本期間は本研究の目的である「基礎的・汎用的能力」「学習意欲」「自己効力感」「自己調整力」について,さまざまなデータ(エビデンス)を用いて,2年間の研究の成果と課題の分析を試みた。
1 基礎的・汎用的能力について
生徒アンケートではルーブリック表を用いて基礎的・汎用的能力の自己評価を行った。7月と12月を比較した結果,大きな変化は見られなかったが,7つの力において,A評価が増加した。また,保護者アンケートからは,保護者は,昨年度と同様に,「挑戦する力」「やり抜く力」「見通す力」「将来を考える力(えがく力)」の4つの定着を望んでおり,研究による変化が見られなかった。
⑴ 生徒アンケートから(7月 N=236 12月 N=226)
⑵ 保護者アンケートから (R3.7 N=189,R3.12 N=155,R4.7 N=184,R4,12 N=153)
2 学習意欲
学習意欲については,生徒アンケートやハイパーQ-Uの結果から向上していることがわかる。
⑴ 生徒アンケートの結果から(7月 N=236 12月 N=226)
⑵ ハイパーQ-Uの結果から
※5段階評価(とてもそう思う5点,少しそう思う4点,どちらともいえない3点,あまりそう思わない2点,全くそう思わない1点)に,それぞれの回答した割合に掛け,合計を数値化したもので比較した。(最高5点)
⑶ 学習の観点別評価の結果から
全校の1学期と2学期の学習の観点別評価A,B,C評価を各観点でその割合を比較した。その結果,1学期,2学期ともに,「主体的に学習に取り組む態度」が他の2つの観点に比べ,A評価が高いことがわかる。また,少しの変化ではあるが,「主体的に学習に取り組む態度」のA評価が1学期に比べ増加した。本研究の成果を学習評価から得ることはできなかったが,学習評価のデータを今後の教育活動や授業改善に生かしていきたい。
3 自己効力感
自己効力感の評価は,課題対応能力の「最後までやり抜く力」と「自信をもって挑戦する力」の変化を分析した。生徒アンケートでは,「やり抜く力」は,ルーブリックのA評価が少し増加したが,「挑戦する力」には,7月と12月で変化は見られなかった。しかし,キャリア・パスポートの基礎的・汎用的能力の自己評価においては,「最後まで取り組む力」や「自信をもって挑戦する力」をこれから「身に付けたい力」,これまでに「身に付いた力」として評価しており,課題対応能力の向上を意識して取り組んでいたことがうかがえ,自己効力感が育まれていると考える。
⑴ 生徒アンケートの結果から(7月 N=236 12月 N=226)
⑵ キャリア・パスポートの記述から
4 自己調整力
自己調整力については,生徒アンケートの結果(全校)から「当てはまる」の割合が上昇し,「当てはまらない」が減少したことがわかる。
また,自己理解シートに入力されたデータの月ごとの数値をグラフ化し比較した。1,2年生は同じような推移を示したが3年生は高校受験への指導と進路意識の向上から学習時間の向上を見ることができる。今後はグラフで視覚化されたグラフを生徒に定期的に提示することで,自ら考え,判断し,行動できる生徒の育成を図りたい。
⑴ 生徒アンケートの結果から(7月 N=236 12月 N=226)
⑵ 自己理解シートの結果から