大阪初芝学園 はつしば学園小学校
第43回特別研究指定校研究課題
大阪初芝学園 はつしば学園小学校の研究課題に関する内容
都道府県 学校 | 大阪府 大阪初芝学園 はつしば学園小学校 |
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アドバイザー | 小柳 和喜雄 奈良教育大学教授 |
研究テーマ | ICT活用を教育の柱とした、学校におけるインテリジェント教室と個人持ちタブレットを活用したICT活用教育実践と効果的なカリキュラム・教材開発 |
目的 | 教科教育へのICT機器の効率的活用、個人持ちタブレットを使っての学力向上とその評価、場所を問わず学びの力をつけるタブレットPCの効果とその評価、教科学習に位置づけたプログラミング教育、並びに、子どもにゆとりを持たせながら時間と場所を選ばず学習できるICT機器活用教育による学力向上とその評価である。 |
現状と課題 |
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学校情報化の現状 | 高い学力、強い体と心を養い、豊かな情操を身につけ未来に羽ばたく子どもの育成を教育目標とする。 |
取り組み内容 |
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成果目標 |
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助成金の使途 | サーバー、パソコン、タブレットPC、デジタルカメラ、視察費 |
研究代表者 | 橘 淳二 |
研究指定期間 | 平成29年度~30年度 |
学校HP | https://www.hatsushiba.ed.jp/primary/ |
校内研究会と公開研究会の予定 |
校内研究会の予定
公開研究会、学会発表等の予定
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研究課題と成果目標
研究課題 |
一人1台タブレットPCとインテリジェント教室を活用した「はつしばスタイルアクティブラーニング」の構築と実践に関する実証研究 |
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成果目標 |
本校のICT機器活用教育の指針である「いつでも、どこでも、だれでも」という「はつキタス(はつしばユビキタス)」に基づき、「道具としての個人持ちタブレットPC」をこどもが文房具的な活用を行い、また、壁面大型ホワイトボードと電子黒板機能付きプロジェクターを装備したホームルーム教室(インテリジェント教室)を普通の学習活動として使うことを目標にし、その教育効果の検証を行う。 さらに、本校が進めている、子ども自身の学びを大切にする「アクティブラーニング(主体的・対話的で深い学び)」にICT機器活用教育を融合させ、教育の質の向上、教育効果、情報リテラシーについての効果検証を行う。その上で、本校の教育目標である、基礎学力の充実としつけ教育の基盤の上に立つ、「はつしばスタイル」ICT機器活用アクティブラーニングの構築を行うことにある。 また、次期学習指導要領で重視されるプログラミング教育の先行実施とその効果検証を併せて行う。 |
本期間の取り組み内容/アドバイザーの助言と助言への対応
[本期間(4月~7月)の取り組み内容] |
アドバイザーからの助言としては次の通りである。 ![]() ![]() 図1 新入生(1年生)の狭山池ダムでの自然とのふれあい活動でLTEタブレットを操作する児童(4月18日) ![]() ![]() 図2 5年生のLTEタブレット用いた算数(図形)学習と、社会科(日本のエネルギー)学習をする児童(5月26日) ![]() ![]() 図3 Youtubeライブによる授業の映像配信と授業検討会(5月26日) ![]() ![]() 図4 4年生総合の時間におけるWindowsタブレットを用いた調べ学習とレポート作成(6月19日) |
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アドバイザーの助言と助言への対応 |
成果目標が広範に及ぶので何かの教科や活動に絞って実施すること。 |
裏話(嬉しかったこと、苦心談、失敗談 など)
本研究が採択され、アドバイザーよりICT機器活用教育先進校の実践をはじめとする情報が得られたことは、情報収集が難しい私学にとっては大きな励みとなった。
さらに、教育の情報化に関しては、ICT機器活用教育(授業)だけではなく、ICT機器活用による校務の効率化による時間の創生についてアドバイスが得られた。校務の効率化により創生された時間により、普段の授業研究の時間や児童との接する時間のそれぞれの創生につながるとアドバイスをうけたことは、多くの教員にとってICT機器活用教育のさらなる推進のモラール(労働意欲)の向上につながった。
新たなICT機器の購入が予算的に難しい私学にとって、パナソニック教育財団から支援を得られたので、マルチプラットフォームに対応できるはつしばスタイルのICT機器活用授業のモデルづくりの先行研究ができることは大変よかった。
(本校ではWindowsタブレットを使ってのICT機器活用授業を行っているが、他校で実施されているiPadなどのIos系のタブレットを用いた授業実践の検証も、今回の財団からの支援により機器の購入が可能となったことは、本校の研究のさらなる推進につながるものと期待されている。)
本期間の成果
ICT機器活用授業のホームページでの公開頻度が高まったため、保護者からICT機器活用授業への期待と評価が高まった。
情報リテラシーの授業(総合的な学習の時間でのパワーポイントの使い方に関する集中的な授業実施)により、子どものタブレットPCを用いたプレゼンテーション技能が高まった。そのため、社会科を中心としての調べ授業とその発表において、ノート代わりにタブレットを用いて発表資料を作成し、タブレットをそのまま教室の電子黒板機能付きホワイトボード(ビューボード)に接続してプレゼンを行ったり、作成した資料を無線LAN経由で教室パソコンに転送してプレゼンを行うなど、教師顔負けのプレゼンをする小学生が出てきたことなど、子どもの持つ「道具としてのICT機器活用」の可能性を実感した。
今後の課題
個人持ちタブレットとインテリジェント教室、校内無線LAN環境は一応整備されているが、無線LANの安定性に課題があり、授業が機器や無線のトラブルで中断することがある。
安定運用のための校内インフラ整備(ネットワーク機器の増強や帯域幅拡大によるデータ伝送速度の改善など)が課題である。
また、学校外や自宅でのタブレットPCの活用も課題としてあり、「いつでも、どこでも」の実現のために、LTEの導入も具体的に検討している。
今後の計画
上記のハードインフラの改善のほか、プログラミング教育についても試行を含めて早急に取り組む必要があり、資料収集を行っている。2学期から試行を含め実施予定である。
気付き・学び
デジタルネイティブ世代の子どもの持つICT機器活用能力には教員も驚くものがあった。
マニュアルレスで子どもたちはタブレットを使うので、出来るだけタブレットを自由に使える時間を増やすことが必要であることを実感した。
「習うより慣れろ」が子どものICT機器活用授業では理屈抜きに重視しなければならないと思える。
- 奈良教育大学 大学院教育学研究科 教授 小柳 和喜雄 先生
1.研究テーマ・取り組みについて
「はつしば学園小学校」は、同敷地に中学校も併設した緑豊かな高台に立つ小学校である。ICT 活用教育の指針として、「いつでも、どこでも、だれでも」という「はつキタス(はつしばユビキタス)」を掲げ、「道具としての個人持ちタブレット PC」を入学時から行っている。各教室も、壁面大型ホワイトボードと電子黒板機能付きプロジェクターを備え(右図)、この環境を活かした教育実践の検討を進めている。
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はつしば学園小学校は、「基礎学力の充実としつけの教育」を大切にしている。そして、その上に立って、子ども自身の学びを大切にする「アクティブ・ラーニング」に ICT 機器活用を融合させ、教育の質の向上とともに、それを支える情報リテラシーの育成に力を入れようとしている(「はつしばスタイル」)。
2017 年2 月に本校が行った研究成果発表では、①自分の考えを思い伝えるツールとして利用する。②受動的な姿勢から能動的な姿勢を育てる、の2つについて報告がなされたということであった。
本校の話によれば、これから2 年の研究期間に、これまでの実践について効果検証と授業実践の評価を行い、ICT 機器を活用した教育により、バランスの取れた教科カリキュラム改善に取り組み、家庭学習と効果的に連動した新たな教育モデルの構築を目指そうとしていることであった。
さらに、次の3 つの点に、取り組むことも目標していると言うことであった。
1)次期学習指導要領で導入予定のプログラミング教育について、各教科への試験導入を含め、前倒し実施についての先行研究と評価を行い、児童の思考力の向上に努める。
2)ポータルサイトを活用した、長期休業中や授業時間外の学校外からの校内サーバーデータ利用の推進と、紙ベースの教育資源のデジタル化による利用促進を図る。
3)一人1台タブレットによる、「いつでも、どこでも、だれでも」をキーワードとした、ICT 機器を有効に利用する授業のモデルづくりと、地域への教育資源の提供や社会還元に努める。
2.本期間の取り組み・成果の評価
4 月に最初に訪問をした後、6 月に2 回目の訪問を行い、今後の取り組みに関する打ち合わせを行った。その際、ICT 機器を活用した普段の授業を見る機会に遭遇した。
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そこでは、先にも述べたがこれまでの研究成果が現れた、①自分の考えを思い伝えるツールとして利用する。②受動的な姿勢から能動的な姿勢を育てる、を大切にした授業を参観することができた。
1つは5年生の算数であり、もう1つは4 年生の総合の授業であった。
算数では、右の写真にあるように、
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また見ていると、友達の考えが紹介されたりすると、自分のタブレット上の考えを修正する姿が所々で見られ、その場で自分の考え違いなどに気付き理解を確かなモノにしている姿や、より別のアイディアを出すために練り直している姿なども見られた。中には、色々なアイディが出てくる秘密を考え出し、計算は難しくなるが無限に考えを出せることを言い出す子どもも見られた。算数的な見方考え方や算数のおもしろさに子どもたちの関心を向けていく授業の姿も垣間見られた。
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また4 年生の総合では、調べたこと、自分が伝えたいことを、パワーポイントで表現させていく授業が行われていた。本校が、子どもたちが伝えなくなる課題設定の工夫上で、情報活用能力を学年に応じて体系的に培っていこうとする姿が,垣間見られた。
この授業参観後、学校全体で、今後の方針についての確認や本時の授業から共通に学べる点の整理、また各自が現在までに取り組んでいるICT を活かした取り組みについて紹介が行われ、それに基づく意見交換が行われた。 始まったばかりではあるが、各教員がこれまで試みてきた実践の蓄積があることが確認でき、学校全体の取り組みとしてどのように、本研究計画に即して、取り組みを整理し、「はつしばスタイル」の提案やカリキュラム改善につなげていくかが今後の課題と感じられた。
3.今後の期待
先にも述べたが、はつしば学園小学校は、他の学校にはなかなかまだ見られない教室環境とそれを活かしたこれまでの取組の蓄積がある。それらをより学校全体のものにし、実践の成果をエビデンスに基づきながら、保護者、他校、地域に語っていく取り組みが求められる。それらを語る取り組みを積み重ねることにより、学校自体でも取り組みをより整理できると思われるからである。
また現在多くの目標が掲げられているため、それに優先順位をつけ、相互の目標の関係見つめ、取り組みの焦点化をすることが整理する中で求められてくると思われた。
本期間(8月~12月)の取り組み内容
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1年生 英語モジュール授業(朝学習)
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1年生 国語授業(音読)
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1年生 英語授業(外国人講師による授業)
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1年生 国語授業(漢字学習)
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1年生 算数授業 (児童の解法の提示)
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1年生 算数授業(オリジナルプリント表示)
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2年生英語モジュール授業 (朝学習)
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2年生英語(外国人講師による授業)
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2年生 生活科授業(トマトの栽培)
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3年生 英語(講師によるタブレット授業)
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3年生ホームルーム(文化祭の出し物)
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4年生総合(パワーポイントの学習)
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4年生 総合(プログラミング学習)
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4年生 総合(エネルギー学習)
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4年生 総合(日本の文化の調べ学習)
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5年生 算数(グループ学習)
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5年生 社会(日本の歴史)
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5年生 総合(児童による世界の習慣の発表)
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英語レシテーションコンテスト
- ICT機器を活用した授業実践
黒板とチョークがなくなり、インタラクティブボード(電子黒板機能付きプロジェクターとビューボード)と電子ペンを用いて、普通に授業を行っている。
動画や写真などを教材として提示し、それに、電子ペンで注釈を加えたり、また、板書を記録し、他教室でも呼び出して使えるので授業記録を残すのに便利である。さらに、クラスの児童の発表や作品を他のクラスで見せたり出来るなど、教育効果は大きいと考えられる。 - 情報リテラシーとプログラミング学習
3年生からローマ字学習と併行してキーボードによるタイピング授業を行い、簡単な文章をWordで打つことができることを目標にしており、4年生から発表用ツールとしてPowerPointの学習を行っている。
高学年になると、レポートをWordで作成したり、調べ学習の発表などはPowerPointで行っている。また、大ホールでの各種コンテストや発表においてもPowerPointを用いたプレゼンテーションを行っている。
4年生の総合の時間において、プログラミング学習の導入として、算数と併行して数値計算が容易にできるBASIC言語によるプログラミングの学習を行っている。 - ポータルサイトの構築と試行
現在校内無線LANを利用して、児童はファイルサーバーから教材の入手や自身のデータの保存を自由に行っている。これを学校外からも行えるように、外向けサーバーにポータルサイトを構築した。現在、本格運用に向けてテストデーターを入れるなどの準備を行っている。 - 一人1台タブレットの実現
情報マイスター(ICT機器活用授業の推進係)の会議において、1年生導入タブレットの検討とICT機器活用授業の進め方についての連絡調整を実施。平成30年2月に、1年生もタブレットPCが導入され、これで、全児童が一人1台タブレットを持つこととなる。
アドバイザーの助言と助言への対応
- はつしばスタイルのICT機器活用授業「はつキタス」のねらいは、「いつでも、どこでも、だれでも」がICT機器を文房具のようにあらゆる場において気軽に使い、学習に、生活に活かすことである。
ICT機器が整備されて4年になるので、その効果検証をするために、教員に対して授業実施に対する意見や感想を求めて集約し、情報マイスター会議等でICT機器活用方法についての情報交換・意見交換を積極的に進めており、また、校内研修を実施している。
さらに次期学習指導要領で小学校にもプログラミング学習が必須となるため、他校や中学・高等学校のプログラミング学習の見学などを係として行っている。
10月に情報マイスター(1年生の担任)が算数の研究授業を行った。この時は、1年生は児童用タブレットが導入されていなかったため、教員用タブレット1台と教室用PCおよびインタラクティブボードでの授業を行った。
児童の問題解法の過程を教員がタブレットPCで静止画撮影を行い、それを、無線LAN経由で教室用PCへ転送し、インタラクティブボードに投影して児童で共有しながら学習をするスタイルでの授業でした。
これは、算数の研究授業に関わらず、個人持ちタブレットの導入されていない1年生クラスでは、通常の授業において実施しているスタイルである。
この研究授業ならびに本校のICT機器活用授業全般に関して、アドバイザーの奈良教育大学教授小柳和喜男先生からは、数多くのアドバイスや今後のICT機器活用授業についてのご示唆を頂いた。
授業に関しては、先生(指導者)と子ども(児童)との人間関係ができており、1年生の授業としては子どもも落ち着いて学習しているなど、レディネスについてもお褒めの言葉を頂いた。
ICT機器活用授業についても、研究授業のためのICT機器活用ではなく、授業の中に普通にICT機器を使っているので、この使い方を軸に教材研究・授業研究を進めるほか、はつしば学園小学校で実践しているICT機器活用授業を、学年別、実施時期別(時間別)に一覧表にして、学校全体で共有し、整理統合するなどをして「はつしばスタイルのICT機器活用授業(はつキタス)」を明確化していくなどのご助言を頂いた。
今年度末の中間まとめに向けて、この助言を参考に本校のICT機器活用授業を進めると共に、課題の一つであるICT機器活用授業の効果検証と次期学習指導要領を意識したプログラミング学習についても、情報マイスターの会議においても係として取り組みたいと考えている。
本期間の裏話(嬉しかったこと、苦心談、失敗談 など)
本校においては、授業公開期間を設けているが、公開授業や研究授業のためだけの授業は普段から行っておらず、「ハツキタス(いつでも、どこでも、だれでもがICT機器活用を行う)」と同じく、普段の授業をいつでも公開するスタイルを取っている。
今回の研究授業では、大学の先生が来られると言うことで、授業者は、かなり緊張して授業に臨んだが、小柳先生の優しいお人柄からのアドバイスで授業者本人も大変安心し、また、今後ともICT機器活用授業に留まらず、児童を成長させるための授業全般に頑張りたいと申しておりました。
1年生に関しては、研究授業実施時期には個人持ち一人1台タブレットが導入されていなかったが、教室用タブレット1台とパソコンだけでも工夫次第で、ICT機器を活用した「わかる授業」ができる可能性が示されたことは、大きな励みになった。
本期間の成果
- 本校は、黒板とチョークが教室から無くなり、代わってインタラクティブボード(電子黒板機能付きビューボード)と電子ペンに置き換わった。導入当初は、保護者のみならず教員からも不安の声があったが、ICT環境が整備されて4年目になり、児童にも教員にも違和感なく普通に教室運営が行われている。
ICT機器の使い方は教員によっても異なるが、朝の会の連絡はビューボードに電子ペンで記入する、或いは、WordやPowerPointで表示したり、また、これらのデータをクラス間で共有して表示するなど様々である。
授業に関しても、デジタル教科書をビューボードに表示して、それに、電子ペンで書き込んだりするほか、これまでに紙ベースで作成していたものをスキャナーで取り込み、それをビューボードで表示して電子ペンで書き込みを入れて利用するなど、色々と工夫をしている。
もちろん、ビューボードに残しておく必要のある情報は、マーカーペンでビューボードに記入しておくなど、通常のホワイトボードと同じような使用も併行して行っている。
一人1台タブレットPCに関しては、学習支援ソフト(Styudy net)の利用による、双方向性の授業での活用、調べ学習でのインターネット検索、Wordの利用による文書作成、PowerPointの利用によるプレゼンテーションの利用など通常のタブレットPCの利用に加え、ノートのように個人持ちで自宅に持帰りの利点を活かして、これまでに教員が蓄積してきた紙ベースの教材のデジタル化したものを、児童のタブレットに定期的に入れ、児童の自宅学習に役立てている。
ICT機器活用授業に限らず、本校では普段の授業、行事、その他の活動などは、こまめにホームページで公開すると共に、学校便り、学年便り、クラス便りで保護者に情報提供をしているので、保護者からICT機器活用授業への期待や評価は高まってきている。
学校として、この保護者の期待に添うよう、今後ともICT機器活用による効果的な授業について研究を進めなければならない責務を感じている。
今後の課題
ICT環境(インテリジェント教室、校内サーバー、校内無線LAN)については、一応の環境整備が出来たが、授業でのタブレット利用の頻度が多くなり、また、動画教材の利用頻度が高くなったため、ファイルサーバーの容量不足や無線LANアクセスポイントの負荷が増大してきた。そのため、各クラスでのタブレットPCへの同時ログイン時に遅延が生じたり、インターネット検索での速度の低下、動画教材利用時の速度低下によるブロックノイズの発生や動画の停止など、当初の利用予測を越えた高頻度でのタブレットPCの利用が新たな課題となっている。
また、自宅においても校内と同様に、外向けサーバーのポータルサイトからインターネット回線を利用して教材のダウンロードや提出物のアップロードをも計画しているが、校内サーバーのコンテンツが膨大な量になり、これを外向けサーバーに入れるには容量不足の問題も生じている。
今後、児童のタブレットPCの利用に対応した、サーバーや無線LAN環境の整備が必須であると考えている。
さらに、プログラミング学習については、小学校ではプログラムを組むことではなく、プログラミング思考を育成することが重要である。
現在、算数と連携したプログラミング学習の試行をしているが、これについても、他校の実践などの情報収集をすると共に、本校として、学校の教育課程に位置づけたプログラミング学習について研究を進めると共に、導入ソフトやハードについての検討も併せて行う必要がある。
今後の計画
現在行っている、はつしばスタイルのICT機器活用授業(はつキタス)については、その継続とさらなる教材開発を行うと共に、ICT機器活用授業の評価を行い、さらなる授業改善、効率的で児童にとって「わかる」授業の構築を進める必要がある。
そのため、ICT機器活用授業についての中間総括を行うと共に、教員アンケートなどを通じてICT機器活用授業の効果検証を行う予定である。
プログラミング授業については、現在、4年生の総合の時間で試行的に行っている授業について、ICTマイスター会議等でその課題や評価について検討を行い、次年度は複数学年で実施し、新学習指導要領実施時に全校的に取り組めるようにしたい。
ICT機器環境整備については、校内予算の確保ならびにパナソニック教育財団様のご支援による本研究助成金を活用して、出来るところから順次整備を行っていきたい。
気付き・学び
デジタルネイティブと言う言葉は普通に使われるようになってきたが、小学校1年生からのタブレットPCの導入に関しては教員は不安を感じていた。しかし、タブレットPCのインターフェイスの進化や子どものデジタル機器への親和感などから、教師の説明無し、マニュアル無しでも、かなり使いこなせることが分かった。
ICT機器活用授業の推進には、個人持ちタブレットでしかも普段の学校生活の中で文房具のように「普通に」使うことが重要であると感じた。
学校生活の中では、インターネットやSNSの危険性を含め情報倫理に関する指導をきっちりとした上で、できるだけタブレットPCを自由に使わせる工夫をすることは、これからのICT機器活用授業の推進には重要であると考える。
研究課題
一人1台タブレットPCとインテリジェント教室を活用した「はつしばスタイルアクティブラーニング」の構築と実践に関する実証研究
成果目標
本校のICT機器活用教育の指針である「いつでも、どこでも、だれでも」という「はつキタス(はつしばユビキタス)」に基づき、「道具としての個人持ちタブレットPC」をインタラクティブボード(壁面大型ホワイトボードと電子黒板機能付きプロジェクター)を装備したホームルーム教室(インテリジェント教室)で使うことによる、ICT機器活用授業の教育効果の検証を行う。
そのため、パナソニック教育財団支援による1年間の実践の総括を行い、実践のまとめを行うと共に既存の教育課程への位置付けを明確にし、次年度の実践と研究に備える。
また、上記とも関連し、本校が進めている子ども自身の学びを大切にする「主体的・対話的で深い学びの実現」にICT機器活用を融合させ、教育の質の向上、教育効果、情報リテラシーについても実証研究を進め、本校の教育目標である、基礎学力の充実としつけ教育の基盤の上に立つ、「はつしばスタイル」ICT機器活用アクティブラーニングの構築を行う。
- 奈良教育大学 大学院教育学研究科 教授 小柳 和喜雄 先生
1.研究テーマ・取り組みについて
「はつしば学園小学校」は、これまでの実践について効果検証と授業実践の評価を行い、ICT器機を活用した教育により、バランスの取れた教科カリキュラム改善に取り組み、家庭学習と効果的に連動した新たな教育モデルの構築を目指している。
10月25日の訪問時には、本校の ICT 活用教育の指針である「いつでも、どこでも、だれでも」という「はつキタス(はつしばユビキタス)」に基づき、壁面大型ホワイトボードと電子黒板機能付きプロジェクターを装備したホームルーム教室(インテリジェント教室)での取組が行われていた。また授業後の経過報告会議では,以下3つがどのように進められているかについての報告がなされた。
1)次期学習指導要領で導入予定のプログラミング教育について、各教科への試験導入を含め、前倒し実施についての先行研究と評価を行い、児童の思考力の向上に努める。
2)ポータルサイトを活用した、長期休業中や授業時間外の学校外からの校内サーバーデータ利用の推進と、紙ベースの教育資源のデジタル化による利用促進を図る。
3)一人1台タブレットによる、「いつでも、どこでも、だれでも」をキーワードとした、ICT機器を有効に利用する授業のモデルづくりと、地域への教育資源の提供や社会還元に努める。
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(1)授業参観から
3回目の訪問となる10月25日は、ICT器機を活用した1年生の算数(『ものとひとのかず』)の授業を見る機会に遭遇した。そこでは、他の学校にはなかなかまだ見られない教室環境(黒板はなく、壁一面のホワイトボード)を活かした授業が展開されていた。
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問題文を読み,算数的な見方考え方を働かせながら
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子どもたちが考え出した色々なアイディアを、上脇先生がタブレットで撮影し、壁面のホワイトボード上で展開過程の中でその都度共有していた。そのため難しい課題ではあったが、自分の言葉で考えを語り,隣同士で聞き合う姿が頻繁に見られた。
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(2) 授業後の経過報告会議から
ICTの活用が学校全体で色々な場面で進むにつれて、WI-FI利用時のタイムラグなど、現在のシステムの運用評価からその見直し等が検討されていること、またプログラミング思考の育成と関わって,その試行をはじめていることなどの報告が行われた。
様々な取組が各学年で展開されてきている一方で、どの時期に何が行われているかは互いに理解しているにしても、お互いの取組でどのような力をどこまで子どもたちに培おうとしているかが共有できていないことが報告の中で見えてきた。そのため年間計画が一覧できる表の作成が必要であること、それによって学校全体で計画的でかつ体系的な取組が可能となることが会議を通して確認された。
3.今後の期待
はつしば学園小学校は、他の学校にはなかなかまだ見られない教室環境とそれを活かした取組が進みつつある。多くの目標が掲げられているが、それに関しても優先順位がつけられつつあり、相互の目標の関係から取り組みの焦点化が進んできている。しかしそれらをより学校全体のものにしていく必要がある。日常化されている実践の成果もエビデンスとして記録を残しつつ、成果を共有していく取組が求められる。
本期間(1月~3月)の取り組み内容
- (1)ICT教育環境としては、タブレット、電子黒板、校内無線LAN、外向けサーバーなどの整備は完了し、2月で1年生も含め完全児童一人1台タブレットが完了し、1年生においてもSHARPの教育支援ソフト「スタディーノート10」を用いて学校や自宅でのICT機器を活用した自主学習を行うに至っている。課題としては、3年生以上が使用する旧型HP社製タブレットPCのハード的な不具合のために授業に支障をきたしている。機器のリプレースの検討を要する。
- (2)アクティブラーニングへの取組みとしては、校内サーバーの授業コンテンツの充実と児童の自由利用頻度の高まりがある。現在整備中の外向けサーバーの活用が今後の課題である。算数での電子黒板の利用、社会や総合的な学習の時間等でのPowerPoint等のOfficeソフトを用いた授業による学習の効率化や児童のプレゼンテーション能力の向上が感じられる。課題としては、ICT機器利用による教育効果の客観的データを得るに至っていない。今後は、効果検証の手法を含め、さらなる研究と実践を行う必要がある。また、各教科特別活動の年間指導計画へのICT機器活用授業導入を明確化し、本年度の授業と指導の総括をICT機器活用の視点から別途行い、「はつしばスタイル」ICT機器活用授業の構築に努める。
- (3)プログラミング教育に関しては、本校はプログラミング(言語を用いたコンピュータプログラム作成)を目的とせず、プログラミング的思考(自身の考え方、学習や仕事の進め方を他者に対して論理的に説明できる思考)を目的として、試行的に行った。内容は、総合学習で、算数の教科書の計算問題、文章問題を人間が色々な方法(アルゴリズム)で解く手順を個人のタブレットPCで汎用ソフトを用いて解かせることを行い、児童から教科算数の理解度が高まったという反応を得ている。今後は、子どもが使いやすいソフトウエア-の検討と各教科の授業での活用を研究する必要がある。
- (4)1年生においても個人持ちタブレットPCを2月に導入した。これにより、全学年で一人1台タブレットが実現した。1年生においては、教員に対する特別研修を実施し、研修を受けた教員にICT機器整備事業者がサポートする形で、ICT機器活用事業(タブレットPCを使うための初期研修)を5時間に渡り実施した。特に学習支援ソフト(スタディーノート10)を活用した授業であったため、自宅においても(オフライン環境においても)タブレットPCが有効に使え、昨年度に比較して児童のICT機器活用リテラシーの向上が見られた。
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タブレット活用授業(1)
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2年生タブレット活用授業(2)
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2年生英語モジュール授業(1)
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2年生英語モジュール授業(2)
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2年生生活(大根の観察)授業(1)
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2年生生活(大根の観察)授業(2)
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4年生総合(エネルギー学習)(1)
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4年生総合(エネルギー学習)(2)
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4年生総合(日本のエネルギーと資源)授業
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4年生総合での調べ学習の児童発表
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保護者向けタブレット導入説明
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保護者向け情報モラル研修会
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業者による保護者向け機器操作研修
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1年生の担任によるタブレット授業
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1年生タブレット特別授業(1)
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1年生タブレット特別授業(2)
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1年生によるホームページ検索授業(1)
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1年生によるホームページ検索授業(2)
アドバイザーの助言と助言への対応
- 社会科の授業でタブレットを使って資料を調べ、分析的・批判的態度を持ちながら資料を読み取っていた。授業者の狙いはよく達成されていた。
- 子どもたちが検索する資料については、クロスチェックをしながらやってもよいと思う。との助言をいただいた。
1月27日におこなった公開授業を見ていただき
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公開授業配布資料
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公開授業検討会(1)
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公開授業検討会(2)
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公開授業検討会(3)
本期間の裏話
試行錯誤の連続でのICT機器活用授業であったが、1年間の研究を通して、プログラミング授業の方向性が見えてきた。特に、算数の授業での活用については、問題解法が論理的に行えるようになり、また、プログラミングをすることによりコンピュータに命令(プログラミング)をするだけに留まらず、他の児童に対しても説明できるなど、学習の輪を広げることに繋がったことなど、予想していなかった効果が見られた。
本期間の成果
- 1.全学年において一人1台タブレットの導入がなされた。
- 2.1年生においてICT機器活用特別授業(タブレットPC導入授業)を研修を受けた教員が機器導入業者のサポートを受けて実施した。1年児童のタブレットPC活用能力の向上が見られた。
- 3.校内サーバーに教育用コンテンツを順次入れて行くことができた結果、教科の授業においても各種資料を児童はサーバーから入手することが可能となり、授業の効率化、ならびに、学習の深化・統合に繋がった。
- 4.試行的ではあるが、4年生においてBASIC言語を用いたプログラミング学習を実施した。算数の問題をプログラミングで解くなど、教科学習とプログラミング学習の連携などについて、その効果が認められた。
- 5.公開授業において、ICT機器を活用した授業を実施した。理科、社会、算数のほか国語などでもその有効性が示唆された。
- 6.次年度以降に導入を検討しているLTEタブレットについての実証研究の検証などを係で行い、導入に向けての話し合いが行われた。
今後の課題
次年度の計画にも関係するが、「いつでも、どこでも、だれでも」という「はつキタス(はつしばユビキタス)」のさらなる推進のために、学校の内外を問わずインターネットや学校のポータルサイトを活用したICT機器活用授業(児童からはICT機器活用学習)ができる環境整備として、外向けサーバーとインターネット回線の高速・大容量化のほか、公衆回線を用いたLTEタブレットの導入を進める必要がある。
今後の計画
次年度の計画であるが、研究課題である「一人1台タブレットPCとインテリジェント教室を活用した’はつしばスタイルアクティブラーニング’の構築と実践に関する実証研究」の継続が基本的な方針である。
前述のH29年度の総括を基に、研究の継続に加えて次の点にも重点を置きたい。
- (1)「はつキタス」のさらなる推進と授業でのICT機器の活用、自宅でのICT機器の活用のために、本年度機器導入学年(現1年生)は、H30年度(新2年生)から低学年であるがICT機器活用授業を目的とした「総合的な学習の時間」を週1時間設定する。この2年生の「総合的な学習の時間」は、担任外の副担が指導を行い、さらに、アシスタントとして1名の非常勤講師(教員免許あり)を配置したTT(チームティーチング)で年間指導計画に沿って指導に当たり、新2年生から順次年次計画でICT機器活用授業をカリキュラムに位置づけて、児童の教育の質の向上、教育効果、情報リテラシーについての効果検証を行い、さらに本校の教育目標である、基礎学力の充実としつけ教育の基盤の上に立つ、「はつしばスタイル」ICT機器活用アクティブラーニングの構築を行う。
このことにより、学校としては教育の質の向上、教育効果の高揚、情報リテラシーの向上に努め、その効果としては、児童の基礎学力の充実と情報モラル教育を基盤としたしつけ教育の定着、さらには、これらを基盤とした、「はつしばスタイル」ICT機器活用アクティブラーニング確立へと努力する。 - (2)全学年において、年間指導計画にICT機器活用授業の位置付けの明確化に努め、その効果検証として過去の各教科における診断テストとICT機器活用授業導入後の診断テストとの比較検討などを行い、さらなる、ICT機器活用授業の改善や工夫についてICT機器活用授業先進校の事例研究や校内研修を行っていく。
- (3)プログラミング学習については、H29年度は試行的に4年生の総合で実施したが、H30年度は加えて、2年生からプログラミング思考を「(新設)総合的な学習の時間」から取り入れ、年度末には2年生においても個人持ちタブレットPCを用いて、各教科の教科書レベルの問題解法においてプログラミングを用いた解法ができるようにしたい。
さらに、高学年では汎用ソフトであるOfficeを用いてのレポート作製、卒業研究と論文作成も本格的に行わせたい。現在試行的に運用している、外向けサーバーに校内サーバーから学習資料を順次移行させ、自宅のインターネット環境を利用した、「はつキタス(いつでも、どこでも学習できる環境)」を構築し、自宅での学習支援や反転学習が試行的にできるようにしたい。
このために、現在、本校のICT機器活用研究組織である情報部会が中心となってLTEタブレット導入の検討を行っている。
1年間を振り返って、成果・感想・次年度への思い
H30年度は研究最終年度であるため、従来の講義中心の受動型の学習(passive learning)から、子ども自身の学びを支援し自学自習・協働学習、さらには情報発信ができる能動型の学習(active learning)へ転換するための「道具としてのICT機器活用」の推進と共に、これまでの研究と実践の成果から、PDCAサイクルに基づく「はつしばスタイル」アクティブラーニングを構築する。
また研究成果の地域還元、社会還元として、その研究・教育手法を広く公開し、他校と協力・連携して、ICT機器を活用したさらなる効率的なICT機器活用授業カリキュラムとその手法、さらには、公立小学校にも共通する汎用的なカリキュラムの構築に着手したい。
成果目標
- (1)本校のICT活用教育の指針である「いつでも、どこでも、だれでも」という「はつキタス(はつしばユビキタス)」に基づき、「道具(ツール)としての個人持ちタブレットPC」を壁面大型ホワイトボードと電子黒板機能付きプロジェクターを装備したホームルーム教室(インテリジェント教室)で使うことによる、教育効果の検証を行う。
- (2)本校が進めている子ども自身の主体的な学びを大切にする「アクティブラーニング」にICT機器活用を融合させ、教育の質の向上、教育効果、情報リテラシーについての効果検証を行い、さらに本校の教育目標である、基礎学力の充実としつけ教育の基盤の上に立つ、「はつしばスタイル」ICT機器活用アクティブラーニングの構築を行う。
- (3)次期学習指導要領を意図して、教科・総合的な学習・特別活動における効果的なプログラミング的思考・学習の指導方法を研究する。
- 奈良教育大学 大学院教育学研究科 教授 小柳 和喜雄 先生
1.研究テーマ・取り組みについて
「はつしば学園小学校」は、これまでの実践について効果検証と授業実践の評価を試み、ICT器機を活用した教育により、バランスの取れた教科カリキュラムの整理と改善に取り組み、家庭学習と効果的に連動した新たな教育モデルの構築を目指している。
そのために常時ICTが活用できる環境(「はつキタス(はつしばユビキタス)」)が、授業の目的・内容・子供の様子に応じてどのように活かせるか、成果の評価(子供がどう変わったか)と取組の評価(その子供に影響を与えた取り組みは何であったか)を通じて、環境改善と方法改善を試みようとしている。
平成30年1月27日の訪問時にも、学校の ICT 活用教育の指針である「いつでも、どこでも、だれでも」という「はつキタス(はつしばユビキタス)」に基づき、壁面大型ホワイトボードと電子黒板機能付きプロジェクターを装備したホームルーム教室(インテリジェント教室)での取組が行われていた。
2.本期間の取り組み
(1)各学年で、教科の学習を確かにまた豊かにしていくためのICTの活用(教員の利用)に加えて、各学年のある単元では、子供たちに積極的に、学習の目的と関わって、ICTの活用(子供の活用)を行ってきている。それらを振り返り、次期学習指導要領で掲げられた、「学習の基盤」としての、言語能力、情報活用能力、問題発見・解決能力を育成していくことを、学校全体でより組織として見通しを持とうとしている。例えば情報活用能力(プログラミング的思考の育成と関わる取組含む)を体系的に育成していくために、カリキュラムの見直しをする動きも見られる(活動報告書の今後の計画と実践の写真からもその意図が垣間見られる)。
(2) 授業参観から
4回目の訪問となる1月27日は、ICT器機を活用した4年生の社会(『これからの食料生産』)の授業を見る機会に遭遇した。そこでは、社会の内容と関わって、「学習の基盤」としての情報活用能力(調査する力、批判的に情報を読み解く力)の育成も組み込んだ展開がなされていた。
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授業者の柴田先生は、調べたいことと関わって情報を集めるが、「その情報がどこにあるのか、どのように見つけるか、その情報は正しいと言えるか」を、子どもたちの既習事項や経験とも関連づけながら、子どもたちと明らかにしていた。
子どもたちは、最初、ペアで課題に取組ながら、友だちと情報を探し読み解く中で、この情報は信頼がおけるかを話し合っていた。
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情報を読み、その情報は誰が発しているのか、問い合わせ先はあるのか、それは確かなのかなどを、自分の言葉で考えを語り,経験とつなげ、隣同士で聞き合う姿が頻繁に見られた。
その後、クラス全体で情報の信頼性をどのように判断したらいいかを、情報の調べ方、情報の信頼性の判断の仕方に関わって、意見整理を行い、確認を行っていた。
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3.今後の期待
はつしば学園小学校は、他の学校にはなかなかまだ見られない教室環境とそれを活かした取組が進みつつある。多くの目標が掲げられている。それらをより学校全体のものにしていくために、またその成果を他の学校へ提案をしていくために、日常化されている実践の成果を、例えば、以下のような点に関わって整理し、エビデンスとして記録を残しつつ、成果を共有していく取組が期待される。
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2)教科横断的な学びのカリキュラム・マネジメントを行いながら、情報活用能力など汎用的な力の育成(プログラミング的思考と関わる力含む)を進める、
3)授業の中で無意識に時間消費してしまっている数分を見つめ(課題提示、話し合い、発表、ノート指導などと関わって、だらだらしてしまうことにメリハリをつけるためにICTを活かしていく)、捻出された時間をむしろ個別指導、振り返りの時間の確保など学力保障や質保証のために活かしていく、
などに関わって、どのようにICTが活用できるのか((「はつキタス(はつしばユビキタス)」)環境が活かせるのか)、意味を持つのか。
本期間(4月~7月)の取り組み内容
-
(1)ICT教育環境としては、今年度より1年生(来年度からは1・2年生)においては学校で貸出用タブレットPCを用意し、授業の中で活用していく事が決定された。理由として、1年次に購入したタブレットPCを6年次まで継続して使用した場合、内部パーツの破損・バッテリーの消耗などにより学年が上がるにつれ、修理・交換の依頼が増えてきているという現状を踏まえて、今回の決定に至った。
低学年においては貸出タブレットでの活用になるが、「いつでも、どこでも、だれでも」という「はつキタス(はつしばユビキタス)」の達成のため、貸出用タブレットについて校内、および情報部会内で検討を重ねて運用方法の確立をしていきたい。 -
(2)アクティブラーニングとプログラミング教育に関しては、今年度より2年生において週に1時間「情報」の時間を新設し、取り組んできた。最初にオリエンテーションとして、ICT機器(主にタブレットPC)の使用方法、学習支援ソフト(Study note 10)での利用による双方向性の授業での活用を行った。プログラミング学習においては、文部科学省が提供する子供向けの学習サービスである「プログラミン」を使用して行った。最初は簡単なアニメーションの制作から始まったが、1学期が終わる現時点においては、自分たちで工夫してゲームを作ったり、子供たちが自分たちで課題を設定して、試行錯誤しながら学習に取り組むことが出来た。
2学期からはロボット型のプログラミング教材を導入することを検討しており、自分たちでつくったプログラムで、実際にロボットを動かしていきながら、より学習を深化させていきたい。
現段階では2年生で先行的にプログラミング学習を行っているが、2学期までの間にこれまでに実践した授業での内容や課題点等を教師間で共有し、2学期からは他学年でもプログラミング学習を開始していきたい。そして来年度には今年度で作成したカリキュラムに沿って全学年でプログラミング学習を実施していきたいと考えている。
本期間の裏話
今年度より2年生において「情報」の授業を新設し、教員側も試行錯誤の連続の日々であった。手探りで授業を行う中で苦労も多かったが、子どもたちが笑顔で「楽しいね!」、「こんなことができるようになったよ!」と言ってくれたことが一番の励みになった。
![本期間の裏話](../../../../wp-content/themes/panasonic_theme/images/tokken/043/hatsushiba/180816/hatsushiba_h30_1d_001.jpg)
![本期間の裏話](../../../../wp-content/themes/panasonic_theme/images/tokken/043/hatsushiba/180816/hatsushiba_h30_1d_002.jpg)
本期間の成果
- 1.6年間での「はつキタス」達成のためのタブレットの運用方法の見直し
- 2.2年生における次期学習指導要領を見据えてのICT機器活用教育(プログラミング学習)を融合させた「はつしばスタイルアクティブラーニング」の先行実施
- 3.教科・総合的な学習・特別活動におけるプログラミング的思考・学習の指導方法を研究
- 4.全学年・全教科におけるICT機器活用教育を盛り込んだカリキュラムの作成へむけての取り組み
今後の課題
ICT機器活用授業(プログラミング学習)においては、他校での実践などの情報収集は今年度も引き続き行いながら、教材開発・研究をしていきたい。
また他校の視察で得た情報や、教材開発、研究の内容は全教員で共有できるようにしていかないといけないと感じた。特定の教員だけが研究、実践を行うのではなく、全教員がICT機器活用授業を実践できるようにしていきたい。具体的には、ICTマニュアルの作成やICT研修などの実施を検討している。
今後の計画
研究課題である「一人1台タブレットPCとインテリジェント教室を活用した’はつしばスタイルアクティブラーニング’の構築と実践に関する実証研究」の継続が基本的な方針である。研究最終年度である本年度は次期学習指導要領を見据えてプログラミング学習を行う中で「はつしばスタイルアクティブラーニング」を実践していきたい。
![本期間の裏話](../../../../wp-content/themes/panasonic_theme/images/tokken/043/hatsushiba/180816/hatsushiba_h30_1d_003.jpg)
![本期間の裏話](../../../../wp-content/themes/panasonic_theme/images/tokken/043/hatsushiba/180816/hatsushiba_h30_1d_004.jpg)
成果目標
- (1)本校のICT活用教育の指針である「いつでも、どこでも、だれでも」という「はつキタス(はつしばユビキタス)」に基づき、「道具(ツール)としての個人持ちタブレットPC」を壁面大型ホワイトボードと電子黒板機能付きプロジェクターを装備したホームルーム教室(インテリジェント教室)で使うことによる、教育効果の検証を行う。
- (2)本校が進めている子ども自身の主体的な学びを大切にする「アクティブラーニング」にICT機器活用教育を融合させ、教育の質の向上、教育効果、情報リテラシーについての効果検証を行い、さらに本校の教育目標である、基礎学力の充実としつけ教育の基盤の上に立つ、「はつしばスタイル」ICT機器活用アクティブラーニングの構築を行う。
- (3)次期学習指導要領を意図して、教科・総合的な学習・特別活動における効果的なプログラミング的思考・学習の指導方法を研究する。
- 奈良教育大学 大学院教育学研究科 教授 小柳 和喜雄 先生
1.研究テーマ・取り組みについて
―1人1台のタブレットPC利用の学習環境を持続していく上での課題―
「はつしば学園小学校」は、常時ICTが活用できる環境(「はつキタス(はつしばユビキタス)」;壁面大型ホワイトボードと電子黒板機能付きプロジェクターを装備したホームルーム教室(インテリジェント教室)での取り組みおよび入学時に各家庭で購入してもらう1人1台のタブレットの利用)が、授業の目的・内容・子供の様子に応じてどのように活かせるか、成果の評価(子供がどう変わったか)と取り組みの評価(その子供に影響を与えた取り組みは何であったか)を通じて、環境改善と方法改善を試みようとしてきた。
しかし、課題であったのは、1人1台のタブレットPCの利用時にネットワーク環境(遅い、つながらない)、その時々に、1年次入学時に機能や値段との関わりで購入を推薦するタブレットPCも変わるため、指導を行う点で少し異なる環境も生じ、煩雑さがあること、また学年進行によって、よく使い始めるが、そのときにはバッテリの消耗を含めたタブレットPCの摩耗により故障などが生じやすく、それへの対応が大変であることが課題となっていた。つまり持続的で安定したタブレットPC利用の環境の構築が課題となっていた。
この点は、研究テーマを遂行していく上で、また1人1台のタブレットPC利用の学習環境を考えて行く上で、家庭による購入をベースとした取り組み(BYODを見越した取り組み)の課題を明らかにしていく上で、重要な問題提起をしてくれていると考えられる。
2.本期間の取り組み
(1)情報教育年間計画表の明確化
「はつしば学園小学校」では、これまで各学年で、教科の学習を確かにまた豊かにしていくためのICTの活用(教員の利用)に加えて、各学年のある単元では、子供たちに積極的に、学習の目的と関わって、ICTの活用(子供の活用)を行ってきた。
![情報教育年間計画表の明確化](../../../../wp-content/themes/panasonic_theme/images/tokken/043/hatsushiba/180816/hatsushiba_h30_1d_005.jpg)
![情報教育年間計画表の明確化](../../../../wp-content/themes/panasonic_theme/images/tokken/043/hatsushiba/180816/hatsushiba_h30_1d_006.jpg)
この期間、それらを振り返り、次期学習指導要領で掲げられた、「学習の基盤」としての情報活用能力を育成していくことを、学校全体でより組織として見通しを持つために、体系的に育成していく情報教育年間計画表をあらためて整理されていた。
(2)プログラミング教育の試行
昨年度、試行で進めていたプログラミング教育に関わって、今年度は、4月よりあらたに2年生に週に1時間「情報」の時間を新設し、低学年から、コンピュータを用いたプログラミングの原体験を通して、プログラミング的思考を育てる試みを始めている。
学習の基盤としての情報活用能力を体系的に指導していくためには、取り立て指導できる時間も必要という判断のもと、独自な時間(情報)を作り、この取り組みの一環としてプログラミング教育を中心軸に位置づけ進めようとしている。子どもたちの学びの姿を大切にしながら、子どもが興味関心を持つ学習活動として、プログラミングの学習活動を位置づけているのは評価できる。情報活用能力が体系的に培われることで、本校が大切にしているアクティブ・ラーニングの質もあがり、目指している学力の育成にもその絶えざる学習過程の改善が貢献していくことが期待される。
ただし情報活用能力は、プログラミング思考とイコールではなく、そこに内包される力のため、この点、誤解がないように注意する必要がある。
3.今後の期待
はつしば学園小学校は、昨年度からの課題ではあるが、多くの目標が掲げられ、次々と学習活動を展開してきている。それらをより学校全体のものにしていくために、またその成果を他の学校へ提案をしていくために、日常化されている実践の成果を、目標ごとに整理、そしてそれを構造的に図示するなどの工夫がある程度、必要と考えられる。
また成果の評価と取り組みの評価に関わって、本研究の成果を他の学校に理解してもらい、貢献できるためには、以下の点への配慮も必要になると思われる。
1)取り組みを進めてきた→それは1つ1つ何のための取り組みか明確にする→目指している全体計画のどの部分に位置付くのかを明確にする。
2)取り組みを進めてきた→それはどのような体制でなされてきたか明確にする。
3)取り組みを進めてきた→成果として○○を作成した→これはどのようにして作られたものか、どのような根拠でこのような内容となったのか説明を加える。
4)取り組みを進めてきた→成果として子供の姿が変わったというだけでなく、何がそれを変えたか分析をし、説明を加える。
5)取り組みを進めてきた→成果として子供の意識が変わったというだけでなく、何がそれを変えたか分析し、説明を加える。
本期間(8月~12月)の取り組み内容
(1)授業実践
10月29日(月) 第5校時
アドバイザー 奈良教育大学 小柳 和喜雄 先生
5年 算数 「図形の軌跡を考えよう」
本時のめあて
- ・算数的活動を通して、回転移動する図形の頂点のえがく軌跡を考えることができる。
- ・友だちの考えを聴いたり、自分の考えを伝えたりすることで、考える楽しさを感じることができる
本時の展開
学習活動 | 教師の働きかけ | 評価 |
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①本時の課題を知る。 |
|
|
②タブレットを使い、グループや全体で考えを聴き合う。 |
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|
③振り返りをする。 |
|
本時の課題
正三角形の移動した“あと”
1辺が6cmの正三角形があります。
この正三角形が直線上をすべらずに1回転するとき、頂点Aが動いた後にできる線との長さを求めましょう。
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授業の様子
- ・コンパスで三角形の頂点が動く軌跡を考えたり、三角形が回転していく様子を1コマずつ書き込みながら考えているグループなど、考え方は様々であった。
- ・途中で三角形が1回転する様子のアニメーションを各グループのタブレットに配信した。アニメーションをコマ送りにしたり、頂点Aの軌跡をアニメーションに書き込んだりしながら、具体的な動きを想像しながら先の長さを求めることができた。
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(2)その他
- 夏休み期間中に外部から講師を招き、ICT活用教育、プログラミング教育についての研修を全教職員を対象に実施。(この研修は昨年度より実施している。)
- 全クラスに導入している学習支援ソフト(Study Note 10)の講習会を実施。学習支援ソフトを活用した授業づくりについて研鑽を深め、各クラスが各教科の授業でICT機器を活用した授業を行うことができた。
- 2年生「情報」の時間においては、ロボットプログラミング(proro)の実施。今後、各学年のカリキュラムに盛り込んでいく。
本期間の裏話
夏休みにICT活用教育・プログラミング教育の研修を行った。10月29日に行った研究授業では、研修をしていただいた講師の先生も交えながらICTマイスター部会で授業の検討を行った。学校全体でICT機器活用・プログラミング教育実践について検討を重ねることができた。学校全体として今回の研究を進めていくことができたのは非常に嬉しかった。
本期間の成果
- 夏休み期間中にICTを活用した教育や、プログラミング教育についての研修を実施し、その成果として、研究授業を2学期に実践。
- 2年生算数においてICT機器活用授業を行い、日本教育新聞に掲載 ※1
- 学習支援ソフトの研修会を実施し、各クラスにおいて授業の中で積極的に学習支援ソフトを活用することができた。
- 2年生「情報」の時間においてロボットプログラミング授業の実践。これまでの画面上での「ビジュアルプログラミングに加え、ロボットという実物を動かすためのプログラミング学習を行うことができた。
今後の課題
1月26日に行う公開授業において、ICT活用教育・プログラミング教育をテーマにプログラミング的思考を取り入れた授業を6年生算数で行う予定である。また、2月には2年間の研究の総まとめとしての授業実践も行う。それらに向けて引き続き学校全体として研究に取り組んでいきたい。
今後の計画
研究課題である「一人1台タブレットPCとインテリジェント教室を活用した「はつしばスタイルアクティブラーニング」の構築と実践に関する実証研究」の研究の総まとめを行っていく。具体的にはこれまで取ってきたアンケートと3学期に予定しているアンケート結果も参考にしながら本校が考える「はつしばスタイルアクティブラーニング」によって子どもに付けさせたい力がついているかどうか、また、それらの力がどのような学習活動の中で活かされているかについて検証を行っていきたい。
※1 日本教育新聞に掲載された記事
![※1 日本教育新聞に掲載された記事](https://www.pef.or.jp/wp-content/themes/panasonic_theme/images/tokken/043/hatsushiba/190107/hatsushiba_h30_6d_005.jpg)
成果目標
- (1)本校のICT機器活用教育の指針である「いつでも、どこでも、だれでも」という「はつキタス(はつしばユビキタス)」に基づき、「道具(ツール)としての個人持ちタブレットPC」を、壁面大型ホワイトボードと電子黒板機能付きプロジェクターを装備したホームルーム教室(インテリジェント教室)で使うことでどのような、教育効果が得られるかを検証する。
- (2)本校が進めている子ども自身の主体的な学びを大切にする「アクティブラーニング」にICT機器活用教育を融合させ、教育の質の向上、教育効果、情報リテラシーについての効果検証を行い、さらに本校の教育目標である、基礎学力の充実としつけ教育の基盤の上に立つ、「はつしばスタイル」ICT機器活用アクティブラーニングを構築する。
- (3)新学習指導要領に対応した、「教科・総合的な学習・特別活動における効果的なプログラミング的思考・学習の指導方法」を研究する。
- 奈良教育大学 大学院教育学研究科 教授 小柳 和喜雄 先生
1.研究テーマ・取り組みについて
「はつしば学園小学校」は、ICT 活用の教育指針である「いつでも、どこでも、だれでも」という「はつキタス(はつしばユビキタス)」に基づき、「道具としての個人持ちタブレットPC」を壁面大型ホワイトボードと電子黒板機能付きプロジェクターを装備したホームルーム教室(インテリジェント教室)といった豊かな学習環境を構築してきた。そして、授業の目的や子どもたちの状況に即して、その環境を活かすべく、学校全体で授業研究などを通じて、学習規律と確かな学力の育成に努め、その実践の蓄積と共有できる実践的な知見(課題設定の工夫など)の検討を重ねてきた。最近では、各学年から選出されたICTマイスターによる会合をより機能させながら、次期学習指導要領で導入予定のプログラミング教育について、各教科への試験導入を含め、前倒し実施(2年生から)を行い、児童の思考力の向上に努めてきている。
2.本期間の取り組み
この期間の取組としてまず言えるのは、夏休み期間中にICTを活用した教育やプログラミング教育についての研修を積極的に実施し、その成果を全教員が2学期の授業に活かすように努め(例えば、あくまで目的や必要に応じてではあるが、授業の中で積極的に学習支援ソフトを活用し、その手応えや運用上の知見を体験する試み)、2学期に授業研究など実施することを共通確認したことである。
8月22日の研修は、私も参加する機会を得た。その際、全職員がICTを活用した教育やプログラミング教育の体験をする機会を持ち、その利用についてオープンな雰囲気の中で話し合う時間や体験する時間を十分に取れるような工夫がされていたのが印象的であった。
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その際、私の方からは、これまでの実践と本日の研修を繋ぎながら、今後の授業の豊かな見通しを得ることは重要ではあるが、一方で、2年間研究を積み重ねてきたことに関わって、取組の評価もしっかりと意識をし、指導と評価の一体化から、本研究を学校全体で進めていくことについてコメントを行った(右図)。
次に10月29日の授業研究(5年 算数 「図形の軌跡を考えよう」)に参加する機会を得た。この2年間、よく学ばせてもらった事であるが、はつしば学園小学校では、授業の中で友だちの考えを聴いたり、自分の考えを伝えたりする学習活動をとても大切にし、その活動を通じて、考える楽しさ(粘り強く考えたりする機会含む)を現体験させる機会の提供を重視している。
本授業でも、子どもたちが考えたくなるように取り組む課題に工夫を凝らし、また考えるプロセスを想定し、子どもたちの考え続ける助けになる道具やヒントとなる教材なども用意していた。子供たちは以下の課題に挑み、それぞれ自身の考えを披露しながら、グループで練り上げていく姿を示していた。この課題は、問題文のとらえ方によっては、以下のように考えが分かれる課題であり、それぞれどのように問題を把握し、考えたかを言い合える機会になっていた(バリエーションがある課題:教師が教えたいことに対して,児童の理解や説明に多様性がある)。その分、本問題文の解釈から子どもたちと確認し合える(与えられた問題がどういう事を求めているか、みんなで分析解釈し会う)機会が設定されていた。
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そして、はつしば学園小学校の学習環境を活かし、それぞれ自身の考え表現したり、シミュレーションからヒントを得て、考えを明確にしていく下図のような教材の用意などもされていた。
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後半では、それぞれのグループで考え、とらえた内容を下図のように、壁面一杯のホワイトボードに投影し、全体で論議をしていく姿が見られた。
以上のように本授業でも、子どもたちが考えたくなるような、また子供の説明にバリエーションが生じてくる課題設定を行い、また考えるプロセスを想定し、子どもたちの考え続ける助けになる道具やヒントとなる教材なども用意し、全体で考えを深め、説明し合う機会を保証(この時間で無理に収束させず、次回につなげ、なるほどとなる時間を確保する)している点が他校にも参考になると思われた。
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そのほか、昨年度、試行で進めていたプログラミング教育に関わって、今年度4月よりあらたに2年生に週に1時間「情報」の時間で、今期間中に、ロボットプログラミング授業が実践された。この授業に参加はできなかったが、報告に依れば、2年生でも、これまでの画面上での「ビジュアルプログラミングに加え、ロボットという実物を動かすためのプログラミング学習を行うことができたとおうことであった。いやむしろ、考え方によっては、低学年の場合は、プログラミングにより、何かが変わる、動くということが具体物で見えた方が、プログラミング的思考を育てる上で、有効かもしれないことを、本実践は示したのかもしれないと感じられた。
学習の基盤としての情報活用能力を体系的に指導していくためには、取り立て指導できる時間も必要という判断のもと、独自な時間(情報)を作り、この取り組みの一環としてプログラミング教育を中心軸に位置づけ進めようとしている。子どもたちの学びの姿を大切にしながら、子どもが興味関心を持つ学習活動として、プログラミングの学習活動を位置づけているのは評価できる。情報活用能力が体系的に培われることで、本校が大切にしているアクティブ・ラーニングの質もあがり、目指している学力の育成にもその絶えざる学習過程の改善が貢献していくことが期待される。
3.今後の期待
はつしば学園小学校は、いよいよ2年間の研究のまとめに入っている。成果をより学校全体のものにしていくために、またその成果を他の学校へ提案をしていくために、日常化されている実践の成果を、目標ごとに整理し、「成果の評価」と「取組の評価」に関わって、本研究の成果を他の学校にわかりやすく伝えることが期待される。
本期間(1月~3月)の取り組み内容
(1)授業実践
①1月26日(土)第7回公開授業
6年 算数「中学数学への架け橋 ~正負の数・座標~ 」
②2月16日(土)
2年 算数「さいころと数直線」
(2)本時のめあて
①・友達と聴き合い、相談しながら課題に取り組む。
・中学の学習範囲である正負の数について、楽しみながら学ぶ。
・キャラクター制作の原理原則を知る。
②・聴き合うことを通して、互いの見方や考え方の異同を感じ取り、自分の考えを深めることができる。
・表や図などを使い、考え方を整理して、友だちに伝えることができる。
(3)本時の展開
①
学習活動 | 教師の働きかけ | 評価 |
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1.ペアで相手の作った作品を座標を見て描く。
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座標を入力して、自分たちの作品を動かせてみよう。 | ||
2.プログラミングソフト(スクラッチ)を使って作品を作る。
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3.良かった点、改良点などを話し合う。 |
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②
学習活動 | 教師の働きかけ | 評価 |
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①課題を知る。 |
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ペアや全体で考えを聴き合う。 |
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本時の振り返りをする。 |
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(4)授業の様子
①本時では、各グループにパソコンを用意し、事前に作成した形の座標を入力した。
座標を入力し、座標同士を繋ぐ軌跡で形を作り上げていったが、座標を入力してプログラムを動かす作業を試行錯誤して繰り返しながら、自分たちのグループの形を作り上げていった。上手くいかない部分があると、入力した座標を一つづつ確認しながら、どこでエラーが起こっているのかをグループのみんなで探し、グループで話し合いを中心に活動ができていた。発表の際は他のグループがどのような座標を入力し、作品を完成させたのか予想しながら作品を鑑賞していた。授業後の検討会では、プログラミング教育の初期段階である小学校においては本時のような子どもたちの興味・関心を引き出すような授業から始めるのがよいとの意見をいただいた。算数科の目標をもっとしっかり設定した授業を目指せばもっとよくなるとの意見もいただいたので、今後の授業に活かしていきたい。
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②本時ではペアに1枚問題文が書かれた紙を配り、ペアで課題に取り組んでいった。子どもたちの考えが書かれた用紙を書画カメラで教室前方のホワイトボードに映し、ペアの考えをクラス全体へと広げて考えを深めていくことを心がけながら授業を行った。アドバイザーの小柳先生からは「学校としてペア・グループに一貫して取り組んでいる姿、子どもたちがしっかりと課題に向き合って考える様子を見られた。またICT環境設備が他の学校に比べて整っている中でその使用方法を取捨選択し、地に足の着いた取り組みが見られた。」とお褒めの言葉をいただいた。単元や教科・課題によってどういったICT活用方法が有効であるかを考えながら今後も授業を行っていきたい。
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本時の課題
線の上に点が並んでいます。
Aからスタートして「さいころ」をふって出た目の数の点だけ進むことにします。
1回目は右の方へ、2回目は左の方へと、1回ごとに向きをかえて進みます。次の場合、何通りの進み方がありますか。
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「さいころ」を5回ふったとき、2回目も5回目もAの位置にいる場合
本期間の成果
- ①1月26日(土)の公開授業と2月16日(土)の研修授業の2本の研究授業を行い、本校がめざす「はつしばスタイルアクティブラーニング」の構築に向け、2年間の総まとめを行った。
- ②公開授業でICT活用・プログラミング的思考を取り入れた算数の授業を公開し、本校の取り組みを多くの学校関係者に広める事ができた。
2年間の成果
- ①2年間に渡って公開授業でICT活用授業を行い、多くの学校関係者に授業を見学していただき、本校の取り組みを知ってもらうことができた。
- ②ICT活用での研修授業を行うにあたって、校内で活用方法などについて研修を重ね、「はつしばスタイルアクティブラーニング」の構築にむけて教員が一丸となって取り組むことが出来た。
- ③次期学習指導要領を意図して、効果的なプログラミング的思考・学習の指導方法を授業実践をもとに研究を行った。
今後の課題(計画)
- ①この2年間は毎年3学期に行っている公開授業においてICT活用・プログラミング的思考を取り入れた授業を公開することが出来た。来年度以降も本校のそうした取り組みを公開していきたい
- ②本校がめざすペア・グループ学習とICT活用教育が融合した「はつしばスタイルアクティブラーニング」は日々研鑽を重ね、子どもやクラスの実態を踏まえて教材研究を行っていかなければならない。この2年間での研究をもとに、さらに発展させていきたい。
2年間を振り返って、自己評価・感想(気付き・学び)など
最初は全く手探りの状態で始まった研究であった。本校は5年前から1人一台タブレット、電子黒板、校内無線LAN、外向けサーバーなどの整備を行い、ICT教育環境としては他の学校に比べても最新の設備が整っていた。ハード面での設備が整っている中で、それらの機器をどのように効果的に授業の中に取り入れていくかについては教員達のなかにも戸惑いがあった。そうした時に縁あってパナソニック教育財団の特別研究指定校に選んでいただき、2年間の研究が始まった。日々の授業の中で、どのように活用していけば子どもたちの学びが深まるのかを考え、試行錯誤を繰り返しながらの2年間であった。2年間という区切りは一旦つくが、これからもこの2年間の研究をさらに発展させながら、日々子ども達と向き合っていきたい。
成果目標
- (1)本校のICT活用教育の指針である「いつでも、どこでも、だれでも」という「はつキタス(はつしばユビキタス)」に基づき、「道具(ツール)としての個人持ちタブレットPC」を壁面大型ホワイトボードと電子黒板機能付きプロジェクターを装備したホームルーム教室(インテリジェント教室)で使うことによる、教育効果の検証を行う。
- (2)本校が進めている子ども自身の主体的な学びを大切にする「アクティブラーニング」にICT機器活用を融合させ、教育の質の向上、教育効果、情報リテラシーについての効果検証を行い、さらに本校の教育目標である、基礎学力の充実としつけ教育の基盤の上に立つ、「はつしばスタイル」ICT機器活用アクティブラーニングの構築を行う。
- (3)次期学習指導要領を意図して、教科・総合的な学習・特別活動における効果的なプログラミング的思考・学習の指導方法を研究する。
- 奈良教育大学 大学院教育学研究科 教授 小柳 和喜雄 先生
1.研究テーマ・取り組みについて
「はつしば学園小学校」は、ICT 活用の教育指針である「いつでも、どこでも、だれでも」という「はつキタス(はつしばユビキタス)」に基づき、「道具としての個人持ちタブレットPC」を壁面大型ホワイトボードと電子黒板機能付きプロジェクターを装備したホームルーム教室(インテリジェント教室)といった豊かな学習環境を構築してきた。そして、授業の目的や子どもたちの状況に即して、その環境を活かすべく、学校全体で授業研究などを通じて、学習規律と確かな学力の育成に努め、その実践の蓄積と共有できる実践的な知見(課題設定の工夫など)の検討を重ねてきた。
子供たちの状況、授業の目的や内容から、上記環境を活かした授業での活用を考えることに加えて、学習活動の基盤として子供たちの情報活用能力(たとえば、情報モラルの指導、プログラミング教育を通じた思考力の育成)を体系的に無理なく育てていくことが、各学年の各教科の学習、総合的な学習の時間を豊かにしていく共通理解が教職員全体に広がり、中長期的な視点から、上記の環境を活かす取組が進められてきた。
2.本期間の取り組み
この期間の取組としてまず言えるのは、2年間の研究の振り返りとまとめを進めるということもあり、ICTを活用した教育やプログラミング教育について、研修の成果や研究の成果を活かし、1月と2月の授業研究(内、1月は地域への公開研究発表会)で、その成果を確認した点が上げられる。
1月26日の公開授業では、これまで授業でICTを活用することはあっても、プログラミングなどは全く初めての教員が、校内の情報マイスターチームの支援を得ながら、その取組に関心を持ち、子供たちと授業の中で考え抜く学びを実践した。そこでの子供たちの学びの姿から手応えを得、さらに子供たちの学びを豊かにしていく上での手立てや課題設定の工夫について、公開授業を通して学校全体考えられたのは、大きな成果であったと考えられる。
また、2月16日の実践では、情報マイスターチームをリードしてきた教員が、むしろこの力を子供たちに培うためには、あえてよく使ってきたICTを子供の学習の道具としてはその時間は封印して、情報の提示と集団思考のときに限定して利用する実践が展開された。結果を出すことが目的であるときの利用、情報活用能力を培うときの利用に加えて、立ち止まって考えるときの利用など、その育成プロセスにおいて、ICTが必要なときはどんなときかを子供たちと共に、立ち止まって考えて行く実践に今後つながる取組と考えられた。
3.今後の期待
はつしば学園小学校は、これで2年間の研究を終えることになる。その成果を他の学校へ提案をしていくために、日常化されている実践の成果を、目標ごとに整理し、「成果の評価」と「取組の評価」に関わって、本研究の成果を他の学校にわかりやすく伝えることが期待される。