実践研究助成(初等中等教育現場の実践的な研究に関する助成制度)実践研究助成(初等中等教育現場の実践的な研究に対する助成制度)

第40回特別研究指定校(活動期間:平成26~27年)

山形県米沢市立東部小学校 /平成26年度4-7月期

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研究課題と成果目標
研究課題と成果目標

取組内容
取組内容

裏話
裏話

成果
成果

今後の課題
今後の課題

公開研究会の計画
公開研究会の計画

アドバイザーコメント
必見! アドバイザーコメント

 

研究課題と成果目標

 

[研究課題]

若手教員とベテラン教員の協働による校内OJTモデルの開発

[成果目標]

A:「学習規律・学習指導の手引」の作成から

  • 学習指導の基礎基本を全教員確認する。
  • 教員の経験年数にかかわらない均質な学習が児童に提供できる。

B:ICT活用を含んだ「授業研究会」「ミニ授業研究会」

  • 「わかる授業」の日常的な実践が,児童の学力向上につながる。
  • 日々の教育活動の中での意図的,計画的,組織的かつ継続可能な研修体系を確立する。

C:「校内OJTモデル」の開発とリーフレット化

  • OJTの日常化が促進し,全ての教員にマネジメント力が育つ。
  • 開発した「学習規律・学習指導の手引」「若手塾」の内容から「校内OJTモデル」にまとめ,リーフレットとして市内小中学校に配布することで,啓蒙普及する。
  • 教務主任会,教頭会,校長会などの研修資料として活用する。

本期間の取り組み内容/アドバイザーの助言と助言への対応

 

[4月]

○春休みOJT「これでばっちり黄金の三日間のシナリオ」

本校教員を講師として、子ども達と出会う前に準備すること、出会いの3日間は何をするかなどを話題とした。若手の先生はもちろん、ベテランの先生にとってもよい勉強の機会となった。

○今年度の校内研究の概要について、共通理解

[5月]

○全教室に実物投影機が ~まずはつかってみよう~

すべての普通教室に大型テレビと実物投影機が整備された。早速「まずは使ってみる」ということで、接続の仕方を研修し、日常の授業で教科書を大きく映すところからスタートした。

○校内研究全体会(堀田先生来校)

  • 全学級授業参観
  • 今後の研究および若手塾について確認
  • 堀田先生の助言指導

堀田先生にICTを使った授業を参観していただくということで、多少緊張が走った本校教員であったが、その後の助言指導では、「決して特別な授業をするのではない」「何気に使い、それを持続していくことが大切」など、的確なアドバイスをいただき、少しホッとしたと感じたようだった。

堀田先生の助言によって、

◇普段から実物投影機を意識していくこと
◇児童にとって本当に見えやすい提示の仕方か(大きさやタイミングなど)
◇教室のレイアウトの工夫(教師の立ち位置、テレビや棚の置き場所)
◇ICTによる提示だけでなく、従来の板書も一層大切にしていく
◇ノート指導をさらに充実させていくこと を、日頃から意識して指導していくようになった。

○若手塾スタート

昨年度に引き続き、若手教員がベテラン教員から学ぶ機会を設定し、教え伝え合うことで、教員としての資質向上をお互いに目指していくという目的で行われた。

  • 講座1「生活を綴らせることの大切さ」
  • 講座2「自分の思いを話せる子への手立て」

[6月]

○第1回校内授業研究会(堀田先生来校)

  • 授業公開(1) 2年1組 国語科「きろくしよう~かんさつ名人になろう~」
  • 授業公開(2) 6年2組 算数科「比例と反比例」

東部小学校授業イメージ1

東部小学校授業イメージ2

2年生はミニトマトの苗を観察するときの視点を確認する場面、6年生はグラフに点を打つときの方法を知る場面において、どちらの授業も実物投影機による拡大提示が有効な手立てとなっていた。

東部小学校授業イメージ3

・事後研究会(ワークショップ型)

新たな試みとして、大きく拡大印刷した本時の指導案に付箋紙を張るという方法で行った。また、グループごとの話し合いの報告は、そのグループで一番若い教員が担当し、ここにもOJTの要素が組み込まれていた。

・助言指導

2つの授業について詳しくご指導いただき、どちらの授業とも学習規律がきちんと指導され、落ち着いた雰囲気の中で学習できているとお褒めの言葉をいただいた。 今回教えていただいたことをもとに、以下の点に注意して実践してきた。

◇指導すべき学習規律は、さらに意識して指導し、達成率100%を目指す
◇何のためにICTを活用し、それによって期待される効果をよく考える
◇学習指導要領に書かれている内容を熟読し、学習内容を吟味する
◇発展的な内容を扱う場合は、全ての児童に理解させるためのケアを施す

○若手塾

東部小学校授業イメージ4

・講座3「基本の[き] 漢字ミニテストで全員が100点とれる! 算数テストでクラス平均90点!!」

○東部小スタンダード

児童に身につけさせたい学習規律や、教師が気をつけたいことを学年主任の先生が中心になりリストアップし、あたりまえのこととして全児童や全職員ができることを目指し、「東部小スタンダード」というチェックリストを作成した。定期的に担任がチェックしその変容を見ていくようにした。

[7月]

東部小学校授業イメージ5

○ミニ授業研究週間

・授業を見て、お互いに学びあう機会をできる限り多く設けるために設定した。1時間全ての参観では、自学級を1時間全て自習にすることになり大変ということから、参観してもらいたい場面を15分程度公開するという形で行うこととした。
まず1学期は、研究推進委員の3名の教員の授業を公開した。今後は「週間」を「月間」とし、全学級の授業公開を行う予定。

東部小学校授業イメージ6

◇堀田先生の助言を授業の視点として実施した。

○若手塾

・講座4「やっぱり体育は楽しくて大事です」

○OJTリーフレット「TOUBOOK」の作成

○学習規律アンケート(児童)、OJTアンケート(教員)による実態調査

 

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裏話(嬉しかったこと、苦心談、失敗談 など)

 

「まず使ってみっぺ!」

実物投影機が全教室に整備され、機器に慣れるために、いろいろな場面で活用されることが増えました。授業での活用の他にも、ある先生は給食の盛り付け例を大きく映し、ある先生はタイマーを映し・・・。児童も興味津々で、休み時間には自分の顔を映して大喜びしていました。

「OJTだけれど…」

ベテランの先生からは、「これはOJTだけれど…」と一言付け加えることで、従来よりも気軽に若手の先生に教えることができるようになりました。

「学期末は実技講習会でOJT!」

1学期最後の日は、教職員でソフトバレーボールの実技講習会(という名のソフトバレー大会)を行いました。いつもは教わることが多い若手教員ですが、ここでは大活躍。若手もベテランもいい汗をかいて、笑顔で1学期を締めくくりました。

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成果

 
  • 校内研修会や若手塾という設定された場はもちろんのこと、普段の生活の様々な場面で若手とベテランが教えあう場面が多くなり、校内のOJTが日常化しつつある。また、学習規律などのチェックリストを確認しながら指導にあたることができるので、学級格差が少しずつ解消されつつある。
  • 実物投影機が全教室に配備され、ICTを"何気なく"使った授業を、各担任が日常的にできるようになってきた。堀田先生のお話を聞き、ICTに対するハードルが下がったと感じた教員が多かったのも、大きな成果である。

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今後の課題

 
  • "OJT"の良さや必要性を、目に見える形でもっと見出していく必要がある。また、どんな目標で、どんな若手の姿やベテランの姿を目指すのかを明確にしていく。
  • 今後も“ICTを活用”した授業を日常的に数多く実践していく。その際、わかる授業のためにICTをどう使用し、どんな効果が期待できるかなどを全職員で考えて実践にあたる必要がある。
  • わかる授業を支える"学習規律"の徹底を今後も進めていく

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公開研究会の計画

 
  • 平成26年10月 8日(水)…校内授業研究会
  • 平成26年11月19日(水)…校内授業研究会
  • 平成27年 1月21日(水)…校内研究全体会
  • 平成27年11月中旬 …公開授業研究会予定

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アドバイザーコメント

東北大学大学院 情報科学研究科 教授 堀田 龍也 先生

 

本校の研究は,「若手教員とベテラン教員の協働による校内OJTモデルの開発」という研究主題でもわかるように,教員の急速な若返りの時代を迎えた今日にこそ求められる学校体制の研究である。その際,授業におけるICT活用をメインの舞台とし,ICT活用を巡っての授業場面の設定,学習活動の設計,授業の流れの確認,学習環境の準備,学習規律の統一や学級経営の在り方にまで,およそ教員の力量向上に伴うさまざまな研究活動が行なわれるようになっている。

教員の学級経営力,授業力の重要性は論を待たないが,それが校内で十分に育ちうる体制になっているかについては,今日の教員の多忙さを背景に,なかなか困難な状況にあるのが一般的だろう。そんな中,本校では,「OJT(On the Job Training)」という切り口で若手育成をとらえている。そして,教育技術が自然と伝わるという立場ではなく,明示的に伝えていこうという立場に立つ。若手教員にどんな技量が必要なのかをベテラン教員が議論し,育てるための具体的な手だてを検討し,これらのOJT活動を通してベテラン教員の成長をも目指している。このような取り組みを学校経営の中核に置くことによって,教員集団を同じ方向に向かわせ,チームとしての学校力の向上を図ろうとしている。

そのために,ICT活用への取り組みも,日頃の授業場面を対象とした日常的な営みととらえている。ICTの操作そのものは,若手教員からベテラン教員への貢献が期待できる。ICTの授業での活用は,授業力そのものが露呈することから,ベテランが優位に立つ。OJTのメインの舞台としてICT活用を選んだ本校の「戦略」がここに垣間見える。

 

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