実践研究助成(初等中等教育現場の実践的な研究に関する助成制度)実践研究助成(初等中等教育現場の実践的な研究に対する助成制度)

第38回特別研究指定校(活動期間:平成24~25年)

川崎市立平小学校 平成25年度1-3月期報告

前へ

活動報告メニュー 活動報告メニュー

ご覧になりたいメニューボタンをクリックしてください。

セールスポイント
セールスポイント

実践経過
実践経過

成果と課題
成果と課題

成果と課題
裏話

2年間の実践を終えた感想
2年間の実践を終えた感想

次年度の展望・目標
次年度の展望・目標

アドバイザーコメント
必見! アドバイザーコメント

 

セールスポイント

 

●2年間の研究の集大成!研究報告会を開催!

特別研究指定校として2年目の成果を発表する研究報告会を1月24日(金)に開催しました。当日は岩手県や岡山県などといった遠方より来ていただいた方も含め,およそ120名の来校者を迎えることができました。

平成26年1月24日(金)
◇ポスターセッション ◇授業公開 ◇パネルディスカッション  ◇指導講評
指導講評:横浜国立大学教育人間科学部 野中陽一教授(本校アドバイザー)
パネラー:明治大学 国際日本学部 岸 磨貴子先生,本校職員

実践経過

 
1月
● 年の暮れも正月も返上!急ピッチで研究報告会の準備

1月24日の研究報告会に向けて,冬休みにも打ち合わせや作業を進めました。  
年末の忙しい時期にも関わらず,野中先生に本校まで来ていただき,紀要リーフレットについての打ち合わせをしました。その中で特に『〔平小のスキル〕の育成イメージ』について具体的なアドバイスをいただきました。この打ち合わせをするまでは,研究成果の中心を『〔平小のスキル〕を育成する重点単元一覧』と考えていましたが,大きく方向転換し,『〔平小のスキル〕』そして,『〔平小のスキル〕の育成イメージ』こそが,本校の研究成果であると確信することができました。それに合わせて,紀要リーフレットのページ構成も変更することになりました。

● 今年もやります,ポスターセッション!

昨年度の中間報告会で来校していただいたみなさんから大好評だったポスターセッション。実は,校内でも「自分たちの研究が整理できる!」「ほかの学年の研究が共通理解できる!」と,とても前向きな意見が多く,2年目の研究報告会でもやろうという声があがったものなのです。

情報教育の研究をしている本校ですが,そのポスターセッションはあくまでも手作り。アナログ感満載の温もりが感じさせられるものばかりです。とある先生からは「高校の文化祭前の準備に似た,わくわくや期待」を感じたという話も聞かれました。研究報告会の準備までをも楽しむ職員こそが本校の『最大の強み』なのです。

● いよいよ当日,研究報告会!

13:00の受付開始と同時にたくさんの方が体育館に集まりました。中には,昨年の中間報告会や6月と9月の公開授業研究会に来ていただいたリピーターの方の顔も見えました。

◎ ポスターセッション

公開授業の前に,まずはポスターセッションからスタートです。ポスターセッションでは,授業者以外の同じ学年の担任が公開する授業の見どころや身につけたい〔平小のスキル〕などについて説明をしました。(センター級は全員で授業なので,事前にiPadで録画したビデオを大型TVに映し出して,説明を行いました。)来校者にお願いしたアンケートでも,ポスターセッションは今年も大好評でした。

川崎市立平小学校活動報告イメージ1

◎ 授業公開

特別支援級と1~6年の7クラスが授業を公開しました。

ホワイトボードやタブレットPCなどにより、各学年の発達段階や授業の狙いに応じた授業を公開しました。

川崎市立平小学校活動報告イメージ2

川崎市立平小学校活動報告イメージ3

川崎市立平小学校活動報告イメージ4

◎ 全体会

~挨拶~
川崎市教育委員会 
委員長職務代理者 吉崎静夫(日本女子大学教育学科 教授)

川崎市立平小学校活動報告イメージ5

~パネルディスカッション(80分)~
パネラー:横浜国立大学教育人間科学部 野中陽一教授
     明治大学 国際日本学部  岸 磨貴子先生
     本校職員(1年担任) 河合 奈都紀 教諭
     本校職員(3年担任) 須藤 知美 総括教諭
     本校職員(センター級担任) 小泉 京子 教諭
     本校研究主任(6年担任) 福山 創 教諭   
コーディネーター:本校研究推進委員長(5年担任) 田中 啓介 教諭

パネルディスカッションでは,(1)何を研究したの?(2)どうやって研究したの?(3)何が変わったの?(4)これからどうするの?という4つのセクションに分けて,本校の研究についてディスカッションしました。最初に,研究主任から研究についての簡単な説明があった後,野中先生,岸先生と本校の職員が,〔平小のスキル〕や具体的な研究の取り組み方,そして授業がどのように変わったかということについて話し合いました。

川崎市立平小学校活動報告イメージ6

川崎市立平小学校活動報告イメージ7

~指導講評~
指導講評:横浜国立大学教育人間科学部 野中陽一教授

本校アドバイザーである野中先生より2年間の研究について指導講評をいただきました。

川崎市立平小学校活動報告イメージ8

 
2月
● 来年度の方向性を話し合う

研究報告会が終わり,来年度の研究をどのように進めていくかという研究推進委員会,校内研究全体会を行いました。2年間,情報教育の研究を進めてきて,来年度からのことは白紙の状態から話し合いを行いましたが,「重点単元の見直しをしたい」「今年度とは違う学年で,どのような授業ができるか検証してみたい」「〔平小のスキル〕を活用した授業をやってみたい」「タブレットPCを使ってみたい」など,前向きな意見が出され,全委員一致で,来年度も今年度の研究を検証していくことになりました

ページトップへ

成果と課題

 

本期間は,2年間の助成期間の最後ということもあるので,職員にアンケートをとってみました。そこで成果と課題として挙げられた一部を紹介します。

●職員アンケートより

  • スキルを意識した授業をすると,子どもたちの授業に対する意欲が上がります。今年,それぞれの学年で考えた手立てを来年,再来年とずっと使っていくことで本当の意味で平小のスキルが子どもたちに身についていくと思います。これらをていねいに続けていくことが課題なのではと思います。
  • だれもがわかりやすい言葉で明確に平小のスキルを設定し,活動を具体的にイメージしながら手立てを考えることができるのは一番の成果だと感じています。全職員が同じ理解で研究を進められたからこそ,学年間を見通したカリキュラムができたのだと思います。ですが,まだ低学年・中学年・高学年と,それぞれの段階でどこまで情報活用能力を伸ばしたらいいのか,何を教えるべきなのか,不安な部分があります。そこを勉強してみたいです。
  • 研究の内容云々に関わらず,「職員が共通理解のもと一丸になって,取り組む時のエネルギーや原動力のすごさ」を感じたことが,成果として挙げられるのではないか。課題は,十分に検証しきれていない重点単元の授業をどうしていくのかなど,来年度の校内研究の方向性も考えていきたい。
  • 成果としては,平小のスキルというのが国語を通じて育成していけるということが証明?できたことだと思います。今後は,どの学年でどこまでの力を身につけているのか,どう応用させていけるのか?などをきっちり検証すること,そして,作られた指導案が本当に重点単元だったのか?目標としたスキルを育成したかについての評価を行うことが大事だと思います。

ページトップへ

裏話(嬉しかったこと、苦心談、失敗談 など)

 
●職員アンケートより
  • 当日って気がしないくらい当日を落ち着いて迎えられたように思います。授業を見ていただき,『積み重ね』という評価をたくさんいただいたことが嬉しかった。
  • 子どもたちの発表の能力が上がったこと。それを子どもも実感している様子がわかること。ポスターセッションは緊張しすぎて,あまり記憶がないのですが,作っているときは楽しかったです。
  • 子どもたちが変わっていくことを実感できたことです。
  • 子どもたちが学習の流れにだんだん慣れてきて,次を楽しみにするような言葉を言うようになったとき,変わってきたなと感じた。
  • 学年のみんなで話し合い,楽しく研究を進めることができた。子どもたちの姿を見ていても,私たちがねらった動きをしていたり,成長を感じることができたりしたので嬉しかった。
  • 学年みんなで最後の校内研究を成し遂げたときは達成感や充実感があり,嬉しかったです。
  • 本発表が終わったとき(ほっとしました)
  • 学年でしっかり考えながら取り組めたこと。子どもたちが力を伸ばしたことを感じられたこと。
  • 子どもが積極的に前に出て教材提示装置を使い,発表する姿が増えた。学年の絆(話し合い)が深まった。
  • 子どもたちの食いつきの良さを授業を進めていく中で,身にしみた瞬間です。
  • 授業を考える中で,学年を越えて様々な先生にアドバイスを頂けたことです。
  • 平小のスキルにのっとって単元を組み立てたこと。それを年間通して何度も繰り返したことにより,子どもたちが見通しを持って楽しそうに授業に取り組んでいる様子を見られたのが一番嬉しかったです。
  • 何より,子どもたちが学習に真剣に取り組む様子が見られたことです。

ページトップへ

 

2年間の実践を終えての感想

 

本校では,『豊かに伝えあう力を育む授業づくり ~「情報活用能力を育成するためのカリキュラム」の作成を通して~』を研究テーマに2年間の研究を進めてきました。

情報教育?情報活用能力?という状態から,試行錯誤しながら進めてきた研究ですが,その甲斐もあって,本校ならではのカリキュラムを成果として作り上げることができました。

職員アンケートの中にもありましたが,本当に全職員が〔平小のスキル〕を共通理解し,子どもの学習する姿からその有効性を実感したからこそ,情報活用の実践力,そしてそれが学年ごとに系統的に積み重ねることの大切さを学ぶことができたのだと思います。

2年間かけて作成したカリキュラムですが,今後は,研究当初に検討したものなどを改めて見直すことや他の学年でも検証していくことにより,さらに磨きをかけていくことが大きな課題になると思います。また,情報活用の実践力として身につけた〔平小のスキル〕を国語以外の教科等で活用するためには,どのようにすれば良いかということも同時に考えていかなければいけないことだと感じています。

ページトップへ

 

次年度への思い

 

既に校内研究全体会で話し合った通り,来年度も今年度の研究を地道に検証するということが,全員一致の意見で決定しました。さらに磨き上げる。そして,活用も考えるというとことが大きな課題となっています。

また,2年間かけて本校が作成した〔平小のスキル〕などのカリキュラムは,他の学校でも活用できるものを目指してきたものです。今後は,この〔平小のスキル〕が多くの学校のカリキュラムの中に溶け込み,情報教育の重要性をたくさんの教員が実感できることを新しい目標?(野望?)にしたいと思っています。

ページトップへ

 

アドバイザーコメント

横浜国立大学 教授 野中 陽一 先生

 

平小学校の先生方が実感しているだけでなく,研究報告会の参加者の方々も「非常に前向きに、楽しそうに研究されている」,「職員一丸となって研究に取り組んでいる雰囲気」を感じられたようです。「暮れも正月も返上!」せざるを得ないくらいたいへんだったはずなのですが・・・。

「学校全体の統一感」という指摘や「学年の系統性を理解して、子どもたちの育つ方向を同じ方向に揃えている」というコメントもありました。カリキュラム開発の研究を通して,確実に「情報活用の実践力=平小のスキル」が『共通理解』され,授業実践に反映されていたことの証です。

『共通理解』のプロセスに時間かけ,カリキュラムと授業実践の間を何度も行き来することによって,平小のスキルが腑に落ちたのでしょう。情報活用の実践力の要素を「あつめる」「なかまわけする」「くみたてる」「あらわす」「つたえる」と『児童の活動が想起されやすい言葉で』表したこと,授業実践を通して吟味し続けてきたことがこの研究の核心であったと思います。

そして,研究の基盤となったのは,先生方の協働的な学びです。
「学年のみんなで話し合い楽しく研究を進めることができた」
「学年でしっかり考えながら取り組めた」
「学年みんなで最後の校内研究を成し遂げたときは達成感や充実感があり,嬉しかった」

校長先生や研究主任の先生の雰囲気づくり,コーディネートが背景にあったことは言うまでもありません。

研究の成果は,以下のコメントに現れています。
「スキルを意識した授業をすると,子どもたちの授業に対する意欲が上がります」 「子どもたちが学習の流れにだんだん慣れてきて,次を楽しみにするような言葉を言うようになった」 「子どもたちが見通しを持って楽しそうに授業に取り組んでいる様子を見られた」 「子どもたちの発表の能力が上がったこと。それを子どもも実感している様子がわかること。」

学習における情報活用の流れが明確になったことで,子どもたちの学習意欲が高まり,学習の見通しがもてるようになり,学習の成果を実感できるようになるという,好循環をもたらしたのです。このことは,「授業を見ていただき,『積み重ね』という評価をたくさんいただいた」ことからも裏付けられます。

このような充実した学校研究に関わらせていただいたことに感謝したいと思います。

残念ながら,平小学校の成果(リーフレット等)を読んだだけでは,他校での実践に活かすことは難しいように思います。実践を通した実感,成果を実感できるカリキュラムの開発,カリキュラムによる実践の充実という研究のサイクルの中に重要な知見が含まれているからです。

ぜひ,「平小学校 財団活動日記」を参考にしていただければと思います。


ページトップへ

前へ
川崎市立平小学校の基本情報へ