実践研究助成(初等中等教育現場の実践的な研究に関する助成制度)実践研究助成(初等中等教育現場の実践的な研究に対する助成制度)

第41回特別研究指定校(活動期間:平成27~28年)

板橋区立中台中学校 /平成27年度1-3月期

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研究課題と成果目標
研究課題と成果目標

取組内容
取組内容

裏話
裏話

成果
成果

今後の課題
今後の課題

今後の計画
今後の計画

振り返り・評価・感想
振り返り・評価・感想

アドバイザーコメント
必見! アドバイザーコメント

 

研究課題と成果目標

 

[研究課題]

生徒の主体的な学びを重視した授業の工夫・改善<福井大学と連携>
―教科センター方式の導入と活用を通して―

[成果目標]

①基礎学力の定着と思考力・判断力・表現力、主体性の育成のために、教科センター方式の導入と活用を通して、ICT機器等の施設・設備を効果的に活かす。

②課題提示や指導方法の改善を図ったり、効果的に協同学習を取り入れたりするなど指導方法を工夫改善し、生徒の学習課題に対する意欲の向上や学習内容の定着につなげる。

本期間の取り組み内容/アドバイザーの助言と助言への対応

 

[取り組み内容]

❶授業研究に向けた学校組織体制の確立
→授業研究の実施“主体的な学びを重視した授業づくり”

  1. ①教科部会
  2. ②学年体制
  3. ③OJT活用
  4. ④同僚性育成
  5. ⑤時間と場の確保
  6. ⑥職層を生かした推進力
  • ・問題解決型・探究型の授業
  • ・協同学習の導入
  • ・指導と評価と支援の一体化

授業研究 8教科(美術科講師対応を除く)

→1~3月:研究実践報告会 国語・社会・数学
     ・理科・英語・音楽・技術・保健体育
→研究協議全体会 :3回実施済

1月14日(木):研究実践報告会等の最終確認

2月29日(月):研究実践報告会 全教科

❷授業実践でのICT活用場面

授業研究の3つの視点に基づき、ICT活用場面を導入・展開・まとめに効果的に配置する。

国語 1年A組 国語 「感じたことを文章にしよう」

主体的かつ意欲的な学びを支える語彙力、読解力を身に付け、自分の思いや考えの根拠を明確にして伝える力を養い、協同学習を通して考えを深める。

  • 板橋区立 中台中学校活動報告イメージ01
    <作品を共有するためのディスプレイ表示>
  • 板橋区立 中台中学校活動報告イメージ02
    <タブレットで作品の細部まで鑑賞する>
「感じたことを文章にしよう
           ―鑑賞文を書く―」

① 展開の場面で、作品の良さや魅力を絵画の細部まで見て確認するために、タブレット端末を使用する。

※必要に応じて、タブレットで作品の細部まで鑑賞し、表現された良さや魅力について確認する。

② 全体での発表時に、作品を共有するためにディスプレイを使用する。

※グループごとの作品をディスプレイに映して発表する。

社会 1年B組 社会 「武士の世の始まり」

デジタル教科書、地球儀、世界地図、ビデオ教材、視聴覚・新聞資料、外部指導員の協力等を得て、協同学習から自分の考えを深め、社会的思考力を高める。

  • 板橋区立 中台中学校活動報告イメージ03
    <古代の様子の資料提示>
  • 板橋区立 中台中学校活動報告イメージ04
    <複数の資料をもとに考える>
「武士はなぜ登場し、権力を握ったのかを説明しよう!」

① 導入において、生徒の興味・関心を引き付ける写真や資料を電子黒板によって掲示し、学習課題を捉えさせて、学習への関心をもたせる。

※「古代」の様子を表した資料を、プロジェクタ型電子黒板にて掲示し、「中世」という時代を大まかに捉える。

② 展開:生徒が主体的に学習課題を考察していく際に必要な資料を、電子黒板にて掲示し、協同学習を深めさせていく。

※3つのテーマで話し合った共通点・相違点を、ホワイトボードにまとめたものを、書画カメラで映し出し発表させる。

③ まとめ:動画コンテンツの活用

「武士の台頭と鎌倉幕府」(NHK for school)を見て、武士が登場した経緯を確認する。

※「武士が登場した経緯」の部分にあたる映像を見せることで、視覚的に武士が登場した理由を捉えられるようにする。

数学 2年A組・B組 数学 「確率の考え」習熟度別少人数指導

既習事項を基にして習熟度別少人数授業を工夫するとともに探究型授業や協同学習を取り入れ、数学的な思考力、表現力、主体性を育てる。

  • 板橋区立 中台中学校活動報告イメージ05
    <協同学習で課題解決>
『なぜ、(●,△)の組み合わせが出やすいのか』を理由を説明しよう

導入から展開の実験や観察を取り入れる場面で、多数回試行のシミュレーションとして、デジタル教科書を活用する。

※多数回の実験を行ったとするため、デジタル教科書のシミュレーションを提示し、出やすい組み合わせを確認する。

※それぞれのグループの理由を聞き、(●,△)が最も出やすいことを確認する。

実物投影機を利用して、全体で共有ができるようにする。

発展コース<発展課題>場合の数の数え方をまとめよう。

理科 3年B組 理科 「環境と科学技術」

課題に興味をもち、観察・実験の結果から論理的に考察し、主体的課題を解決する力を育成するとともに協同学習により互いの考えを高め合う態度を育てる。

  • 板橋区立 中台中学校活動報告イメージ06
    <ポスターセッション分析>
発表をしたり聞いたりして科学技術と自然環境の理解を深めよう

テーマA 自然エネルギーによる発電とその課題 B 新技術・新素材の紹介 C 自然環境の保全 D 自然の恵みと自然災害

導入の場面で、発表の仕方を理解させるために、ディスプレイ型電子黒板で示す。

まとめの発表をタブレット端末で撮影し振り返るため再び視聴する。

※聞いているグループの中で、二人はタブレットPCで発表の様子を撮影する。

※席に戻り、今日の振り返りをワークシートに記入する。タブレットPCで撮影したものを見ながら考える。

英語 2年C組 英語 「Good Presentations 比較級・最上級」少人数指導

ペアワークやグループワークなどの協同学習を通して、意欲的に英語を学ぶ姿勢をつくり、学び合いの機会を通し言語や文化を理解しようとする態度を育てる。

比較級・最上級の文を使った英文を、クラスの前で発表しよう

①使用する機器:ディスプレイ型電子黒板・書画カメラ

②グラフや写真・絵などを見せ、映像を生かしながら、発表に集中させる。

※前時の授業で作った「自分の好きなものアンケート」の結果を発表する。

生徒による活用として電子黒板の映像を生かしながら発表に集中させる。

電子黒板・書画カメラ活用のポイント・生徒が見えやすいように大きさの調節などを確認・機器を置く位置や、拡大操作方法などの確認

  • 板橋区立 中台中学校活動報告イメージ07
    <学び合いの機会づくり>

音楽 3年A組 音楽 「混声三部合唱『あなたへ』」

ICT機器を用いた授業の実践を通して、感受したイメージを知覚し、創意工夫しながら主体的に音楽表現に取り組む態度を育てる。

口の開け方、発声の方法を意識して、取り組もう

①使用する機器:ディスプレイ型電子黒板・自作の映像コンテンツ

②合唱曲に描かれている情景や思いを具体的に想起させる映像で示す。

展開:曲想や歌詞の意味がつかめるよう、視覚支援教材を用いて促す。

※予想される生徒の反応

電子黒板・書画カメラ活用のポイント

→作詞者の想いに共感することで、曲想にあった歌唱表現を工夫しようとしている。

  • 板橋区立 中台中学校活動報告イメージ08
    <曲想や歌詞の意味をつかむ>

保健体育 1年C組 男子:ハンドボール 女子:バスケットボール

個々の技能を身に付けるとともに協同学習を通して、互いに教え合い、思考力、判断力、課題を解決する力を高め、主体性を育てる。

展開時のシュート練習の際にフォームの確認を行うため、タブレットを使用して考えよう

①チームで仲間のフォームを確認し、改善のために練習をしよう

②自己やチームの課題を解決するための練習をしよう

展開の場面でタブレットを使用し、シュートフォームを確認する。チームメイトにアドバイスを行う。自己やチームの課題を見付けている。

※予想される生徒の反応

・チームリーダーを中心に話し合いを行い、シュートフォームを確認する。

タブレットを見てフォームの確認やアドバイスを行う。

  • 板橋区立 中台中学校活動報告イメージ09
  • 板橋区立 中台中学校活動報告イメージ10
    <フォームの確認と改善>
  • 板橋区立 中台中学校活動報告イメージ11 板橋区立 中台中学校活動報告イメージ12
    <フォームの確認と改善>
  • 板橋区立 中台中学校活動報告イメージ13 板橋区立 中台中学校活動報告イメージ14
    <保健体育部会 協議>

技術・家庭

知識や技能・考え方を作品づくりと生活に役立つ楽しいものつくりに生かし主体的に生活を工夫する創造的、実践的な態度を育てる。

※協同学習を通して互いに学び教え合いながら、文章や言葉だけでなく、絵、写真や図、模型などを取り入れ、視覚的な面から興味・関心を引き出す。

※ICT活用により授業のねらいや内容を明確に提示するようにしたことにより生徒の学習意欲が向上し、実習や作業を取り入れることで、授業に対して意欲的な生徒が増えている。

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    <技術家庭部会 協議>

経営支援部

学校経営支援部「チーム板橋」の組織体制を醸成し、「教科センター方式」校舎の落ち着きと温かみのある空間づくりに取り組む。

保健 保健委員会活動を通じて、自らの健康に関して興味・関心をもち、健康を保つ情報を積極的に周囲に発信する姿勢を育成する。

給食 給食配膳・片付けを通して協同する姿勢を育むとともに、板橋ふれあい農園等の食材を通し栄養に関心をもち「食を選択する力」を養う。

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    <学校経営支援部会 協議>

アドバイザーの助言と助言への対応

①成果と課題:

1学期7月に提示した「何のために→どの場面で→学力差・個の特性に応じてどのようにICT機器を活用していくかのイメージ化・実践」の課題に対して、授業研究では全教科で導入・展開・まとめ部分にICT活用が推進され、ICT機器を使ううちにそのよさを見出している。本日の授業でも、教科のねらいに即して知識や技能の習得や向上が図られ、分かりやすい授業が実現している。また、教師によるICT活用だけでなく、生徒による活用が項目として位置付いていることは、今回の研究の成果の1つでもある。個別学習についてこれからの研究課題とする。

②ICT活用・実践・具現化・瞬時の共有化・可視化:

導入・展開・まとめのそれぞれの使われ方、タブレットでの動画視聴での「鏡的利用」による可視化が有効であった。自分の姿を具体的イメージで可視化することは、思考面の可視化につながっていく。「導入・展開・まとめ」と「個別・グループ・一斉」とを明示することをさらにマトリックスとして位置付けてほしい。

③個別・グループ・一斉の授業形態の効果測定

④これからの教科センター方式の教室デザインの意識化:

来年度につながる活用の具体化を図る。

⑤教科センター方式の学校となるからこそ、教科の特質をつかむ。

→ICT活用を①とにかく使う段階→②場面〔導入・展開・まとめ〕に応じた活用の段階→③個に応じた活用の段階、として順次練り上げること。その中で教科特有の活用、教科共有の活用を見出してほしい。

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裏話(嬉しかったこと、苦心談、失敗談 など)

 

❶研究実践報告会

  1. ①参加者<全国からの参加者>宮城県から鹿児島県までの研究者247名の意欲的な参加
  2. ②小中連携事業として小学校2校の教職員の参加:42名があり、専門教科への意識を高めるとともに、9年間の小中連携教育として地域連携事業となったこと
  3. ③中学校教科の特性に応じた授業研究の実施
  4. ④学校経営支援部の紙上発表に対しての反響が大きかったこと
  5. ⑤全教職員として『チーム中台』の研究実践報告となったこと

❷ICT活用・実践・具現化・瞬時の共有化・可視化

  1. ①授業改善の視点として、ICT活用・実践に意欲的に取り組んだこと
  2. ②ICT機器の導入について、関連企業からの参画を多数受けたこと
  • 板橋区立 中台中学校活動報告イメージ18
    <理科部会 協議>
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    <学校支援地域本部による支援>
  • 板橋区立 中台中学校活動報告イメージ20 板橋区立 中台中学校活動報告イメージ21
    <ICT機器の紹介コーナー>
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    <国語部会 協議>

❸教科センター方式の教科メディアゾーンのイメージ化・教科特有の『家具計画』に基づく購入

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本期間の成果

 

❶研究実践報告会での専門性高い研究実践者の参加・見取り

主体的な学びにつながる興味・関心・積極性 肯定的評価 90.8%
主体的な学びを支える基本的な知識・技能  肯定的評価 89.5%

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➋参観者による意欲的な協議

  • 板橋区立 中台中学校活動報告イメージ24
    <数学部会 協議>
  • 板橋区立 中台中学校活動報告イメージ25
    <英語部会 協議>
  • 板橋区立 中台中学校活動報告イメージ26
    <音楽部会 協議>
  • 板橋区立 中台中学校活動報告イメージ27
    <社会部会 協議>

参観者からのご意見

  • ○教科センター方式やICTの研究に対して、先生方がしっかりと力をつけているように感じ、これからの成果がとても楽しみです。シンポジウムは大変良かったです。方向を確認できありがたかったです。(学校関係者から)
  • ○社会科の授業で、生徒が武士の暮らしについて積極的に意見交換や発表を行っているのが印象的でした。事前学習を行っていないので、知識が少なく理解が深められないという欠点があるにも関わらず、既成概念にとらわれずに多様な意見を述べることができるのではないかと本日の授業や分科会を通じて感じました。(大学生から)
  • ○彼ら生徒達の1年後、5年後、10年後が楽しみになりました。10年後には教員になってくれるかなあ。学力は試験だけで測れるものではありませんね。生きる力…ついていっていると思います。(愛知県中学校から)
  • ○授業デザインの大切さを改めて考えさせられました。先生方の多大なる努力に敬意を表します。(学校関係者から)
  • ○生徒のもつ力や主体性を高めていくためには、指導者が生徒に、今注目すべき視点を明確に理解させる必要があることを改めて学ばせていただきました。ありがとうございました。(山形県中学校から)

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今後の課題

 

➊教科の特性を生かしたデジタルコンテンツの開発

❷教科センター方式導入の新校舎を生かす:中学校教科特有のICTの使い方を確立していくこと。

❸ICT活用の日常化・実践積み上げ:①とにかく使う段階→②場面〔導入・展開・まとめ〕に応じた活用の段階→③個に応じた活用の段階、として順次練り上げること。

❹研究体制の確立によって授業改善に向かう自発的な取組にしていくこと。

➎学力向上に向けた広報活動

参観者からのご意見

○ICTの活用は、提示の前後が大事です。(発問・焦点化)この組み合わせの研究がこれからの課題です。チームワークがある先生方のご努力に来年、期待しています。

  • 板橋区立 中台中学校活動報告イメージ28
    <教科部会 協議>
  • 板橋区立 中台中学校活動報告イメージ29
    <研究シンポジウム 協議>

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今後の計画

 
板橋区立 中台中学校活動報告イメージ30

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1年間を振り返って、成果・評価・感想(気づき)・次年度への思い

 
  1. ➊教科の特性を生かしたデジタルコンテンツの開発
  2. ❷教科センター方式導入の新校舎を生かす:活用の実践例の積み上げ
  3. ❸ICT活用の日常化・実践積み上げ
  4. ❹生徒や保護者、地域の学校支援に対する更なる参画
  5. ➎学力向上に向けた研究体制『チーム中台』の確立

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アドバイザーコメント

日本女子大学 教職教育開発センター 所長 人間社会学部教育学科 教授 吉崎静夫 先生
明治大学 国際日本学部 特任准教授 岸磨貴子 先生

 
吉崎先生イメージ

平成28年2月29日(月)に、全国から247名の参観者をえて、研究実践報告会が盛大に行われた。そこでは、全教科の授業が公開された。

その際、すべての授業において、タブレット、電子黒板、実物投影機、デジタル教科書などのICTが有効に活用されていた。つまり、私(吉崎)が本校にアドバイスしてきた「導入・展開・まとめ」という学習場面と、「個別・グループ・一斉学習」という学習形態の二つの視点の組み合わせを考慮した「授業場面に応じたICTの活用」がなされていた。特に、導入場面においては、「教師が一斉学習でICTを活用」と「生徒が一斉学習でICTを活用」の2通りの活用法が提案されていた。研究の発展が認められた。

教科センター方式の新校舎での教育実践が展開される平成28年4月以降は、研究テーマ(生徒の主体的な学びを重視した授業の工夫・改善)との関連で、「教科特有のICT活用」と「教科共通のICT活用」という視点を本格的に研究する段階に入る。そのためには、それぞれの教科でのICT活用をますます充実させるとともに、「教科別のICT活用マトリックス表」と「教科横断型のICT活用マトリックス表」を作成することが求められる。また、各教科でのICT活用の成果をまとめる「研究推進部」の組織を再度強化してもらいたい。

 

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