財団活動日記&ニュース財団活動日記&ニュース

2013年12月26日

◆ 通常学級にいる特別支援を要する生徒への効果的なICT活用

 

広島県の世羅町立世羅西中学校(第39回 特別研究指定校)の第2回目の訪問アドバイスを12月3日に実施。研究授業や研究推進について、アドバイザーの吉崎静夫先生(日本女子大学 教職教育開発センター所長/教授)が指導・助言を行いました。

世羅町立世羅西中学校の研究授業イメージ1

本校は、広島県世羅郡世羅町にある中学校(生徒数59、教職員数14)です。昨年度(平成24年度)は第38回実践研究助成【一般】の助成先として、「生徒のICT活用力向上で、生徒会の活性化を図る〜自主性を高める生徒会の取組みを通して〜」という研究課題に取り組みました。
本年度から2年間、特別研究指定校として取り組む本校の研究課題は、「ICTを活用した効果的な通常学級における特別支援教育の開発 〜優位感覚タイプの分析に基づいたICTの効果的な活用〜」で、通常学級にいる特別支援を要する生徒に対して、一人ひとりの学習特性に応じた効果的なICT活用の実践研究を行います。

これまでの取り組み
■ICT自主研修の実施
本校では、投影型電子黒板(プロジェクター+電子黒板ユニット)などのICT機器を設置し、6月からこれまでに12回の教員向けICT自主研修を実施しました。教員が使いたいICT機器の操作方法を具体的に研修し、授業で使えるよう取り組んでいます。また他校の先生にも研修の場を提供しています。

■優位感覚(学習特性)の分析
本校の研究では、通常学級にいる特別支援を要する生徒の学習特性を、主に視覚を通して絵や写真・動画などから情報を取り入れる視覚優位タイプ、主に聴覚を通してコトバから情報を取り入れる聴覚優位タイプ、主に体感覚を通して情報を取り入れる体感覚優位タイプの3つに分けて、優位感覚タイプに応じた学習支援に活かそうとしています。 生徒一人ひとりの優位感覚タイプを分析把握するため、これまでに、学習スタイルチェックシートやアンケートを検討、作成し、実施してきました。

■優位感覚分析を基にした効果的なICTの活用
優位感覚タイプに基づいたICTの効果的な活用を記述した授業案を作成し、授業研究を継続的に実施。2年後に、実践事例集を完成させる計画です。

当日の授業でのICT活用
■社会科 2学年 開国と不平等条約(ペリーの来航)
本時のねらい:ペリーの来航航路をたどる作業を通して、日本への開国を求めた理由を考える。

世羅町立世羅西中学校の授業イメージ2 世羅町立世羅西中学校の授業イメージ3
【視覚優位の生徒への支援】
イメージしているペリーと違う似顔絵を見せて、興味を持たせる。
【視覚優位の生徒への支援】
世界地図を投影し、ペリーの航路の予想を記入させる。実際の航路がわかった時、地図に記入させることで違いを明確にさせる。

■理科 3学年 地球と宇宙(宇宙の謎を追って)
本時のねらい:宇宙について調べることを通して、惑星の動きや宇宙の大きさを実感させ、興味関心を高める。

世羅町立世羅西中学校の授業イメージ4 世羅町立世羅西中学校の授業イメージ5
【体感覚優位の生徒への支援】
タブレットPCで天体ソフトを使い、太陽系や銀河を観察する視点(見る方向や距離)を自分で自由に操作して、課題解決を図る。
【視覚優位の生徒への支援】
電子黒板で、天体ソフトを教師が操作し、参考にできるようにする。

■国語科 1学年 論点をとらえる(流氷と私たちの暮らし)
本時のねらい:段落の中心文をとらえ、段落相互の関係と各段落の要旨を読み取ることができる。

世羅町立世羅西中学校の授業イメージ6 世羅町立世羅西中学校の授業イメージ7
【視覚優位の生徒への支援】
文章や段落の全体像、中心文、思考・判断の過程を視覚的に確認できるようにする。
【聴覚優位の生徒への支援】
朗読や話し合いにより、段落や中心文の関係の理解を支援する。

世羅町立世羅西中学校の授業イメージ8

■全体研修、指導・助言
授業終了後、本日の授業でのICT活用について意見交流を行いました。
最後にアドバイザーの吉崎静夫先生(日本女子大学 教職教育開発センター所長/教授)から、優位感覚タイプ別のICTの効果的な活用の取り組みは、実際の授業の中では、一部の感覚だけでなく多くの感覚を刺激することになり、授業が活性化するなど色々な波及効果がある、などのコメントをいただきました。

世羅町立世羅西中学校は今後も、優位感覚分析の開発と、優位感覚分析を基にした効果的なICT活用に取り組んでいく計画です。


2013年12月26日(木)UP (金村)

←前の記事へ 次の記事へ→