「More than 50 percent of the whole population is 24 years old and younger. 」人口の50パーセント以上が24歳以下であること。
SDG goal4に視点から、「These young people will be active as future workers.」もしトヨタなどの日本企業が、工場誘致と若者のトレーニングを実現すれば豊かな社会の形成につながると話してくれた。
都道府県 学校 | 大阪府 大阪市立東高等学校 |
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アドバイザー | 影戸 誠 日本福祉大学 客員教授 |
研究テーマ | ICTを活用した主体的な情報発信スキルを身につけさせる国際連携アクティブラーニング ~海外の仲間たちとつながり、共に学んだ成果を世界に発信する~ |
目的 | 継続的な国際協働学習を通して、アウトカム・デザインとインターネット活用モデルを構築する。 グローバル人材の基礎力と、ICT活用能力を明らかにし、これらの力を育成するための広く活用できるモデルとして具体的な展開事例を示す。 |
現状と課題 |
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学校情報化の現状 | 2018 学校情報化優良校(継続) |
取り組み内容 |
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成果目標 |
授業実践におけるプレゼンテーションと探求学習の体験を設定し、まとめ、提案までを繰り返し実践し、その継続性を求める 生徒の研究活動として、海外連携校とWYMおよびASEPでテーマ策定して、研究活動をおこない探求学習による協働と共創の成果を発信させる 校内研究協議会を随時実施し実践成果の報告・発表を行う。これらを踏まえて郊外の各種研究会等での発信を行い、本研究の知見の共有を図る |
助成金の使途 | タブレットPC、記念盾、国際研修プログラム等への派遣・参加費、印刷費他 |
研究代表者 | 池田 明 |
研究指定期間 | 2019年度~2020年度 |
学校HP | http://swa.city-osaka.ed.jp/swas/index.php?id=h523502 |
公開研究会の予定 | 日本教育工学協会全国大会など |
*授業で使用したワークシートとスライド抜粋
*アドバイザー影戸教授の生徒向けレクチャー・カンボジアの学生とのネット交流の様子
国際協働学習においては、海外の仲間とリアルタイムで触れ合える場面をいかに効果的に設定できるかという点が重要なポイントであると感じた。文献やネットの検索によってさまざまな知識は手に入るが、学習者が本当の意味での気付きを得るためにはリアルタイムで交流することに意味がある。この部分についても、研究を通して考察を重ねて明らかにしていきたいと考えている。今後詳細に検討を行う。
ICTを活用した主体的な情報発信スキルを身につけさせる国際連携アクティブラーニング~海外の仲間たちとつながり、共に学んだ成果を世界に発信する~
東高校はこれまでのたゆまない国際交流活動の中で、台湾高雄市教育局との連携を深めている。
日本側19校と連携し、今年度は台湾、カンボジア、ベトナムはじめ海外35校と交流をベースに幹事校としてWYMを牽引している。
6月3日では、テレビ会議システムを活用したカンボジア教員研修センターのM君との交流を開催した。M君はこの夏のワールドユースミーティング(WYM)に参加するカンボジア代表の一人である。
国際的なテーマとなっているSDGsの学習と合わせてカンボジアにとってのSDSsの意味もともに考えた。「途上国にとってのSDGsにどんな意味があるのか」といった基本的な「質問」「探求の視点」からのテレビ会議である。
使用言語は英語。カンボジア学生のプレゼンテーションが20分、質疑応答が10分間であった。東高校の実践は Inquiry based Learningの理論をベースとしている。このテレビ会議で、「カンボジアという国における教育の意味」(途上国における教育の意味、人口ピラミッドから見た国の将来)という課題から展開した。
高校2年生の平均的な英語レベルを考え、1,300-2,000語レベルの単語を使い、わかりやすい英語の活用を学生に依頼した。単語レベルが高く、何を話したかわからないテレビ会議では、英語嫌いを作り出すだけである。高校2年生では「わかった、使いたい」英語との出会いをICTはサポートできる。
「More than 50 percent of the whole population is 24 years old and younger. 」人口の50パーセント以上が24歳以下であること。
SDG goal4に視点から、「These young people will be active as future workers.」もしトヨタなどの日本企業が、工場誘致と若者のトレーニングを実現すれば豊かな社会の形成につながると話してくれた。
国際交流、連携は一過性で終わることが多い。「こんにちわ」に始まり、手を振って「さようなら」と数回やって終わってしまう。
国内の98パーセントが日本人で日本語を使い、英語使う機会がほとんどない日本では仕方ないことかもしれない。しかし、世界の動きは即時に日本に伝達され、経済も平和も世界的な流れに取り込まれている。
東高校の取り組みは、まず相手を知る(SEE)ことから始まり、テレビ会議やLINEというICTを活用しつつ、相手との対話に心をこめ(Feel)、交流を続けていく。協働的活動(対面での協働プレゼンテーション作成)を通して、世界を意識ししつ(Internalize)、最終的な学習成果・協働英語プレゼンテーションを獲得している。Leaner-Centeredであり、対面、協働作業というダイナミックな時間の共有、実際の活動(Tangible action)に支えられている。
ネットワーク上での準備のあと、台湾の高校2校とチームを作りWYMに向けてプレゼンテーションを制作していく。
打ち合わせ、考え方の違いを乗り越えるときの言語は何であろうか?
もちろん 英語である。協議のために英語を活用する学習場面がこれまで、教室での学びの中にはなかなかみられない風景である。
論議を行い、誤解を乗り越え、「conflict Resolution」を必然的に乗り越え、最終プレゼンテーションへの繋がっていった。当日、これまでの教訓をいかし、連携したプレゼンテーションを、WYMの会場びわこくさつキャンパス(立命館大学)で発表していた。
https://youtu.be/b1wzynkm1Jk
(台湾連携校との協働プレゼンテーション)
共有すべき プレゼンテーションのポイント
*校内での共同作業と大会当日の会場の様子
*研究発表で使用したスライド抜粋
*影戸教授がレクチャーで使用されたスライド抜粋
国際協働学習において、海外の仲間とリアルタイムで触れ合える場面を迎え、参加生徒はその感激を胸に刻むことができた。これにより、学習者が本当の意味での気付きを得られた実感と深い学びの経験を得られたと感じられた。今後も、本研究を通して考察を重ねてより具体的にしていきたいと考えている。
大阪市立東高校、池田教諭をコアメンバーとする文部科学省後援行事ワールドユースミーティング(以後 WYM)は日本福祉大学東海キャンパスと立命館大学びわこ・くさつキャンパスで同時開催され、今年度で21回目を迎えた。
高校生、大学生が、福井、兵庫、大阪、奈良、京都、名古屋各地から2日間で約1,000名参加した。国内19 校、海外8か国から35校参加し合計54校の参加となった。
参加国は日本、ベトナム、中国、インド、台湾、カンボジア、マレーシア、韓国、フィリピンであり、大会テーマは「A Sense of Inclusiveness」(あなたの眼に映る私の姿)とした。
98パーセントが日本人という日本で、英語プレゼンテーションの協働制作、発表を通して、異なる文化が引き起こす「衝突」「課題」に直面し、英語で論議し、問題解決していく。その中で、国際的な協議力を身に着けるところに東高校の企画の特色があり、単なるプレゼンテーション大会とは異なる特徴でもある。
図1.海外生徒と協働で取り組む英語プレゼンテーション(https://youtu.be/b1wzynkm1Jk)
1-1 グローバル人材育成 発信型英語コミュニケーションのデザイン
事前(Preparatory Online Stage):インターネットを活用し、台湾とのテレビ会議での論議を踏まえ、プレゼンテーションを完成する。「いくつかの違い、相違」に気づき、乗り越えて完成できる。
当日(Face to Face Stage):チームで多くの聴衆の前に立ち、プレゼンテーションを行う。Intelligibility(わかりやすさ)に重点を置く、メッセージの残せるプレゼンテーションをチームで実施する。
事後:(Post Event Stage):プレゼンテーション動画をwebサイトアップロードし、相互評価に活用するとともに、改善点を探る。参加教員、生徒、学生はレポート作成を行う。
台湾高雄市高雄市立前鎮高級中学との協働プレゼンテーションに取組んだ。当日の発表までに、ホームステイの受け入れ、生徒の自由な英語で論議、葛藤、完成、大会での発表というタスクが設定されており、これらはTask-based Learningとして学習者中心のグローバル人材育成の実践となっている。
世界9か国の参加の中での発表であり、各グループのプレゼンテーション自体が相互の学び合いとなる。お互いがそのスキル(話し方、立ち方、スライドデザインなど)も共有していく。
とりわけアジア地域は多くの国がEFL(English as a foreign Language)として英語を学び、日本のように国内で英語を活用する場面がない国が多い。その中でどう発話力を高めていくかは、英語学習だけでなく、グローバル人材の育成の面からも需要である。英語プレゼンテーションという総合英語力を発揮にはスキルとして踏まえるべき事項もあり、東高校はこれまでこの大会の中で学んできた。
これらの成果は、一校では作り出すことのできない成果であり、ICTを活用し、連携した国際協働プレゼンテーションの持つ力である。
表1 ICT英語プレゼンテーションにおける基本スキル
英語発話力 | 130語/分のスピード |
Google 翻訳 | AI語を活用 AI語=(×私はうどんです、〇私はうどんが好きです。) AIが正しく変換できる言葉 ×I am Udon. |
スクリプト | 話しやすい短文は 同時に 聞きやすい短文 |
ファイル ICT活用ファイル作成 |
Visual Firstなデザイン 画像は国境を超える 1スライドに力ある1枚の写真 |
負荷の分散 クラウドサービス活用 |
グループで取り組み 全体を見ながら 個々の負荷を減らす 最終的には個人ですべてできるまで高める |
スマートフォン録画 立ち位置の記録 |
位置を変える トピックを変える効果を使う |
協議は英語で 振り返り録画 |
グループ内の協議は英語で行う |
校内で、プレゼンテーション担当の生徒だけでなく、ホームステイ、市内観光のグループも組織され、英語を介して様々なアクティビティが実施される。
プレゼンテーションに焦点を当てるならばWYMへの取り組みは校内全体のロールモデルとなり「校内ファイル共有システム」で共有される。これらのモデルは、表1で述べた基本スキルを含むものである。これらは校内のパナソニック教育財団助成実施委員会の教員で積極的に英語の授業、情報の授業の教材として活用される。
この実践は、何よりも、「自由な英語の発話」環境をもたらし「学習者中心」の実践を可能としている。主体的な取り組みによって、海外参加国に対する「国」意識も変わり、自分の人生を考える上での貴重なデータとなる。School knowledge(テキスト型知識)からActive Knowledge(活用型体験)へと変わっていく時でもある。
アジア学生交流計画(高雄市教育局主催)には、7ヵ国46チーム、約1,000人が参加した。ホームステイ、学校間交流など取り組まれるが、中でも現地校と日本の「協働プレゼンテーション」が主な活動となる。20年の歴史があり多くのタスクが埋め込まれ、先生のみならず、生徒、学生もその内容を掴み参加している。日本から教員も含め180余が参加した。
夏から始まるプログラムの策定、ホームステイの対応、滞在時の練習場所、練習方法の検討など、現地の先生との共通理解と、「教員としてタスク」を明確にし、対応しているところに継続の鍵がある。
図1.ASEP プログラム部分
Task-Basedとは小さな目標(タスク)を参加者である高校生・大学生が積み重ねながら、最終ゴールに至る一連の流れをデザインしたものである。アジア学生交流企画は学習者中心のタスクで組まれ、学習者が自由に英語を活用しながら、成果が出せるよう教師側からの働きかけ(Scaffolding)が行われ実施された。提示された枠組みの中で、自由な協議が展開される。 台湾側学校と日本の学校がペアーを作り、共にプレゼンテーションを実施する。そのためにはこれまで培われてきた手法、インターネットを活用した事前の交流、当日の交流、さらには事後の振り返りの学習などが継続的に取り入れられている。
外国語を学ぶということは、「入試などのアカデミックな能力」を測るだけでなく、時に自分の文脈で情報を英語で発信し、社会、組織、国際社会の中で責任をもって連携を作り上げることを意味する。この大会はそれを目的としている。ここ台湾にまでやってきて協働作業まで成し遂げようとする生徒たちであることから、動機付けは十分である。
基本構文を教室で学習し、ある単語、あるいは動詞を入れ替え定着させていくオーディオリンガルの訓練を乗り越え、ここでは自由な感覚で発話し、自分たちで工夫し、最後までやり抜き、プレゼンテーションを実施することが求められる。答えなどない、自分たちが答えだとばかりに果敢に取り組む。
教師は、“少しの無理をすればできそうな、枠組み、到達目標を与えながら”ファシリテーターとしての役割に徹する。
今年度は香港の問題、アジアにおける民主主義のありかたなど大きな社会事象があったが、「話し合い、協議し、一致点を見つける」作業こそ「民主主義の根幹」であることを参加者はそれぞれに感じ、協働作業に取り組んでいた。「否定、競争、宥和、協働」の要素を持つ協働学習の場面であるが、最終的な「一致点」を求め、外国語である「英語」で話すことが中心となる国際協働の場面で、一致点をプレゼンテーションに見出すまで取り組まれた。
図 2.東高校 スライドデザインを協議
台湾到着後、ホームステイなど体験しつつ、当日までに3つのトピックを含めたプレゼンテーションを自分たちで作り上げる必要がある。日本の高校生は英語を日常的に活用する環境にない。EFL(English as a Foreign Language)の国の生徒が論議する場合、いくつかの工夫が必要になる。ICTが大きくそれをサポートする。
作成段階の様子を見ていると「どうおもう」「意見は?」などのやり取りでは抽象的な論議となり、かみ合わないことが多い。
パワーポイント資料を見せながら、「どちらがいいか」と選択を積み重ね、合わせて内容も深めていく。このような時間の経過の中で「作品に自分たちの経験や考え」が反映され、発表への意欲も高まっていく。
図 3.タスクの共有
新学習指導要領では、「外国語を使って何ができるようになるか」を問う。新教科も設定されている。
「生徒自身が、自らの文脈で、ディスカッション等を行い、プレゼンテーション、ディベート」という活動を通して、一定多数に対して、ICT等を効果的に使い伝達する活動が新教科「論理・表現」である。
自分の責任において、論議し、発信していくという活動は、同文化を持った友人とのディスカッションでは、深めることが困難であり、教室とは違った学習環境がより効果的である。文化が異なる時、コミュニケーションの方法は大きく異なる。日本語の通じない他国の人と、自律的に会話し、時に対立もしながら進めていくASEPの活動は世界と論議できるグローバル人材の貴重な体験となる。
現地では、教師のお手本に頼らず、台湾の高校生と自由に英語を活用し、作品を作り上げていく。自由に英語を活用とは、自分の経験や知識で作品を作り上げるということである。これまであったようなインターネットの情報を寄せ集め整理して発表することではない。つたないながらも、相手と話し合い、特に食い違いを是正しながら、発表の日に向けて完成をさせていく一連の協働作業である。作品の完成にはこれまで先輩たちが作り上げてきたモデルが、スライドの枚数、デザイン、スクリプト単語レベル、話すスピードなど多く取り入れる事柄があり、大変役立っている。現地でまずこの動画を見て、ゴールの基本的な理解を多くの高校生たちが共有している。
イベント後はアンケート、レポートを通して活動を振り返る。英語でレポートを書き、知見の共有を行う。少し時間をおいて自分たちの発表をビデオで振り返り、客観的に評価する時間がネットワークで可能となっている。ホームページ上のレポートなどがそれである。英文を書く作業は大変ではあるが、自ら主体的に関わったことは書くことはできる。これらの作品の振り返りと、レポートの共有は、リフレクティブラーニング(振り返り学習)となり、覚える知識ではなく、使える知識として個々の参加者の中に定着する。
図 4.「協働」を競い合う(南山国際高校+樹徳家商高校)
大阪市立東高校の実践の中で次のことが明らかになった。
1「異文化を持った他国・他地域の生徒とのコラボレーション」には、今持っている英語力を活用しつつも、具体的なデータ、図を示しながら話しあうことが重要である。そのことによって、プレゼンテーション作成において、次の手順がおのずと明確になってくる。全体像とトピックの関係を「見える化」することが効果的である。
2「協働プレゼンテーションを支える要件」として「到達イメージ(ロールモデル)」が大変重要である。ネットワークの力を活用し、教員間で連携して周知すすべきである。
3 「国内の進学校、職業高校など様々な参加があるが、学校を超えた学び」として、それぞれのチームの工夫に学ぶことができる。マレーシアと台湾のチームは「演劇手法」であり、日本の高校チームも立ち位置、データのデザインなど年々工夫され、より効果的なプレゼンテーションが展開される。
夏に行われた、World Youth Meeting、冬のASEP共にホームページが設置されており、生徒のレポートも掲載されている。どこまで今の高校生たちができるのか、そのプレゼンテーションを見れば一目瞭然である。
*AsianStudentsExcahngeProgram2019の参加者事後アンケート結果集計グラフ
*アドバイザー影戸教授主催のレクチャー・カンボジアの学生とのネット交流の様子
東高校の取り組む国際連携には、国内外55校が参加する。自校の生徒の参加支援、教育効果を求めつつも、その母体である国内外の学校のサポートに東高校はまわる。
4月から7月にわたる活動の中で、参加校との話し合いが続けられた。
開催の形、オンラインで行うのか、あるいはハイブリット、または中止とするのか話し合われる。みんなで意見を出し合い、よりいい方向を出すのが、「対話的な学び」であり、実行委員会自体がそれを実践している。また合わせて、ZOOMの教育利用の在り方も話し合われた。その結果 9月下旬に55校参加で、ハイブリッド(一部対面)で国際連携プレゼンテーション大会(第22回ワールドユースミーティング)が開催されることとなった。
ワールドユースミーティング(以下WYM)の目的の一つに、ICT教育の普及を行うことが含まれている。参加の国の一つであるカンボジアは、コロナによって大きな打撃を受けている。日本、韓国、シンガポールなどIT先進国においては、ステイホームであっても、オンライン活用で教育の継続が、それなりに実現されている。
カンボジアは違う。在宅の児童、生徒へのケアができない。携帯電話は普及していても、それを教育的に活用する「情報教育」の歴史はない。
東高校は位置じめWYM参加校は、大会参加を予定しているシェムリアップ教育養成校や、カンボジア初の4年大学プノンペン教育大学の学生約20名とつなぎ、ネットワークの教育利用の一方法として、英語プレゼンテーションセミナーなど開催している。
東高校の生徒さんたちの情報はカンボジア学生、教員に、WYMとは何かを知らせ、ネットワークを活用し、世界と交わることの意味を、生徒さんの英語や態度の中に見い出したのではなかろうか。
日常的に使うことのない「英語」外国語として学ぶ、日本の高校生、大学生たち。
WYMはネットワーク通した活動である。英語活用を避けては通れない。これから、東高校はじめ、参加校55校は、時に戦いながら、当日の「協働プレゼンテーション」達成に向けて準備にはいる。
ネットワーク型であっても、壁はある。台湾からの参加校は「Zoom禁止」であるし、中国からの参加校は「Google Meet」は禁止である。
このような中で、教員が力を合わせ、「話し合いの場」をネットワーク上に形成していく。
図1 WYMサイト
それを見せるのが、パナソニック教育財団支援校の責務ともいえる。
ICTは協働英語プレゼンテーションを大きく支える。効果的な写真、図表は直観的な理解を促進する。メディア活用は言語の壁を打ち破る。
世界と語ろうとする日本の高校が、シンプルで、わかりやすい、発表スピードを考えたプレゼンテーションを行う。それが、日本型発信のモデルとなるであろう。
英語を覚え、テストする「加算的な恐怖」からのがれ、体験のなかから、「対話」への自信を育てていく。
インストラクショナルデザインの視点では、「Task-Based Instruction」である。
自由な英語活用で考えを戦わせ、作品(Task)を作りあげる。
この作品が、他校のモデルとなり、少し頑張って、世界とつながり、世界を考える英語のモデルを示すこととなる。
作品は、webに掲載され、毎年蓄積されつつある。
WYMサイト http://www.japannet.gr.jp
Reigeluth :Instructional-Design Theories and Models, Volume IV:
*World Youth Meeting’2020 生徒作成のスライド抜粋
*World Youth Meeting’2020の参加者事後アンケート結果 (スライド抜粋)
文部科学省後援行事第22回ワールドユースミーティングが9月26日27日に開催された。継続的に学ぶことは物事の習得に必要不可欠である。東高校をはじめとするWYM参加校22校は現在、舞台を変えて12月28日に台湾高雄市教育局が主催するASEPに向けて準備を行っている。
2つの国際連携プロジェクトは相互に学び会いながら、会を重ねてきている。
http://www2.csic.khc.edu.tw/11/1109/ASEP2020/index.htm
次の図はプレゼンテーションの評価基準である。年々改訂され、WYMでもASEPでもほぼ同じものが使われる。教師間の連携が歴史を作り上げていく。国際連携で重要視しているものは、英語力の獲得よりも、「対面」「協働作業」という、“やりにくさ“こなすことである。プレゼンテーションという「成果物」を作り上げその過程で主体的な英語活用(Task-Based Learning)を行うことにある。異文化を持った生徒とのコミュニケーションは衝突を時にまねくが、これらを超えることで、大会参加が可能となる。相手国との付き合い方を知る学習でもある。大きく構えればアジア地域の民主主義に貢献する道でもある。
WYMに引き続きASEPもCOVID19の影響を受け、オンラインの協働学習となった。これまでオンラインでの準備は平時でも行われてきたため、準備は順調だったようである。
高林(2020)は「自律的学習の続けるサイクルの一般モデル案」の中で、メディアとの強い連携を示唆している。積極的にイベントに立ち向かいながら、メディア切り替え方略(方略1)を生徒たちは使っている。その時間の中で国際協調力を獲得する。例えばGoogle翻訳のカメラ機能を使い、英文配布文章をスキャンし理解する。ネットワーク検索でこれまでのプレゼンテーション事例をダウンロードし、スクリプトも手に入れ、ファイルの作成方法、発話方法、大会で用いられる単語レベル、表現をチェックする。これらの学習は主に自力で行なわれる。
ASEP.、WYMにおける自律的学習要素をイメージを図にしてみた。
自律的学習者
1 メディアの切り替え方略 | 場面に応じて学習メディアを選ぶ |
2 対人接触量方略 | 学習に関する話を人と沢山する |
3 メディア環境方略 | 本や論文に手が届く準備をする |
4 行動維持方略 | やる気になり学習サイクルが続くような用意や計画をする |
5 批判的思考方略 | teach others "学習内容を自分なりに分析する 関連事項、応用や質問を自分で考える" |
6 自己モニター方略 | 自分の理解を観察する 自分の目標や達成度を確認し、褒める |
参考:自律的学習の「続けるサイクル」の一般モデル案(2020、「コミュニケーションとしての学び」を参照)
ASEP2020プレゼンテーション発表サイト 達學堂 (kh.edu.tw)
参考:2020、高林友美「コミュニケーションとしての学び」
オンライン大会期間12月28日~29日(前回報告書締め切り後の実施のため今回分に収録)
ホスト2校 高雄市立瑞祥高級中學・高雄市立前鎮高級中學
各ホスト校と事前交流 テレビ会議・SNSなどネットワーク活用
校内での参加生徒対象事前研修、プレゼンテーションの動画パート撮影
各ホスト校へプレゼンテーションのデータを提出
大会当日、プレゼンテーション部分は事前収録で、FAQセッションのライブ実施
例年は公開形式で実施している発表会を本年はオンライン動画配信形式での実施に変更
限定公開の動画配信で生徒各班の研究発表を行い国際交流関係生徒も発信した
2021年になり2年間の実践研究の終盤を迎えても引き続きコロナ禍が終息を見ることはなく、感染症対策の観点からフェイストゥフェイスの交流実践が全面的に実施できない状況が継続した。本研究の成果報告を兼ねた公開研究会も実施のめどが立たず、開催を断念する方向であったが、指導助言をいただき、何とかオンライン開催での公開研究会を実施することができた。
また、研究成果の取りまとめに際しては、手法などさまざまなアドバイスをいただき、成果報告書をとりまとめることができた。
本校を会場に予定していた公開研究会が予定通りには実施できない見込みとなり、研究会自体の中止も想定されたが、何とかオンライン開催という形式で実施できた。このようなオンラインイベントの配信側を初めて経験することになったが、さまざまな新たなスキルを知ることができた。また、学校開催では参加がむつかしい遠方の国内外からもリアルタイムで視聴参加していただき、実地開催とはまた違った可能性も感じられた。
オンライン公開研究会で、アドバイザーからのコメントの中に「東高校の生徒はなんか楽しそうに見える」というご指摘があった。さまざまな学習活動の中には、多大な不断の努力が必要で、辛く厳しいものも多々ある。しかし、少なくとも国際協働学習などのアクティブラーニングにおいては、生徒が楽しく意欲的に取り組める仕掛けが大切であり、それが少しでも目に見える形で表れていることをよろこばしく感じた。モチベーションが持続することで、困難な課題でも解決できるような主体的情報活用能力が習得されるのではないかと改めて考えた。
本実践研究のまとめを行い、公開研究会と成果報告書で発信することができた。
交流活動が引き続き制限され、実践計画が予定通り進められなかった部分も多いが、一方でオンラインでのさまざまな取り組みが進められ、最終的な成果報告の公開研究会もオンラインで実施できた。当初の計画にはなかったネット利用の実践ノウハウも獲得することができた。
実践研究の柱としてフェイストゥフェイスの交流が設定されていたが、2020年度になって、緊急事態対応のためさまざまな実践活動に制約がかけられたため、想定通りの実践が遂行できず、想定していた研究成果のすべてを予定通りに得るには至らなかった。その反面、ネット活用の実践が今まで以上に積極的に進められたので、想定外の成果をあげられた部分もある。
継続的な学校間国際交流活動が取り組みの中心となる本実践研究の知見が、「距離」「意識」の隔たりを克服する教育効果の高い実践プランのモデルとして活用できることが見込まれる。参加者相互の将来的なキャリアにこの学びが生きる(Internalize)という本研究の成果が、交流校相互の教育方法の改善に広く活かされていくことが期待できる。成果の詳細については、成果報告書に取りまとめた。
台湾高雄市との学校間交流を軸として実践研究を継続して展開していく。交流範囲を拡張しつつ実践研究を進めたい。また、今までの活動の改善を必要とする場合の知見として実践の成果を積極的に伝達し情報共有を図りたい。これらを遂行するための、人的・経済的裏付けが今後の課題である。
また、コロナ禍が終息したのちには、なるべく早く人的交流を再開させ、今まで培ってきたヒューマンリレーションシップの再確認と、この間のネット利用による実践ノウハウの国際的な共有も検討したい。
特に後半の1年は、コロナ禍の影響が世界中に拡がり、本実践研究にも大きく影を落とした。単発的に、想定していた実践計画が変更になったり、実施結果が得られなかったりで、マイナーチェンジを余儀なくされることは実践研究においてはよくあることである。しかしながら、今回の状況は実践研究の根幹にかかわる事態で、世界的に人的交流が制限され、国際交流実践の柱ともいえる実際に会って語り合う活動が本研究期間の後半では全く実施できなかった。さらに、研修会や研究会も実地で開催されるものはほとんどなく、一部がオンラインで開催されたのみとなった。そんな中でも、今までの実践経験とヒューマンネットワークをもとに、何とか継続的な国際交流を推進し、成果をまとめるに至れたことは幸いであった。
総じて、今回の助成によって、海外での交流実践活動を効果的に遂行することができた。しかし、特に日本の公立学校では海外での交流活動や実践研究活動について、コスト面のみならずさまざまな制約があり自由な実践研究活動が難しい現状は変わっていない。今回の成果や知見を積極的に発信し、国際交流活動の活性化につなげていくとともに、より多くの機会で海外での充実した活動が実現できるように、各方面に継続的に働きかけを続けていきたい。
参考サイト
・World Youth Meeting http://www.japannet.gr.jp/
・Asian Students Exchange Program http://www.kageto.jp/asep/2020/
この2年間の実践研究では、これまでの実践からの継続性を保ちつつ、生徒の深い理解を達成するために有効とされるInquiry Learning(探究学習)とCollaborative Learning(協働学習)の手法を用いて、国際連携アクティブラーニングに取り組み、夏・冬の二度にわたり国際プレゼンテーション大会での発表機会を設定し、対面協働作業を通じたConflict Resolutionの体験をさせる計画を推進してきた。「相手を知ること(See)・体験すること(Feel)」にとどまらず、生徒たちに「内面化・生活化(Internalize)」させる活動も実施し、授業での取組とすることで継続性を保障することをめざした。
本期間においては、この実践研究のまとめを行うフェーズとして、実践に取り組みつつ成果報告の取りまとめを行うこととした。
2021年3月、現在、ミャンマーのクーデター軍事政権に対して、民主主義を求める平和デモが続いている。
軍の制圧、無差別射撃により、子供を含めた、多くの市民が殺害され、傷ついている。
そのミャンマーの人たちがアジアの平和構築のリーダーとして期待しているのはどこの国なのか?アンケート結果からみると、それは日本であり(76.3%)、2位の米国T(39.7%)を押さえダントツである。長年の政府のアセアン外交の一つの成果といえる。国際的な信義を得ることの背後には、日常的な関係構築がある。
今回の助成で取り組んだ東高校の国際連携イベントは、相手国とともにタスクベースな協働プレゼンテーションの作成と発表を昨年12月28日、29日に実施し、コロナ禍の影響を受けてオンラインとして実施された。
World Youth Meeting(WYM)は2回、Asian Students Exchange Program(ASEP)も2回、計画書に記載されていた。2019年は対面で2020年はオンラインでの実施であった。
オンラインであっても、これまで通りZOOM、LINEというデジタルネイティブにとっては大変身近なツールを使い、見事これまでのものと比べて遜色のない作品をつくり上げ貢献している。
英語プレゼンテーションに興味のある方であれば、その発話方法、構成、立ち姿、表情、コアメッセージなど見事なものであることに気づかれることと思う。
今年は22回目の大会となったが、大会の継続によって、参加生徒たちはWeb上にある過去の先輩たちの作品に学び、難しいけどゴール・イメージを持ってパートナー校との英語の討論をこなした。ネットワーク上での論議は時間調整など難しかっただろう。最後にはオンラインで見事にプレゼンテーションを行った。
感想文にも「満足のいく成果だった、でも会いたかった」という声があった。
それはInternational Sympathy (インターナショナルシンバシィー・国際共感力)であろう。“会いたかった”一緒に作業をし、葛藤もし、意見の集約も作り上げる過程で、相手の国を知り、協働した相手を知る。そしてともにいた時間の中でInternational Sympathyを共有する。
このことが、2020年度には十分に育て上げることができなかった。
ミャンマー、カンボジア、フィリピン、ベトナム、台湾、香港、東京オリンピック、カーボンニュートラル、中国、韓国
いくつものテーマがある。学生、生徒たちはつながり、対話を反芻しながら「あの人たちの国の、平和と、民主主義の実践」を願っている。
日本はすでに島国ではなく、インターネットとメディアが周りの海を埋めている。メディア活用が視界の広さと、連帯の厚さをもたらす。
今回の実践はグローバル人材に必要な、スキル、英語での交渉力、自己教育力、国際共感力を育むケーススタディとなったように思う。
資料:
アセアン対日世論調査
https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000434060.pdf
WYM プレゼンテーション ビデオクリップ
http://www.japannet.gr.jp/w2020/w2020-presentation.html
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