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2013年02月05日

◆ 日常的なツールへ、ICT学習環境が定着

 

徳島県立盲学校に、第3回目の訪問指導日として、研究授業に参加させて頂きました。研究課題を「ICTを活用した視覚障害者の学習環境の構築と授業実践 〜タブレットPCを用いた職業教育の実践〜」として、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師になるための専門教育を行う、高等部職業学科が取り組みます。去11月の「公開研究授業」を経て、様々な視点や工夫を共有し、全教員が日常的に取り組まれている学校です。

○研究授業(教科:リハビリテーション医学)

単元名「正常歩行と異常歩行」、単元計画(全3時間)の1回目の授業です。(正常な)歩行周期や歩行速度を理解することによって、異常歩行の理解につなげる単元です。授業者は、「言葉と事物がつながることを大切にしたい」と、自らの経験から、見えにくいことを理由に、勝手な解釈や誤った理解になりがちなことを意識されていました。「難しい教科を、わかりやすい教科に!」と、積極的にICT活用に取り組まれています。「ICTは苦手、紙の方が安心」とする生徒も、ICTに慣れてきた様子が伺えました。

本時では、iPadの活用が特徴的でした。歩行の定義を、座学により学習(視覚的に学習)、続いて、iPadを携帯し、実際に歩きながら歩行の定義を確認(体験的に学習)。次に、前時に作成した自分の足跡を活用して、歩行の定義を再確認(過去の体験と視覚から統合的に学習)されていました。

○公開授業
当日は、研究授業の他に、8つの公開授業も行われました。

教科・「単元」 ICT機器 主な使い方
基礎実習あん摩
「座位における上半身の仕上げ」
大型モニター
iPad
拡大表示
携帯用要点確認
東洋医学一般
「腹診」
パーソナルモニター
タブレットPC
画面転送
要点表示・理解確認
保健理療臨床論
「保健理療臨床論のまとめ」
パーソナルモニター 問題表示(国家試験対策)
理療臨床論
「学習の総まとめ」
パーソナルモニター
iPad
問題表示(国家試験対策)
要点表示、タイマー
理学検査法
「徒手による整形外科的検査法」
iPad 要点表示
解剖学
「視覚器」
パーソナルモニター
タブレットPC
画面共有
Webサイト利用
理療理論
「学習の総まとめ」
パーソナルモニター 問題表示(国家試験対策)
保健理療理論
「学習の総まとめ」
パーソナルモニター
iPad
問題表示(国家試験対策)
解答記入(ペイント)

ICT機器の使い方について、特徴的なものをいくつかご紹介します。

(左図)施術を受けながら、iPadで部位を確認、
(中央図)iPad上に解答を記入しながら解説、
(右図)生徒画面のモニター端末などがありました。

次に、授業者の指導工夫として、印象に残ったことを抜粋します。

教科書(紙)とデジタル教科書(PC)、模型を併用。PCで要点を拡大しながら解説し、模型を使って立体的な理解を促し、教科書で復習しやすいよう、統合的な授業を行われていました。

生徒の視認距離が数十cm程なため、黒板による視点集中ではなく、各自がモニターを見ながら学習。スライドやマウスポインターなどを使い、要点を説明されていました。

授業者(全盲)は、音(イヤホン)を通して、画面状態を把握。音は、テキスト読み上げソフトの他、ページ遷移やアニメーションに効果音を入れて判断されます。生徒がモニター上で見る画面をイメージしながら、適切な解説を行われていました。

生徒の認知スタイルに応じた学習環境として、

白黒反転画面(手元に教科書) タブレット端末と拡大モニターの併用
明るさの抑制 明るい方が見やすい生徒(移動式黒板の反対側)との同時授業
など、様々な工夫がありました。

○研究協議

研究主任から、今年度の取り組みと来年度に向けての課題報告があり、教員同士の意見交換と続きました。意見交換では、生徒からの「授業が楽しくなった」「わかった」の声を聞いた、ICTアレルギーが下がった、などがあり、積極的な取り組み姿勢を感じました。また、今後の課題として、教材の共有化を考えられています。
そこで、指導助言として、戸川聡先生(四国大学准教授)から、「視覚障碍者向け教材と著作権」について説明が行われました。また、金子健先生(明治学院大学教授)から、「これまでの9月、11月、1月と経て、慣れて肩の力が入らなくなってきた様子が伺える。今日の授業では、体、視覚、聴覚を動かす「動き」があった。動きを学習に取り入れていくことは大事である。さらに、生徒と先生の画面共有など、学習の個別化、集団化、そして共有化ができていた」と講評がありました。

この11月に研究発表会を計画されています。今後の取り組みが楽しみです。引き続き、レポートしていきます。


2013年02月05日(火)UP (田上)

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