実践研究助成(初等中等教育現場の実践的な研究に関する助成制度)実践研究助成(初等中等教育現場の実践的な研究に対する助成制度)

第42回特別研究指定校(活動期間:平成28~29年)

広島市立藤の木小学校 /平成28年度4-7月期

 

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研究課題と成果目標
研究課題と成果目標

取組内容
取組内容

裏話
裏話

成果
成果

今後の課題
今後の課題

今後の計画
今後の計画

アドバイザーコメント
必見! アドバイザーコメント

 

研究課題と成果目標

 

研究課題

ICTを効果的に活用した授業づくりの追究-授業過程に「かく活動」を位置付けて-

成果目標

<学力検査>

CRT学力検査において、国語の4観点(算数の3観点)評価が、全学年全国比100以上となる。(1月実施予定)

<授業モデルの深化・改善>

「かく活動」を位置付けたICTを活用した授業モデルをもとに、何をかかせるのかを明確にした実践を積み重ね、深化・改善された授業モデルを作成し、実践例を蓄積する。

 

本期間の取り組み内容/アドバイザーの助言と助言への対応

 

本期間(4~7月)の取り組み内容

広島市立藤の木小学校活動報告イメージ01 本校は右図のような研修内容で研究を進めています。本期間中は、「かく活動」に関する理論研修をミニ研修として行いました。また、全体授業研究を3回行いました。そのうち2回は広島市教育センター主催「ICTを活用した授業づくり研修」-藤の木塾-として、広島市の先生方への研修講座として公開しました。それぞれ事前に行った模擬授業では、授業の流れや発問、ICT活用の効果、かく活動の位置付け等について、活発に協議を行いました。

<ミニ研修の様子>

「かく活動は考える活動・主体的な活動」ととらえて、日々の授業を行っています。6月21日のミニ研修では、日々の授業の板書を題材に、めあてとまとめの書き方の関係について考えました。めあての表現によって、まとめの書きぶりが変わってくることに改めて気付くことができました。

広島市立藤の木小学校活動報告イメージ01 広島市立藤の木小学校活動報告イメージ01
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広島市立藤の木小学校活動報告イメージ01 7月15日のミニ研修では、それぞれ4月~7月の「かく活動」の実践を振り返り、協議しました。ノートにめあてとまとめを書くことそのものは、どの児童もほぼできるようになっています。教科によって思考過程をかきやすいものとかきにくいものとがあるなどの意見が出されました。

<模擬授業と全体授業研究の様子>

○ 5月26日 3年生 算数 わり算 指導者 田中淳紀教諭

指導助言:IPU・環太平洋大学 梶本佳照教授

広島市立藤の木小学校活動報告イメージ01 広島市立藤の木小学校活動報告イメージ01

模擬授業では、電子黒板で本時の問題を提示する際、どのように提示すれば児童に解決への意欲もたせられるかということを話し合いました。 授業では、「同じ数ずつ分ける」という操作を一人ひとり確実に行うためにTPCを活用しました。どのように考えてその操作を行ったかもかかせておき、それをもとに全体で発表させました。

広島市立藤の木小学校活動報告イメージ01協議会では、梶本先生から、TPCにかいた自分の考えと友達の意見や友達の意見を聞いてわかったことを融合させてノートに書き残すことが大事であると教えていただきました。また本校の授業モデルに位置付けたかく活動のなかで、どこに重点をおけばよいかについても、示唆をいただきました。

○ 6月23日 4年生 理科 電気のはたらき 指導者 T1 村中智彦教諭

T2 新田徹教諭
(広島市教育センター研修 藤の木塾)

模擬授業では、45分で理科の学習の流れに沿った活動を行うために、導入場面の時間の短縮が必要であることを話し合いました。電子黒板で本時の問題を提示する際、どのように提示すれば児童に解決への意欲もたせられるかということを話し合いました。

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授業では、回路を正しくかくことができるように、毎時間、めあてに応じて直列・並列の回路をTPCにかかせました。簡単に書き直しのできるTPC活用が有効です。ノートには、実験の結果と結果から考えられるまとめを書き分けることができるように、発問を工夫しています。本時においても、児童はどちらもしっかりかくことができました。

○ 6月23日 5年生 社会 あたたかい土地のくらし―沖縄県― 指導者:川崎悠教諭

(広島市教育センター研修 藤の木塾)

広島市立藤の木小学校活動報告イメージ01模擬授業では、本時のめあてを把握するために、電子黒板にどのような資料を提示すればよいか、効果的な資料の選択と配列を工夫する必要があることを話し合いました。

広島市立藤の木小学校活動報告イメージ01授業では、めあてに迫るために「沖縄のきくづくり」「沖縄の観光産業」の二つの資料をTPCに準備しました。どちらかの資料で調べ活動を行い、気付いたことや考えたことを交流しました。大切だと思う箇所に下線を引いたり、気付いたことをノートにかいたりすることを、かく活動として位置付けました。

広島市立藤の木小学校活動報告イメージ01

まとめを的確にかけるように、「沖縄県で、きくづくりや観光産業がさかんなわけは、」というリードとなる言葉を予め提示しましたが、効果があると感じています。

※アドバイザーの助言と助言への対応

4月27日に行われた助成金贈呈式におけるグループディスカッションで、本校アドバイザーの高橋純先生(東京学芸大学 准教授)から、かく活動の評価について「記録を残しやすいというタブレットの特性を活かし、初期・中間・後半に書いたものの質や量の変化を評価していくのが、まっとうな流れだと思います」とアドバイスをいただきました。

そこでまず、本時のめあてに対してどんなまとめをかかせたいかをはっきりさせて授業を行うことからスタートしています。また、「かく活動」を位置付けた日々の授業実践を交流し、何のための「かく活動」か、「かく活動」を通して児童にどのような力を育てるのかについて、共通の認識をもつためのミニ研修を行っています。

 

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裏話(嬉しかったこと、苦心談、失敗談 など)

 

本期間の裏話

第1回校内全体授業研究 授業者  田中淳紀教諭

私は、昨年度新規採用教員として本校に着任した2年目の教員です。研究部に所属しており、今年度は最初の全体授業研の大役を担いました。今年度の研究テーマに迫るために、TPCでのかく活動を提案しました。そのためのデジタルワークシートをICT支援員の岡本先生と一緒に作成しました。


<思考場面で使うワークシート>

広島市立藤の木小学校活動報告イメージ01 本校で作成され蓄積されている「おはじきを動かす」ワークシートに、本時の問題(12÷4)・絵を組み合わせ、どこからおはじきを動かしたか、操作が見えるワークシートを作成しました。(右図)

児童は、どうやって答えを導いたか自分の考えをかきこむことができていました。(下図)発表では、操作で自分の考えを説明する必要があるので、広島市立藤の木小学校活動報告イメージ01TPCを電子黒板に映し出すだけでなく、おはじきの操作過程を見せることがポイントとなりました。今回は黒板と実際のおはじきを使いましが、操作過程が保存できるようなワークシートの作成にもチャレンジしてみたいと思います。「実践で学ぶ」ことの価値を実感しました。

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成果

 

本期間の成果

これまで、授業でどのようにICTを活用するかについて研究を進めてきましたが、今年度は「かく活動」を切り口に、児童の思考・表現の力を伸ばすためにICTをどのように活用するかという、一歩踏み込んだ視点で研究をスタートすることができました。また、「かく活動」を切り口に日々の実践を振り返り協議することで、授業の質を上げることに効果があると考えています。

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今後の課題

 

一人ひとりの教員が、明確な意図をもって「かく活動」を位置付けた授業を行うようになることです。それを通して、児童の思考・表現の力が伸び、かく内容の質が高まっていくことです。そのための効果的なICT活用のあり方について研究を深めていきたいと思います。

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今後の計画

 

8月22日(月)に、アドバイザーである東京学芸大学准教授 高橋純先生を講師としてお招きして研修し、「かく活動」で本校が目指すものとICT活用との関連について、知見を深め、9月以降の実践に役立てていきたいと思います。

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アドバイザーコメント

 

東京学芸大学 教育学部 総合教育科学系 准教授 高橋純 先生

 
村松先生イメージ

学習過程を質的に高めるための「かく活動」とICT活用

広島市立藤の木小学校は,これまでに総務省のフューチャースクール実証研究事業や文部科学省の学びのイノベーション事業など研究指定を受けて,数多くの研究成果をあげてきている。全ての学年・学級においてタブレットPCを活用し,個別学習や協働学習などの充実を図ってきている。

今回,本校が取り組むテーマは,「ICTを効果的に活用した授業づくりの追究-授業過程に「かく活動」を位置付けて-」である。「かく活動」はあえて「ひらがな」であり「書く活動」とはしていない。文章を書くだけではなく,図を描いたり,表にまとめたり,場合によってはアンダーラインを引いたりすることも含めて「かく活動」としている。このような研究の経緯をたどった学校が,今回の研究テーマとして「かく活動」に着目したのは,大変に示唆的といえる。

本校のこれまでの取り組みが,大変な道のりであったことはいうまでもない。その際,タブレットPCの活用や協働学習といった成果は,まず「見た目」の変化として現れる。例えば,参観者が授業を撮影した写真一枚からでも,その変化は確認しやすい。さらにいうならば,本校は学習規律を整えたり,タブレットPCの使い方の指導を統一したりする取り組みが,まず基盤としてあった。こういった成果もまずは「見た目」に現れやすい。

これらを踏まえて,これまで以上に学習過程を質的に高め,児童に着実に力をつけることを,一層追究しようとした時に,「かく活動」に着目したのだと考える。しかし,「質的に高める」とは難しい。これまでのような一目見て分かるようなわかりやすさはないだろう。例えば,「かく活動」の充実とは,一人一人の児童が自ら学習課題に向き合い,思考を深めていき,適切にかく活動を行うことだとすれば,その充実は短期的にも見た目にも現れにくい。加えて「かく活動」そのものは,見たり,聞いたり,話したりするよりも,難易度が高いことが多い。写真をみて分かったつもりでも,友だち同士で話し合って分かったつもりでも,それらを文章にしようとすれば,分かっていないことに気がついたり,思ったように表現できなかったり,時間が不足してしまったりする。こういった困難さがある中で,ICTの手助けも借りながら,「かく活動」によって学習過程を質的に高めるには,どのような方法があるのか,まだ不明な点が多い。

中央教育審議会による「次期学習指導要領に向けたこれまでの審議のまとめ(素案)」によれば,「次期改訂が目指すのは,学習の内容と方法の両方を重視し,学習過程を質的に高めていくことである」と示されている。まさに本校の研究は,「かく活動」とICT活用を通して,これらに応えようとしている。積み重ねのある本校らしい,新しい時代に向けた取り組みであるし,チャレンジといえるだろう。

 

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