論より証拠。まずは実践研究助成を受けられた学校の、ICT活用を学力の向上に結びつけた事例の一部をご覧ください。
「日常の授業における基礎的な学力向上のためのICT活用指導法の開発」
(富山市立山室中部小学校)
「思考力・表現力を育成する授業の創造〜ICTを活用した国語科・算数科の授業改善〜」
(三次市立三和小学校)
「個に応じた学習支援活動を通して、意欲の向上と基礎・基本の確実な定着を図る〜すべての普通教室における様々なICT機器の効果的な活用を通して〜」
(坂出市立府中小学校)
上記の事例に加え、教科指導におけるICT活用の学力向上に対する効果は、これまでの調査研究などから明らかになっています。特に「知識・理解」や「技能・表現」の観点で高い効果得られることが実証されています。
客観テストのよって明らかとなったICT活用の効果
※平成18年度及び19年度に文部科学省の委託を受けて、独立行政法人メディア教育開発センターが実施した「教育の情報化の推進に資する研究(ICTを活用した指導の効果の調査)」結果より
では、このような成果を出した学校はなぜそうなったのでしょうか?
学力向上への効果があるICT活用ですが、そのポイントはどこにあるのでしょうか。
文部科学省の「教育の情報化の手引き」によると、次の2点が指摘されています。
・ICT機器が常設されていること
・準備に時間がかからないICTの活用を行うこと
ICT機器が教室に常設され、必要な授業場面で
いつでも使えるようにすることでICT活用が進む事例は、当財団の特別研究指定校からの報告でも数多くみられます。
すぐに使えるICT機器の整備が進めば、その活用が進むのは間違いありません。
「各階に機器を整備して活用しやすくすることで、授業の中で生徒も教師も手軽に活用する姿が見られ、活用能力が向上してきた。また、ICT機器の活用が学習内容の理解と深く結び付いており、活用が進めば進むほどキャリア発達が促されることが実感できた。」
(上越市立城北中学校)
「パナソニック教育財団から実践研究助成をいただいたことで、プロジェクターや児童の学習用パソコン、校内LANなどを整備する事ができました。これらを活用することで、教師も児童も教科書を活用した学習活動、自主学習をもとにした家庭と学校との学びの連続に、力を入れて取り組む事ができるようになりました。」
(岐阜市立本荘小学校)
これまでの調査結果などから、教科指導におけるICT活用の効果が明らかなのは先に述べた通りです。しかし、ICTが劇的に授業を変え、いい授業にするのではありません。
授業をつくるのは先生方です。だからこそ、今の授業や指導法を大きく変えなればならないICT活用では長続きしません。
では、どんなシーンでICTは役立つのでしょうか?授業での主な活用シーンを取り上げてみました。
※詳細は「わかる・できる授業づくりにICT活用を!」(玉川大学 堀田龍也教授)をご覧ください
(ダウンロードできます)
このように様々なシーンで役立つICTですが、目指すべき授業や先生方の指導の仕方によって、当然、活用する場面や方法、使用するメディアは変わってきます。
ICTは単なる道具でしかありません。だからこそ、どんどん使うことで自分なりの活用がわかってくるのです。
ここで、全校を挙げて取り組まれている先生方の声をお聞きください。
「各クラスに機器が設置されたことで、 ICTを使った授業を全員が行っている。 便利だから、児童が分かる授業を目指す中で、自然と使うことが多くなってきた。」
(練馬区立中村西小学校)
「 研究授業を全職員が参観し ,木原教授のご助言を頂いた事によって,『ICTを活用した授業』の具体的なイメージがわき,今後の授業改善につなげられる」
(三原市立幸崎中学校)
「この研究を始めるにあたって、今までほとんどコンピュータを使っていない年代の方々が積極的に取り組もうとしている。 全校挙げての取り組みになっていることが、何よりも嬉しいことである。」
(京都教育大学附属桃山小学校)
全校体制で研究を行う学校では、ICTの導入をきっかけに、授業改善に向けた取り組みがますます盛んになっています。
ICTを効果的に使うために、今までの授業や指導法を見直し、授業づくりを行う過程で、先生同士の新たな交流が生まれているのです。
ベテランの先生方は、若手の先生方にICTを、若手の先生方は、ベテランの先生方の授業力や指導力に学び、“それぞれの得意分野を活かしながら研究を進めるムード“ができあがっていくのです。
また、学校として目指すべき「授業像」が明確になることも大きいようです。目指すべき授業を全員で共有しながら取り組みを進めることで、より一層研究がパワーアップするのです。
このようにICTは学校研究を活性化するのにも一役買います。
今後は、スクールニューディールにより、整備されたデジタルテレビなどの機器を活かすための整備が、日常的なICT活用のポイントになっていくのではないでしょうか?
いかがでしょうか。
多くの学校がICTをうまく取り入れながら、学力向上に向けて、全校を挙げて取り組まれているのがおわかりになるかと思います。
また、当財団の助成制度を活用して、たくさんの学校がICT活用を推進し、学校課題の解決に取組まれておられます。
ぜひ、貴校も実践研究助成に応募し、学校課題を解決してみてはいかがでしょうか?