実践研究助成(初等中等教育現場の実践的な研究に関する助成制度)実践研究助成(初等中等教育現場の実践的な研究に対する助成制度)

第40回特別研究指定校(活動期間:平成26~27年)

春日学園つくば市立春日小学校・春日中学校 /平成26年度8-12月期

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研究課題と成果目標
研究課題と成果目標

取組内容
取組内容

裏話
裏話

成果
成果

今後の課題
今後の課題

公開研究会の計画
公開研究会の計画

アドバイザーコメント
必見! アドバイザーコメント

 

研究課題と成果目標

 

[研究課題]

ICTを活用した 思考力・判断力・表現力を育む授業づくり 
~協働学習ツールとタブレットを活用した論理的思考力の育成~

協働学習ツールを1年~9年の全学年で系統的に利用し,学習の質が高まり児童生徒の論理的思考力が向上するのではないか。

[成果目標]

ICT(協働学習ツール)とタブレットを活用した学級の枠を超えた他校等との協働学習の実践として,この機能を活用して,他校の児童生徒と1つの課題について協働で解決していく学習を実現していく。

本期間の取り組み内容/アドバイザーの助言と助言への対応

 
  1. 公開期日 平成26年12月8日(月)
  2. 講師 大阪教育大学教育学部 教授(教育学博士) 木原俊行 先生
  3. 内容 小中9年間を通した論理的思考力の授業公開

(1)第1学年1組つくばスタイル科(大好き!わたしの学校・家族)

○目標

家の仕事を知り,自分にできることは何かを考えよう。

○内容

家庭にある多くの仕事の中から,自分にできるものは何かを取捨選択できるようになるのは,「考える道具」を使い,思考力を高めるための学習を経験した夏休み以降であると考え,お手伝いの計画を立て実践することにした。その際,友達と一緒に仕事カードを並べその仲間分けを行うことで,家庭にはどんな仕事が多いのかに気付くことができ,それが自分にできそうな仕事を考える手立てになるのではないかと考え実践した。

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【児童のWチャートをぼうけんくんで撮影】

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【電子黒板でWチャート分類したものを発表】

(2)第2学年5組 国語科(考えたわけを書こう) 

①目標

絵の季節について自分が考えたことを,友達との話し合いを通して,理由が明らかな文章に書くことができる。

②内容

理由を明確に文章化するための手立てとして,思考ツール(くま手図)を使い,観点に沿って考えさせるようにする。さらに,どんな考えを持ったかよりも,考えと理由とに整合性があるかどうかを重視させることで,説得力のある文章とはどんなものなのかを理解させ,実践に結びつけられるようにしたい。また,考えを伝える発表の際には,絵のどの部分から考えたのかをICT機器を使って分かりやすく示し,根拠を示しながら考えを伝えると理解しやすいということを実感させたい。

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【絵が何の季節を表しているか考える】

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【熊手図で「秋」を選んだ理由を記入】


YouTubeにて、春日学園 つくば市立春日小学校で撮影された動画をご覧いただけます

(3)第3学年4組 国語科(くらべて分かったことを書こう)

①目標

二つのものを比べる観点を見つけマトリックスに整理する活動を通して,観点についてさらに考えることができる。

②内容

本単元ではマトリックスを活用することによって,「比較する」「分類する」「多面的にみる」「整理する」を自力解決していく。また,ICTで視覚化することで,観点について説明したり共有したりするときに理解しやすいと考える。そして,「どちらも~です。」「Aは~ですが,Bは…です。」「比べると~」「似ている点は~」などの比較・関連付ける言葉や表現を取り上げていく。これらの活動を通して,論理的に思考し表現する能力,互いの立場や考えを尊重して言葉で伝え合う能力を育成する。

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【消防車と救急車の違いをタブレットで分類】

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【分類した画面】

(4)第4学年4組 算数科(広さの表し方を考えよう)

①目標

複合図形の面積を既習の長方形や正方形に移動させて考えるなど,いろいろな求め方ができることを通して,効率化について考察し,理解をして説明することができる。

②内容

児童が学習課題と出会ったときに「解いてみたい」「どうしてだろう」「もっとよい方法はないか」という気持ちが芽生えれば,目的意識をもって授業に意欲的に取り組めると考える。本題材の解法として,全体からみて引く方法と,移動する方法が考えられる。「よい方法」の拠りどころとして,『はかせどん』(やく・んたんに・いかくに・どんなときも)を提唱してきた。本時も同様の視点で,児童に解法を比較させたい。

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【解き方をグループで考える児童たち】

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【電子黒板を使って様々な解き方を説明】

(5)第5学年1組 音楽科(いろいろなひびきを味わおう)

①目標

演奏形態の違いにより曲想や雰囲気が変わることを理解し,その相違点を言葉で表すことができる。

②内容

表現の活動では,常に,どんな音にどんな音やリズムを重ねるとよいかを問い,音で試しながら進めていく。また,その際の音のバランスなどについても触れ,響きの良さを感じ取れるようにする。鑑賞においては,演奏形態が変わることにより,変化するもの・変化しないものを分類しながら曲想の違いをとらえさせる。そこで,比べるための思考ツールを使用し,相違点を明らかにしていく。思考を整理しながら鑑賞し,自分の感じる曲想が何による演奏形態かを明らかにし,思考を整理しながら楽しく鑑賞させたい。

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【タブレットで音楽を聴きながらフラワーチャートでまとめる】

(6)第5学年4組 考える時間(日常生活における話題について,賛成・反対両方の意見を踏まえた上で,自分の主張をまとめる)

①目標

バタフライチャートを活用して,色々な立場から物事を考えることができる。

②内容

日常生活における話題について,自分とは違う立場に立って考えることで,自分の考えを見直したり,深めたりすることができる。

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【バタフライチャートの使い方を学ぶ「考える時間」】

(7)第7学年1組 数学科学習指導案(量の変化と比例・反比例)

①目標

日常的な事象における2つの数量の関係を比例とみなし,式や表,グラフを利用して問題を解決することができる。

②内容

授業では伝え合う活動を中心に据えて,式やグラフによる解法のよさを気付かせたい。そこで,スタディネットを利用して,自分のアイディアを客観的に吟味して,よさの評価を行い,論理的な思考力を高めたい。そして,数学を活用することの必要性や有用性を理解させ,課題を解決する喜びとともに数学のよさを生徒に実感させたい。

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(8)第8学年1組 社会科(日本の諸地域「近畿地方」)

①目標

京都市で歴史的な景観が保護されている理由を,歴史的価値の継承や歴史的な景観がもたらす経済効果と関連づけて考えることができる。

②内容

「歴史的景観の保護による効果や影響」に着目して考えさせる。思考ツールを活用することによって,歴史的背景,地域の産業,人々の生活などと関連付けながら,歴史的景観を保護する取り組みが進んでいる理由を,文化財の持つ歴史的価値の継承や観光による経済効果などの観点から考えを導き出せるように指導していきたい。

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【タブレットを使って,ピラミッドチャートでまとめ,話し合う】

 

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裏話(嬉しかったこと、苦心談、失敗談 など)

 
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【ぼうけんくんの活用】

前回は,タブレットなどICT機器の無い中での思考ツールの学習の実践であったが,「ぼうけんくん」をモニターさせていただいたおかげでその教育効果が認められ3台教育委員会で購入していただいたり,マイクロソフト社からタブレットを借用して実践できるようになったりと急に実践が進んだ時期であった。
機器が揃ったこともあり,教員のモチベーションも高まり,数多くの実践ができた。

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成果

 
 8月~12月まで本学園では,500名以上の視察者があり,そこでは,必ず思考ツールを使った学習を公開してきた。
 11月21日(金)関東甲信越ブロック中学校理科研究大会の会場となり,財団指定の「思考ツールを使った理科学習」を実践することができた。
 12月8日(月)大阪教育大学の木原先生を講師としてお招きして,1~8年全学年で「論理的思考力の育成を図る授業」を公開することができた。

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今後の課題

 

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これまで,実践は数多く行ってきたが,その検証や協議をあまり行うことができなかった。そこで,木原先生の御指導により,2月の公開授業では,研究協議の充実を図ることにした。
タブレットやぼうけんくんなどICT機器も充実してきたので,今後は加速度的に研究を進めていきたい。

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公開研究会の計画

 
平成27年2月2日(月)
13:30受付 1-9年全学年公開デジタル思考ツールを活用した論理的思考力の育成
15:45分科会 研究協議
16:00 大阪教育大学木原先生 講師指導
・定員150名

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アドバイザーコメント

大阪教育大学 教授 木原 俊行 先生

 

-春日学園 つくば市立春日小学校・春日中学校の教師たちの学ぶ姿勢-

前回のコメントでも紹介したように,春日学園(つくば市立春日小学校・春日中学校)の学習環境は,整備されている。新しくてきれいな建物,そこに設置されている様々な学習コーナー,知的好奇心をくすぐる掲示や展示,協働学習に資するICT機器等々,子どもたちの学習意欲を喚起する物理的環境が用意されている。また,新しい社会に必要とされる様々なスキルを育成する「つくばスタイル科」に象徴されるすぐれたカリキュラムが子どもたちに提供されている,しかもそれが小中9年間の一貫教育として確かな系統性を有しているといった点で,学習のソフト面においても,その卓越性を確認できよう。

ただし,それらは,所与のものではない。春日学園の教師たちの学ぶ姿勢によって創られ,保たれ,発展させられているものだ。そして,彼らの学ぶ姿勢の豊かさは,授業公開の機会の多さに象徴される。同校の教師たちは,平成25年度末に,パナソニック教育財団の実践研究助成の特別研究指定校に応募するにあたって,校内研修の年間計画をていねいに策定している。そして,そこには,他校の教師に対する授業公開の機会が数多く設定されていた。平成26年度になって,実際に,春日学園の教師たちは,研究計画にしたがって,たくさんの授業公開の機会を設定している。それによって,春日学園で授業を目にした他校の教師たちは,8月から12月の間だけで,500人を超えたという。いったい年間で,どれくらいの数の教師が春日学園を訪問することになるだろうか。そうした授業公開の機会は,春日学園の教師たちにとって,研究課題である「ICTを活用した思考力・判断力・表現力を育む授業づくり」を意識し,それを持続的に発展させようと考える機会となっていることは言うまでもなかろう。「活動報告書」に記された実践の内容は,それを雄弁に物語っている。1学期に紙ベースで進められていた思考ツールの活用が,かなりの程度デジタル化されているからだ。そして,これも「活動報告書」の叙述に確認できるが,それらは,子どもたちが確かな学力を身につけることに大きく貢献している。

春日学園においては,教師たちが他校の教師に対して授業やカリキュラムを公開したり発信したりする機会を量的に確保し,それが,授業改善のスピードを速め,その幅を広げていくという,好サイクルが成立している。筆者は,それは,特別研究指定校らしい研究アプローチであると思う。「活動報告書」の「今後の課題」欄に述べられているように,公開された授業に関する協議の進行を工夫すれば,春日学園の教師たちにとって,授業公開における学びの可能性はいっそう高まるであろう。それが試みられる2月2日の授業公開がとても楽しみである。

 

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