実践研究助成(初等中等教育現場の実践的な研究に関する助成制度)実践研究助成(初等中等教育現場の実践的な研究に対する助成制度)

第38回特別研究指定校(活動期間:平成24〜25年)

高槻市立芝谷中学校の活動報告/平成23年度1月〜3月
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実践経過
実践経過

成果と課題
成果と課題

成果と課題
裏話

アドバイザーコメント
必見!アドバイザー
コメント

 

セールスポイント

(1)ICTを使ってわかりやすい授業をすることが多くの教科で定着してきた。

  社会科研究授業参加者からの「本日の感想」より

  • ICT機器の利点や機能をフルに活用したすばらしい授業でした。特に歴史の登場人物の再現するビデオは子どもたちの心をグッと引きつけていました。歴史の人物や物事が身近なものに感じられるため、とてもいい取り組みだなあと思います。
  • ICTを活用して子どもたちの興味を引き出し、そして何よりも集中させ続ける工夫をされていた点が大変よかったと感じました。
  • 教師ではなく、保護者として参加させて頂きました。(教員資格はありません)生徒の興味関心をしっかり引き出せていたと思いました。寸劇はおもしろかったです。自身も勉強になりました。

(2)iPad を使った実況中継

  ひとつの教室では、参加者が参観できない問題点を解消するため、授業の
実況中継を別の教室で行い、音声・画像共に鮮明に映し出すことができた。

 

実践経過

1月

道徳研究授業

日時:平成25年1月15日(火) 
5限 13:30 〜 14:20
場所:大阪府高槻市立芝谷中学校 北館1F 多目的室
テーマ「道徳の時間の進め方」について
単元の設定〜指導案の作成まで道徳チームが立案し学年会議で検討し実施。

  1. 多様な価値観が引き出され深く考えさせられる資料の選定
  2. 指導案の作成
    授業の流れ
    中心発問
    単元: 1年「人に迷惑をかけなければいいのか」 
    2年「美しい母の顔」
    3年「脚本家ができるまで」    暁書房
    朗読の際CDをかける。

(1)学年ごとの分科会
本日に授業に関して協議した。

  <協議のポイント>
生徒一人ひとりがじっくり考えられたか。
相手の意見をしっかり聞けたか。
生徒同士の意見を交流する場面があったか。
日常生活の中で道徳的実践と結びつけられるよう繋げていけるか。
<協議に入って頂いた講師の先生方>
1年  高槻市立富田小学校 支援教育コーディネーター 大宅 隆子先生
2年  高槻市教育委員会 教育指導課 高嶋 重行 指導主事
3年  大阪教育大学 准教授 金光 靖樹 先生

(2)全体会
講師:大阪教育大学 准教授 金光 靖樹 先生
教師の発問によりどのようにでも展開できる。
主役以外にも視線を向けることで別の考え方ができる。
道徳の授業では物事を考えるきっかけになれば良い。
1時間で目的に達するのは無理。

i Workの開催

日時:平成25年1月25日(金) PM 6:00〜
場所:北館 1F 多目的室
内容:1月は授業で使えるアプリの情報提供。
「元素図鑑」という理科の授業で利用できる無料アプリ(期間限定)などの紹介。週1回ある会議のなかで「ICTを使った研修の希望」を検討してもらい、今後のi workで反映する予定。

 
   
2月

一年次中間報告会

日時:平成25年2月8日(金) 6限 15:00 〜 15:50
場所:大阪府高槻市立芝谷中学校 北館1F 多目的室
公開研究授業:社会
研究協議会 16:00 〜 16:50 北館4F 視聴覚室
1)挨 拶 高槻市教育センター 松本 ちよみ 主幹
2)研究中間報告 研究部長 吉田 光宏
3)本日の授業について
授業者より 社会科 樋口正洋 岡村貴幸
4)授業講評 高槻市教育センター 小寺 基之 指導主事
5) 講 演(全体講評) 長崎大学 準教授 寺嶋 浩介氏
 「 研究1年目を終えての成果と課題 」
ICT を活用した授業の成果
授業の中で生徒同士がつながる場面における課題
6) 謝 辞 

i Workの開催

日時:平成25年2月22日(金) PM 6:00〜
場所:北館 1F 多目的室
内容:今回も、教科会議の中で出てきた要望をもとに内容を構成しました。
テーマ「Power PointをKeyNoteにスムーズに移す方法 (データの移動も含む)」

   
3月

i Workの開催

日時:平成25年3月8日(金) PM 6:00〜
場所:北館 1F 多目的室

内容:ラインズ社 学習支援コンテンツ配信サービス eライブラリーの説明会
来年度高槻市内中学校普通教室ICT整備事業に伴って、ハード面での施設は整うのでソフト面の検討が必要となり、導入の是非を検討するための研修会。

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成果と課題

<成果>

「ICT を活用した授業の実践事例集およびマニュアルの開発」としての成果
ICTを使ってわかりやすい授業をすることが多くの教科で定着し、実践事例としては、確実な実績が蓄積できた。

<課題>

「授業の中で生徒同士がつながる場面をつくることで、自ら学び、考え、表現できる生徒が育つ〜」という面での課題
研究協議の中で見えてきた課題を挙げてみると

  1. 最も大きな課題として研究テーマに関する教職員の認識のずれがあったことがあげられる。
  2. 全教科、全職員が共通した認識の下で実践を進められるよう再度取り組みが必要
  3. 教科会議内での動きが重要になり,教科ごとに共有・ブラッシュアップが必要.その結果を研究部だけのとどめるのではなく,それを各教科にどのように落とすのか考える必要がある。
    そのことを受けて(寺島先生の講演より)
    1)なぜ生徒がつながる学習が必要か
    ・知識は引き出されないと身につかない
    (班の中で説明することではじめてわかる)
    ・生徒自身考えないと身につかない。
    ・先生が説明しても、生徒は同じように理解しない。
    2)生徒がつながる学習の構築
    ・意見交流型
    同じコンテンツを利用して,話し合って意見を共有して,発表する.
    (芝谷中の美術のお札を班で観察する授業が良い例になる)
    ・相互教授・説明型
    個人・少人数で意見や作品をまとめ共有する授業(芝谷中の国語が良い例になる)
    ・グループミッション型など
    問題を解決し,その根拠を考える授業.そのときにグループごとに課題が異なる場合もあり,表現の方法が違う.
また、2月13日(水)におこなわれた研究推進委員会では次のような意見もできた。来年度の研究の方向性について貴重な意見交流がなされた。
・事前に授業を見てもらいながら、一緒に研究テーマに沿った授業を作り上げていく。
・授業者本人と寺島准教授が授業について直接話すことでアドバイスをもらう。
・教職員で共通した「つながる」イメージを持つことが必要。

・ゴールを明確にするために,研究の計画や授業の作り方などを研究部で明確に示す必要がある。

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裏話(嬉しかったこと、苦心談、失敗談 など)

iPad を使った実況中継

外部参加者が34名。ICT教育に関心のある先生、芝谷校区の小学校の先生方をはじめ学生や教科書会社等の企業など様々な部署からの参加がありました。今回は初めての試みとして、外部からの参加者で教室がいっぱいになることを想定し、1つ離れた隣の教室でiPadをカメラ代わりに実況中継をする試みを実施しました。画像も鮮明で授業の様子がよくわかりました。

 

1年間の実践を終えての感想

できたこと

  1. これまでの教科会議では授業の進度やテストの打合せ、採点基準などを話し合うことが多かったが、授業の内容に関する研究を入れるようになった。
  2. 研究授業を実施した教科を中心に、ICTを、積極的に活用することができた。
  3. ICTを活用した実践事例が少しずつ積み上げてきた。
  4. 生徒の意見および授業記録をもとに授業を振り返り、次の実践に活かすPDCAサイクルを意識するようになってきた。
  5. 研究会を通じて,知見を他校,異校種に広げることができた。
  6. 希望者による機器操作の研修(i work)が定着してきた。

課題として残ったこと

来年度に向けての課題

研究テーマに沿った授業のあり方について

  1. 言語活動の中心となる「生徒同士がつながる」授業がまだ十分できていない。
    1)最も大きな課題として研究テーマに関する教職員の認識のずれがあったことがあげられる。
    ⇒事前に授業を見てもらいながら、一緒に研究テーマに沿った授業を作り上げていく。
    ⇒授業者本人と寺島准教授が授業について直接話すことでアドバイスをもらう。

    2)すべての教科での実践をして,教員全員で一緒に進めること重要。
    ⇒教職員で共通した「つながる」イメージを持つことが必要。
    3)教科会議内での動きが重要になり,教科ごとに共有・ブラッシュアップが必要.その結果を研究部だけのとどめるのではなく,それを各教科にどのように落とすのか考える必要がある。(寺島先生の講演より)
    ⇒ゴールを明確にするために,研究の計画や授業の作り方などを研究部で明確に示す必要がある。
  2. 生徒につけたい力をしっかり持った上でICTを使うことを考えていく授業設計が十分と言えないことがある。
  3. PDCAサイクルを通して授業の見直しが十分でない。
  4. 現在iPadを管理している人以外の教師が気軽に利用できる環境整備が必要。
 

次年度への思い

  1. 研究の方針
    生徒同士のつながる場面を意識し、
    生徒につけたい力を明確にした上でICT機器の活用を学校全体で進める。
  2. 実践事例集の作成
    教職員が年1回は機器を利用した授業を目指す。
    (iPad、PC、書画カメラ、ビデオ、写真、CDプレイヤー等)
    研究授業の実施は別として、1人A4(書式あり)1枚実践事例集を記載する。
  3. 研究推進員会の構成メンバー
    教科代表9名にすることで、会議の内容を教科に伝達できる(できる限り兼任する)。
  4. 教科会議のさらなる充実。
  5. 教職員自主研修i workを芝谷中学校区のより多くの小学校の先生や他校の先生も入れてより活性化する。
  6. 機材の設置、準備に時間がかからないような工夫が必要。 
    iPadの配布
    iPad 16台 来年度は教科に1台(計9台)+希望者7台 (管理責任者)
    職員室座席配置を基に3〜4人で1台
    利用しやすい環境を作る。
 

アドバイザーコメント

長崎大学 准教授 寺嶋浩介 先生

芝谷中学校の1年間を振り返って

 特別研究指定校である芝谷中学校の1年間の取り組みが終了した。ほとんどなにもないところから,多くの先生方の創意工夫によって実践が進められてきた。
まず成果であるが,ICTを活用した授業が少しずつ定着していっている様子がうかがえる。特に若手の先生方が中心であるが,研究授業でない授業を参観した折にも,授業の意図に応じて活用をされる先生が出てきた。まだ環境整備が充分でないけれども,次年度はより充実した実践が期待できると思う。また,先生方がただ単に利用するだけではなくて,何を情報として見せれば良いか,どのような形で情報を見せれば良いかなどにこだわりを持って臨まれているのが素晴らしいことだと思う。2月に行われた社会科の研究授業でも,社会科の樋口教諭・岡村教諭がオリジナルの教材を作成し,生徒たちを引き込んでいた。ICTを活用したことよりもむしろ,その中身に着目されていた点を特に評価したい。
課題であるが,まだICT活用について全員が一歩踏み出せていない点にある。確かに,中学校としての教科の特性,環境整備などの原因もあるかも知れない。しかしそれでも様々な事例を考え,発掘もしているし,2013年度は環境も整うので,これまで経験された先生方のサポートも受けながら,まずやってみる,ということが必要だと思う。加えて,すでに日常的にICTを活用されている先生は,授業設計や展開という普段の授業の充実を考慮したうえで,ICTを活用していただきたい。「つながる学び」をキーワードとするなら,全体的に一斉指導の占める割合がまだ多すぎる。
最終的には,学校の組織として一体的に授業研究をICTの活用という視点から進め,教師集団により生徒の学力向上に寄与できるか,が問題になる。生徒の「つながる学び」を強調する以上,学校組織としても「つながる学び」が求められよう。

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