財団活動日記&ニュース
2011年7月7日
 1人1台のタブレットPC、4年理科で実践!
 

大阪府にある守口市立橋波(はしば)小学校にて、校内授業研究会があり、当財団の訪問指導日として、参加させて頂きました。(橋波小学校は、当財団の今年度の特別研究指定校です)

橋波小学校は、総務省の平成22年度「地域雇用創造ICT絆プロジェクト」の対象校となり、1人1台のタブレット型PC(4年生以上)の環境が、この4月からスタートしています。

また、一昨年度(平成21年度)から、当財団の実践研究助成校(一般)に2年連続で選ばれ、さらに本年から「特別研究指定校」となり、継続的な研究活動に取り組まれています。この春(平成23年3月)には、大阪府教育委員会から学校団体表彰で優秀賞(表彰理由:学力向上方策としてICTを積極的に活用した授業づくりの取り組み)を受賞されました。直近では、読売テレビの「ほんわかテレビ」にて、「小学校最新情報」として、タブレットパソコンを使用した授業が取り上げられました(放映日:2011年6月12日)。

今回は、この5月に研究主任による授業研究会(6年国語科)を経て、2年目教員による校内研究会を実施されました。

当日は、橋波小学校の全教員の他、守口市教育センターのセンター長、ICT支援員をはじめ、見学希望を問い合わせてこられた企業2社から数名、当財団のアドバイザーとして、永田智子先生(兵庫教育大学准教授)、豊田充崇先生(和歌山大学准教授)らが参加し、総勢30名程の中で行われました。

参加者の中で、特筆すべきことは、当財団の今年度の特別研究指定校である、兵庫県の西宮市立北六甲台小学校の研究主任、京都府立乙訓(おとくに)高等学校の教諭2名が参加されたことです。地域・校種を超えた研究活動の学び合いの場となりました。



<研究授業(4年 理科)>

今回は、単元計画(全7時間)の第3次(6回目)の授業です。単元名は「春の自然 〜学年園の植物を観察しよう〜」で、単元目標を「春から夏にかけて、植物は気温の上昇にともなってよく成長していることがわかる」として、行われました。

授業の流れは、
(1)動機づけ(10分):
植物の写真(春と夏)を黒板に例示し、植物の変化に着目させる
(2)各自で考える(10分):
観察ノートを見て、気がついたことをワークシートに書く
〜観察ノートは、タブレットPCのソフト(コラボノート)を使用して、植物の写真、観察日、天気、気温、全長、葉の数、葉の大きさなど、植物の成長を記録したものでした。

(3)友達のノートから考える(10分):
友達の観察ノートを見て、気がついたことを書く
(4)班ごとにまとめる(5分):
自分と友達との共通していることをコラボノートに入力する

(5)発表する(10分):
共通していることとその理由を発表する
〜どのページをみて、そう思ったのかを確認しながら進め、知っている知識と、観察から得た知識を区別しながら行っていました。

(6)まとめ(10分):
植物のきまりを予想させ、発表させながら、まとめへ導く

授業は少し延長しましたが、子どもたちは蒸し暑い中、最後まで集中したまま、授業を終えました。


<討議会>

研修授業を振り返り、約30名もの教員同志による意見交換が行われました。

最初に、授業者の振り返り(学習の狙い、反省点など)があり、続いて、テーマ別(思考表現、ICT活用、共同学習)に、グループ討議が行われました。

今回の討議会の特徴として、1人1台のタブレットPCを、教員が利用されていたことが挙げられます。子どもと同じ環境下で、校務に利用することで、ICTの長所と短所を実感されていました。また、1人1台の端末があるといっても、4年生以上です。利用の機会が少ない教員にも、実践の場をつくることも意図されていたようです。


<グループ発表時の意見の抜粋>

  • 観察ノートは、写真つきでわかりやすく、過去を振り返りやすい。また、数日分もの記録が残り、資料が豊富にある点がよい
  • 反面、違いがわかりにくく、条件の整理をもう少し行ってから、考えさせた方がよかったのではないか
  • 班ごとのグループ学習では、(1人1台の)PCの台数を利用して、端末を観測の日付順に並べるなどして、見比べてみてはどうか

といった意見がありました。また、後半で4人に1台にした意図や、「仮説」「きまり」「ひみつ」といった言葉の使い分けなど、授業者の考え方や経緯を共有されていました。


<永田智子先生(兵庫教育大学准教授)より>

  • 難しい学習の課題である。要因よりも、成長の仕方に注目したほうがよいと思う。
  • また、見つけるためのしかけが必要で、考えるための視点を与えながら、授業を進めたい。
  • 思考力、表現力の評価については、単元の狙いが達成されたかどうかが大事である。
  • 橋波小が作成した評価基準を使い、そのABC基準を例示するとよい。(評価の一貫性)
といった助言をされました。

<豊田充崇先生(和歌山大学准教授)より>

  • 授業の制約条件が多かったのではないか。(1人1台のPC、コラボノートの利用、協同学習etc.)
  • 本時の時間配分から、最も長かった個別学習の進め方について振り返りたい。
  • 黒板を使って、一覧性を確保されていたが、子どもの手元にはなかった。印刷物などがよい。
  • 植物の写真を撮る際には、大きさが一見してわかるような工夫があるとよい。
などを助言されました。

授業者らは、活用型学習である「思考力」の育成を、具体的にどう実践していけばよいのか? 肉声で話し合うことの大切さを重視しながら、ICTの活用方法を模索されていました。

引き続き、実践活動を追っていきたいと思います。


橋波小学校の財団職員によるレポート

話題のタブレットPC、いよいよ実践開始!!(平成23年4月26日)
1人1台のタブレットPC、6年国語科で実践!(平成23年5月19日)


 2011年7月7日(木)UP (田上)

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