実践研究助成(初等中等教育現場の実践的な研究に関する助成制度)実践研究助成(初等中等教育現場の実践的な研究に対する助成制度)

第39回特別研究指定校(活動期間:平成25~26年)

奈良県立奈良養護学校/平成26年度8~12月

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研究課題と成果目標
研究課題と成果目標

取組内容
取組内容

裏話
裏話

成果
成果

今後の課題
今後の課題

公開研究会の計画
公開研究会の計画

アドバイザーコメント
必見! アドバイザーコメント

 

研究課題と成果目標

 

[研究課題]

「個々の発達課題に対応する教材データベースの構築とネットワーク化」
サブ課題「インクルーシブ教育システムと学校のセンター的機能を踏まえて」

8月から12月にかけて、次の4点について成果目標を設定し、具体的取組を進め、次のような成果を上げることができました。

1.教材データベースについて

  • 本年度課題「教材データベースの充実と活用システムを構築する。」 
    教材共有ネットワークにQ&Aコーナーの新設とアセスメントチェックリストのエクセル版をダウンロードできるようにすること、新規教材データを20件アップロードしました。

2.ICT教材について

  • 本年度課題「ICT機器やデジタル教材を確かな学びを育む授業に生かしていく。」

    本年度課題「ICT機器やデジタル教材を確かな学びを育む授業に生かしていく。」

    フラッシュ教材を開発するにあたり、その方向性をiPadなどで使われている一般の学習ソフトへつないでいくことを目標に開発ソフトの検討を行いました。

3.地域支援ネットワークについて

  • 本年度課題「実用的な地域支援ネットワークシステムを構築する。」
    具体的地域支援と教材共有ネットワアークの紹介のために特別支援学校、支援学級、進路先、就学前施設などを対象とした地域支援研修会を実施しました。また、モデル校やモデル施設を訪問し、ケース検討会や研修会を実施しました。

4.公開研究発表会に向けて

  • 公開授業の検討、フラッシュ教材の開発、ネットワークの充実、ICT授業の検討会などを実施しました。

本期間の取り組み内容/アドバイザーの助言と助言への対応

 

◆本期間の取り組みと内容について

1.「教材データベースの充実と活用システムを構築する」

  • 8月、Q&A、教材5点、研修計画や研究発表に関する情報をアップロード。
  • 9月、教材の中でも姿勢づくりに関係する教材6点をアップロード。
  • 10月、アセスメントチェックリストのエクセル版を作成しアップロート。
  • 11月、モデルとして協力を依頼した就学前施設で保護者研修会を実施し、サイトの説明をするとともに、Q&Aに乗せてほしい内容について意見交換を行う。
  • 12月、国立特別支援教育研究所が主催する教材展示会に出展し、多くの参加者との意見交換を行う。

2.ICT教材について

  • 10月、畿央大学との打ち合わせを行い、フラッシュを使った教材とパワーポイントを使った教材の2本立てで進めていくことになる。フラッシュ教材はiPad等の一般ソフトの活用につながるような導入部分の検討を中心に取り組むこととなった。パワーポイントでは、発達初期の子どもたちを対象に、視覚・聴覚の気づきや活用につながるような単純で分かりやすい教材づくりに取り組んだ。10月15日より週2回のペースで学生の訪問を受けながら研究を進めていった。

3.地域支援ネットワークについて

  • 8月11日文部科学省より特別支援教育調査官の分藤先生をお招きし、地域支援研修会を実施した。地域の一般校より60名、就学前施設より7名、卒業後の施設より2名、特別支援学校より約80名の参加者があった。午前中に自立活動についての講演と教材共有ネットワークの使い方についての説明を行い、午後からは、1,身体の学習、2,教材の活用、3,ICTの活用について、4,自立活動の時間の指導、5,教科の中の自立活動、6,医療的ケアについて、7,卒業後に向けて、というテーマでの分科会を実施した。
  • 9月、就学前施設にてケース検討会と職員研修を行った。
  • 10月、卒業後の施設(2カ所)への訪問を行い、身体への取り組みの支援を行った。
  • 10月、全日本教育工学研究協議会の全国大会にて教材共有ネットワークに関するこれまでの取り組みとその活用方法についての説明を実践発表として行った。
  • 11月、卒業後の施設(2カ所)への訪問と小学校の特別支援学級への訪問を行った。
  • 11月、情報教育研究会合同研修会にて教材共有ネットワークの報告を行った。
  • 12月、就学前施設が主催する地域研修会にて特別支援教育についての研修を行った。

4.公開研究発表会に向けて

  • 8月より、当日公開する授業について学部単位で月2回の授業検討会を実施した。
  • 8月より、公開研究発表会の実施に向けて実行委員会を中心に準備を進めてきた。
  • 11月、全国肢体不自由児教育研究協議会にて今回の研究に関する3つのポスター発表と参加者全員へ公開研究発表会二次案内の配布を行った。
  • 11月、近畿肢体不自由教育研究協議会にて公開研究発表会二次案内の配布を行った。
  • 12月、国立特殊教育研究所主催の教材展において研究発表会を紹介した。

◆本期間の取り組みと内容について

  • 公開研究発表会において、公開授業を見た後の授業検討会の持ち方について具体的アドバイスをいただき、企画を見直すことができた。

[内容]
 「公開授業が5~7になる学部があり、学部単位で授業検討するには時間が足りない。この場合全体で進めるよりも、授業単位で時間をくぎって2回ぐらいに分けて検討会をして授業者と見学者がじっくり授業について話ができるようにする方がいい学びになるのでは。」というものでした。すぐに実行委員会、職員会議で検討し、小学部と中学部はこの形式で進めることになりました。高等部は公開する授業のテーマに沿って全体で検討を行うとし、助言者を設定(これもアドバイザーからの助言)して、全体のまとめ役をお願いすることとしました。訪問部は元々公開授業が一つだけだったので、当初の計画通り進めることになりました。

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裏話(嬉しかったこと、苦心談、失敗談 など)

 
  • 8月に地域支援研修会を行いました。以前に実施したときは地域の先生の参加が10名ほどであったため、40名規模の会場を準備していたのですが、参加申し込みがどんどん増えていき、急遽大きな会場に変更することとなりました。とはいっても急に会場が見つかるわけでもなく、他の研修会と合同開催とせざるを得なくなったのですが、結果的には合同にしたことで研修内容も充実し、参加者同士の交流にもつながりました。
奈良県立奈良養護学校活動報告イメージ1
  • 本校には、授業用タブレット端末としてWindowsが5台とiPadが1台あります。昨年はほとんど使われることなく棚に並んでいたのですが、9月以降ほとんど出払っている状態が続いています。以前は日にち単位の予約でしたが、現在は時間単位の予約になっています。充電が間に合わなくなり、いつの間にか「使用後必充電」の案内板が設置されていました。パナソニックの助成を受けた研究が進むにつれ、これほど学校全体としてICT機器の活用が進んでいくとは思っても見ないことでした。
  • 畿央大学の学生さんとのフラッシュの共同開発も研究推進員が付き添う形で授業担当者と内容や進め方の検討をしていましたが、今は授業担当者と学生さんだけで研究を進めていけるようになりました。最初はどことなく遠慮がちな雰囲気があったのですが、子どもたちが変化し、学習が進んで行くに従い授業担当者と学生さんのコンビネーションもよくなり、今は当事者だけでの検討で進めるようになりました。
  • 公開研究発表会の募集をしています。12月23日の時点で89名の参加希望があります。
    公開授業に関する分科会が5つとICTに関係した分科会が2つで計7つの分科会となっています。今回は分科会毎に定員30名で募集する形をとりました。予想としては公開授業とつながった5つ分科会から参加者がうまってくるだろうと思っていましたが、実際にはICTのフラッシュソフトの開発に関する分科会があっというまに定員となりました。現在のICT教材への関心の高さを改めて感じました。

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成果

 

1.教材データベースについて

Q&Aの充実や新たなデータを追加することができました。会員同士が意見のやりとりができるコミュニティルームにもいくつか書き込みが見られるようになり、少しずつではあるが拡がりを感じることができました。アクセスデータの分析より、「シール貼り」というキーワードでの検索が圧倒的に多いことが分かり、利用者がどのような情報や教材を求めているのかがよく分かりました。現在それを受けてシール貼り教材の製作に取り組んでいます。

2.ICT教材について

Windowsをベースにフラッシュ教材の開発を中心に行ってきましたが、手作りには限界があり、個人向けのソフトばかりでは対応の限界を感じていました。一般にはiPadをはじめ多くの使いやすいソフトが開発されています。そこで、そういうソフトにつながる練習用コンテンツとしてフラッシュ教材の開発に取り組みました。

奈良県立奈良養護学校活動報告イメージ2

奈良県立奈良養護学校活動報告イメージ3

今回対象とした生徒は、タブレット端末を提示するとちょっと触ってすぐに押し返してくるような実態でした。視知覚に弱さがあるため、黒い背景にオレンジの○があり、その○に触れるとプヨプヨ動き出すというごく単純なものからはじめました。次に○を穴に入れるようにしたり、一つの所へ集めてくるような練習をし、最後は○をお弁当のおかずに変えて、お弁当箱の中に集めるという風に展開していきました。そこに、家族の写真を加え、お弁当を写真の所へ持って行くと「ありがとう」と言ってお弁当がなくなってしまうという風にストーリーをつけていきました。そこからiPadの「ランチボックス」というソフトへとつないでいきました。今回の取組の中で、有用な一般ソフトの活用につながっていくように必要な練習をフラッシュ教材で行うという流れの有効性に気づくことができました。


YouTubeにて、奈良養護学校で撮影された動画をご覧いただけます

3.教材ネットワークについて

8月に行った地域支援研修会で教材共有ネットワークの使い方説明を行うことができました。その結果、ネットワークへのアクセスがグラフのように増えてきました。

奈良県立奈良養護学校活動報告イメージ2

奈良県立奈良養護学校活動報告イメージ3

やはり案内やパンフレットの配布だけでは、なかなか伝わりにくい面もあり、具体的に使いながら使い方を伝えていくことの大切さを感じました。

4.紹介書籍の出版について

教材共有ネットワークを紹介する書籍の出版について、出版社との打ち合わせが進み、具体的内容や執筆分担、出版までの流れについて確認することができました。

5.学会や大会での発表について

  • 08月11日 地域支援研修会にて現在の活動の報告と使い方の説明を実施しました。
  • 08月30日 なんとカンファレンスにて教材共有ネットワークの発達観について説明。
  • 09月10日 大阪市立東住吉特別支援学校の職員研修にて研究の概要を説明。
  • 09月12日 宝塚市立養護学の職員研修にて、教材共有ネットワークについて説明。
  • 10月25日 全日本教育工学研究協議会京都大会にて研究報告を行いました。
  • 11月14日 日本肢体不自由教育研究協議会新潟大会にて、3つのポスター発表。

  • 12月06日 国立特別支援教育総合研究所主催の教材展に出展し説明を行った。

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今後の課題

 
たくさんの課題がありますが、特に次のような課題について重点的に取り組んでいきます。

○データ内容の充実のために。

データ入力について、他校との協力関係を作りアップロードを進めていく。

○広くサイトを紹介していくために。

今後も研究会や発表会、学会などを利用して教材共有ネットワークの説明をしていく。

○教材共有サイトにアップロードしたアセスメントチェックリストエクセル番に項目解説を入れ活用しやすくする。認知だけでなく、運動やコミュニケーションのチェックリストもエクセル化していく。

○フラッシュ教材の共同開発のために

フラッシュ教材をiPadなどで使われている一般教材への導入であったり、つなぎであったり、練習用となるようなものをめざして開発していく。

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公開研究会の計画

 
  • 日 時  平成27年2月7日(土)
    午前9時30分から午後4時30分まで(受付開始:午前9時)
  • 会 場   奈良県立奈良養護学校
    〒630-8051 奈良市七条町135番地
  • 内 容
    〇開 会 式 09:30~09:50
    〇公開授業 10:00~10:40 「全学部全授業公開」
    〇研究報告 11:00~12:00 「データベースでつなぐ地域ネットワーク」
    〇講 演   13:00~13:50 講演:「特別支援教育におけるICTの活用」
     国立特別支援教育総合研究所総括研究員 金森 克浩氏
    〇検 討 会 14:00~15:20 分科会(授業検討及び研究報告)
    〇全体総括 15:40~16:30 堀田 博史氏(園田学園女子大学人間健康学部教授)
     金森 克浩氏(国立特別支援教育総合研究所)

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アドバイザーコメント

園田学園女子大学 教授 堀田 博史 先生

 

本期間(8~12月)は,教材データベースのさらなる充実を目標にして,教材共有ネットワークシステムにQ&Aコーナーを新設,また資料のダウンロードを可能にしました。このように,教材データベースの新たな動きが利用者に見えることで,アクセスが増えていきます。また8月に開催された地域支援研修会で,教材共有ネットワークシステムの説明を行うことでも,アクセス数が急増しました。研究会等で積極的に発表されている効果が表れています。

今後,より教材データベースを充実させて,教材共有ネットワークシステムが多くの方に活用し続けられるためには,校内の教職員だけではなく,地域・校外の学校関係者との協力が不可欠になります。校外からデータベースを閲覧するだけではなく,教材をアップロードしてもらえる活動が必要です。そのためには,校内すべての教職員が自校のシステムを使いこなして,校外に解説できる場を持つ必要があります。奈良養護学校さんは,少しずつその状況に近づいている気がします。

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