実践研究助成(初等中等教育現場の実践的な研究に関する助成制度)実践研究助成(初等中等教育現場の実践的な研究に対する助成制度)

第38回特別研究指定校(活動期間:平成24~25年)

福岡県立戸畑高等学校の活動報告/平成25年度1月~3月
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実践経過
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成果と課題
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裏話

2年間の実践を終えた感想
2年間の実践を終えた感想

次年度の展望・目標
次年度の展望・目標

アドバイザーコメント
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  1. 各教科会議「ICTを利用して授業改善を次年度はどのようにおこなっていくか」
  2. 大阪府立千里高等学校訪問
  3. 長崎県立対馬高等学校から本校へ学校訪問
  4. 朝日新聞に本校のICT利用に関して記事が掲載される
  5. 1年生英語表現Ⅰ 比較文化をパワーポイント&英語でプレゼン
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実践経過

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1.各教科会議
 「ICTを利用して授業改善を次年度はどのようにおこなっていくか」

【数学科】

福岡県立戸畑高等学校の活動報告イメージ1

ICT教材については多くの先生方が活用しているが、日々進化しおり、教科会議の場などで研修し、より有効な活用ができるよう日々取り組んでいきたい。

まだ利用されていない先生に書画カメラを紹介、授業中、簡単に生徒の解答を写し、添削するやり方を説明。

 

【英語科】

福岡県立戸畑高等学校の活動報告イメージ2

[1年]
コミⅠ:デジタル教科書を活用し、最近のニュースなど時事英語を取り上げ活用している。
英表Ⅰ:文法事項をまとめて、コンピュータ「教材用」に入れており、生徒が自学用に活用している。リンクをはることで授業中にも活用ができるので、2・3年生も効果的に活用できると思われる。今後は語法や構文をまとめ、教科として利用していきたい。
[2年]
英Ⅱ:本文を提示することで、文法・語法の解説や文脈のつながりの把握に効果的である。
ライ:生徒が作った英文を提示し、間違えやすい文法事項や表現を全員で確認し、最後に模範解答を提示する。問題点は、あらかじめ生徒が作った英文を提出させなければならないことである。この問題点を解消する手立てとして、「書画カメラ」を使用することを助言いただいた。「書画カメラ」を使うことで、生徒が作った英文をその場で提示できる。
[3年]:本文を提示することで、文法・語法の解説や文脈のつながりの把握に効果的である。

 

【国語科】

福岡県立戸畑高等学校の活動報告イメージ3

・単元の最初に興味・関心を持たせる材料を用意する。(ICT利用含む、画像・動画など)
・事前に一人ひとりが調べたことを発表する場を設ける。(ICT利用含む)
・画像を読み解く。(古文絵巻物等利用→図像から読み解き、発表させる)
・ICT利用 古文・漢文の本文投射→効率性向上を図る
 

【社会科】

【世界史】

  • ICT利用について→デジタル教科書で優れたものが出れば、大いに利用したいと考えているが、現在は使用したい教科書が出ていない。世界史は優れた図表を資料として生徒が持っているのでそれで十分な感じがする。しかし、ICTは生徒の集中力が養われるように思われるので利用する方向で検討している。

【日本史】

  • ICT利用について→図表と平行する形で特に文化史(絵画、建築物)について、取り入れることを検討している。視覚に訴えて行くことは、今からの世代については特に肝要であると考える。

【地理B】

近年、センター試験において、図表の読み取りや思考力を必要とする問題が多くなっている。そのため、資料・図表を活用する機会を増やし、読み取り方などの指導をする。さらに、定着のため、定期的に時間を設定し反復(復習)していきたい。 デジタル教科書があれば、図表の読み取りや思考力を伸長させるために利用してみたい。

【現代社会・政治経済・倫理】

  • ICT利用について→1時間の授業用パワーポイントを、1つ作成し、本校の共有資料として保管している。(司法権の独立について) 今後、ビジュアル資料、グラフ、政治家、思想家のスピーチなどを効果的に示すことができるデジタル教科書があれば、活用していきたい。

【理科】

  • PPを使って効率よく説明を行い考える時間を与えていく。
  • 図や動画を見せることによって,生徒が現象をイメージしやすくなるので,これからもICTを利用していきたい(現象のイメージは思考力以前の話である)。
    また,復習時にも利用できるので,定着にも効果的ではないかと考える。
  • イメージや印象に残すために動画は有効である。
  • ICTで簡単に動画を見せられるのは楽でよい。でも演示実験の方が生徒のくいつきがよい。
  • 書画カメラやビデオを用いて,実験器具や実験操作時の手元,ビュレットの目盛りなどを拡大して見せながら生徒に説明できる。 
  • できる限り生徒に実物に触れさせ,自ら実験に取り組むことが大切である。また設備や実験器具の数の関係で生徒実験ができない場合は教師による演示実験も有効であると思う。  
    しかし,時間や実験道具等の関係でできない場合や学校でできないレベルの実験などはICTを用いて映像を活用するのも効果的である。「百聞は一見にしかず」である。
  • 図の拡大縮小が自由にできるので,構造などの学習には有効である。

2.大阪府立千里高等学校訪問

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生徒に配布されたプリントを映しながら、直接書き込んでいくことで、スペルの確認ができる

 

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グループごとにプレゼンを行っている1年生
自分の興味関心のある分野においてテーマを決めてパワーポイントのスライドを工夫しプレゼンしている

 

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英語の動画を見た後に、内容に対する質問に答える授業。
テストは進行状況や正答率が教師用のタブレットに表示され、生徒の理解度が把握されている

 

3.長崎県立対馬高等学校から本校へ学校訪問

福岡県立戸畑高等学校の活動報告イメージ7

福岡県立戸畑高等学校の活動報告イメージ8

 

ICTを活用した授業を4時間参観していただいた後、授業者との質疑応答の時間を設けた。

4.朝日新聞に本校のICT利用に関して記事が掲載される

2月10日の朝日新聞に
○デジタル教材 自作・共有 ○戸畑高 先生、データベースづくり
○情報通信技術 活用進む
と題した記事を掲載していただいた。

5.1年生英語表現Ⅰ 比較文化をパワーポイント&英語でプレゼン

英語表現Ⅰにおいて、4人グループで国を選び、日本との比較を英語で紹介

福岡県立戸畑高等学校の活動報告イメージ9 福岡県立戸畑高等学校の活動報告イメージ10
通貨の違いを説明する生徒 食文化について説明する生徒

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成果と課題

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1.各教科会議
 「ICTを利用して授業改善を次年度はどのようにおこなっていくか」

今年度を振り返り、次年度の方策を話し合う教科別会議の中で、ICT利用について再度考えていただく機会を設定しました。各教科の会議には本校の主幹教諭などが教科を超えて参加し、授業改善のための方策を紹介するなど試みた。同教科内ではなかなか一歩を踏み出すことが難しいものも、他教科からのアドバイスなどから、次年度に向け、前向きな意見が出たのはよかった。
また、今年初めてICTを利用された先生は、「自らの授業の改善点がクリアになっているからこそ、その点を解決するためにICTを利用した場合は効果が出やすい。使うことが目的ではない」と話されていました。この言葉をうけ、本来の自分の授業を客観的に分析できていることが全ての根本であると確信しました。

2.大阪府立千里高等学校訪問

この学校訪問は、本校のICT利用をさらに発展させることを目的としました。
本校は現在、授業の効率化を図るために多くの先生がICTを利用しています。
今後は、生徒が利用するICTを検討していく必要があると感じています。つまり、生徒が自らの考えをICTを利用しながら発信していくというものです。
千里高校は、学校のICT環境が非常に整っているうえ、近年はタブレットを生徒全員が利用しています。実際に授業で利用している場面を参観するだけではなく、千里高校の総合学習の取り組みについて学ぶことができ、キャリア教育指導にも参考になった学校訪問でした。

3.長崎県立対馬高等学校から本校へ学校訪問

理科の先生お二人での訪問でした。これからICTを理科から導入されたいという方策の下、本校の理科の授業(生物2時間、物理1時間、数学2時間)を参観していただきました。 授業後、積極的な質疑応答が展開され、最後にはdbook(影戸教授からご紹介いただき、本校でも多くの教員が利用)を紹介させていただきました。

4.朝日新聞に本校のICT利用に関しての記事が掲載される

昨年、朝日新聞主催の「まなあさ賞」に応募したことから、本校を取材していただくことになりました。学校間や教員間では本校のICT教育がよく知られておりますが、一般的にはまだ浸透していないので、新聞に掲載していただきました。記事になるまでに、新聞社の方が何度も取材され、本校の授業を見ていただき、感謝しております。記事には多くの方からお声をいただきました。

5.1年生英語表現Ⅰ 比較文化をパワーポイント&英語でプレゼン

生徒がインターネットや書籍から、自分の選んだ国と日本の文化などを比較する目的でパワーポイントのスライドを自身で作成。英語で原稿を作り1人ずつ発表。(4人で1チーム) 他教科の先生方にも参観いただき、来年度は「情報」「現代社会」と「英語」を融合させることができるという意見がでました。生徒のパワーポイントを使ってのプレゼンをきっかけに教科間の壁を乗り越え、融合できると感じました。
生徒のプレゼンを指導するALTがパワーポイントのスキルに長けており、アメリカでは高校においてプレゼンをするのは日常であることや説得力あるプレゼンの仕方について私たちが勉強になりました。

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裏話(嬉しかったこと、苦心談、失敗談 など)

空

朝日新聞の記事が掲載されるとき、どうしても記事に取り上げられる教員の年齢を伏せることができず、公表されてしまい、「体張って仕事していますね」などと記事に関係ないお声を多くいただきました。仕方ありませんね。

生徒のプレゼンを指導するALTがパワーポイントのスキルに長けており、アメリカでは高校においてプレゼンをするのは日常であることや説得力あるプレゼンの仕方について私たちが勉強になりました。

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2年間の実践を終えての感想

空
【目標として掲げた事項】
新学習指導要領の実施に伴い、学習内容が大幅に増加し授業時数がタイトになっていく。今後は同じ1時間の授業をいかに効率よく学習が進められるかが重要になってくる。また、思考力、判断力、表現力を育成する前提として、生徒達に基礎的な知識、技能を習得させることが求められており、そのためには、普通教室のICT環境の整備は不可欠である。しかし、ICT環境は授業のインフラに過ぎず、ソフトの充実と授業者の授業力の向上が伴わなければならない。そこで、本校の全ての教員が教材を開発し共有するためのデータベース化を推進することを本研究の目的とする。

【評価】

(1) 教材の開発
2年間で最大300の教材を作成するという目標に対し、400を超えるデジタル教材を作成登録することができた。教材数だけではなく、ICTを活用している教員数も増加し、数学・理科・英語の3教科ではほぼ全員が有効利用していることは大いに評価できる。次年度は教科別会議の方策からもわかるようにさらに発展させ、国語や社会においては新たに始めることになっているので、期待しているところである。

(2)教材検索データベース「MATE_NAVI」の開発

開発した教材を共有するための「MATE_NAVI」をAccessで開発。教室の情報コンセントからサーバーに接続し、「教材NAVI」で即座に検索できるシステムを整えることができた。

(3) 校内研究授業と公開研究授業

開発した教材を用いて公開研究授業を行った。一年目は市内、2年目は県内および、教科書出版会社や県教育委員会の主事を招くなどした。1年目は50名、2年目は140名を超える参加をいただいたという点から本校が中核となり他校や地域へ普及を推進役となりうるが、アンケートからは、何よりも実行するにあたっては資金とチームワークが必要であり、実際に近隣校が進めるのに困難であるようだ。この点は、県教育委員会がどう考えて推進するかにかかっているようだ。

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次年度への思い

空
 
【今後の展望】
○3学期から1年生が英語で比較文化をプレゼンすることに挑戦。
この挑戦を足がかりとして、今後は、教員側のICT利用にプラスして生徒のICT利用にも積極的に取り組んでいきたい。
授業で利用するだけではなく、総合学習の内容を再考し、生徒が自ら情報を集め、プレゼンする機会を設定していくことを計画している。

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アドバイザーコメント

日本福祉大学 教授 影戸 誠 先生

■ 福岡県立戸畑高等学校の先進性

1 ICT活用力は学力である

この2年間の展開を参観させていただいた。派手ではないが、時間の経過の中で確実にICTが授業の中に浸透していった。
問題把握・・数学や英語など、何がその授業で問われているのか明確に把握できる。
問題解決・・焦点化された情報=提示画面によって集中して取り組むことができる
転移・・・・これまでの関連事項が即座に取り出せる
2年間のどの教室でも展開された、先生の発問、プロジェクタ、コンピュータが見事に授業の質を高めていた。

2 聞くから 考える そして発話へ

先生が生徒の顔を見ながら授業を進める。その中で生徒とのインタラクションの高まりがあり、ICT教材の提示を通して、より深く考えさせることができていた。授業への集中度の高まりである。今後の方向として、「英語プレゼンテーション」などが掲げられていた。 聞くだけから、考え、発信する。言葉を変えるなら情報の受信、理解、関連付け、コミュニケーションのデザイン、発話へとICTの特性を生かし、授業そのものが大きく変わりつつある。

3 学校の体制

ICT教材の整備は、先生の取り組みの成果である。目に見える「授業改善」であり、願いの実現である。400にもなる教材はネットワ―クで共有され教室でその「知見」は活用される。このような体制はまさに「学校力」である。世界の学校を見てきたが東洋的な良さ、創意工夫が見事に花開いたように思われる。

4 今後に向けて

教育機関として小中高大と4つのステージがある。高校の時代ICTに触れる機会を得ることによって、自宅でもネットワークを介して復習予習も進むことと思う。何よりも学習時間が拡大する。その中で「変わる」ことのできる自分との出会いがあるであろう。  
一人1台のPCで学ぶ機会が家庭、学校でもたらされる日もやってくる。 どのようにICTと付き合えば主体的な学びが起こり、生涯に渡るICT活用力=学力を身に着けていけるのか、その大きな方向性をこの戸畑高校で生徒たちは身に着けたのだと思う。

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