実践研究助成(初等中等教育現場の実践的な研究に関する助成制度)実践研究助成(初等中等教育現場の実践的な研究に対する助成制度)

第38回特別研究指定校(活動期間:平成24~25年)

高槻市立芝谷中学校の活動報告/平成23年度1月~3月
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実践経過
実践経過

成果と課題
成果と課題

成果と課題
裏話

2年間の実践を終えた感想
2年間の実践を終えた感想

次年度の展望・目標
次年度の展望・目標

アドバイザーコメント
必見! アドバイザーコメント

 
 

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  1. 来年度の研究授業の日程案6件を年度内に提案できた。
    <H26(2014)年度芝谷中学校研究授業予定日>
    6/ 6金  7回公開研究授業
    7/ 4金  7月校内研究
    9/ 3水  8回公開研究授業
    11/5水  9回公開研究授業
    1/14水  道徳研究授業
    2/10火  2月校内研究
    ・来年度も全教員が年間1回以上は研究授業や参観授業を目標にする。
    ・研究授業をする際は学年で偏りがないよう1学年1クラス計3クラスで 実施することを目標にする。
  2. 今年も本校に視察交流される学校が複数あった。
  3. 高槻市ケーブルTV で2014年1月14日(火)に本校のICT活用事例が紹介された。
 

実践経過

 
1月

道徳研究授業

  1. 日時:2014年1月15日(水) 13:35~17:00
  2. 場所:高槻市立芝谷中学校 北館1F 多目的室
  3. 内容:全学年全クラスで読み物教材を使い、研究授業を実施した。
  1. 研究授業 13:35~14:25 全学年全クラス(19クラス)で実施
  2. 分科会  15:00~15:50
    協議のポイント
    生徒一人ひとりがじっくり考えられたか。
    相手の意見をしっかり聞けたか。
    生徒同士の意見を交流する場面があったか。
  3. 全体会 視聴覚室 16:00~
    日常生活の中で道徳的実践と結びつけていけるか。
    「道徳の時間の充実について 」
2月

校内研究授業

  1. 日時:2014年2月19日(水)16:00~17:00
  2. 場所:高槻市立芝谷中学校 北館1F 多目的室
  3. 内容:
    4クラスで実施予定だったものの、先生がインフルエンザ等で欠席のため、以下の2クラスで研究授業を実施。

1年社会 単元名「武士のおこりについて(平安時代)」【Step1】

プロジェクターに写し出された武士の画像を見ながら、生徒たちは気づいたことを個人でワークシートにまとめ、その後班になって意見を交流する内容であった。 画像の多くを提示するのではなく、焦点を絞って画像を提示することで、生徒たち全員の考えを集中させられるメリットがある。

[社会分科会の様子]
分科会の中で授業設計の良かった点として、生徒たちはアナログミニ黒板を班の数だけ使い考えをまとめたこと、発表する手段としてアナログの併用もおこなったことが挙げられる。「消えるデジタル・残すアナログ」の使い分けをし、デジタルのみに頼るのではないことが話題となった。

1年英語 単元名「現在進行形」【Step1】

CDを使いリスニングの学習を最初に行った。その後、授業者がイタリア日本人学校勤務時代に撮影した写真を使いながら、現在進行形の学習をする内容であった。また、入学式から文化祭(芝谷Festa)までの写真を入れながら説明文の作り方に取り組んだ。

[英語分科会の様子]
生徒は撮影された写真に興味津々のようで、引き付けられるように見入っていた点がよかった。授業はテンポよく進み、生徒同士のコミュニケーションもよく取られていた点などが分科会の話の中心となっていた。

[全大会]
今回の研究授業では画像が教材として使われた。多くの写真を見せる英語の授業に対して、少ない画像で授業を展開する社会科は対照的であったが、共にこの単元で生徒たちに「つけたい力」を明確にした上でICTを活用した。社会科で使用したアナログ黒板も効果があると改めて感じた。

 

i-work(ICT研修会) 

高槻市立芝谷中学校の精緻化図

  1. 日時:2014年2月19日(水)
    16:00~17:00
  2. 場所:高槻市立芝谷中学校 北館1F 多目的室
  3. 内容:書画カメラを使う意義について
  4. 書画カメラの使い方
    • 整理する
    • 情報の提示
    • 共有・保存
    • 手順の提示
    • 鏡的利用
 

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成果と課題

 

成果

予定どおり年6回の研究授業を実施できた。教科会議の中で、指導案検討や模擬授業の実施について検討することが少しずつできてきた。「多くの教師がICTを使ったわかりやすい授業(Step 1)」が定着し、できるようになった。芝谷校区に広がるi-work(希望者対象のICT研修会) も月1回の頻度で定期的に実施できている。

課題

  1. 生徒同士がつながる授業をするためのスキルについて学校全体で統一したものを作る。 班学習の机の配置、発表の仕方、聞く姿勢など。
  2. 教科会議がスムーズに行かない場合もあるので、どのようにしていけば良いか手立てを考える必要がある。

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裏話(嬉しかったこと、苦心談、失敗談 など)

 
  1. 今回も外部の学校からの視察があった。
    他校との視察交流を通して、この2年間で財団からの助成を受けて大きく成長したことがわかった。
    2月14日(金)長崎県 佐世保市立広田中学校
    2月28日(金)兵庫県 尼崎市立立花中学校
  2. 今回社会科の研究授業で実施したデジタルとアナログ(板書やカードなど)の併用を考え、場面によって使い分ける技法が今後他の教科でも必要と思われた。
    「すぐ消える」というデジタルの欠点を考え、従来からある「残る」アナログも授業では必要。

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2年間の実践を終えての感想

 

できたこと

  1. H25年度は1人1回以上の参観、研究授業を実施することができた。
  2. 予定どおり毎年年6回の研究授業を実施できた。
  3. 教科会議が充実し、単元計画や単位公開指導案をじっくり検討することができてきた。
  4. 授業設計について
    (1)Step 1:「教師がICTを使い、わかりやすい授業を目指す。」がほぼ定着した。 (書画カメラの利用、タブレットの利用、デジタル教科書の利用等)
    (2)Step1を目標とした授業設計から、言語活動を中心とした「生徒同士がつながる」授業(Step 2)へと移行する教科が増えてきた。
    <Step 2:つながるための授業スタイル>
    意見交流型:同じコンテンツを利用して、生徒たちが話し合って意見を共有して、発表する。
    グループミッション型:個人・少人数で意見や作品をまとめ共有する。
    相互教授・説明型:問題を解決し、その根拠を考える。
    その他、今後の課題として言語活動の育成を目的とする芝谷型を開発する。
    高槻市立芝谷中学校活動報告イメージ1 高槻市立芝谷中学校活動報告イメージ2 高槻市立芝谷中学校活動報告イメージ3
    全体会での「つながる授業とは」をテーマに実施したワークショップ
    (3)ICT活用場面の吟味が進んだ 表層的なICT活用ではなくなったこと、教科での議論が進んだことが特徴
  5. 芝谷校区に広がる i-work(ICT研修会) も月1回の頻度で定期的に実施できている。
  6. 2014年11月30日(土)の公開研究発表会では200名以上の参加者が来校し、知見を他校,他校種に広げることができた。
    高槻市立芝谷中学校活動報告イメージ4 高槻市立芝谷中学校活動報告イメージ5 高槻市立芝谷中学校活動報告イメージ6
  7. 芝谷中学校としての実践事例集の作成を行った。
    1人1つ以上の実践事例を作成することができた。
  8. 本校の研究活動の視察に長崎県や広島県、兵庫県などから視察があり、研修交流ができた。
  9. 2014年1月14日(火)高槻市ケーブルTVで本校のICT活用事例が紹介された。
  10. 授業評価に関する生徒アンケート結果により、研究指定を受ける前と後を比較し、一定の成果が伺えた。

高槻市立芝谷中学校の授業評価に関する生徒アンケート

課題

  1. つながる授業のさらなる追求
    生徒同士がつながる場面をつくることで生徒自身が自分の考えを表現する授業を目指すこと(Step 2)を今後の課題とする。事前に授業を見てもらいながら、一緒に研究テーマに沿った授業を作り上げていく。
  2. 「教師が教えたこと」≠「生徒が学んだこと」という視点からも、協働学習の必要性が重要であること。生徒が学んだことを引き出す機会づくりを単元計画の中に入れることが今後求められる。 また、検証evidenceの必要性(定性的評価・定量的評価)もこれからさらに追求する必要がある。

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次年度への思い

 
  1. 研究方針の継続
    生徒同士のつながる場面を意識し、生徒につけたい力を明確にした上でICT機器の活用を学校全体でさらに進める
  2. 来年度も今年度同様の研究体制を維持し、年間6回の研究授業を実施する。
    教職員が年1回研究授業を実施する。
  3. 先進校視察により、実践研究の活性化をする。
  4. 実践事例集の作成(蓄積・継続)
  5. 教育活動のあらゆる場面でICT機器のさらなる利活用を進める。 教科以外で、道徳や総合、特別活動の時間、研究授業の分科会・全体会などにも利用する。
    (タブレットPC、PC、書画カメラ、ビデオ、写真、CDプレイヤー等)
  6. デジタルとアナログ(板書やカードなど)の併用を考え、場面によって使い分ける。 「すぐ消える」というデジタルの欠点を考え、従来からある「残る」アナログも授業では必要。
  7. 常設される電子黒板対応のプロジェクターを有効活用するため、デジタル教科書などのソフトウエアを今年度は理科で採用したが、次年度以降、他教科でも導入の検討を行う。

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アドバイザーコメント

長崎大学 准教授 寺嶋浩介 先生

 

■2年間を終えての成果

 当初,予定していたことをある程度予定通りできたことが成果のように思う。私が訪問をした当初は,研究活動としては,やらないといけないことはわかっているし,共有もされていたが,それを実現するために何をするべきなのかが共有されていなかった。それが,2年間を通しての活動の中で,芝谷スタイルとして実現できたのではないだろうか。例えば,授業研究会では,何をどういう形で議論をするのかなどといったことがルーチンとして共有され,授業研究を行うための体力がついた。現に私が足を運んでもいないし,ICT関連の研究と少し離れる道徳の研究授業についても,同校がこれまで取り組まれてきた知見が活かされているのではないかと報告書からは読み取った。このような授業研究の体力がある学校は,ICT活用にしろ,他の研究課題にしろうまく進めていけるように思う。

 加えて,ICT関係についても次のステップに移りつつあることはこれまでのコメントにおいても述べてきたつもりであるが,基本的なICT活用の知見についてはある程度共有されるようになり,より授業の本質に関する議論が増えてきた。

■今後の課題

今までの取り組みを,継続・発展できるかという一言に尽きる。そのために,私がもし次に同校の実践研究の取り組みを見るとしたら,以下の視点から,その状況をとらえたいと思う。

ひとつめに,教育に対するビジョンのとらえなおしが進むかどうかである。これまでどちらかと言えば,いわゆる基礎学力向上という目標を共有し,そのためのICT活用を考えるというところには,みんなで同じように到達できたと思う。しかし,次のステップになる「つながる学び」だとか,そこで培われる学力については,ビジョンとして共有できているとは言えないと思う。このような大きなところが共有されないと,授業研究を続けたとしてもより充実した方向に行かないのではないかと思う。

次に,学力向上としてのエビデンスをある程度見せることができるかどうかがある。同校の調査によると,この指定校の取り組みを通して,生徒の授業に対するイメージが,改善されていることは把握できている。加えて,学力向上がどの程度実現されているのかについても明確にしていただけると,ICT活用の可能性がさらに広がる。

 

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