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成果と課題
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  • めざせ!みんなが使えるカリキュラムづくり
    私たちは次のような仮説を立てて研究に取り組んでいます。
    「各教科・領域に点在している情報活用能力,特に情報活用の実践力に関する部分を洗い出し,項目ごとに系統立てて整理していけば,現行指導要領の中で子どもたちに情報活用の実践力を確実に身につけさせることができるだろう。」
    そこで,情報活用の実践力について具体的な項目の分類・整理と,情報活用の実践力を育成する単元の分類・整理を行いました。

  • 「平小の研究」が「みんなの研究」に
    最初のうちは情報教育のことがよくわからなかった教職員。研究が進むにつれてイメージがもてるようになりました。「この単元は,情報教育的に言うと……」と,みんなで話し合う様子が日常的になってきました。

  • 中間報告会の実施
    平成24年12月12日(水)
    ◇ポスターセッション ◇授業公開 ◇基調提案 ◇指導講評 ◇講演
    指導講評: 横浜国立大学教育人間科学部 野中陽一教授
    講演 :   玉川大学教職大学院     堀田龍也教授
    演題 :  「情報活用能力育成の現状と課題」

実践経過

8月

  • みんながゾクッとした瞬間! 「整理・分類って,ようするに仲間分けだよね…」
    夏季休業を利用してカリキュラム作りに着手しました。まずは第1期に分類した4つの項目について,整理することから始めました。その時に,「整理・分類って,ようするに 仲間分け だよね」というふうに,授業づくりをするうえで具体的なイメージをもてるような,子どもたちの学習活動と結びつく具体的なスキルの項目名が生まれてきました。


  • 私たちがめざす子どもの姿とは?
    研究テーマの主題「豊かに伝えあう力を育む授業づくり」の中にある,「豊かに伝えあう」とはどんな子どもの姿なのか,学年の発達段階に応じて具体的に内容を検討し,整理しました。


 

9月

  • 「平小の研究」が「みんなの研究」に
    最初のうちは情報教育のことがよくわからなかった教職員。研究が進むにつれて,子どもたちの学習活動と結びつく具体的なスキルの項目名が具体的に決まり,その内容について共通理解できるようになってきました。教職員みんなが実感できたことによって,みんなで情報教育のスタートラインに立つことができました。
10月
  • 編集・構成するスキル「くみたてる」について検討する
    (第4回校内授業研究会)

    8月までに検討した情報活用の実践力の下位項目をまとめると,下図のようになります。
  • しかし,子どもの活動の流れを考えると,「分類・整理」(なかまわけする)して「発信・表現」(あらわす・つたえる)する間に,「編集・構成」するのではないか,と考え,それを「くみたてる」スキルとし,平小が考える情報活用の実践力を10月の段階で項立てしてみたのが次の図です。

    10月の授業研究では,この「くみたてる」スキルを育成する授業を検討しました。

    6年生 国語科「平和について考える」
    (他のメディアなどから集めた情報や自分の経験と自分の考えを照らし合わせて,自分なりに分析・価値付けを行い,そのことを多くの読者に向けて,わかりやすく文章を書く活動。)
  • 情報活用の実践力を育成する単元の分類・整理
    野中先生のアドバイスをもとに,各教科・領域の中に含まれている情報活用に関する単元を分析する過程において,
    ○単元における教科の目標の中に情報活用の実践力が含まれる単元
    【関連単元】
    ○単元における教科の目標と情報活用の実践力がほぼ一致する単元
    【重点単元】
    ○情報活用の実践力を総合的に発揮させるような活動内容をもつ単元
    【情報単元】
    といった形で整理することができました。

  • 思考錯誤しながら重点単元一覧表を作成
    7 月にスタートした「情報活用の実践力を育成する単元」の抽出作業を通して,【関連単元】が無数にあることが分かってきたので,特に【重点単元】と【情報単元】に焦点をあてて単元の抽出を進め,重点単元一覧表の作成をすすめました。
    単元の内容を分析したのは,学年ごとに分かれた職員の各チーム。この作業を通して,「あつめる」「なかまわけする」「くみたてる」「あらわす」「つたえる」各スキルの内容や活動イメージを職員全体で共有し,共通理解を深めることができました。また,情報手段に関するスキル名が「つかう」に定まりました。

11月

  • 中間報告会に向けた単元のスタート(第5回授業研究会)
    特別支援級であるセンター級では,早くも12月の中間報告会に向けた単元をスタートさせました。11月の授業研究会では単元の序盤,報告会では終盤を公開します。「つたえる」スキルを育成する単元について取り組む授業研究でしたが,指導案検討の段階から,「つたえるの重点単元は,あつめる・なかまわけする・くみたてる・あらわす,の各スキルも活動の中で発揮していくことになるので,情報活用の実践力を総合的に発揮する情報単元になる」ということが確認できました。また,特別支援の観点から,一人一人に応じた教材・教具を有効活用することが,「つかう」スキルと深く結びついていることを再確認することができました。

    センター級 生活単元「みんなでいこう すいぞくかん」
    (旧単元名:乗り物でGO!)
    (校外学習を準備,実行し,楽しかったことを友だちに話す活動)

  • 中間報告会へ向けて
    中間報告会で公開する授業の指導計画を検討したり,その授業を参観者にアピールするためのポスターセッションを企画しポスターの内容を話し合ったり,役割分担を確認したりしました。
    ◎推進委員会: 研究の推進に関する方向性を検討
    ○研究部:カリキュラム作成,指導案作成
    ○運営部:当日の準備・運営,案内の作成・発送・集約,参加申し込みサイト
         運用
    ○紀要部:リーフレット作成,配付資料関係
    ※例年,地域の方々やPTAで8月と11月に行っている環境整備日の機会を生かし, 校舎内外の環境整備を実施しました。

12月

  • 中間報告会実施
    ◎ポスターセッション
    全体会場である体育館にいらっしゃった参観者のみなさんに,各学年の先行授業を行った教員(=授業公開を行わないクラスの担任)が授業の見どころをアピールしました。

    ◎授業公開 【スキル】(活動内容)
    特別支援級と1〜6年の7クラスが授業を公開しました。

    ◎基調提案
    研究テーマ,研究の仮説,第1期から第2期までの経過と成果及び課題の報告を行いました。

    ◎指導講評
    横浜国立大学教育人間科学部 野中陽一教授

    ◎講演
    玉川大学教職大学院 堀田龍也教授
    演題「情報活用能力育成の現状と課題」

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成果と課題

<成果>

  • 情報活用の実践力を構成する項目についてまとめた
    ○「平小のスキル」
    ○「情報活用の実践力を育成する重点単元一覧」
    これらを核とするカリキュラムの構想を立てられました。
    研究紀要(リーフレット)

  • 各教科・領域の中に含まれている情報活用に関する単元を分析する過程において,
    【関連単元】単元における教科の目標の中に情報活用の実践力が含まれる単元
    【重点単元】単元における教科の目標と情報活用の実践力がほぼ一致する単元
    【情報単元】情報活用の実践力を総合的に発揮させるような活動内容をもつ単元
    といった形で整理することができました。

<課題>

  • 今年度は研究の初年度ということもあり,国語科を中心に,社会科・算数科・理科・生活科について単元の学習内容を分析しカリキュラムを作成しました。情報単元は総合的な学習の時間にたくさんあることが予想されますが,今回は6年生の実践のみとなりました。
    今後は総合的な学習の時間を始めとする他教科についても検討し,作成したカリキュラムの内容について検証と見直しをしていきたいと考えています。

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裏話(嬉しかったこと、苦心談、失敗談 など)

  • 大きなイベントがある毎に若手が大きく成長
    今回もいました。素敵なデザインでリーフレットをまとめた者,指導案検討を通して研究の推進に貢献した者,ポスターセッションでプレゼンテーションに目覚めた者…。熱心で謙虚な先輩達が温かくバックアップしてくれたおかげです。良い学校にしたい,良い授業がしたい,良い研究がしたい,子どもたちのために…,という前向きさが平小の良いところです。

  • やっぱり情報教育は難しい! だから,おもしろい!
    現行の学習指導要領の枠組みの中で,すべての教師が情報活用能力という軸を意識
    して教科の授業を進めること,どの学校でも無理なく実施できるカリキュラムの土
    台を提案すること。
    これが,2年間かけて平小が挑戦しようとしていることです。カリキュラムの中心となるものを,中間報告会の研究紀要(リーフレット)にまとめるまで,紆余曲折,試行錯誤の連続でした。しかし,大まかな形ができあがり,情報教育への理解が進んでくると,今まで行っていた授業を情報教育的にとらえることができるようになり,試行錯誤が楽しくなってきました。「生みの苦しみ」が「生みの楽しみ」に変わっていくようです。第3期からも,野中先生のアドバイスをかみしめながら頑張ります!

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アドバイザーコメント

横浜国立大学 教授 野中 陽一 先生

 現行の学習指導要領,教科書をベースとしつつ,情報活用能力の育成に視点を当てたカリキュラムを開発するという課題そのものについての共通理解を図ることが最も難しかったと思います。授業研究会を積み重ねながら,情報教育を理解し,情報活用の実践力について下位項目の整理を行い,重点単元を抽出するといった一連の活動によって,現実的なカリキュラムの枠組みが見えてきました。
教育の情報化ビジョンでは,「第二章 情報活用能力の育成」の中に,以下のような記述があります。

 具体的には、例えば、新学習指導要領において、各教科等の目標や内容に情報活用能力の育成が含まれている部分や、あるいは深く関連している部分を学年ごとに抽出して整理し、情報活用能力を育成する視点で扱いの例を示す
 数単元を抽出して情報活用能力を育成しやすい指導場面と指導手順、指導のポイントなどに関する指導事例を明示した教員向け指導資料を作成する

 まさにこれらに取り組んだと言えるでしょう。
開発した単元の指導計画を,実践を通して修正し,指導のポイントを明確にしていくこと,6年間を通して系統的な指導を持続できるような広い意味でのカリキュラムを定着させていくことが今後の課題です。
試しに取り組んでみることで,教師の意識が変わり,授業研究で振り返ることによって,共通理解が深まり,指導方法、学習活動が変わる。これらを積み上げ,見直すことによって,カリキュラムが変わり,子どもたちが変わっていくのでしょう。
 子どもたちの情報活用能力については,川崎市総合教育センターが開発中の「児童の情報活用能力チェックリスト」を活用して,変容を明らかにすることになっています。能力の育成には時間がかかりますが,毎年,少しずつでも高めていくことが望まれます。
 12月の中間報告会まで,ずっと駆け足で研究を進めてこられた平小学校の先生方,一丸となってのラストスパートも見事でした。今後は,息切れしないように,子どもたちの能力の向上を見取りながら情報活用に関わる学習活動を積み重ね,さらに授業や日々の学習活動に工夫を加えることによって,ノウハウがいっぱい詰まったカリキュラムの完成を目指して欲しいと思います。

 

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