活動レポート
第17回有識者会議
- 2008年4月25日
- 有識者会議
「こころを育む総合フォーラム」の第17回ブレックファスト・ミーティング(有識者会議)が25日朝、東京・千代田区のパレスホテルで開かれた。今回はメンバー16人のうち13人が出席、全国運動の推進に向けて具体的な話し合いが行われた。
冒頭、発起人で松下教育研究財団理事長の遠山敦子・元文科相があいさつ。「今後の進め方について(案)」「全国運動推進について(案)」など資料を示しながら「これまでの活動成果を世に問い、運動を質的に高めていくための活発な議論をしていただきたい」と要望した。趣旨は、子どもたちに「自分に向かうこころ」「他者に向かうこころ」「社会に向かうこころ」を持ってほしいという観点に立ち、家庭・学校・地域・企業がそれぞれの場で(1)呼びかける事業(広報、パンフレット発行など)、(2)活動を紹介する事業(事例集の作成など)、(3)よい活動をほめる事業(褒賞)、(4)よい活動を広める事業(シンポジウム、キャラバン)に取り組もうとする内容だ。これに基づき、座長の山折哲雄・国際日本文化研究センター名誉教授の司会によって出席者13人がそれぞれ意見を述べた。主な発言は、次の通り。 「さまざまな全国運動があって、どうしても『子どもたちを巻き込もう』という話になるが、あれもこれもと言えば学校の現場が『もう勘弁してくれ』という話になるし、今の子どもは非常に忙しい。既存のそういうものを精査したうえで、適切な形で働きかけを行い協力関係を作っていくような工夫も必要なのではないか」 「自己・他者・社会の中で、子どもにとってまず大事なのは自己。何かで『これだけは自信がある』というものを身につけさせることだと思う。自分が何に合っているかを知り、一生懸命やったことに対して『よくやった、あなたはここではもう第一人者だ』と、ほめることで引っ張っていけるようになったらと思う」 「いろいろな運動が縦割りで存在するが、ある運動をしている子どもたちと別な運動をしている子どもたちが交流して触発され合うということがある。そんな『触媒』があってもいい。人に教え、人から学ぶという経験から『自己肯定感』が養われるのではないか。才能の芽生えを互いの交流によって養い合うことが、子供たちの自信につながるはずだ」 「このフォーラムのキーワードは『総合』だと思う。子どものこと以前に大人のあり方を考えること。理念と現場活動をどう総合していくのかという問題。都市(特に東京)だけでなく地方からの発信をどう実現していくか。そして『こころ』の問題を狭めずに根本的なことを考えていくこと。そこに『総合』の意味があると考える」 「他者を思いやる心情を身につけようといっても、中学生や高校生は現実に入試という”輪切り”があって競争しているわけだし、親も同じ気持ちでいる。そこを理解する必要があると思うが、一方で『でも、これからはこういうことが大事なんだ』と彼らに言えるだけの”強さ”を持たなければならないと感じている」 「有識者が上から物を言っていると思われかねない印象が気になる。大事なことは、一人ひとりの人間にスポットが当たること。あなたがいること、君がいることに価値があるんだということを皆に知ってもらうことが、私はこのフォーラムの最も基本的なコンセプトだと思っている。存在することに意味がある、と謳うことに意味がある」 「新聞的にやさしく言うと、一人ひとりの顔がよく見えるような関係を築くのが、この運動の一番大切なところ。自分の体験だが、列車の中で人が倒れたのを見ても全く無視する乗客がいた。メールじゃなくて口で対話できる社会を取り戻そうというのが、この運動の基本にある。この社会で足りなくなったものを見つめ直したい」 「私の会社では在宅勤務を推進している。アンケートを取ったら、気持ちよく仕事が出来て生産性が上がるだけでなく「子どもや地域とのきずなが深まり、会社人間から地域社会で暮らす人間の実感がわいてきた」という声が目立つ。実態と時代に合わせた活動を、この運動を担う企業の立場で実践していきたい」 「褒賞制度にしてもシンポジウムやキャラバンにしても、活動の実践者や参加者に中心になっていただき、有識者会議のメンバーがあまり表に出なくてもいいのではないか。参加者を公募して個人・団体は問わないという姿勢が大事。実践者の発言や体験報告にウエートを置くという方針を徹底させるべきだと思う」 「自己と他者と社会に向かうべき子どもの『3つのこころ』を考える場合、『他者』と『社会』を区別する必要がありそうだ。自分にかかわりのある他者と、全く無関係の(社会の構成員である)他者とでは違う。このフォーラムでは、子どもに向かって直接呼びかけるよりも、大人へのメッセージを中心にする方がいい」 「教育の問題や地域・家庭の問題は真正面からばかり論じていると煮詰まってしんどいテーマになるので、雲のような軽みが必要かなと思う。この有識者会議は運動を下支えする組織に徹し、顕彰などもあまり厳密ではなくすき間だらけでいい。いろいろなものをほめて、その間の交流がうまく起こっていくような広がりを期待している」
冒頭、発起人で松下教育研究財団理事長の遠山敦子・元文科相があいさつ。「今後の進め方について(案)」「全国運動推進について(案)」など資料を示しながら「これまでの活動成果を世に問い、運動を質的に高めていくための活発な議論をしていただきたい」と要望した。趣旨は、子どもたちに「自分に向かうこころ」「他者に向かうこころ」「社会に向かうこころ」を持ってほしいという観点に立ち、家庭・学校・地域・企業がそれぞれの場で(1)呼びかける事業(広報、パンフレット発行など)、(2)活動を紹介する事業(事例集の作成など)、(3)よい活動をほめる事業(褒賞)、(4)よい活動を広める事業(シンポジウム、キャラバン)に取り組もうとする内容だ。これに基づき、座長の山折哲雄・国際日本文化研究センター名誉教授の司会によって出席者13人がそれぞれ意見を述べた。主な発言は、次の通り。 「さまざまな全国運動があって、どうしても『子どもたちを巻き込もう』という話になるが、あれもこれもと言えば学校の現場が『もう勘弁してくれ』という話になるし、今の子どもは非常に忙しい。既存のそういうものを精査したうえで、適切な形で働きかけを行い協力関係を作っていくような工夫も必要なのではないか」 「自己・他者・社会の中で、子どもにとってまず大事なのは自己。何かで『これだけは自信がある』というものを身につけさせることだと思う。自分が何に合っているかを知り、一生懸命やったことに対して『よくやった、あなたはここではもう第一人者だ』と、ほめることで引っ張っていけるようになったらと思う」 「いろいろな運動が縦割りで存在するが、ある運動をしている子どもたちと別な運動をしている子どもたちが交流して触発され合うということがある。そんな『触媒』があってもいい。人に教え、人から学ぶという経験から『自己肯定感』が養われるのではないか。才能の芽生えを互いの交流によって養い合うことが、子供たちの自信につながるはずだ」 「このフォーラムのキーワードは『総合』だと思う。子どものこと以前に大人のあり方を考えること。理念と現場活動をどう総合していくのかという問題。都市(特に東京)だけでなく地方からの発信をどう実現していくか。そして『こころ』の問題を狭めずに根本的なことを考えていくこと。そこに『総合』の意味があると考える」 「他者を思いやる心情を身につけようといっても、中学生や高校生は現実に入試という”輪切り”があって競争しているわけだし、親も同じ気持ちでいる。そこを理解する必要があると思うが、一方で『でも、これからはこういうことが大事なんだ』と彼らに言えるだけの”強さ”を持たなければならないと感じている」 「有識者が上から物を言っていると思われかねない印象が気になる。大事なことは、一人ひとりの人間にスポットが当たること。あなたがいること、君がいることに価値があるんだということを皆に知ってもらうことが、私はこのフォーラムの最も基本的なコンセプトだと思っている。存在することに意味がある、と謳うことに意味がある」 「新聞的にやさしく言うと、一人ひとりの顔がよく見えるような関係を築くのが、この運動の一番大切なところ。自分の体験だが、列車の中で人が倒れたのを見ても全く無視する乗客がいた。メールじゃなくて口で対話できる社会を取り戻そうというのが、この運動の基本にある。この社会で足りなくなったものを見つめ直したい」 「私の会社では在宅勤務を推進している。アンケートを取ったら、気持ちよく仕事が出来て生産性が上がるだけでなく「子どもや地域とのきずなが深まり、会社人間から地域社会で暮らす人間の実感がわいてきた」という声が目立つ。実態と時代に合わせた活動を、この運動を担う企業の立場で実践していきたい」 「褒賞制度にしてもシンポジウムやキャラバンにしても、活動の実践者や参加者に中心になっていただき、有識者会議のメンバーがあまり表に出なくてもいいのではないか。参加者を公募して個人・団体は問わないという姿勢が大事。実践者の発言や体験報告にウエートを置くという方針を徹底させるべきだと思う」 「自己と他者と社会に向かうべき子どもの『3つのこころ』を考える場合、『他者』と『社会』を区別する必要がありそうだ。自分にかかわりのある他者と、全く無関係の(社会の構成員である)他者とでは違う。このフォーラムでは、子どもに向かって直接呼びかけるよりも、大人へのメッセージを中心にする方がいい」 「教育の問題や地域・家庭の問題は真正面からばかり論じていると煮詰まってしんどいテーマになるので、雲のような軽みが必要かなと思う。この有識者会議は運動を下支えする組織に徹し、顕彰などもあまり厳密ではなくすき間だらけでいい。いろいろなものをほめて、その間の交流がうまく起こっていくような広がりを期待している」