2021年度(第47回)助成金贈呈式・スタートアップセミナー

2021年度(第47回) 実践研究助成
助成金贈呈式・
スタートアップセミナー

開催日 2021年5月28日(金)
オンライン開催
オンライン集合写真

2021年5月28日、2021年度(第47回)実践研究助成 助成金贈呈式を行いました。新型コロナ感染拡大に伴い、昨年度に続いて、今年度もオンラインでの開催となりました。助成校や専門委員の先生方にはZoomで、当財団の役員及び関係者の皆様にはYouTubeのライブ配信でご視聴いただきました。

今年度は特別研究指定校4校と一般助成校76校が助成を受けられます。

第1部の助成金贈呈式では主催者挨拶、来賓からの祝辞、選考講評に続いて、昨年度の「研究成果報告書」表彰校4校によるパネルディスカッションを開催しました。

第2部のスタートアップセミナーでは、専門委員と助成校の先生方が17のグループに分かれ、Zoomミーティングのブレイクアウトルーム機能を使用して、グループディスカッションを行いました。並行して、希望する一般助成校17校を対象としたオンラインサポートキックオフミーティングも実施しました。

第3部では、8つのテーマに分かれたルームで情報交換できる交流会の時間を設けました。ICTの可能性を感じさせる、「GIGAスクール元年」にふさわしい贈呈式となりました。

第1部 助成金贈呈式

理事長挨拶

写真:小野理事長

コロナ禍で進んだ「GIGAスクール構想」
ICTの活用がこれからの課題

パナソニック教育財団 理事長 小野 元之

動画を見る(YouTube)

新型コロナの感染拡大で大変な状況の中、贈呈式にご参加いただき、ありがとうございます。当財団は設立48年目を迎え、これまでにのべ3,271校に助成をさせていただきました。単に助成金を差し上げるだけでなく、成果が出るようにサポートし、その成果を発信することで多くの学校に活用していただきたいと考えてまいりました。また2018年度からは、小中学校の子どもたちによるプレゼンテーションコンクールも始めました。

私どもは学校教育におけるICTの活用・普及促進に力を入れてきましたが、新型コロナの影響もあり、ここへ来て「GIGAスクール構想」が一気に進んで、ほとんどの小中学校に1人1台の端末が導入されていることと思います。

これからはICT機器をどう活用するか、対面とオンラインの授業をどう組み合わせるか、個々の子どもの能力に合った学習をどう進めるかが課題になるのではないかと考えております。「GIGAスクール元年」ということで、助成校の皆様方は授業研究に積極的に取り組んで、数多くの実践研究事例を発信してください。

来賓ご祝辞

写真:今井裕一課長

ICTを活用した実践・蓄積・共有が
コロナ禍における学びの保障につながる

文部科学省 初等中等教育局
情報教育・外国語教育課 課長
今井 裕一 氏

動画を見る(YouTube)

文部科学省 萩生田 光一 大臣の祝辞を代読します。

このたび助成を受けられる80の学校及び研究グループの皆様、おめでとうございます。また、日頃より教育の情報化の推進に多大なるご尽力をいただいている皆様、全国の学校で、子どもたちの学習指導や心のケアにご尽力いただいている皆様に厚く御礼申し上げます。

文部科学省では「GIGAスクール構想」の実現に向け、3度の補正予算で児童生徒1人1台端末の予算を計上し、昨年度末には概ね、全国の小中学校に整備の目処が立ちました。学校のICT環境整備の次に必要なのは、ICTを活用した優れた実践とその蓄積・共有です。

皆様方にはICT活用の先導者として、さまざまなテーマに取り組み、優れた活用事例を他校に発信・共有していただきたいと思います。こうした積み重ねが学校におけるICT活用の全国的な推進、コロナ禍における学びの保障につながります。文部科学省としても引き続き、すべての子どもたちの可能性を引き出す個別最適な学びと協働的な学びの実現に、ハードとソフトの両面で取り組んでまいります。

選考講評

写真:赤堀侃司先生

未来を向いた大きな研究テーマ
学びを止めてはいけないという志の表れ

東京工業大学 名誉教授/選考委員長 赤堀 侃司 氏

(VTR配信)

動画を見る(YouTube)

今回は80件の助成が決まりました。書類を拝見すると、「GIGAスクール構想」に対応したものやプログラミング教育など、今日的なテーマの研究がたくさんありました。中でも、自己の生き方やこれからの社会について、あるいはSDGsといった、未来に向かってどうすればよいかという大きなテーマを掲げた研究に心惹かれました。

私たちは新型コロナだけではなく、この先も東日本大震災のような大地震や大水害などに遭遇するかもしれないという先行き不透明な社会に生きています。そんな中でも、決して学びを止めてはいけないという気持ちを皆さんがもっています。そういう意味においても、テクノロジーをうまく活用しながら、子どもたちが元気に前に進んで行くにはどうしたらいいかという志がうかがえて、大変うれしく思いましたし、そのような研究を期待したいと思います。ご関係者の皆様方には、引き続きのご支援とご協力をお願いいたします。

パネルディスカッション 
―2020年度「研究成果報告書」表彰校4校の研究事例より-

優秀校から学ぶ実践研究の「問いの立て方」

<コーディネーター>

明治大学 准教授     岸 磨貴子 氏

<パネラー>

魚沼市立宇賀地小学校   若井 純 先生

郡山ザベリオ学園中学校  福本 葵 先生

北海道函館水産高等学校  澤田 和之 先生

福井市啓蒙小学校     大正 秀哉 先生
(現・福井市光陽中学校)

続くパネルディスカッションでは、岸 磨貴子 氏(明治大学 准教授)の進行で、2020年度「研究成果報告書」表彰校4校に実践研究を発表していただきながら、「問いの立て方」について検証していきました。


写真:岸先生

実践研究への3つのアプローチ

明治大学 准教授 岸 磨貴子 氏

★パネルディスカッションへの導入VTRはこちら

実践研究へのアプローチには3つあります。1つは魚沼市立宇賀地小学校が実践したような「実践現場で起きていることをわかる研究」、2つ目が郡山ザベリオ学園中学校・福井市啓蒙小学校が実践したような「仮説を立て実証する研究」、3つ目は北海道函館水産高等学校が実践したような「アクションを起こし、変化を生み出す研究」です。

そして、研究の問いを立てるポイントは3つあります。1つは「答えが出る問いを立てること」、2つ目が「手に負える問いを立てること」、3つ目は「データにアクセスできる問いを立てること」です。この2つの観点から会話を始めましょう。

※学校名をクリックすると詳細へ移動します。


写真:魚沼市立宇賀地小学校

【わかる研究】
キャラクター「うかにぎり」を活用して
情報活用能力を育み、探求・発信活動を充実

魚沼市立宇賀地小学校 若井 純 先生

研究成果報告書

宇賀地は教育や学校への関心が高い地域ですが、児童数が減り、多様な人と関わる機会が少ないため、自分の思いを表現し、社会と関わる力に課題がありました。そこで3年前、卒業生たちが米やユリをモチーフにした本校のキャラクター「うかにぎり」をつくり、挨拶運動や運動会、校外学習などで活用してきました。

さらに当校では、情報活用能力を育む活動が情報教育計画に位置づけられていなかったため、「うかにぎり」を活用して情報活用能力を育み、探求・発信活動を充実させようと考えました。そこで、私たちは3つの問いを立てました。

①ICTを活用して探求・発信活動の充実を図ることで情報活用能力は高まるのか?

活動記録を写真で残し、4月と3月に児童の情報活用能力の変容を調査しました。

②ICT活用と「うかにぎり」の組み合わせによる効果はどうなのか?

写真を撮り、職員・児童の生の声を聞き、活動に対する意欲の変化を記録しました。

③若手教員のICT活用能力はどのように向上していくか?

4月と3月に職員にアンケートを行い、悩みや相談を記録していきました。

●岸先生のコメント

子どもたちの情報活用能力や意欲の変化を記録するために、写真を撮り、プロセスを丁寧に追ったのはよかったと思います。それを先生があとから意味づけ・解釈することは「わかる研究」では大切なこと。先生がその場その場で困ったことと解決のプロセスを記録したことで、先生の学びの軌跡もわかる研究になりました。


写真:福井市啓蒙小学校

【実証する研究】
通級・特別支援学級・通常学級のICT活用で
子ども同士・先生同士の交流を促進

福井市啓蒙小学校 大正 秀哉 先生

研究成果報告書

本校は支援を要する児童が15%と多く、通常学級には特性が強い児童が多い傾向にありますが、保護者は同学年の友達との関わりを強く希望しています。そんな中、春の体育祭で、ある児童がトイレに行っていて、50m走に出られなくなる事件が起きました。先生へのインタビューの結果、特別支援学級と通常学級の関係構築や子ども同士の交流ができていないことがわかりました。そこで学校全体として、要支援児童への専門的な知見からの研修と児童理解、教員間の風通しのよい関係構築、各教員が研究に参画意識をもち幅広く取り組むといったことを行い、その際にICTの活用がとても効果的でした。

ICT活用については、2019年度にも財団の助成をいただき、特別支援学級と通常学級でタブレットを活用し、貸出簿を作成して長期休業中は長期貸出を可能にしました。

2年目の2020年度は、通級指導の先生を巻き込んで各担当者・各学級に1台タブレットを所有し、通級担当者の指導力とICT活用力の向上を図りました。その結果、通級の子どもがタブレットでつくったものを自学級のお楽しみ会で発表し、みんなを楽しませる等という子どもの個性の伸長が見られました。また、アプリ購入時の情報交換などを通して、通級指導と特別支援学級と通常学級の先生同士の関係構築と評価に関する情報の共有にも役立ちました。

●岸先生のコメント

啓蒙小学校が立てた「特別支援学級と通常学級の交流を図ることで、児童同士の理解、教師の関係構築、保護者との連携は促進されるのか?」という問いについて、ビフォーアフターを見る時、数値だけではなく、質的な変化や子どもの発言などを観察していくことも大事なのだと感じました。


写真:郡山ザベリオ学園中学校

【実証する研究】
G-PDCAサイクルをタブレットで振り返り
「なりたい自分」になる

郡山ザベリオ学園中学校 福本 葵 先生

研究成果報告書

本校は幼稚園から中学校までの一貫教育です。一昨年度のアンケートで、受験などの目先のゴールを意識する生徒が多く、なりたい自分像を考える機会がないことがわかりました。そこで、生徒が1年間の大きなゴールをつくり、いろいろな活動の中で目標を設定して、自分でG-PDCAサイクルを回し、どれくらいできたかチェックする取り組みを行いました。

その際、「振り返りを蓄積するツールとして、タブレット端末は有効なのか?」という問いを立てました。生徒がいつでも振り返れるように、データはポートフォリオ「My Consul」に蓄積し、自分の成長を教員と保護者に発表する「成長インタビュー」の場を設けました。パワーポイントでまとめる作業を通して、生徒自身も成長を感じることができました。

生徒の変化を検証するためにルーブリックを作成し、7月と1月にはアンケートを実施。「主体性」に関しては7月はSランクが0、Aが26%だったのが、1月にはS・A合わせて42%に増え、「自己分析力」も大幅にアップして、Dを選択する生徒が減りました。タブレットについても尋ねたところ、手に取りやすく、すぐ確認できるところがいいとの意見が多数でした。

●岸先生のコメント

なりたい自分を見つけるためのICT活用という観点が面白いですね。有効性を確認するためにルーブリックのアンケートをつくり、子どもたちにも評価に参加してもらった点がいいと思いました。成長インタビューやアンケートで言語化されたものを分析したり、データの収集方法について生徒に聞いたのもよかったと思います。


写真:北海道函館水産高等学校

【変化を生み出す研究】
ICTを活用し、地域の課題を調査
解決に向けたアクションにつなげる

北海道函館水産高等学校 澤田 和之 先生

研究成果報告書

職業高校として地域に求められるものがたくさんある中で、コロナ禍においても自分たちにできる活動は何かと生徒たちに問いかけました。生徒たちは海洋に関連した地域の課題を検索エンジンで調べ、市役所や漁協にも話を聞いて、海岸漂着ゴミと漁業についての調査研究活動を行うことにしました。

地域の漁獲量が減っているということで、インターネットで水温やCOD等の経年変化を調べ、海の変化を探るために、カヌーで海を見に行きました。食物連鎖の生産者である海藻が関係しているのではないかとの仮説を立て調べたところ、七重浜にはアマモが植生していましたが、海岸線には海藻がゴミと一緒に打ち上げられていました。

そこで、七重浜の海岸清掃・環境保全・海洋調査という3つの活動を設定しました。校内に呼びかけた9月の海岸清掃には81名が参加しました。拾ったゴミを分別したところ、家庭から出るプラスチックゴミの比率が高く、海洋ゴミのマイクロプラスチック問題について考えるきっかけになりました。

●岸先生のコメント

生徒たちから出てきた「やってみたい」「知りたい」「解決したい」という気持ち。その中から「海の変化はどうなっているんだろう?」という問いが生まれ、そこからわかってきたことをもとに、生徒たちはアクションを起こしました。そのプロセスの中で、ICTがさまざまな形で活用されていることを感じさせてくれる研究でした。


●全体ディスカッション

質問「うかにぎりは今も登場しますか?」

若井先生「運動会で、子どもたちがうかにぎりに届け物をする競技を考えたり、校外学習の時にぬいぐるみを連れて行ったり、地域の雪まつりに雪像が登場したりしています。1年生を迎える会で着ぐるみを着た6年生の生徒は、着ぐるみを着たら緊張しなかったと話していました。うかにぎりを媒体にすることで、表現・発信に対する抵抗が下がり、成功体験を繰り返すことで、実際にできるようになるのだと思います」

質問「データを取って検証する上で難しかったことは何ですか?」

大正先生「学びの定着など、いろいろな要素によって成果や評価が変わるという点で、データの数値化に苦労しました。その分、先生の面談などを通して、状況を把握するよう努めました」

第2部 スタートアップセミナー

事務局からのお知らせ

パナソニック教育財団 則常 祐史

一般助成校の皆様には研究概要を出していただいていますが、今日のアドバイスを受けて改善したものをご提出ください。7・12・3月にはフォトレポートを提出していただきます。公開研究会の案内も財団ホームページで随時行っていますので情報をお寄せください。3月には研究成果報告書を提出していただき、好事例だったものを表彰し、秋の日本教育工学協会(JAET)全国大会で発表していただきます。

このほか、財団の事業としては、助成校の小中学生を対象としたプレゼンテーションコンクールを開催しています。また、教育の情報化授業づくりのミドルリーダー養成講座「極意塾」を実施しています。年6回、講演やディスカッションなどを行っていて、助成校の皆様にも視聴できる機会をご提供します。

★プレゼンテーションコンクールURL
https://www.pef.or.jp/school/grant/presentation/

グループディスカッション

昨年度に引き続き、Zoomミーティングのブレイクアウトルーム機能を活用して、グループディスカッションを行いました。特別研究指定校1グループと一般助成校16グループの17グループに分かれ、各グループに専門委員の先生方が加わり、助成校が研究概要を発表し、内容をブラッシュアップするための質疑応答やアドバイスが行われました。

特別研究指定校グループの内容をご紹介します。


特別研究指定校のグループディスカッション
端末の持ち帰りで誰一人取り残さない教育を実現

静岡市立横内小学校 新井 義広 先生

★研究課題と取り組み内容はこちら

●意見交換

横内小学校から「端末を持ち帰ることのよさを実感できる実践のヒントがあれば教えてください」との質問がありました。

専門委員の吉崎 静夫 氏(日本女子大学 名誉教授)は「キーワードは“つなぐ”。学校の授業と家庭での学習、通常学級の子と登校できない子をつないで、NHK for SchoolやAIドリルなどの教材も活用し、たくさんの実践事例をつくるといいと思います」とアドバイス。小柳 和喜雄 氏(関西大学 教授)は「反転学習とは、持ち帰り宿題を持ち寄り宿題に変えていくこと。家庭でやってきたことを活かして、学び合いにつなげます。おうちの方の前で音読して録音したものを学校で練習した後と比べて、手応えを得るといった方法もあります」と提案しました。


生徒の対話の様子を記録し、授業づくりに生かす

榛東村立榛東中学校 宮田 江里子 先生

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●意見交換

岸 磨貴子 氏(明治大学 准教授)は「撮影した内容の分析方法が研究の中で重要になってくると思いますが、どのようにしていく見通しですか?」と質問。宮田 先生は「VRはグループに1台置いて、対話の部分だけを見ている状態で、分析をうまく活用するところまではまだ難しい状況です」と答えました。

専門委員の小柳 氏は「360度カメラは、先生が見落としがちな死角に置いて、全体を俯瞰して授業研究などで共有するという使い方もある」と提案し、吉崎 氏は、「対話には個人内対話と個人間対話がある。子どもたちが発言していない時に実は何を考えていたのか、振り返ってもらうのも大事だと思う。カルテ・座席表・再生刺激法など、これまでの授業分析法をバージョンアップしながら活かしいってほしい」とアドバイスしました。


キャリア教育と「知・徳・体」をICTで結びつける

長岡市立関原中学校 田中 哲也 先生

★研究課題と取り組み内容はこちら

●意見交換

専門委員の岸 氏は「この事例は、知識偏重になりがちな学校教育の中で、どんな取り組みをすればいいかを示す道標になりそうな気がします。生徒にどんな状態になってほしいのか、もっと具体的にわかれば、有用かどうかの判断がしやすいと思う」と提言しました。これに対し、田中 先生は「今の学びが将来や社会とつながっていることを子どもにも職員にも理解してほしい。自分の頑張りを振り返ることで、意欲的で能動的な子どもになってほしい」と答えました。

そして、専門委員の小柳 氏は「ポートフォリオも毎回ではなく、単元の中でも力点を置いた山場のところだけタブレットに書いてもらうとか、狙いやレベルによって、タームを決めたらいいと思います。キャリア教育の視点でいうと、各教科で書いたものを1カ月とか1学期に1度、振り返る日をつくるといいかもしれません」と提案しました。


ICTで地域とつながり、未来と地方創生を考える

学校法人聖ヨゼフ学園日星高等学校 吉岡 達也 先生

★研究課題と取り組み内容はこちら

●意見交換

専門委員の岸 氏は「地方創生に“面白そう”という感覚で取り組むことは重要だと思います。都心だと、すでに価値づけられたものを消費者として買う生活ですが、地方は宝箱で、私たちの視点によって、いくらでも地域資源を意味あるものに変えられます。それをするのが対話であり、学びなのだと感じさせる事例でした」と感想を述べました。

また吉崎 氏は、「探求学習を採り入れたことで、京都大学に次々と合格者を出す進学校になった京都市立堀川高校の“堀川の奇跡”を思い出しました。地球規模で考えながらも、足元から取り組む。舞鶴というローカルとグローバルなSDGsの問題をつなぐ視点が新しいと思います。その時に大事なのがカリキュラムデザインで、グループ学習、個人学習、卒業研究という流れをうまく組むことで新しいものが生まれ、第二の奇跡が起こる気がします」と期待を寄せました。

オンラインサポートキックオフミーティング

今回も、グループディスカッションと並行する形で、「オンラインサポート」キックオフミーティングを実施しました。「オンラインサポート」は、希望する一般助成校を対象とした実践研究活動の支援策として、本年で3年目の取り組みとなります。

助成校が日々の実践研究活動を推進する上で出てくる課題や疑問などについて、サポーターを務める専門委員がオンラインコミュニケーションツールを活用してアドバイスをしたり、あるいは他の助成校も交えての協議などを行うことで、より良い実践と研究成果を上げることを目指す取り組みです。

サポーターと助成校のやり取りにはSlackやZoomを活用し、学校間でも自由に情報交換できます。

本年度は、昨年に引き続きご指導をいただく6名の専門委員と17校の学校により「オンラインサポート」が推進されています。

<サポーター>(五十音順)

  • 木原 俊行 氏(大阪教育大学 教授)
    サブリーダー
  • 今野 貴之 氏(明星大学 准教授)
  • 中橋 雄 氏(日本大学 教授)
  • 長谷川 元洋 氏(金城学院大学 教授)
    リーダー
  • 水内 豊和 氏(富山大学 准教授)
  • 山本 朋弘 氏(中村学園大学 教授)

第3部 交流会

8つのテーマを自由に語り合う交流会

第3部では、Zoomミーティングのブレイクアウトルーム機能を活用して、交流会の時間を設けました。皆様からいただいたリクエストをもとに、「BYOD/PC持ち帰り、ICT活用、学習ソフト、オンライン授業/遠隔授業、キャリア教育、STEAM教育、探究学習、新学習指導要領/情報」という8つのテーマを設定し、前半20分・後半20分、好きなルームに入って意見交換していただきました。自由参加にもかかわらず、32人もの参加がありました。

「オンライン授業/遠隔授業」のルームでは、「障害のある生徒の伴奏支援のために」という特別支援学校の先生や「外出禁止令が出ていて、よりよいオンライン授業のヒントがほしい」という日本人学校の先生、「公開研究会の360度VR化を研究している」という小学校の先生などが参加し、授業の進め方や評価の方法などを共有しました。

「探究学習」のルームでは、「個人個人の探求になった時、個人の進度に差が出てもいいのか?」「その場合、子どもの成長や変容をどう測ればいいのか?」といった議論が行われ、「子ども自身がポートフォリオを振り返って、自分の成長を実感し、次年度の目標を立てられるようになることが最も重要」などの意見が出されました。

「BYOD/PC持ち帰り」のルームでは、「Classroomで、いつでもどこでも親とも子どもともつながれるので、いつまでが勤務時間になり、どこまで対応すべきなのか線引きがわからなくなる」という相談に対し、「6時までなどと時間を決めて対応するといい」といった提案が寄せられました。