平成29年度(第43回)助成金贈呈式・スタートアップセミナー
平成29年度(第43回)
実践研究助成
助成金贈呈式・
スタートアップセミナー
会場にはご来賓の皆様や初等中等教育関係者など、全国から160人の方々にお集まりいただきました。
この日は、奨励状の贈呈式やパナソニックセンター東京の施設見学、グループに分かれて研究を発表し、意見を交換し合うグループディスカッション、1日の学びや助成校同士の交流を深める情報交流会など、充実した時間をもつことができ、盛会のうちに終了しました。
第1部 助成金贈呈式
理事長挨拶
新しい学習指導要領が動き出す今、
実践研究を学校教育改革のきっかけに
パナソニック教育財団理事長 小野 元之
助成先の皆様には実践研究のポイントとして、校長先生のリーダーシップとICTの核になる先生がいらっしゃること、校内のすべての先生方が協力し、保護者や地域社会も巻き込んで取り組みを広げていくことをお願いしたいと思います。実践研究に取り組むことが子どもたち同士の仲間づくりや、先生方と子どもたちの関係を密接なものとすることにつながり、学校教育をよりよく改革していく一つのきっかけになれば幸いです。
来賓代表ご挨拶
予測困難な時代の子どもたちに求められる
ICTを活用し、主体的に考え、解決する力
文部科学省 生涯学習政策局情報教育課 課長 梅村研氏
また昨年7月、2020年代に向けた教育の情報化に関する懇談会の議論をもとに策定した「教育の情報化加速化プラン」に掲げた各種施策を実行し、ICTを活用した新たな学びを進める所存です。
助成をお受けになる皆様には、さまざまな情報通信技術を効果的に活用し、創意工夫あふれる学びの実現に寄与されるよう大いに期待しております。財団や関係各位のご努力に敬意を表すると共に皆様のご健勝と発展を祈念し、お祝いの言葉といたします。
選考経過説明
財団HPの応募要領閲覧数が増加
申請書に量から質への変化
パナソニック教育財団 事務局長 藤田稔
奨励状贈呈
第2部 施設見学
第3部 グループディスカッション
事務局からの連絡
研究成果報告書の評価により
一般助成校にも広がるチャンス
パナソニック教育財団助成事務局 金村俊治
助成校の写真レポートや公開研究会の情報、特別研究指定校の活動報告、過去の研究成果報告書などは財団のホームページで、ご覧になれます。ぜひ、ご活用ください。
講演
成果目標の設定と評価の方法について
横浜国立大学教職大学院教授 野中陽一氏
講演動画を見る平成27年度の助成校の研究活動の初期と終了時を比較してみると、まず教員のICT活用が上がり、児童生徒のICT環境の整備が上がる。そして、おそらく今後は児童のICT活用や情報活用能力が上昇し、それらを支えるのが校内研修や先生方のICT活用指導力の向上ということになるのでしょう。
とはいえ、成果目標や変容を具体的に示すのは非常に難しいことです。しかし、たとえばICT活用や情報教育のことが職員室で話題にのぼるようになったとか、カリキュラムが授業レベルから単元レベル、年間指導計画へと教科横断的に変化したというのも一つの成果です。そういう細かい成果の記述が、他の学校が取り組むときにも「ここが変わった」と認識する助けになります。
そのような変化の積み重ねや評価こそが、結果的には助成校の実践研究の成果の蓄積や持続的な発展、地域への還元につながるのではないでしょうか。
グループディスカッション
この中から今回は、特別研究指定校3校が参加するAグループに密着しました。意見交換の一部をご紹介します。
タブレット一人1台で個に応じた指導が可能に
大阪初芝学園 はつしば学園小学校 教諭 橘淳治氏
次期学習指導要領についていえば、プログラミングの考え方を児童にどう教えていくかということも研究課題に加えなければいけません。タブレットがいつでも、どこでも、誰でも使える文房具のような存在になるような授業のスタイルを2年で、どの学校でも使える形にして、地域にも還元していきたいと思っています。
意見交換
最後に、専門委員の吉崎静夫氏(日本女子大学教授)は「はつしば学園小学校が掲げる“はつしばスタイル アクティブラーニング”の内容がわかりにくい」と指摘し、「児童の使い方の実態を整理していった上で“はつしばスタイル”のカリキュラムをつくり上げていったほうがいいのではないか」と提案しました。
情報発信力を育成するカリキュラムを開発
北海道教育大学附属函館中学校
副校長 白川卓氏
教諭 郡司直孝氏
意見交換
対話型ロボットで社会性育む、21世紀にふさわしい学び
愛知県立みあい特別支援学校 教諭 中川恵乃久氏
意見交換
一方で、専門委員の小柳和喜雄氏からは「わくわくする研究ではあるが、万が一の危機管理も必要。Pepperがうまく起動しないときのために、代わりのICTもデザインしておいたほうがいい」と、ロボットの不具合を懸念する声も聞かれました。
全体講評
理想と現実のギャップを埋める日々の努力に感謝
パナソニック教育財団 常務理事/選考委員 赤堀侃司氏(東京工業大学名誉教授)
また、静岡県立沼津工業高校はIoT時代のプログラミング学習にチャレンジしていました。考えてみれば、たとえば農業もさまざまなデータを取ったほうが生産量は上がるわけで、工業高校が社会と密接につながっていることを感じさせられました。
全体を通して感じたのは理想と現実のギャップです。そのギャップを埋めるのが先生方の努力であり、私ども財団が担っている大きなミッションでもあります。先生方の日々の努力と、すばらしい実践に心からお礼を申し上げます。
第4部 情報交流会
1日の感想と、今後の研究に向けての抱負を特別研究指定校と一般助成校の先生方3名に、おうかがいしました。
参加者の声
特別研究指定校
川崎市立川崎高等学校附属中学校
校長 和泉田政徳氏
特別研究指定校
長岡京市立長岡中学校
教諭 森山結城氏
一般助成校
大阪市立堀江小学校
教諭 宮本純氏
昨年度まで特別研究指定校として助成を受けていた本校は、今年度から新たにプログラミングに取り組んでいきます。先進的なチャレンジゆえに手探りでしたが、進むべき方向が見えてきました。