財団活動日記&ニュース
2012年2月10日
 1年生が学年を超える目標に挑戦! 思考の手立てを追及
 

大阪府守口市立橋波小学校に、当財団の今年度3回目の訪問指導日として、参加させて頂きました。今回の研究授業のポイントは、橋波小学校が作成した「コンピュータの活用に必要なスキル」に対して、学年を超える目標に挑戦したことです。1年生に中学年相当のICTスキルを使う活動を行い、活用型学力(思考力・表現力・判断力)の育成に取り組まれました。


○ 研究授業(1年 生活科:コンピュータ室)
単元名「あたらしい1ねんせいをむかえよう」、単元計画(全18時間)の9回目の授業です。4月から新1年生となる園児と1年生との交流会が、学校行事として例年行われています。本時は、そのための準備をする活動です。

本時までの活動の概要を、先にご紹介します。
《テーマ選定》
パソコンを使ってアンケートを行い、教えてあげたいテーマを6つに絞る
《原稿の作成》
テーマ毎に伝えたい内容を考え、原稿を作成する
《写真の撮影》
伝えたい内容に合わせて、シーンを演じ、写真を撮る

本時は、前時で撮影した写真の中から、一番適したものを選び、プレゼンテーション用の資料(発表資料)を作成する活動です。

本時の流れは
(1)導入(15分):
写真を選ぶ時のポイントを説明し、その操作方法を見せる  (一斉授業)
(2)作成(15分):
2人1台でパソコンを使い、写真を選び、発表資料を作成する(ペア学習)
(3)発表(15分):
グループ内で、発表資料を見せ合い、意見を述べ合う (グループ学習)


今回の研究授業の特徴的な活動の1つとして、写真を選ぶ前に指導された「えらぶポイント」のレベルの高さが挙げられます。



*同じ写真でも、伝えたい内容によって、選ぶ写真は違うことを説明

「しんどいけどがんばっていること」をしらせたいときと、「ちからを合わせること」をしらせたいとき


「たのしかったこと」をしらせたいときと、「あきをあつめているようす」をしらせたいとき




※撮影のポイントについても作成され、前時に指導されたそうです

授業者は、「えらぶポイント」として、@見やすさ、Aうごき、B目せん、Cものとのはなれかた、D人ずう を挙げていました。


○ 討議会
研究授業を振り返り、教員同士で意見交換が行われました。本時の成果と課題を共有し、今回は、特に、‘思考’の手立てについて、深く議論されていました。




<意見の抜粋>
・ICTスキルは、3,4年生レベルであった
・子どもたちは、自由に写真を選んでいた(よかった)
・1年生で、6人グループの学習が成立していた
・選んだ理由を説明する場面が少なかった(1年生に求めすぎでは?)
・写真を撮った時点で、選ぶ写真がある程度決まっていたのはないか
・比較する(思考を深める)なら、紙媒体の方がよかったのではないか 
・‘思考’の観点からみれば、写真選択よりも、原稿作成や写真撮影の段階にあ ったのではないか
・ICT活用と‘思考’との両立の難しさを、改めて痛感した
etc.


○ 討議会も進化 ‘思考’を追求
橋波小学校の討議会の特徴は、教員が3つのテーマ(思考表現、ICT活用、協働学習)に分かれ、討議を行うことと、その討議が2部構成であることです。




討議会の流れは、
(1)授業者の振り返り/学年の取り組み説明
(2)グループ討議@:本時の成果と課題の洗い出し
(3)発表(共有化)
(4)グループ討議A:授業計画の改善案の作成
(5)発表
(6)指導助言(大学教授等のゲストより)
(7)振り返りシートの作成:教員(個人)のアクションプランへの落し込み

この1年を振り返ると、討議会の構成は変わっていませんが、多様な形態がありました。

2011年5月:中学校区研修で討議会
中学校区として、隣接する三郷小学校と第四中学校の教員ほか、総勢50名の教員関係者と討議会を実施




2011年6月:教員1人1台で討議会
1人1台でタブレットPCを利用して、討議会を実施。子どもと同じ環境下で、長所と短所を実感




2011年11月:公開研究会で公開討議会
約300名の参加者となった公開研究会にて、4つの研究授業の討議会を体育館で実施





研究授業の取り組みを積極的に発信(公開)し、多様な環境で討議をされてきました。様々な視点や立場の意見を集約する中で、課題を焦点化させ、深い討議を実現されているのではないかと思いました。


<永田智子先生(兵庫教育大学准教授)より>

  • 写真2枚を選ばせてから、理由を言わせあう方法も考えられる
  • 学力よりもグループへの関わり方の方が、思考の深まりに影響するという報告もある
  • ICTスキル(学年別基準)は、機器の機能向上に合わせて改訂が要る

<黒上晴夫先生(関西大学教授)より>

  • ICT活用には、ICTを使う/使わせる/考えさせるという観点がある。使うことに拘らないこと
  • 思考の場面は、単元レベルで考えることが大事。習得だけの授業があってもよい
  • デジカメで撮影/発表する活動を、1年かけて、長期的に育てる方法もある
等のほか、生活科の思考について、具体的に解説して頂きました。


引き続き、実践活動を追っていきたいと思います。


橋波小学校の今までの活動報告

橋波小学校の基本情報
平成23年度8〜12月の活動報告

橋波小学校の財団職員によるレポート

2校連携の合同公開授業研究会を開催(平成23年12月8日)
5年人権教育 難しいテーマを身近な存在へ(平成23年11月2日)
1人1台のタブレットPC、4年理科で実践!(平成23年7月7日)
1人1台のタブレットPC、6年国語科で実践!(平成23年5月19日)
話題のタブレットPC、いよいよ実践開始!!(平成23年4月26日)


2012年2月10日(金)UP (田上)

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