平成28年度(第42回)助成金贈呈式・スタートアップセミナー
平成28年度(第42回)
実践研究助成
助成金贈呈式・
スタートアップセミナー
当日は、助成校の皆様に奨励状を贈呈する贈呈式に引き続き、パナソニックセンターを見学していただく施設見学、研究内容のブラッシュアップを目的としたグループディスカッション、そして助成校同士の交流を促進する情報交流会の時間をもちました。
会場にはたくさんのご来賓の方々や全国の初等中等教育関係者など約140人にお集まりいただき、大変充実した贈呈式となりました。
第1部 助成金贈呈式
理事長挨拶
保護者や地域と連携して課題を解決
実践研究はその手法を学ぶきっかけ
パナソニック教育財団理事長 小野 元之
実践研究には、校長先生のリーダーシップや核となる先生の存在はもちろん欠かせません。さらに先生方が一丸となって保護者や地域の方を巻き込み、取り組みを外へ広げてこそ、すばらしい結果が生まれるものと信じています。先生方が問題意識を共有し、保護者や地域と連携しながら課題を解決する。その手法を学ぶ一つのきっかけとして、私どもの助成制度を有効にご活用いただければ幸いです。
来賓代表ご挨拶
教育の情報化推進に向けて
議論が深まるICTの活用
文部科学省 生涯学習政策局情報教育課 課長 磯寿生氏 (馳浩文部科学大臣がご公務により欠席のため、祝辞を代読)
また政府の産業競争力会議では、夏までに「教育の情報化加速化プラン」を策定することが決まり、総合的な推進政策について広く、深く、しっかりと議論し、ICT活用推進基盤の整備を進めていく所存です。
実践研究助成では、ICTを活用した思考力・判断力・表現力をはぐくむ授業づくりや、タブレットPCの日常化が拓く新たな教育スタイルの創造など、先進的な実践研究が対象となっています。本事業を主催されますパナソニック教育財団を始めとする関係者の皆様に敬意を表すと共に、ご健勝とご発展を祈念いたします。
選考経過説明
エントリー数は大幅増の747件
海外の取り組みや知見も参考に
パナソニック教育財団 事務局長 藤田稔
海外からの応募もあり、中には日本の教育の参考になるような取り組みや知見もありました。これから皆さんがどのように成長していくのか、できる限りの支援をしながら追っていきたいと思っております。
奨励状贈呈
第2部 施設見学
1階の「アクティブラーニングキャンプ」では文化、環境、相互理解などをテーマとした展示から、オリンピックやパラリンピックの歴史や意義をアクティブなスタイルで学ぶことができます。また2・3階の「リスーピア」では、体験型展示を通して理数の原理や法則を楽しみながら学ぶことができます。教材作成のヒントにしようと、先生方は熱心に挑戦しておられました。
第3部 グループディスカッション
事務局からの連絡
特別研究指定校へのトライ、
訪問アドバイスなど新たな試みも
パナソニック教育財団 金村俊治
より充実した実践研究となるよう、私たち財団はこれからも皆様を応援してまいります。
講演
実践研究助成をより充実させる
「4つの視点」とは?
大阪教育大学 教授 木原俊行氏
講演動画を見る①誰と:同じ学年や教科の先生だけでなく、若手・中堅・ベテランなど、異なる経験をもつ先生方が授業づくりについてコミュニケーションを図る学校ほど、学び合いが充実します。
②何を:誰もが研究テーマに対して自分なりのアイデアをもっていて、それを等しく共有するのだというとらえ方で進めてください。
③どのようにして:書くことで、今の自分の様子や実践研究の進捗状況を意識せざるを得なくなりますし、見直したり、つないで考えたりすることもスムーズになります。
④いかにして続けるか:PDCAサイクルを多元化しましょう。そして、研究推進のパートナーやサポーターを学校の外に何重にも見つけることです。
以上をまとめると、研究のテーマについての語り合いや学び合いを1年間続け、実践研究にまつわる文書を見える形で共有化するプロセスを何重にも敷く。そして先生方と学校の外との関係を短いPDCAサイクル・長いPDCAサイクルを意識しながら繰り広げるということです。この視点で、申請書に書いたプランを今一度、見直してみてください。
グループディスカッション
今回はその中から、特別研究指定校3校が集ったBグループのディスカッションに密着。どのような意見交換が行われたのか、レポートします。
ICTの導入で子どもたちに成果「かく活動」をさらに追究
広島市立藤の木小学校 校長 島本圭子氏
何のためにかくのか、どういったことをかかせるのかという「かく活動」の価値付けについて全教員で協議し、11人の教員がそれぞれの教科を決めて「かく活動」を追究していく計画です。課題は、この研究の評価をどのようにすればいいのかということ。学力検査以外の評価指標があれば、ぜひ取り組みたいと思っています。
意見交換
さらに、専門委員の木原俊行氏(大阪教育大学 教授)は、「複数の資料を踏まえて書いたか、段落構成を考えて書いたかといった指標を設けて、子どもたち自身が『自分の書くスタイルについてのアプローチ』が熟したかどうかをもって、成果とすればいいのではないでしょうか」と提案しました。
「BYOD」で使える端末を増やしICTの実践事例を教員間で共有
大阪教育大学附属平野小学校 教諭 松浦智史氏
さらに、教員はそれぞれの教科に属していて、その教科の中でのICTの使い方が、他の教科の先生に伝わっていないという弱みもあります。そこで2つの研究助成をうまく組み合わせて、主体性・協働性・創造性を高める実践事例を積み上げていき、学期に1度は実践事例報告会をもち、最終的には年度末に「実践事例集」としてまとめ、次年度に活かしていきたいと考えています。
意見交換
さらに、平野小学校がキーワードとして掲げる「BYOD」という言葉について、専門委員の高橋純氏は「BYOD社会という言葉の重みをもっと考えるべきではないか」と、コメント。
続けて、「BYODによって子ども1人に1台のICT機器を実現し、それを支える情報システムを構築できている学校は、授業以外にもたくさんの活用法を見いだしています。たとえば生徒会やクラブ活動、保護者との連絡、家庭での宿題など、ありとあらゆる場面にICTが登場します。BYOD社会を本気で追究するならば、授業以外の活用方法も追いかけていかなければいけません。まずは家庭と学校をつなぐ連絡ツールのような簡単なところから、始めてみてはどうでしょうか」と、具体的な提案をしました。
ICTを使ったプレゼンテーションで思考力・判断力・表現力をはぐくむ
茨城県古河市立上大野小学校
校長 滝本秀夫氏
教諭 薄井直之氏
具体的には、子どもたちがICTを使ってプレゼンテーションをする中で、情報の集め方や筋道の立て方、どういう表現をすれば伝わるかを考えることによって、思考力・判断力・表現力を身につけさせたい。教科は特定せず、各単元のどこで使うのが有効か探りながら進めていきます。本校がモデルケースになれば、市内の他校への普及効果も期待できます。
去年、薄井教諭が担任した6年生はすぐにICTの操作を習得しました。その6年生が低学年の授業に行き、端末の設定や使い方などを教えてくれましたが、彼らが卒業してしまった穴をどう埋めるかという課題もあります。
意見交換
全体講評
パナソニック教育財団 常務理事/選考委員 赤堀侃司氏
ほかにも、リストバンドで測定した生体情報をクラウド上で子どもたち自身がデータ管理していこうという取り組みや、ICTを活用した授業への意欲をどう継続させていくかという授業スタイルの研究など、どのグループの学校の研究も独自のアイデアが光っていました。
第4部 情報交流会
贈呈式や講演、グループディスカッションなど、この日1日を通した感想と研究に向けた意気込みを、3名の参加者におうかがいしました。
参加者の声
特別研究指定校
大阪教育大学附属平野小学校
松浦智史氏
特別研究指定校
兵庫県篠山市立丹南中学校
中森邦広氏
特別研究指定校
山形県立山形聾学校
宇治川雄大氏