活動レポート
「全国キャラバン 2016 in 鹿角八幡平」 開催報告
- 2016年12月27日
- キャラバン
■開催テーマ 「子どもと観光客 素敵な出会い・広がる笑顔 ~こころを育むボランティアガイド~」
■当日プログラム 12:15~12:45 受 付 12:45~13:05 郷土芸能紹介1(谷内先祓舞) 13:10~13:30 開会行事 主催者挨拶 鹿角市立八幡平中学校長 澤口 康夫 氏 パナソニック教育財団理事長 小野 元之 氏 来 賓 挨 拶 鹿角市教育長 畠山 義孝 氏 感謝状贈呈 13:40~14:00 郷土芸能紹介2(水沢盆踊り太鼓) 14:15~15:45 活動報告&パネルディスカッション 活動報告 鹿角市立十和田中学校 教諭 工藤 靖 氏、 生徒代表 鹿角市立尾去沢中学校 教諭 小泉 渓 氏、 生徒代表 鹿角市立八幡平中学校 教諭 浅水 英夫 氏、生徒代表 パネリスト 鹿角市まちの案内人協議会山の案内人 戸舘 忠 氏 小坂町立小坂中学校統括教頭、前 秋田県教育庁北教育事務所鹿角出張所 社会教育主事 奈良 育 氏 こころを育む総合フォーラム選考委員、 全国小学校道徳教育研究会顧問 馬場 喜久雄 氏 コーディネーター 鹿角市立花輪第一中学校教頭、前 八幡平中学校教頭 駒木 利浩 氏 15:50~16:20 基調講話 こころを育む総合フォーラム座長 山折 哲雄 氏 演題「こころを育むとは ~ふるさとを誇りに生きる~」 16:20~16:30 閉会行事 挨拶 パナソニック教育財団顧問 遠山 敦子 氏■郷土芸能紹介1・開会行事・郷土芸能紹介2 オープニングでは、鹿角八幡平地方に伝わる郷土芸能「谷内先祓(たにないさきばらい)舞(まい)」を受け継ぐ中学生が、刀や扇子を持って、太鼓のリズムにあわせて凛々しい舞を披露しました。 開会にあたり、鹿角市立八幡平中学校 澤口校長先生、当財団 小野理事長、鹿角市 畠山教育長より挨拶いただきました。 続いて、八幡平中学校からガイド活動に協力し、支えてくださった地域団体の方々に感謝状を贈呈しました。後生掛温泉の阿部仁氏、一般財団法人自然公園財団八幡平支部の工藤勲氏、まちの案内人協議会の戸舘忠氏の3名です。八幡平の自然や歴史等についての授業やガイドの指導、現場での設営や休憩場所の提供など、年間を通して活動に関わり、支援を続けてくださっています。 オープニング最後は、中学生が郷土芸能「水沢盆踊り太鼓」を披露しました。男子生徒、女子生徒ともに18kgもある太鼓を肩から提げ、見事な撥さばきで、力強く太鼓を叩く姿は迫力がありました。
■活動報告&パネルディスカッション 活動報告では、八幡平中学校をはじめ、鹿角市内で地域のボランティアガイドを行っている十和田中学校、尾去沢中学校の生徒のみなさんと先生からそれぞれの学校の取り組みを発表しました。 十和田中学校の生徒代表から「大湯環状列石(通称 大湯ストーンサークル)ボランティアガイド」について、「縄文遺跡の大湯ストーンサークルが今残っているのは、地域との強いつながりと協力で保存されてきたことを知りました。県外から訪れたたくさんの方々に、自分たちの住む十和田にある文化遺産をガイドし、喜んでもらえたことをとても嬉しく思いました」 尾去沢中学校の生徒代表から「史跡尾去沢鉱山ボランティアガイド」について、「ふるさと尾去沢の良さを自分の言葉で語れ、社会で生きるために必要なコミュニケーション能力と表現力がついた尾中生になりたい、そして地域に元気を与え、自分も元気になることが狙いです」 八幡平中学校の生徒代表の3年生から「八幡平ボランティアガイド」について、「3年間のガイド活動はやりがいがありました。自分は人に声をかける勇気や積極性、表現力やコミュニケーション力が養われ、成長できました。年間86万人の多くの観光客を引きつける自然の魅力がいっぱいの八幡平に住んでいること、そこでガイド活動ができることに誇りと幸せを感じます」と発表しました。同校の浅水教諭から「本校の活動の特色は、サービスラーニングであることと、生徒の主体性にあります。(1年生から3年生の縦割り班で活動するため)3年生は1年生を育てなければならない視点に立つことで、生徒の主体性、リーダーが特に育ち、活動がパワーアップします。こうした意義ある経験の積み重ねによってこころが育まれています」と補足説明しました。
パネルディスカッションでは、学校、地域団体、フォーラム選考委員から「子どもたちの郷土愛や自尊心、相手を思いやるこころを育むとともに、地域を元気づける活動である」と活発な討議が行われました。
鹿角市まちの案内人協議会山の案内人の戸舘忠氏から、「10年ほど前、中学生の子どもたちの中に地元の八幡平に登ったことがない子どもが多いのを知り、非常に驚き、ふるさとの素晴らしさを知らずに成長していくことに寂しさも感じたことが、この活動に関わるきっかけです。今はいろいろな活動で子どもたちと接する機会が多くなり、元気をいただいています。子どもたちが八幡平をガイドする姿は、頼もしさを感じます。最近は子どもの数が極端に少なくなり、地域の方々が、地域の子どもとして、見守り、育んでいかなければならないと強く感じています。これからも機会あるごとに関わり、この活動をPRしていきたいと考えています。」
小坂町立小坂中学校統括教頭、前 秋田県教育庁北教育事務所鹿角出張所、社会教育主事の奈良育氏から、「ガイド活動は、ここ鹿角からスタートして、隣の大館市、また県内全域に広がりを見せています。また伝統芸能や祭典を、地域だけでの存在が難しくなってきたものを、学校全体で古老の方々から教えていただいて継承するという取組もあり、学校が地域コミュニティの核となってきています。今後、秋田でしかできない領域や、秋田オリジナルの産業を興してくれるような子どもを育てたいと思っています。」
こころを育む総合フォーラム選考委員、全国小学校道徳教育研究会顧問の馬場喜久雄氏から、「全国的に課題になっている子どもの様子は3つあります。1つ目はいじめ問題。2つ目は自尊心や自己肯定感が足りないこと。日本人としての誇り、ふるさととしての誇り、そして自分に自信を持つ、そういうことが大事ではないかと思います。3つ目は情報モラルの問題です。情報とは、情けを報せることであり、心をもってしなければならないと思います。八幡平中学生のガイド活動は、一言一言にふるさとを思う気持ちがあらわれています。この町が好きだから、この町を誇れるから、思いやりがあふれる町にしたい、そういうこの町を大切にすることから心は育まれていきます。」
コーディネーターの鹿角市立花輪第一中学校教頭、前 八幡平中学校教頭 駒木利浩氏から、「目の前にいる相手の気持ちや行動、言動から何かを気遣ったり、推し量ったりそういう流れの中で心が、思いやりが育まれていくのではないかと思います。このボランティアガイドの取組は、子どもと観光客のすてきな出会いの中で相手を感じて、お互いに笑顔になる、そしてふるさとを誇りに思う素晴らしい取り組みであると感じます。」
■基調講話 山折哲雄座長から基調講話をいただきました。 演題は「こころを育むとは ~ふるさとを誇りに生きる~ 」です。 (※山折座長の基調講話は、こちらをご覧下さい。)
■閉会行事 最後に、当財団 遠山顧問より、「ボランティアガイドをする中学生の皆さんが自信に満ちて、非常に立派でした。自然に関わること、他の人とのつながりをもつことは一番子どもたちの心に残ることだと思います。いろいろなことを思いきりやって、すばらしいこれからの人生を力強く歩いていただきたいと思います」とお話され、閉会しました。
■開催を終えて、主催の八幡平中学校 澤口校長先生から一言いただきました 「紅葉から初冬に向かいはじめた11月19日、本校で開催したこの事業に約450名のご参加をいただき、ここ鹿角八幡平より全国へ「こころを育む取組」について発信することができました。また、山折座長、遠山顧問をはじめ、フォーラム関係者の皆様には遠路ここ鹿角八幡平までお越しいただきました。心より感謝申し上げます。 今後は、本フォーラムでのご提言を参考に「進める・広げる・続ける」3つの工夫を重ねながら、地域・企業・関係機関との連携をより密にし、本校ボランティアガイドをさらに進化・発展・充実したものにしていきたいと思います。」
■あとがき 当日の午前中には、八幡平中学生による「校内ボランティアガイド」が行われました。 「校内ボランティアガイド」とは、学校内をボランティアガイドコースに見立てて、各所にガイドポイントを設置し、お客様に説明しながらご案内するガイドです。 生徒代表の8名が、山折座長をはじめ登壇者の方々を、わかりやすいように工夫した資料や実物などを使い、八幡平の国立公園にいるかのように、いきいきとした笑顔で、丁寧にガイドをしました。登壇者からの突然の質問にも慌てることなく、笑顔で対応ができていました。生徒自身が主体的に取り組み、自信を持って、楽しみながら活動している様子が伺え、この活動の良さを裏付けるような場面を多々見ることができました。今後さらに発展し、継続していただいて、鹿角から全国へ発信していただきたいと思います。
※「八幡平ボランティアガイド」は、毎年10月第二土・日に実施しています。 ご参加を希望される方は、八幡平中学校のHPをご確認ください。