スクールフォトレポート

2024/12/18

仙台市立八乙女中学校

端末を利用した学習で意欲と自信を取り戻す

写真:端末を利用した学習で意欲と自信を取り戻す
ケース1
 文字を書くことに困難のある通常学級在籍の中1生徒Aは、黒板を書き写すのがつらいと訴えた。1学期の定期考査(仙台市は2学期制のため7月に実施)は配慮なしで受験をした。提出された解答用紙は文字の判読が難しく、正答が書いてあるにもかかわらず、不正解として採点され、学習意欲だけでなく、自己肯定感の低下にもつながった。また、試験範囲の学習ワークを記入して提出することが必須であったが、書字による解答には人一倍の疲労を感じるため、思うように学習ワークを進めることができず、提出することができなかった。通級による指導において、学習ワークや紙ベースの課題プリントをGoogleDriveに取り込み、アプリを使ってテキスト入力による学習ワークの解答を試みた。家庭では保護者が付きっきり書かせても1ページに1時間かかっても終わらない状態であったが、iPadを使った場合15分程度で1ページを終えることができた。キーボードがあったほうが入力しやすいとのことから,Bluetoothで物理キーボードに接続して好かうことを試みた。本人、保護者から板書や課題のテキスト入力をみとめてほしいという要望もあり、iPadを使ったノートテイクを考えたが,教室内でのた生徒への説明や,破損や紛失を心配する教員がいて,認められなかった。そこで,GIGA端末であるChromebookでのノートテイクを要望したところ,校内で何度も話し合った結果、認められた教科だけ,教室内での機器を利用したノートテイク,課題のテキスト入力を認められた。
 定期考査においては,1学期中間考査での結果を受け,手書きで考査を受験した後に,通級指導教室でテキスト入力による受験を行った。手書きの答案では20点台であったが,テキスト入力の答案を採点してもらったところ,70点台であった。これらを根拠として,専門機関,主治医とも面談し,書字障害の診断並びに,ICT機器を利用した配慮が必要であるとの意見書をもらい,テキスト入力による配慮について反対している教員にも認めてもらうに至った。現在は,高校受験の配慮申請を視野に入れ,ノートテイク,学習課題やワークのテキスト入力による提出,別室でテキスト入力による受験を行っている。iPad,ChromeBookそれぞれの利点を生かしながら学習活動を行っている。

ケース2
 学習全般に苦手さを有する中1生徒Bは,日直の時に行う1分間スピーチで何を言ったらいいか悩み,それから逃れようと学校を休みがちになった。通級による指導の時間に,1分間スピーチの内容を検討することにした。まずは,今頑張っていることをiPadのアプリ「マインドマップ」にトピックとして記入した。おしゃべりが好きなBは,書くことは嫌がったが,音声入力やテキスト入力などを使って,次々に伝えたいことをあげていった。
 出来上がったマインドマップとオープンAIをiPadの画面に並べ,マインドマップのトピックを読み上げ,オープンAIのプロンプトに書き込み,1分間スピーチの原稿を作った。読み上げ機能を使って自己校正を行い。プリントアウトして満足そうに教室に戻った。1分間スピーチでは堂々と原稿を読み,最後に「この原稿はオープンAIを使って作成しました。」と言い,クラスメートからすごいと言われご機嫌だったと聞いた。その後,Bが登校を渋ることは減っていった。以前はわからないことがあるとすぐにキレていたが,最近はわかないことをiPadで調べ解決できるようになり情緒的にも落ち着きを見せ始めている。
学校名 仙台市立八乙女中学校
研究課題
中学校で学びにくさのある生徒の学習をICTで支える
~通常学級・通級指導・特別支援学級でのそれぞれの実態や背景に応じた活用~
都道府県 宮城県
学校ホームページ https://www.sendai-c.ed.jp/~yaotomet/