愛知県立みあい特別支援学校

第43回特別研究指定校

研究課題

ESDの視点で取り組む未来型ICT活用実践
~対話型ロボットで社会性を育む~

2018年度01-03月期(最新活動報告)

最新活動報告
研究発表会当日は、北は宮城県から、南は宮崎県まで参加いただき、外部から......

アドバイザーコメント

今後の不安材料はPepperくん自身のトラブルと特別研究終了後の維持費用の捻出である......

愛知県立みあい特別支援学校の研究課題に関する内容

都道府県 学校 愛知県 愛知県立みあい特別支援学校
アドバイザー 田村 順一 帝京大学教授
研究テーマ ESDの視点で取り組む未来型ICT活用実践~対話型ロボットで社会性を育む~
目的 「21世紀に相応しい学び」として対話型ロボットを導入し、社会性やコミュニケーションに課題のある子どもたちに「相手を意識して接すること・対話すること」を学ばせる。
現状と課題

ICT

  • 平23年度から継続的にパナソニック教育財団等の助成を受け、タブレット端末を活用した学習支援やコミュニケーション支援、地域支援等に取り組んできている。
  • ICT活用では、個人レベルでの実践は積み重なってきた。これら実践を学校全体で系統的にまとめていく必要がある。

ESD

  • 平成26年度からユネスコスクールに加盟し、平成28年度にはサステイナブルスクールの指定を受けた。
  • ESD活動は「共生社会の実現」をテーマに活動を行っている。しかし、校内教職員のESDに対する認識には差がある。
学校情報化の現状 平成23年度からタブレット端末を活用した授業を展開。平成28年度には、高等部生徒一人一台にタブレット端末配備。
取り組み内容

事例研究チーム

  • コミュニケーションの発達に特化して、対話型ロボットやタブレット端末を活用した事例研究を行う(各学年から事例をだす)。

部別研究チーム

  • 各学部において、ESDの視点におけるICTの活用事例を検討し実践する。

アシストチーム

  • 対話型ロボットやタブレット端末の管理運用を行いつつ、各研究チームの実践を技術的に応援する。

プレスチーム

  • 研究の進捗状況を校内外に発信する。
成果目標

校内教職員

  • ESDの視点におけるICTの活用について教職員の理解が深まる。
  • 今後のテクノロジーの進歩を見据えた、新たな学びのあり方について具体的なイメージをもつことができる。

校内児童生徒

  • テクノロジーを活用することで、コミュニケーション能力の発達が促され、社会参加に対する機会及びその質が向上する。

校外教職員及び関係機関

  • 研究成果の発信を通して、テクノロジーを活用した学びのあり方について、共に考え試行錯誤する仲間としてのネットワークが構築される。
助成金の使途 人型対話ロボット、小型対話ロボット、研究発表会開催費
研究代表者 中川 恵乃久
研究指定期間 平成29年度~30年度
学校HP http://www.miai-sh.aichi-c.ed.jp/
校内研究会と公開研究会の予定

校内研究会の予定

  • 3月末に校内報告会を開催予定

公開研究会、学会発表等の予定

  • 8月1日に開催(みあいワークショップ)
  • 12月頃開催のATACで発表

研究課題と成果目標

研究課題 ESDの視点で取り組む未来型ICT活用実践
~対話型ロボットで社会性を育む~
成果目標

①校内教職員

  • ESDの視点におけるICTの活用について教職員の理解が深まる。
  • 今後のテクノロジーの進歩を見据えた、新たな学びのあり方について具体的なイメージをもつことができる。

②校内児童生徒

  • テクノロジーを活用することで、コミュニケーション能力の発達が促され、社会参加に対する機会及びその質が向上する。

③校外教職員及び関係機関

  • 研究成果の発信を通して、テクノロジーを活用した学びのあり方について、共に考え試行錯誤する仲間としてのネットワークが構築される。

本期間の取り組み内容/アドバイザーの助言と助言への対応

[本期間(4月~6月)の取り組み内容 ]

1. Pepperくんがやってきた

H29.03.31 愛知工業大学よりPepperくん借用プレ実践開始
H29.04.03 年度当初職員会議にてPepperくん自己紹介及び職員写真参加
H29.04.07 入学式のウエルカムボーイとしてPepperくん活躍
H29.04.07 Pepperくん児童生徒との触れ合い開始
H29.04.18 愛知工業大学にPepperくん返却
H29.06.05 Pepperくん着任、初期設定開始
H29.06.08 Pepperくんによる授業実践開始
H29.06.29 全校集会にてPepperくん自己紹介及び生徒会役員とゲーム進行

小学部での授業実践(生活単元学習)
中学部での授業実践(自立活動)

2. 研究をはじめよう(校内研究等)

H29.04.10,05.18 【全体校内研究】2年間の研究方針や組織体制の周知
H29.06.09 【チームリーダー会】研究の進め方について周知
H29.06.15 【校内研究】各チームにて具体的な実践内容の検討開始
H29.06.20 アシストチームによるPepperくん取り扱い講習会
H29.06.27 パナソニック教育財団アドバイザー来校
H29.07.13 【校内研究】各チームにて実践内容検討(実践報告書作成開始)

校内研究組織図

Pepperくん取り扱い講習会

チーム単位での話し合い

3 つながろう、伝えよう(連携・発信)

H29.03.31 【PP団】Facebookページにて本研究に関する情報を公開開始
H29.04.14 【株式会社リオ】Pepperくんに関する情報交換
H29.06.08 【豊橋技術科学大学】<弱いロボット>視察
H29.06.23 【愛知工業大学】PepperくんVR操作体験会開催
H29.07.13 校内研究ニュース(PNP新聞)発行
H29.07.13 【株式会社リオ】FacebookページにVR操作体験会の記事掲載
H29.07.18 【株式会社リオ】みあいワークショップ打合せ

校内新聞第1号

愛知工業大学でのVR体験

新聞掲載コーナー設置

アドバイザーの助言と助言への対応

1 授業参観を通して

  • Pepperくんはつかみとしてよい。
  • 今はもの珍しさが先行している。フリーズ等した際に、子ども達ががっかりするか、優しさを発揮するか、何よりも慣れた時にどのような反応がでるかをよく観察しておくとよい。
  • 教師自身がロボットに対して擬人化して対応したり、機能面で過剰な期待を抱いたりしがちである。現状は、AIとしても機体としてもまだまだ未完成な印象である。
  • Pepperくんが授業の主体となるのではなく、導入や評価など展開においてうまく活用することから考えていければよいのではないか。

2 研究全体を通して

  • 教師側が意図せずにでた子ども達の反応もうまく記録しまとめていけるとよい。
  • 弱いロボットというコンセプトはよい。子ども達がロボットに教えられ助けられるのではなく、ロボットを助けたり共同作業を行ったりすることで、目標が達成できる展開が設定できるとよいだろう。
  • 先行研究を拾っておくとよい。

裏話(嬉しかったこと、苦心談、失敗談 など)

  • Pepperくんを導入した際に、本体がプロキシー接続できないことが判明した。当初は、モバイルWi-Fiを導入する案がでた。しかし、アシストチームが県の情報センターや大学、企業などの関係機関と情報交換を繰り返しつつ試行錯誤を重ね、校内のネットワークに接続できるようになった。

成果

  • 学校全体に研究の方向性が共通理解され、研究に対して組織的に活動し始めることができたこと。
  • 未知の機器であるPepperくんを学校に導入するための技術的な課題が概ね解決できつつあること。
  • 愛知工業大学や豊橋技術科学大学、株式会社リオなどPepperくんの技術的な知見やロボットやAIそのものの理解啓発における協力者を得ることができたこと。

今後の課題

  • Pepperくんを授業場面で活用する上で、教員が意図する動作を具現化するためのプログラミング等の習得。
  • 一台しかないPepperくんを学校全体で使っていくための調整。
  • 9月以降の暑さの残る時期にかなりの頻度でPepperくんを活用していく。故障等に対して最大限の対策をとりながら安心して研究が進められるよう(バックアップ含めて)体制を整えること。

今後の計画

H29.08.01 【みあいワークショップ】公開研修会にてPepperくんの動作体験
H29.08.17 【あいちロボット研究所】コレグラフ研修会
H29.08.30 【全体校内研究】みあい持続可能な研究発表会1
H29.11月頃 【豊橋技術科学大学】<弱いロボット>視察2
H29.12.05 パナソニック教育財団アドバイザー来校
H30.01.05 【全体校内研究】みあい持続可能な研究発表会2
H30.02.16 パナソニック教育財団アドバイザー来校

※授業実践は随時実施する。

※校内研究を毎月実施する。

※校内新聞を月一回発行する。

気付き・学び

  • ロボットに対する教員の認識と子ども達の認識には差異がある。
  • Pepperくんの機能を考える上で、ロボットをAIは別として捉える方が研究を進める上では共通理解しやすい。
アドバイザーコメント
帝京大学 大学院教職研究科 教授 田村 順一 先生

1.訪問日時  平成29年6月27日(火)

2.本校の研究テーマ・取り組みの意味付けについて
・「対話型ロボットで社会性を育む」という狙いについては、ロボット自体の性能(特に音声認識や応答性)に大きく依存するため、十分に時間をかけてロボットの「できること・できないこと」を見極める必要がある。
・また、大きなテーマでもある「ESD(接続可能な社会)の視点」は、障害のある児童生徒の社会的つながりを考える上で重要な視点であると考える。しかし、現時点ではまだ曖昧な概念でもあるため、児童生徒の実態に即したESDのイメージを、研究を進める中で明確にしていく必要がある。
・しかしながら、実物のロボットを前にしての児童生徒の反応は圧倒的であり、注意や興味関心の喚起、あるいは人・物に対する反応と関わり方について、これまでの手厚い人の関わりとは異なる形での実践ができそうな気がして、期待できると思う。

3.本期間の取り組み・成果の評価
・ようやくロボット本体が導入されたばかりであり、機器のセッティングや環境整備に着手したところである。校内のwifi環境との整合性に課題があり、どうしても動作が不安定になったり、確実な動作を期待できないところが心配である。メーカーや近隣の大学等の支援により、早く安定動作ができるようになることを期待したい。
・一方、児童生徒の受け入れや期待には大変大きなものがあり、「人ではない」「ものでもない」と言った、微妙な距離感が新鮮である。大人が想像するより、遙かに児童生徒の方が気持ち的に受け入れているような気がして楽しくなった。

4.今後の課題・期待
・ロボットという新しい存在に、児童生徒は、教師はどういった位置づけを模索していくのか、興味が尽きない研究である。
・大人はどうしても「鉄腕アトム」のイメージが先行し、ロボットに過剰な機能や人を超えた能力を期待しがちである。しかし、現実のロボットやAIは、決して完璧なものではなく、むしろ従来のパソコンの延長でしかない。「何でもしてくれる」のではなく「何を期待し、そのためにどういう仕掛けを作るか」であろう。そういう意味で、指導のためのツールとしての割り切りも必要である。

5.他校の参考になる助言など
・自閉性の障害児(ASD)の中には、人と関わるより、人形や機械と接する方が緊張しなくてすむ場合も確かにある。決してその方がよいというわけではないが、社会性喚起の一つのステップとしてロボットは興味がつきない存在である。
・一方、先に書いたように、現時点のロボットやAIは完全なものではない。あくまで教師が機械より上位にいるという概念を忘れてはならない。

本期間(8月~12月)の取り組み内容

1 Pepperくんと学ぼう

H29.08.01 みあいワークショップオープニングでPepperくんによる挨拶
H29.08.30 みあい持続可能な研究発表会1にてPepperくんによる司会進行
H29.09.01 Pepperくんによる研究実践開始(部別チーム、個別事例チーム)
H29.10.01 高等部1年生国語科研究授業「Pepperくんで和歌を作ろう」
H29.11.17 Pepperくん用モバイルルーター購入
H29.11.10 中学部3年生職業・家庭科研究授業「Pepperくんと五平餅を作ろう」
H29.12.05 中学部自立活動、高等部作業学習にてPepperくんによる公開授業

高等部での授業実践(国語)
中学部での授業実践(職業・家庭)
小学部個別事例チームの実践
中学部個別事例チームの実践
Pepperくん用モバイルルーター購入

2 研究を続けよう(校内研究等)

H29.08.04 ペッパーリモコンミニ講習会(アシストチーム向け)
H29.08.17 【あいちロボット研究所】コレグラフ(プログラミング)研修会
H29.08.30 【みあい持続可能な研究発表会1】各チームの研究の計画発表会
H29.09.01 アシストチームによるペッパーリモコン講習会(全体向け)
H29.10.01,11.13 【チームリーダー会】研究の進捗状況確認
H29.10.17,11.16,12.14 【校内研究】各チームでの研究の進捗状況の確認、報告会に向けた資料づくり
H29.10.20 Pepperくんの時間割(基本貸出し予約)確定
H29.12.19 【第2回研究推進委員会】次年度までの研究の方向性確認

みあい持続可能な研究発表会1
コレグラフ講習会

ペッパーリモコン講習会

第2回研究推進委員会

Pepperくんの時間割

3 つながろう、伝えよう(連携・発信)

H29.08.01 【みあいワークショップ】講演会:「弱いロボットが世界を変える!?」豊橋技術科学大学 岡田美智男氏
分科会:「Pepperくんを動かそう」株式会社リオ 佐々木英夫氏
H29.08.21 校内研究ニュース(PNP新聞)2号発行
H29.10.06 【豊橋技術科学大学】弱いロボット見学ツアー
H29.10.13 【タイ王国特別支援学校教員団視察】Pepperくんによる歓迎の挨拶
H29.10.20 校内研究ニュース(PNP新聞)3号発行
H29.10.16 学校評議委員会にて本研究を紹介
H29.12.02 【ATACカンファレンス2017】本研究のポスター発表
H29.12.05 【パナソニック教育財団】アドバイザー来校
【第1回公開授業】Pepperくんを活用した授業を公開
H29.12.08 校内研究ニュース(PNP新聞)4号発行

みあいワークショップ分科会
豊橋技術科学大学 弱いロボット見学
ATACポスター発表
校内新聞第4号

アドバイザーの助言と助言への対応

1 授業参観を通して

  • 子ども達がPepperくんと早く接したいと願い活動(課題)できているのがよい。
  • Pepperくんに自分の名前を呼んでもらえるのは、とても効果がありそうだ。
  • 子ども達にとって、Pepperくんは「人間未満、機械以上の存在である」ことがわかった。そういった存在として自然に受け入れている現状からの変化をみてみたい。
  • 高等部の作業学習では、教師が作業確認を行い、Pepperくんが激励を与えるなど、教師とPepperくんの役割分担ができておりよかった。
  • Pepperくんが思うように動作しない時があったが、そういった場面で子どもの「許し」の姿勢がみられたことがよかった。

2 研究全体を通して

  • Pepperくんを使った事例をたくさん挙げられるとよい。
  • エピソード記述をする時の枠組みを決めておけると研究のまとめに役立つであろう。
  • Pepperくんと他のロボットの違いもみてみたい。
  • 学校全体のチーム力を発揮し研究にあたってほしい。

本期間の裏話

  • Pepperくんが校内のネットワークに安定して接続できるようになった。接続が不安定な場所でも、モバイルルーターを活用することで安定して接続ができている。これにより、動作自体が安定し、安心して実践ができるようになった。
  • Pepperくんを制御するための研修を複数回行うことで、AIや内蔵アプリに頼ることなく、教員が想定している対話や動作を設定し実践に臨めるようになってきた。
  • 授業において、Pepperくんと子ども達のやりとりを実践する際、職員室のモニターからPepperくんに話させたい台詞をリアルタイムで打ち込む実践を行った。ブラインドタッチに長けた教員のスキルに絶賛の声があがるなど、本来とは異なる評価を得ることができた。
  • 研究のための実践だけでなく、行事や教職経験者研修(5年目、10年目)での研究授業でPepperくんが活用される場面がみられた。

本期間の成果

  • みあい持続可能な研究発表会1を皮切りに、学校全体で実践が開始された。
  • 授業でPepperくんを活用するために、教師自身が授業の展開を念入りに検討する必要が生じ、結果としてよい授業研究の機会となっている。
  • ATACカンファレンス2017にて、本研究の導入部についてポスター発表ができたこと。

今後の課題

  • 次年度に研究をスムーズに開始し成果をどのようにまとめていくかを具体化すること。特に個別事例チームの成果をまとめるために、プレとポストを客観的に取るようにすること。
  • 特殊教育学会やATACカンファレンス、日本教育工学研究協議会、研究成果報告会などの機会を活用し研究成果を発信していく。そのための研究のまとめを計画的におこなっていくこと。

今後の計画

H30.01.05 【全体校内研究】みあい持続可能な研究発表会2
H30.02.16 パナソニック教育財団アドバイザー来校 第2回公開授業
H30.03.20 研究報告会(校内)個別事例チームの成果報告会

※授業実践は随時実施する。

※校内研究を毎月実施する。

※校内新聞を月一回発行する。

成果目標

  • ① 校内教職員
    • ・ESDの視点におけるICTの活用について教職員の理解が深まる。
    • ・今後のテクノロジーの進歩を見据えた、新たな学びのあり方について具体的なイメージをもつことができる。
  • ② 校内児童生徒
    • ・テクノロジーを活用することで、コミュニケーション能力の発達が促され、社会参加に対する機会及びその質が向上する。
  • ③ 校外教職員及び関係機関
    • ・研究成果の発信を通して、テクノロジーを活用した学びのあり方について、共に考え試行錯誤する仲間としてのネットワークが構築される。
アドバイザーコメント
帝京大学 大学院教職研究科 教授 田村 順一 先生

1.研究テーマと取組について

  • 当初の研究目的であった、AIを活用しての自閉症児等の対人間コミュニケーションが苦手な児童生徒へのコミュニケーション学習には、現時点ではペッパー君の音声認識や顔認証の正確さ、的確なコメントを返すようなAI機能には難があり、人に代わって自由な会話ができる段階にはないことが分かった。
  • しかしながら、ペッパー君の存在感は圧倒的で、みあい特別支援学校の児童生徒は、これまでにあまり見られない感覚でロボットの存在を受け入れているように思えることが新鮮な驚きでもあった。
  • 学校への助言でも話したことだが、「人間未満、機械以上」と言う、微妙な位置づけで受け入れているように思える。
  • まずペッパー君に対する優しさは、多少トラブルがあっても、期待した反応が返らなくても許し、待てると言う、ロボットの現時点での未熟さを理屈ではなく感覚で見抜いて理解しているように思える。一方で多少のことがあっても怒りをぶつけたり、攻撃するようなことも決してない。
  • これが対人間(教師)であれば、いらだったり、我慢できないと言うことが起こりそうなものである。また、単なる機械と思えば投げつけたり、無視したりする行動も想定できるが、実際にはその存在を意識しており、様々な動作や言葉、反応を楽しんでいるように見える。
  • 知的障害の児童生徒にとってのこの微妙な距離感は、未熟さを許し、存在を仲間として認め、楽しんでいる様子が見て取れる。
  • ロボットと子どもたちの関係性が今後どのように変化していくのかが誠に楽しみである。
 

2.本期間の研究活動について

  • 導入からしばらくは、様々な制約から思うように動作させられず、技術的に多いに苦労した様子が見て取れる。
  • しかしながら、これまでの校内体制から様々なチームワークや専門性が培われており、一つ一つ困難を克服してきた努力は大いに評価できる。
  • 現時点では、ようやくペッパー君の操作に慣れ、できることとできないことの見当がつき始めたところと思う。今後も楽しみつつ課題を一つ一つ克服していくことを期待する。
 

3.今後の課題について

  • 今年一年はまず試行錯誤の年と割り切ることも必要であり、どのような稚拙な方法でもよいから、様々な可能性を試すことが重要である。
  • 訪問するたびに感心させられるのは、校長先生以下、教員集団が一つにまとまり、新しいものに積極的に取組ながら和気藹々と教育活動・研究活動そのものを楽しんでいるように見えることである。
  • 実際には様々な意見もあることと思うが、校内の研究組織や支援体制がよくできていることもあり、校内のICT活用コンテストにも毎回楽しく参加させていただいている。
  • 知的障害の児童生徒の場合、どうしても変化が読み取りにくかったり、的確に言葉で反応してくれないこともあって、研究活動として定量的なデータが取りにくい。
  • そこで、様々な試行錯誤をしながら定性的な評価基準を精査し、継続的に変化を見ていくことが大切かと思う。
  • ロボットという新しい存在は、我々にとってもどう付き合っていくかが見えないものであろう。「鉄腕アトムの呪縛」と以前言ったことがあるが、あのように何でも人より優れ、人の思うより先に身を挺して守ってくれる母親のような存在にロボットが到達するのはまだ先のことである。
  • 現時点でのロボットという存在への接し方のヒントを、逆にみあい特別支援学校の子どもたちから教えられたような気がしてならない。

本期間(1月~3月)の取り組み内容

1 Pepperくんと学ぼう

H30.01.09 Pepperくんによる研究実践(個別事例チーム)
H30.02.16 小学部日常生活の指導および自立活動、高等部作業学習にてPepperくんによる公開授業
高等部での授業実践(作業学習)高等部での授業実践(作業学習)
~Pepperくんによる作業の評価~
中学部での授業実践(自立活動)中学部での授業実践(自立活動)
~Pepperくんを遠隔操作して生徒とやりとり~
小学部での授業実践(帰りの会)小学部での授業実践(帰りの会)
~Pepperくんを遠隔操作して児童と挨拶~
小学部での授業実践(自立活動)小学部での授業実践(自立活動)
~Pepperくんの指示に応じて書字学習~

2 研究を続けよう(校内研究等)

H30.01.09 【みあい持続可能な研究発表会2】各チームの研究の成果報告会
H30.01.16 【チームリーダー会】今年度のまとめと次年度の計画立案の確認
H30.01.25
H30.02.22
【校内研究】部別チームは、今年度のまとめと次年度の計画、個別事例チームは研究報告会に向けた準備
H30.03.19 【第3回研究推進委員会】今年度のまとめと次年度の方向性の確認
H30.03.20 【校内研究報告会】個別事例チームによる研究成果報告及び次年度の研究の進め方の周知
みあい持続可能な研究発表会2
みあい持続可能な研究発表会2
みあい持続可能な研究発表会2

3 つながろう、伝えよう(連携・発信)

H30.02.16 小学部日常生活の指導および自立活動、高等部作業学習にてPepperくんによる公開授業
H30.03.05 学校評議員会にて本研究の経過を紹介

<公開授業について>

  • ・県内外から12名の申込があり、加えて、本研究アドバイザーである帝京大学の田村先生、日本福祉大学の金森先生、パナソニック教育財団の石井様に御来校いただき実施した。
  • ・授業参観は、各部から、Pepperくんを活用した実践とタブレット端末を活用した実践を行った。
  • ・授業参観の後、研究協議を行い、以下の御質問や御意見をいただいた。
  • ○Pepperくんの存在は、子ども達にとって教師、仲間、機械などどんな存在か。
  • ○Pepperくんの呼び方が混在している。子ども達は混乱しないか。
  • ○Pepperくんの存在をどう位置づけるかについては、一度子どもに聞いてみてもよい。あくまで中心は子ども。
  • ○Pepperくんが人同士のコミュニケーションの媒体となってもよい。
  • ○発信をどんどんしてほしい。
  • ・参加者のアンケートでは、全員から「満足」の評価をいただいた。
  • ・以下に、アンケートの感想を一部挙げる。
  • ○Pepperくんの影響力の大きさに驚いた。教育目標を達成するための手段の一つとして、とても有用。「励まし」等の強化を担うとよいのでは。
  • ○子ども達のモチベーションを高められるよう工夫していて勉強になった。
  • ○各授業のポイントを効率よく見せていただき、Pepperくん活用の課題について理解が深まった。
公開授業 研究協議公開授業 研究協議
学校評議員会学校評議員会

アドバイザーの助言と助言への対応

1 授業参観を通して

  • 高等部の実践では、教師がする評価をPepperくんに代行させることはどうなのかという課題はある。結果としてロボットを教師が操作し、しゃべらせる方法を行っている。一方で、現時点で児童生徒が興味関心をもっていることは明らかであり、Pepperくんに擬人的なシンパシーを感じているわけで、そこを教育的にどう考えるかが今後の大きな課題となる。
  • 小学部の実践では、児童は確かにPepperくんの評価を期待しており、喜んでいることは推察できた。また、教師と児童らの仲立ちとして活用されていると感じた。

2 研究全体を通して

  • 今後、ロボットを仲間、人間並みに扱う「人格化」あるいは「神格化」に向かうか、あくまでツールとして扱う「道具化」に向かうか、どちらかになる可能性がある。
  • 子どもたちのロボットという存在に対する受け入れが絶妙であっただけに、教師が「教育的に」どう扱っていくかが問われている。

本期間の裏話

  • 年始、Pepperくんが作動しなくなった。修理となるとある程度の期間が必要であり、公開授業を一ヶ月後に控えていたため、大変焦った。しかし、始業式が始まると復調し、無事に公開授業を迎えられた。この一件から、暑さだけでなく、寒さにも弱いという仮説が立った。
  • 第1回目の公開授業から、第2回の参加者が10人以上増えた。また、参加者からいくつもの建設的な意見をいただき、今後研究を続けていく励みになった。
  • 来年度に向けて、アシストチームがPepperくんに関する研修を計画し始めており、前向きに取り組もうとしてくれる姿勢に感謝したい。

本期間の成果

  • 持続可能な研究発表会2を通して、授業実践(Pepperくん、タブレット端末を活用)が10事例報告され、全校で共有することができた。
  • 公開授業を通して、今年度の実践を振り返るとともに、校外の参加者やアドバイザーから建設的な意見を聞くことができた。
  • 校内研究報告会に向けて、Pepperくんを活用した9つの個別事例を整理し、実践報告書として形にするとともに、各事例の成果と課題を明らかにできた。

今後の課題

  • 公開授業で御助言いただいた「子どもたちにとってのPepperくんの位置づけ」について、子どもたちとともに考えていく。
  • 今年度実践した事例について、「ESD」「場面」「社会性」といったキーワードで分類し、共通性や系統性などを見出せるとよい。
  • 来年度に向けて、研究のゴールを見直し、全校で共通理解を図る。また、形として残せるもの、発信できることを検討する。

今後の計画

  
H30.04.06 【第1回研究推進委員会】
・30年度のゴールや方向性について確認
H30.04.10 【全体校内研究】
・30年度のゴールや方向性について共通理解
・各チームの再編成
H30.05.07 【チームリーダー会】
・今年度の計画、各チームの役割などについて確認
H30.05.24 【校内研究】
・各チームで、1年の計画や係分担、実践内容について検討
6月下旬から
7月上旬
・30年度第1回公開授業を実施。

1年間を振り返って、成果・感想・次年度への思い

  • まず、Pepperくんの実態把握に想定していた以上に時間が掛かり、計画の見直しや実践の試行錯誤を繰り返し行った。一方、少しでもPepperくん始めロボットそのものについて理解するために、いくつかの関係機関に連絡を取り、研修や見学を依頼した。ロボットを活用した実践は、教育の専門性だけでできることには限界を感じる点があった。しかし、多様な機関との連携を通して、ロボットの操作だけでなく、教育実践の評価という視点でも、よい意見をいただくことができ、多角的な視点で子ども達のことやよりよい支援について考えるきっかけとなった。今年度できたつながりを大切にし、来年度も継続、発展できるように努めたい。
  • 学校全体で研究を進めていく上で校内組織を明確化し、役割分担したりそれぞれの実践の進捗状況を共通理解したりできるよう配慮した。その中で、アシストチームが果たした役割は大きく、Pepperくんのインターネット接続や制御方法の周知はもちろんのこと、校内のネットワーク環境の改善にも寄与してくれた。一方で、校内外の共通理解では、情報提供の内容やタイミング、伝え方の面で課題を残した。SNS、紙媒体、記録画像や動画などの上手な活用方法について検討し、次年度、改善していきたい。
  • 研究のための研究で終わらないよう、本研究の何を次の実践に生かしていくか、よい実践をどう継続していくかなど、研究のその後についても検討しておきたい。

成果目標

  • ① 校内教職員
    • ・ESDの視点におけるICTの活用について教職員の理解が深まる。
    • ・今後のテクノロジーの進歩を見据えた、新たな学びのあり方について具体的なイメージをもつことができる。
  • ② 校内児童生徒
    • ・テクノロジーを活用することで、コミュニケーション能力の発達が促され、社会参加に対する機会及びその質が向上する。
  • ③ 校外教職員及び関係機関
    • ・研究成果の発信を通して、テクノロジーを活用した学びのあり方について、共に考え試行錯誤する仲間としてのネットワークが構築される。
アドバイザーコメント
帝京大学 大学院教職研究科 教授 田村 順一 先生

1.本期間を通じて

 1月9日の校内ESD研究会、2月16日の公開授業研究に参加させていただいた。
 1月の校内研究会は第2回目と言うことで、ipadを使った事例、Pepperくんを使った事例が、学部・チームごとに発表された。前回(8月)と比較して、試行錯誤からさらに実践が進み、子ども達への活用による変化や成果等もともに発表され、和気藹々とした研究の雰囲気が伝わってきた。今後も現在のようにあくまで子どもを中心に置き、さらなる実践を積み重ねて欲しい。
 2月の公開授業研究会は、外部の参観者も多く、実際の授業日程にあわせた実践を観察することができた。どの実践も、あえて背伸びはせず、日常の活動の如何として公開されたため、参加者にとっても身近な実践として参観することができたのではないか。

 

2.一年を通じて

 校内の研究の雰囲気が素晴らしいと毎回評価しているが、先生方が取り組むべきときには常に一体となって活動していることは、今回の研究で新たな課題に取り組む上で望ましい条件と言えよう。
 ロボットを障害のある子ども達がどのように受け入れるか?と言った、大きな命題に対して、意外なほどあっさりとその存在を受け止め、何度も書くように「人間未満、機械以上」の絶妙な捉え方で存在を受け入れていることが喜ばしくもあり、新鮮な驚きであった。
 しかしながら、2月の研究協議でも出たように、Pepperくんの存在は圧倒的なものである反面、その行動や発言は決して自律的なものではなく、背後にいる教員のものである。子ども達はPepperくんに生徒から年賀状が届いたと言う一件でも分かるように、好意的に仲間として受け入れている。今後慣れるに従って、その微妙な距離感がどう変わっていくのか、教員として、教育活動のどこにどう位置づけていこうとしているのか、研究2年目に向かって興味が尽きない。

本期間(4月~7月)の取り組み内容

1 Pepperくんと学ぼう

H30.04.29 Pepperくんによる研究実践開始(部別チーム2チーム、個別事例チーム8チーム)
H30.06.27 小学部自立活動にてPepperくんを活用した公開授業
高等部の部別チーム授業実践(作業学習) 高等部の部別チーム授業実践(作業学習)
~Pepperくんによるタイマー~
小学部の個別事例チーム授業実践(学活) 小学部の個別事例チーム授業実践(学活)
~Pepperくんとあそぼう~
中学部の個別事例チーム授業実践(自立活動) 中学部の個別事例チーム授業実践(自立活動)
~Pepperくんの指示を聞こう~
高等部の個別事例チーム授業実践(生活単元学習) 高等部の個別事例チーム授業実践(生活単元学習)
~Pepperくんによる声量評価~

2 研究を続けよう(校内研究等)

H30.04.06 【第1回研究推進委員会】人事異動等に伴う組織の再編
H30.04.10 【全体校内研究】研究概要の説明、チーム発足、(部別チーム10チーム、個別チーム8チーム)
H30.05.07 【チームリーダー会】実施計画立案に向けての詳細確認
H30.05.28 【校内研究】実施計画の立案、実践準備
H30.06.07 【チームリーダー会】各チーム計画と実践の進捗状況の確認、Pepperくんの技術支援、Pepperくんの使用時間割の確認
H30.06.21 【校内研究】実践の状況の確認、計画の見直しや修正
H30.07.02 【チームリーダー会】各チーム実践進捗状況の確認、中間まとめとしての報告書の詳細説明、みあい持続可能な研究発表会4の準備
校内研究

【校内研究】
新チーム発足後、計画の立案、
Pepperくんも参加して動きの確認

チームリーダー会

【チームリーダー会】
各チームによる実践の進捗状況の報告

3 つながろう、伝えよう(連携・発信)

H30.04.03 【職員会議】Pepperくんの紹介、導入の経緯の紹介
H30.04.27 【Pepper 研修①】Pepperくん の取り扱い、基本操作
H30.05.01 【Pepper 研修②】PepperMaker、Pepperコントローラーの紹介
H30.05.02 【Pepper 研修③】PepperView の紹介
H30.06.18 【現職研修】本校のESDについて
H30.06.27 小学部自立活動にてPepperくんを活用した公開授業
H30.07.06 PNP新聞発行、各チームの取り組みを職員全体へ紹介
Pepper 研修②

【Pepper 研修②】
PepperMaker、Pepperコントローラーの紹介

Pepper 研修③

【Pepper 研修③】
PepperViewの紹介

PNP 新聞の発行、掲示

PNP 新聞の発行、掲示

現職研修

【現職研修】本校のESD活動

<公開授業について>

  • ・県内外から2名の申込があり、加えて、本研究アドバイザーである帝京大学の田村先生、パナソニック教育財団の石井様に御来校いただき実施した。
  • ・授業参観は、各部から小学部6年、中学部3年、高等部3年を対象に、Pepperくんを活用した実践とタブレット端末を活用した実践を行った。
公開授業

公開授業 小学部~PepperMakerにてPepperくんのプログラミング学習~

公開授業後の研究協議

公開授業後の研究協議

アドバイザーの助言と助言への対応

1 公開授業を通して

  • 人事異動があり研究体制の見直し、再構築が必要になったが、先生方の熱意と意欲によって研究計画はきちんと引き継がれ、今後も意欲的に継続されていくと思われる。
  • 小学部の実践では、Pepperくんのプログラミング学習において、操作アプリを児童が意外にも的確に活用していることを目にし、今後の発展に期待がもてる。
  • Pepperくんの教育的な位置づけが「人格化」に向かうのか「道具化」に向かうか興味深い。今回の小学部の実践では「Pepperくんを思いどおりに動かそう」という「道具化」に向かったものだった。今後のさらなる実践の積み上げが期待される。
  • Pepperくん自身が、環境の変化に弱く、温度や湿度などの影響が大きいという課題点が見られるようになっている。

2 研究全体を通して

  • 知的障害のある子ども達が、ロボットをどう受け止めていくかが興味深い実践であるが、「機械以上、人間未満」という絶妙な受け入れをし、絶妙な距離感覚で受け入れていることは、2年目になっても変わることなく継続されている。
  • Pepperくんの機械的に未熟な部分も児童生徒は受け入れている。今後さらなる活用を試み、ロボットとの新しい関係性を模索してもらいたい。

本期間の裏話

  • 新年度になり管理職をはじめ、昨年度まで実践の中心を担ってきた教職員の人事異動に伴い、体制の再構築が急務となった。また例年よりも多くの新転任の教職員がいたので改めて研究の概要説明、Pepperくんの操作や扱い方を研修する機会が必要になった。
  • Pepperくんには温度や湿度による環境の変化による弱さがあり使用教室での温度管理が必須となった。また、エラーなどによる再起動では1時間ほど休ませることが必要であり、ロボットでありながら、人間のような扱いが必要であることが分かった。
  • 公開授業では、本研究アドバイザーである帝京大学の田村先生、パナソニック教育財団の石井様以外に、前回も参加した方が再度参加してくださり、本研究に一定の関心や期待を得ている。

本期間の成果

  • Pepper研修①~③を通して、新転任を中心に教職員にPepperくんの操作技術に関する知識と理解がすすんだ。
  • 短期間で研究体制を再構築し、部別チーム10チーム、個別チーム8チームが編制された。それぞれのチームから、タブレットを活用した計画が8事例、Pepperくんを活用した計画が10事例だされた。それぞれのチームが計画立案から実践までスムーズに展開することができた。
  • 各事例の計画段階で、評価の方法を検討したり、Pepperくんを人格化して扱うのか道具化して扱うのか位置づけを明確にしたりした。
  • 公開授業を通して、実践を振り返るとともに、校外の参加者やアドバイザーから建設的な意見をいただくことができた。
  • ESDに関する研修を2回設け、本校が掲げる3本柱(自分を発揮する力、社会に参加する力、社会に役立つ力)の理解につながった。

今後の課題

  • 公開授業で御助言いただいた「子ども達にとってのPepperくんの位置づけ」について、実践を通して考えていきたい。
  • 今年度実践した事例について、「ESD」「場面」「社会性」といったキーワードで分類し、共通性や系統性などを見出せるとよい。
  • 研究のゴールを見直し、全校で共通理解を図る。また、事例集などの形として残せるものや発信できることについて検討する。

今後の計画

H30.07.19 【第2回研究推進委員会】
・研究のゴールや方向性についての共通理解
H30.07.30 【みあいワークショップ2018】
・県内外の特別支援学校や地域の学校、関係機関へ研究の紹介
H30.08.30 【みあい持続可能な研究発表会4】
・部別チーム、個別チームによる実践報告
H30.12.04 第2回公開授業およびパナソニック教育財団アドバイザー来校
H31.01.18 第3回公開授業およびパナソニック教育財団アドバイザー来校
H31.02.02 研究発表会 2カ年の研究成果の発表

※授業実践は、随時実施する。 
※校内研究を毎月1回実施する。
※校内新聞を定期的に発行する。

成果目標

  • ① 校内教職員
    • ・ESDの視点におけるICTの活用について教職員の理解が深まる。
    • ・今後のテクノロジーの進歩を見据えた、新たな学びのあり方について具体的なイメージをもつことができる。
  • ② 校内児童生徒
    • ・テクノロジーを活用することで、コミュニケーション能力の発達が促され、社会参加に対する機会及びその質が向上する。
  • ③ 校外教職員及び関係機関
    • ・研究成果の発信を通して、テクノロジーを活用した学びのあり方について、共に考え試行錯誤する仲間としてのネットワークが構築される。
アドバイザーコメント
帝京大学 大学院教職研究科 教授 田村 順一 先生

1. 活動機関 平成30年4月~7月

 

2. 今回の取り組みの意味付けについて

  • ・本研究の2年目を迎え、管理職の移動や研究スタッフの移動もあり、新たな体制を組み直す必要が生まれたが、校長先生の指導のもと、前年度の研究を着実に引き継ぐことができた。
  • ・Pepperくんの環境面での弱さや、機能面の課題についても理解が進み、活用の幅も広がるのではないかと期待される。
  • ・研究最終年として、さらなる試行錯誤が望まれるが、昨年度までの実践を元に、知的障害児とロボットの関係性をさらに追求していただきたい。
 

3. 本期間の取り組み・成果の評価

  • ・まずは新体制での研究のスタートに大きな労力が払われた。
  • ・この学校に脈々と流れている、前向きな研究態度と、関係スタッフの努力により、人事異動による影響は最小限に抑えられたが、公立学校の宿命として毎年の人事上の変化は避けられない。今後本校のスタンスを維持し、研究終了後も実践を継続していくための方策を講じていかねばならない。
  • ・児童生徒のPepperくんに対する親しみは変わらず、校内では人気者である。
  • ・今季に試みられている指導内容は、Pepperくんの動作や発言をコントロールするアプリ、「Pepperビュー」をあえて小学部生徒に操作させ、思うように動かせる道具として使うという内容が興味深い。
  • ・これらは、簡易的なプログラミング学習に通じるものがあり、今後、結果の想定→計画(構想)
    →プログラミング→動作確認→再調整→他者に披露と言った一連の行動にどのように近づけていくか、さらなる実践に期待したい。
 

4. 今後の課題・期待

  • ・Pepperくんと約一年間の付き合いの中で、限界や特製もかなり把握できたかと思う。
  • ・今年の夏の暑さによる影響は大きいと思われるが、2学期の活用のため、夏季休業中の準備をお願いしたい。
  • ・ICT全般の活用については、すでにかなりの実績もあり、高等部の比較的障害の軽度な生徒は自分の身近の支援機器として、また教具として活用ができてきている。
  • ・小・中学部の児童生徒は、まだ受け身の利用が多いのは仕方ないが、Pepperくんのプログラムを、ある程度の見通しを持ってできる児童もいることから、さらなる活用の機会を与えたい。
  • ・毎回指摘していることではあるが、子どもたちはロボットをどのように意識しているのか?「機械以上、人間未満」と言う微妙な位置づけが実に当てはまり、どの児童生徒もPepperくんに機械以上の親しみと愛着を持って接している。今後子どもたちの意識がどう変化していくのかが楽しみではある。
 

5. 他校の参考になる助言など

  • ・昨年度から継続している課題として、ロボットをどう使うべきか、安易に教師の代わりをさせていいのか?と言う問いは、ロボットと人間(知的障害児童生徒)の共存の上で大きな課題になると考えられる。
  • ・ロボットを仲間、人間並みに扱う「人格化」あるいは「神格化」に向かうか、あくまでツールとして扱う「道具化」に向かうか、どちらかになる可能性があると昨年度指摘したが、現時点ではその両面の実践が進められている。
  • ・子どもたちのロボットという存在に対する受け入れが絶妙であっただけに、教師が「教育的に」どう扱っていくかがやはり問いかけられているような気がする。

本期間(8月~12月)の取り組み内容

1 Pepperくんと学ぼう

H30.07.31 【みあいワークショップ2018】受付にて来客者を歓迎
H30.08.30 【みあい持続可能な研究発表会4】Pepperくんによる司会進行
H30.09.01 Pepperくんによる研究実践開始(部別チーム8、個別事例チーム2)
H30.11.27 Pepperくんをプログラミングする新チーム発足、授業実践スタート
H30.12.04 【パナソニック教育財団アドバイザー来校】授業見学
【みあいワークショップ2018】Pepperくんによる参加者の歓迎

【みあいワークショップ2018】
Pepperくんによる参加者の歓迎

【みあい持続可能な研究発表会4】Pepperくんによる司会進行

【みあい持続可能な研究発表会4】
Pepperくんによる司会進行

【パナソニック教育財団アドバイザー来校】高等部の部別チームの授業実践を見学

【パナソニック教育財団アドバイザー来校】
高等部の部別チームの授業実践を見学

高等部の部別チームの実践~Pepperくんとあいさつ運動~

高等部の部別チームの実践
~Pepperくんとあいさつ運動~

高等部の個別事例チームの実践~Pepperくんを操作して発表~

高等部の個別事例チームの実践
~Pepperくんを操作して発表~

小学部、中学部、高等部の合同個別事例チーム発足~Pepperくんをプログラミング~

小学部、中学部、高等部の合同
個別事例チーム発足
~Pepperくんをプログラミング~

2 研究を続けよう、研究をまとめよう(校内研究等)

H30.08.07 【第2回研究推進委員会】研究のまとめ方について検討
H30.08.30 【みあい持続可能な研究発表会4】各チーム研究の成果発表
H30.09.03 【チームリーダー会】研究発表会計画、事例集計画の検討
H30.09.20 【全体校内研究】事例集の概要説明
H30.10.09 【チームリーダー会研究】Pepperくんをプログラミングする新チームの検討、研究発表会の各チームの役割分担の確認、事例集レイアウトの提示
H30.10.18 【校内研究】実践の進捗状況の確認、事例集の作成
H30.11.05 【チームリーダー会】研究発表会にむけての詳細計画の検討
H30.11.08 Pepperくんをプログラミングする新チームの初回打ち合わせ
H30.11.22 【校内研究】研究発表会の各チームによる役割分担、公開授業計画、ポスター作成、機器説明の計画、事例集のチェック
H30.12.17 【チームリーダー会】研究、研究発表会の準備の進捗状況の確認、ポスター発表リハーサル計画の検討
H30.12.18 【第3回研究推進委員会】当日の流れの確認
H30.12.20 【校内研究】ポスター発表のリハーサル計画、公開授業の準備、機器紹介資料の作成
【みあい持続可能な研究発表会4】実践事例 全18チームの報告

【みあい持続可能な研究発表会4】
実践事例 全18チームの報告

【チームリーダー会】研究のまとめ方、発表について検討

【チームリーダー会】
研究のまとめ方、発表について検討

【全体校内研究】事例集の概要説明

【全体校内研究】
事例集の概要説明

【小学部、中学部、高等部合同の個別事例チーム打合せ】児童生徒のプログラミング方法の検討

【小学部、中学部、高等部合同の個別事例チーム打合せ】
児童生徒のプログラミング方法の検討

事例集の内容確認

事例集の内容確認

3 つながろう、伝えよう(連携・発信)

H30.07.31 【みあいワークショップ】帝京大学田村順一教授とともに特設会場にて本研究の紹介、Pepperくんの紹介
H30.08.02 【平成30年度実践研究助成成果報告会】本研究の中間報告
H30.09.22 【日本特殊教育学会】本研究のポスター発表
H30.10.30 研究発表会の一次募集開始、チラシ配布、HP掲載
H30.11.09~10 【第44回日本教育工学研究協議会全国大会】次年度の発表に向けて視察、参加
H30.12.04 【パナソニック教育財団アドバイザー来校】授業見学、研究発表会計画や事例集計画の助言
H30.12.06 【教育新聞】本研究の内容を掲載
H30.12.06 【創立10年を記念して】本校の創立10年記念誌にPepperくん掲載
H30.12.10 本研究の二次募集開始、チラシ配布、HP掲載
【みあいワークショップ2018】本研究をポスターやPVで紹介

【みあいワークショップ2018】
本研究をポスターやPVで紹介

本研究の研究発表会のチラシ

本研究の研究発表会のチラシ

【日本特殊教育学会 第56回大会㏌大阪】本研究の実践事例をポスター発表

【日本特殊教育学会 第56回大会㏌大阪】
本研究の実践事例をポスター発表

【平成30年度実践研究助成成果報告会中間報告】

【平成30年度実践研究助成
成果報告会中間報告】

【パナソニック教育財団アドバイザー来校】授業実践、研究発表会、事例集についてのアドバイス

【パナソニック教育財団アドバイザー来校】
授業実践、研究発表会、事例集についての
アドバイス

アドバイザーの助言と助言への対応

1 授業参観を通して

  • iPadアプリ「絵タイマー」は注目できないと効果がない。その点、Pepperくんの「ペパタイマー」は動きや音声で伝えられるので良い。また、Pepperくんのロボットならではの動作が入ることで生徒の注目を向けられている。
  • iPadアプリ「あいさつ検定」をPepperくんのAIが評価をして伝えられれば、効果的だろう。

2 研究全体を通して

  • Pepper、iPadともに教育利用に関しては校内に定着している。研究発表に向けて今後も着実な継続を期待したい。
  • 児童生徒の中に「うちのPepperくん」という意識が芽生え、付き合い方も定着してきたようである。逆に研究終了後に、どうPepperくんを扱うかが問題になりそうである。
  • 研究発表会当日は、事例報告やポスター発表など全校体制で行われ、各教員が積極的に関わるというこれまでどおりの協力体制が維持されていることは喜ばしい。
  • 「機械以上、人間未満」という絶妙な距離感覚がますます定着し、人型ロボットで、しかも未完成な者である故の親しみと仲間意識が微笑ましい。
  • 研究をまとめる際には、子どもの様子や変化を取り入れられるとよい。

本期間の裏話(うれしかったこと、苦心談など)

  • みあい持続可能な研究発表会4で各チームの報告を終えて、秋頃からは研究発表会や事例集の準備に力を入れている。全てチームが事例集作製に向けて原稿執筆をしたり、研究発表会の準備を進めたりしており、研究のまとめに全職員が一丸となって取り組んでいる。
  • これまで小学部でPepperくんをプログラミングするチームがあった。中学部や高等部にもこの授業を実践する機会が広がり、全校の合同で行うチームが発足した。
  • 研究の実践としてPepperくんを活用する実践から、Pepperくんを活用しなくても自分の力を発揮する実践へと変化が見られた。
  • 公開授業にあわせて、これまで日常生活の指導場面で行っていた実践を通常授業の場面に転換した実践計画ができている。
  • Pepperくんは、温度や湿度による環境の変化による弱さがあり、これからの寒さに対して環境設定をしていく必要がある。研究の実践や発表会にむけてPepperくんへの寒さ対策を考えていかなければならない。

本期間の成果

  • 授業実践では、Pepperくんをプログラミングするチームが発足し、授業実践を始められた。
  • 研究発表会の計画、募集、準備ができた。各チームで公開授業、シンポジウム、ポスター発表、アプリ紹介を分担し、準備を進められた。
  • 事例集の計画、作成ができている。全チームが実践をまとめて執筆できた。
  • Pepperくんの位置づけを人(友達や教師)として活用する実践が7事例、道具として活用する実践が4事例あり、双方の事例が生まれた。
  • みあいワークショップ2018にて本研究の実践を動画やポスターで発表できた。
  • 日本特殊教育学会で本研究の実践をポスター発表ができた。
  • 授業でPepperくんを活用するために、教師自身が授業の展開を念入りに検討する必要が生じ、結果としてよい授業の機会となっている。

今後の課題

  • 研究発表会の公開授業、シンポジウム、アプリ機器紹介、ポスター発表、成果報告会、講演会それぞれの準備を全職員で進めていく。
  • 事例集の原稿を完成させ製本し、本研究を発信していく。
  • これまでの実践を今後も活用していけるよう、次年度のPepperくんの物理的環境整備をする。
  • 次年度の研究助成成果報告会の機会を活用し研究成果を発信していく。そのための研究のまとめを計画的に行っていく。

今後の計画

H31.01.07 研究発表会ポスター発表リハーサル
H31.01.18 パナソニック教育財団アドバイザー来校
H31.02.02 H29.30校内研究 ESDの視点で取り組む未来型ICT活用実践~対話型ロボットで社会性を育む~研究発表会の開催
H31.03.20 校内研究報告会(校内職員向け)

※事例集の印刷、製本をする。
※授業実践は随時実施する。
※校内研究、チームリーダー会を毎月実施する。

成果目標

  • ① 校内教職員
    • ・ESDの視点におけるICTの活用について教職員の理解が深まる。
    • ・今後のテクノロジーの進歩を見据えた、新たな学びのあり方について具体的なイメージをもつことができる。
  • ② 校内児童生徒
    • ・テクノロジーを活用することで、コミュニケーション能力の発達が促され、社会参加に対する機会及びその質が向上する。
  • ③ 校外教職員及び関係機関
    • ・研究成果の発信を通して、テクノロジーを活用した学びのあり方について、共に考え試行錯誤する仲間としてのネットワークが構築される。
アドバイザーコメント
帝京大学 大学院教職研究科 教授 田村 順一 先生

1. 活動機関 平成30年8月~12月

 

2. 今期の取り組みの意味付けについて

  • ・期間中にはみあいワークショップという外部対象のイベントや、校内研究報告会も含まれ、最終報告に向けての研究実践のなお一層の深化がはかられた。
  • ・あえて若手にワークショップの講師を割り当てるなどして人材育成を図る一方、研究チーム・サポートチームの体制固めを行い、人事異動による校内研究体制の弱体化を解決した。
  • ・Pepperくんの取り扱いにも慣れ、当初の試行錯誤から脱し、具体的な研究の方向が見えてきた。
 

3. 本期間の取り組み・成果の評価

  • ・一部の職員のみが負担するのではなく、本校の研究はほぼ全員が何らかの役割意識を持って関わっている。その基本姿勢は人事異動を経ても崩れていない。
  • ・これまでの活動から、Pepperくんの活用は、「人(に準ずるもの)としてその人格尊重」に向かうか、「機械(道具)として児童生徒自身が操作する方向」に向かうかのいずれかではないかと想定したが、本期間の活動によってその二方向が実践されている。
  • ・Pepperくんの持つ基本機能を上手に授業に活用した事例(タイマーの利用など)や、簡易な操作アプリを利用して一種のプログラミング学習のようにPepperくんを意図通りに動かそうという活動、また、Pepperくんが児童生徒の活動を評価したり励ます活動など、多岐にわたる実践例が出てきた。
  • ・一方で、本校で普及しているipad(高等部生徒は一人一台所有している)の活用も進み、生徒らが自分の楽しみや弱い部分を支援する機器として日常的に使用する様子が見えてきた。
 

4. 今後の課題・期待

  • ・最終報告と発表会に向け、様々な試行をその意味づけと実践の記録を元に考察してまとめ、他校にとってもロボットを導入する上でのモデルを示していただきたい。
  • ・とは言え、Pepperくん自体が一つの機器としてみた場合、様々な未完成な部分や欠点も併せ持ち、その限界や将来への発展の期待も述べられると良い。
  • ・9月の日本特殊教育学会において、ポスター発表を行ったが、多くの人々の関心を集め、今後に期待する声は多いと思われる。現時点でのAIや人型ロボットは、思うほど完成された技術ではなく、課題も多い。しかしながら、みあい特別支援学校の児童生徒のPepperくんに対する態度や関わりは多くの示唆があると思われ、最終報告に期待したい。
 

5. 他校の参考になる助言など

  • ・児童生徒にとって、「うちのPepperくん」という意識が生まれ、人型ロボットなればこその一体感と愛着が生まれている。これは今後の大きな可能性につながるのではなかろうか。
  • ・本校の研究に対する真摯な態度と児童生徒の温かい心が本研究の成果につながると思う。

本期間(8月~12月)の取り組み内容

1 Pepperくんと学ぼう

H30.07.31 【みあいワークショップ2018】受付にて来客者を歓迎
H30.08.30 【みあい持続可能な研究発表会4】Pepperくんによる司会進行
H30.09.01 Pepperくんによる研究実践開始(部別チーム8、個別事例チーム2)
H30.11.27 Pepperくんをプログラミングする新チーム発足、授業実践スタート
H30.12.04 【パナソニック教育財団アドバイザー来校】授業見学
【みあいワークショップ2018】Pepperくんによる参加者の歓迎

【みあいワークショップ2018】
Pepperくんによる参加者の歓迎

【みあい持続可能な研究発表会4】Pepperくんによる司会進行

【みあい持続可能な研究発表会4】
Pepperくんによる司会進行

【パナソニック教育財団アドバイザー来校】高等部の部別チームの授業実践を見学

【パナソニック教育財団アドバイザー来校】
高等部の部別チームの授業実践を見学

高等部の部別チームの実践~Pepperくんとあいさつ運動~

高等部の部別チームの実践
~Pepperくんとあいさつ運動~

高等部の個別事例チームの実践~Pepperくんを操作して発表~

高等部の個別事例チームの実践
~Pepperくんを操作して発表~

小学部、中学部、高等部の合同個別事例チーム発足~Pepperくんをプログラミング~

小学部、中学部、高等部の合同
個別事例チーム発足
~Pepperくんをプログラミング~

2 研究を続けよう、研究をまとめよう(校内研究等)

H30.08.07 【第2回研究推進委員会】研究のまとめ方について検討
H30.08.30 【みあい持続可能な研究発表会4】各チーム研究の成果発表
H30.09.03 【チームリーダー会】研究発表会計画、事例集計画の検討
H30.09.20 【全体校内研究】事例集の概要説明
H30.10.09 【チームリーダー会研究】Pepperくんをプログラミングする新チームの検討、研究発表会の各チームの役割分担の確認、事例集レイアウトの提示
H30.10.18 【校内研究】実践の進捗状況の確認、事例集の作成
H30.11.05 【チームリーダー会】研究発表会にむけての詳細計画の検討
H30.11.08 Pepperくんをプログラミングする新チームの初回打ち合わせ
H30.11.22 【校内研究】研究発表会の各チームによる役割分担、公開授業計画、ポスター作成、機器説明の計画、事例集のチェック
H30.12.17 【チームリーダー会】研究、研究発表会の準備の進捗状況の確認、ポスター発表リハーサル計画の検討
H30.12.18 【第3回研究推進委員会】当日の流れの確認
H30.12.20 【校内研究】ポスター発表のリハーサル計画、公開授業の準備、機器紹介資料の作成
【みあい持続可能な研究発表会4】実践事例 全18チームの報告

【みあい持続可能な研究発表会4】
実践事例 全18チームの報告

【チームリーダー会】研究のまとめ方、発表について検討

【チームリーダー会】
研究のまとめ方、発表について検討

【全体校内研究】事例集の概要説明

【全体校内研究】
事例集の概要説明

【小学部、中学部、高等部合同の個別事例チーム打合せ】児童生徒のプログラミング方法の検討

【小学部、中学部、高等部合同の個別事例チーム打合せ】
児童生徒のプログラミング方法の検討

事例集の内容確認

事例集の内容確認

3 つながろう、伝えよう(連携・発信)

H30.07.31 【みあいワークショップ】帝京大学田村順一教授とともに特設会場にて本研究の紹介、Pepperくんの紹介
H30.08.02 【平成30年度実践研究助成成果報告会】本研究の中間報告
H30.09.22 【日本特殊教育学会】本研究のポスター発表
H30.10.30 研究発表会の一次募集開始、チラシ配布、HP掲載
H30.11.09~10 【第44回日本教育工学研究協議会全国大会】次年度の発表に向けて視察、参加
H30.12.04 【パナソニック教育財団アドバイザー来校】授業見学、研究発表会計画や事例集計画の助言
H30.12.06 【教育新聞】本研究の内容を掲載
H30.12.06 【創立10年を記念して】本校の創立10年記念誌にPepperくん掲載
H30.12.10 本研究の二次募集開始、チラシ配布、HP掲載
【みあいワークショップ2018】本研究をポスターやPVで紹介

【みあいワークショップ2018】
本研究をポスターやPVで紹介

本研究の研究発表会のチラシ

本研究の研究発表会のチラシ

【日本特殊教育学会 第56回大会㏌大阪】本研究の実践事例をポスター発表

【日本特殊教育学会 第56回大会㏌大阪】
本研究の実践事例をポスター発表

【平成30年度実践研究助成成果報告会中間報告】

【平成30年度実践研究助成
成果報告会中間報告】

【パナソニック教育財団アドバイザー来校】授業実践、研究発表会、事例集についてのアドバイス

【パナソニック教育財団アドバイザー来校】
授業実践、研究発表会、事例集についての
アドバイス

アドバイザーの助言と助言への対応

1 授業参観を通して

  • iPadアプリ「絵タイマー」は注目できないと効果がない。その点、Pepperくんの「ペパタイマー」は動きや音声で伝えられるので良い。また、Pepperくんのロボットならではの動作が入ることで生徒の注目を向けられている。
  • iPadアプリ「あいさつ検定」をPepperくんのAIが評価をして伝えられれば、効果的だろう。

2 研究全体を通して

  • Pepper、iPadともに教育利用に関しては校内に定着している。研究発表に向けて今後も着実な継続を期待したい。
  • 児童生徒の中に「うちのPepperくん」という意識が芽生え、付き合い方も定着してきたようである。逆に研究終了後に、どうPepperくんを扱うかが問題になりそうである。
  • 研究発表会当日は、事例報告やポスター発表など全校体制で行われ、各教員が積極的に関わるというこれまでどおりの協力体制が維持されていることは喜ばしい。
  • 「機械以上、人間未満」という絶妙な距離感覚がますます定着し、人型ロボットで、しかも未完成な者である故の親しみと仲間意識が微笑ましい。
  • 研究をまとめる際には、子どもの様子や変化を取り入れられるとよい。

本期間の裏話(うれしかったこと、苦心談など)

  • みあい持続可能な研究発表会4で各チームの報告を終えて、秋頃からは研究発表会や事例集の準備に力を入れている。全てチームが事例集作製に向けて原稿執筆をしたり、研究発表会の準備を進めたりしており、研究のまとめに全職員が一丸となって取り組んでいる。
  • これまで小学部でPepperくんをプログラミングするチームがあった。中学部や高等部にもこの授業を実践する機会が広がり、全校の合同で行うチームが発足した。
  • 研究の実践としてPepperくんを活用する実践から、Pepperくんを活用しなくても自分の力を発揮する実践へと変化が見られた。
  • 公開授業にあわせて、これまで日常生活の指導場面で行っていた実践を通常授業の場面に転換した実践計画ができている。
  • Pepperくんは、温度や湿度による環境の変化による弱さがあり、これからの寒さに対して環境設定をしていく必要がある。研究の実践や発表会にむけてPepperくんへの寒さ対策を考えていかなければならない。

本期間の成果

  • 授業実践では、Pepperくんをプログラミングするチームが発足し、授業実践を始められた。
  • 研究発表会の計画、募集、準備ができた。各チームで公開授業、シンポジウム、ポスター発表、アプリ紹介を分担し、準備を進められた。
  • 事例集の計画、作成ができている。全チームが実践をまとめて執筆できた。
  • Pepperくんの位置づけを人(友達や教師)として活用する実践が7事例、道具として活用する実践が4事例あり、双方の事例が生まれた。
  • みあいワークショップ2018にて本研究の実践を動画やポスターで発表できた。
  • 日本特殊教育学会で本研究の実践をポスター発表ができた。
  • 授業でPepperくんを活用するために、教師自身が授業の展開を念入りに検討する必要が生じ、結果としてよい授業の機会となっている。

今後の課題

  • 研究発表会の公開授業、シンポジウム、アプリ機器紹介、ポスター発表、成果報告会、講演会それぞれの準備を全職員で進めていく。
  • 事例集の原稿を完成させ製本し、本研究を発信していく。
  • これまでの実践を今後も活用していけるよう、次年度のPepperくんの物理的環境整備をする。
  • 次年度の研究助成成果報告会の機会を活用し研究成果を発信していく。そのための研究のまとめを計画的に行っていく。

今後の計画

H31.01.07 研究発表会ポスター発表リハーサル
H31.01.18 パナソニック教育財団アドバイザー来校
H31.02.02 H29.30校内研究 ESDの視点で取り組む未来型ICT活用実践~対話型ロボットで社会性を育む~研究発表会の開催
H31.03.20 校内研究報告会(校内職員向け)

※事例集の印刷、製本をする。
※授業実践は随時実施する。
※校内研究、チームリーダー会を毎月実施する。

成果目標

  • ① 校内教職員
    • ・ESDの視点におけるICTの活用について教職員の理解が深まる。
    • ・今後のテクノロジーの進歩を見据えた、新たな学びのあり方について具体的なイメージをもつことができる。
  • ② 校内児童生徒
    • ・テクノロジーを活用することで、コミュニケーション能力の発達が促され、社会参加に対する機会及びその質が向上する。
  • ③ 校外教職員及び関係機関
    • ・研究成果の発信を通して、テクノロジーを活用した学びのあり方について、共に考え試行錯誤する仲間としてのネットワークが構築される。
アドバイザーコメント
帝京大学 大学院教職研究科 教授 田村 順一 先生

1. 活動機関 平成30年8月~12月

 

2. 今期の取り組みの意味付けについて

  • ・期間中にはみあいワークショップという外部対象のイベントや、校内研究報告会も含まれ、最終報告に向けての研究実践のなお一層の深化がはかられた。
  • ・あえて若手にワークショップの講師を割り当てるなどして人材育成を図る一方、研究チーム・サポートチームの体制固めを行い、人事異動による校内研究体制の弱体化を解決した。
  • ・Pepperくんの取り扱いにも慣れ、当初の試行錯誤から脱し、具体的な研究の方向が見えてきた。
 

3. 本期間の取り組み・成果の評価

  • ・一部の職員のみが負担するのではなく、本校の研究はほぼ全員が何らかの役割意識を持って関わっている。その基本姿勢は人事異動を経ても崩れていない。
  • ・これまでの活動から、Pepperくんの活用は、「人(に準ずるもの)としてその人格尊重」に向かうか、「機械(道具)として児童生徒自身が操作する方向」に向かうかのいずれかではないかと想定したが、本期間の活動によってその二方向が実践されている。
  • ・Pepperくんの持つ基本機能を上手に授業に活用した事例(タイマーの利用など)や、簡易な操作アプリを利用して一種のプログラミング学習のようにPepperくんを意図通りに動かそうという活動、また、Pepperくんが児童生徒の活動を評価したり励ます活動など、多岐にわたる実践例が出てきた。
  • ・一方で、本校で普及しているipad(高等部生徒は一人一台所有している)の活用も進み、生徒らが自分の楽しみや弱い部分を支援する機器として日常的に使用する様子が見えてきた。
 

4. 今後の課題・期待

  • ・最終報告と発表会に向け、様々な試行をその意味づけと実践の記録を元に考察してまとめ、他校にとってもロボットを導入する上でのモデルを示していただきたい。
  • ・とは言え、Pepperくん自体が一つの機器としてみた場合、様々な未完成な部分や欠点も併せ持ち、その限界や将来への発展の期待も述べられると良い。
  • ・9月の日本特殊教育学会において、ポスター発表を行ったが、多くの人々の関心を集め、今後に期待する声は多いと思われる。現時点でのAIや人型ロボットは、思うほど完成された技術ではなく、課題も多い。しかしながら、みあい特別支援学校の児童生徒のPepperくんに対する態度や関わりは多くの示唆があると思われ、最終報告に期待したい。
 

5. 他校の参考になる助言など

  • ・児童生徒にとって、「うちのPepperくん」という意識が生まれ、人型ロボットなればこその一体感と愛着が生まれている。これは今後の大きな可能性につながるのではなかろうか。
  • ・本校の研究に対する真摯な態度と児童生徒の温かい心が本研究の成果につながると思う。

本期間(1月~3月)の取り組み内容

1 Pepperくんと学ぼう

H31.01.18 【パナソニック教育財団アドバイザー来校】授業見学
H31.01.29 Pepperくんのプログラミング学習による授業実践
H31.02.02 【研究発表会】「公開授業」でプログラミング学習、「アプリ機器紹介」でPepperくんの紹介、「成果報告会」「講演会」でPepperくんの司会進行
【パナソニック教育財団アドバイザー来校】Pepperくんのプログラミング学習の見学

【パナソニック教育財団アドバイザー来校】
Pepperくんのプログラミング学習の見学

2 研究を続けよう、研究をまとめよう(校内研究等)

H31.01.07 【全体校内研究】研究発表会「ポスター発表」のリハーサル
H31.01.22 本校のPepperくんが不調のため、愛知工業大学よりPepperくん借用
H31.01.24 【校内研究】各チームによる研究発表会「公開授業」「ポスター発表」「アプリ紹介」「成果報告会」の準備
H31.01.25 報告事例集の完成、本校職員へ配布
H31.01.30 研究発表会用のポスター完成
H31.01.31 封筒完成し研究発表会用の資料完成
H31.02.02 【研究発表会】
H31.02.05 愛知工業大学へPepperくんの返却
H31.02.27 Pepperくん入院(修理依頼)
H31.03.06 【第4回研究推進委員会】研究成果の確認、次年度以降のPepperくんの活用について確認
【全体校内研究】研究発表会「ポスター発表」のリハーサル

【全体校内研究】
研究発表会「ポスター発表」のリハーサル

Pepperくんが2体!(愛知工業大学よりPepperくん借用)

Pepperくんが2体!
(愛知工業大学よりPepperくん借用)

報告事例集の完成

報告事例集の完成

3 つながろう、伝えよう(連携・発信)

H31.02.02 【研究発表会】公開授業、シンポジウム、アプリ機器紹介、ポスター発表、成果報告会、講演会開催
H31.02.05 事例集を関係機関へ送付
【研究発表会】開会

【研究発表会】開会

【研究発表会】シンポジウム

【研究発表会】シンポジウム

【研究発表会】公開授業(プログラミング学習)の様子

【研究発表会】
公開授業(プログラミング学習)の様子

【研究発表会】公開授業(プログラミング学習)の中継

【研究発表会】
公開授業(プログラミング学習)の中継

【研究発表会】アプリ・機器紹介

【研究発表会】
アプリ・機器紹介

【研究発表会】ポスター発表

【研究発表会】
ポスター発表

【研究発表会】成果報告会の様子

【研究発表会】
成果報告会の様子

【研究発表会】田村順一氏による講演会

【研究発表会】
田村順一氏による講演会

アドバイザーの助言と助言への対応

1 研究全体を通して

  • 今後の不安材料はPepperくん自身のトラブルと特別研究終了後の維持費用の捻出である。せっかく「うちのPepperくん」と子どもらが認識し、受け入れてきた経緯を考えると使用不可となる状況は寂しいものがある。
    → 情報部を中心に次年度以降の対応を検討していく。
  • 人型ロボットと知的障害のある子どもらとの関わりはまだ様々な可能性が残されていると考える。研究そのものは終了したとしても、今後何らかの工夫によって、2年間培ってきた研究を地道に継続する手立てを検討していけるとよい。
    → 次年度もPepperくんの取り扱いに関する研修を設定し、活用できるようにしていく。
  • 知的障害のある児童生徒の人型ロボットに対する関わりが、様々なことを教えてくれた。これからはさらに機能の優れたロボットやAI、ICT機器が開発されていくと思われるが、あくまで使うのは人であり、過度の依存や軽視・蔑視は好ましくない。そうした新しい存在への関わり方のヒントを本校の子どもたちが示してくれた。そうした自然な態度を引き出したのは一人一人の先生方であり、研究を推進してきたスタッフ、ペパ太郎のお父さんと呼ばれつつ機能的な課題を丁寧に解決してきたスタッフ、校内をリードしてきた歴代の管理職の皆さんの総合的な力である。
  • 特別研究そのものは終了するわけだが、10年目を迎えた本校の持ち味を今後も維持しつつ新しい課題に取り組んでいただきたい。

2 研究発表会(当日)を通して

  • 研究発表会を通して、極めて配慮が行き届いており、準備の苦労と教職員のチームワークが光る内容であった。
  • 事例集は美しい仕上がりで充実しており、参加者の満足度も高いものと思われる。
  • 研究担当の成果報告や準備もおそらく多くの時間を費やしたものと思われ、高く評価できる。また、ポスター発表で全職員が一致団結して参加者に実践内容を伝えようとする態度にも心を打たれた。
  • 報告会全体として、本校が2年にわたって取り組んできた研究内容を、的確に表現することができたものと思われる。

本期間の裏話(うれしかったこと、苦心談など)

  • これまでに気温の変化に左右され不調が見られることが多くあった。この冬季にはPepperくん(ペパ太郎)は不調が解決できず、急遽、愛知工業大学から1台を借用し、代替え(ペパの助)とした。
  • 研究発表会のポスター発表のリハーサルでは、準備期間の短さもあったが。それぞれのポスターのまとまりや内容も大変充実しており、発表者による動画や画像での補足説明を加えたものでとても分かりやすかった。どのポスター発表でもチーム全員で役割分担し発表された。その点について、参加者アンケートにてよい評価をいただけた。
  • 公開授業に向けて、授業だけでなく、研究発表会前清掃や参加者が利用する下駄箱や休憩の際の湯茶の用意など、本校のおもてなしの心が隅々まで行き渡る準備ができた。
  • 報告事例集の作成では、プレスチーム、持続可能な研究のためのチームが中心となり、原稿を編集し、製本化した。研究発表会に間に合わせるために、連日連夜、総力を挙げて取り組んだ。

本期間の成果

  • 研究発表会当日は、北は宮城県から、南は宮崎県まで参加いただき、外部から89名の参加があった。
  • 公開授業では、小学部から高等部まで、iPadやiPod touchを利用した5つの授業と、Pepperくんをプログラミングして動かし発表する授業を参観していただいた。Pepperくんをプログラミングして動かし発表する授業に関心が集まり、多くの方に参観していただいた。
  • シンポジウムでは、「テクノロジーの発展が障害のある子ども達に与える可能性とは」と題して、工学、教育、就労支援の専門家に登壇いただいた。それぞれの立場からの発表や質疑応答を通して、会場全体でテクノロジーの発展と子ども達の未来について考える機会を得た。
  • アプリ機器紹介では、本研究で活用したアプリを体験していただき、Pepperくんを操作するアプリやPepperくんを紹介した。
  • ポスター発表が体育館で行われ、ポスターだけでなく動画を活用し充実した発表ができた。
  • 成果報告会では、2年間の研究の取り組み事例の報告を中心に、ESDの視点を踏まえつつ、研究を通して明らかになったICT機器活用の有効性や今後の展望を報告した。
  • 研究の総括をかねてアドバイザーである帝京大学教授 田村順一氏より「機械以上、人間未満の存在が教えてくれたこと」と題して御講演いただいた。子どもたちと人型ロボットとの関わりから考える未来像について、本校との2年間の関わりを振り返りつつ語っていただけた。

2年間の成果

  • Pepperくんを活用した実践事例は、1年目では10事例、2年目では10事例(内4事例がH29の継続)あり、2年間を通じて16事例生まれた。
  • 2年目の実践では、Pepperくんの位置付けを分析し、教師、友達、道具の3つに分類した。10事例のうち、教師としての位置付けが4事例、友達としての位置付けが4事例、道具としての位置付けが2事例あった。
  • 持続可能な研究のための発表会を2年間で6回行い、各チームが計画や実践の結果を報告し合った。発表の機会を設定することで、教職員全員が研究の進捗状況を把握できた。この発表会を通して、他のチームの実践方法を日頃の授業に取り入れる事例や、各部の代表児童生徒を集めてプログラミング学習を行う事例が生まれた。
  • 授業でPepperくんを活用するためには、教師自身が活用場面の検討やプログラミングをする必要が生じ、結果としてよい授業改善の機会となった。
  • 計画的かつ組織的に研究を行うことで、教職員一人一人が研究に携わることができ、学校全体で研究を進めることができた。教職員一人一人の持ち味を適材適所で活用することができた。
  • 自校で開催する研修会「みあいワークショップ2017」「みあいワークショップ2018」や「H29.30校内研究 ESDの視点で取り組む未来型ICT活用実践~対話型ロボットで社会性を育む~研究発表会」で本研究の実践を報告した。
  • 「ATACカンファレンス2017」「日本特殊教育学会第56大会」で本研究の概要や実践例をポスター発表の場で報告した。
  • 2年間の実践を報告事例集にまとめ、研究発表会参加者を中心に配付することができた。

今後の課題(計画)

  • Pepperくんの今後の維持管理方法を検討すること。
  • Pepperくんの活用実績を蓄積しまとめていくこと。

2年間を振り返って、自己評価・感想(気付き・学び)など

  • 本研究を進めるにあたって、本校が掲げるESDの「自分の力を発揮する」「社会に参加する」「社会に役立つ」視点を軸に実践を進めた。ESDの視点を掲げることで全ての実践が社会につながることを意識した事例になり、ESDの視点が改めて重要であることを再認識できた。
  • Pepperくんの活用では、各チームが実践していけたのは、アシストチームの役割が大きかった。ネットワーク環境の再構築、Pepperくんの使用方法の研修、内蔵アプリ等の紹介、不具合やトラブルへの対応などをアシストチームが担当した。とりわけ「Pepperくんのお父さん」として存在した、アシストチームリーダーの果たした役割が大きく、校内の教職員はもとより、パナソニック教育財団やアドバイザーからも高く評価していただけた。
  • 今回は財団の助成によりロボットを活用した実践を行った。そこで改めて気づかされたことは、ICT機器はあくまでもツールであり、それをどのように活用して社会参加の一助とするかを決めるのは、子ども達である。我々教師は、そのための選択肢と可能性をいかに提供すべきかを考え、学び続けていかなくてはならない。
  • 本校の研究を進めるにあたって、パナソニック教育財団事務局の皆様、アドバイザーである田村順一氏を始めとして、多くの関係諸氏から力添えをいただきました。心より感謝申し上げます。

成果目標

  • ① 校内教職員
    • ・ESDの視点におけるICTの活用について教職員の理解が深まる。
    • ・今後のテクノロジーの進歩を見据えた、新たな学びのあり方について具体的なイメージをもつことができる。
  • ② 校内児童生徒
    • ・テクノロジーを活用することで、コミュニケーション能力の発達が促され、社会参加に対する機会及びその質が向上する。
  • ③ 校外教職員及び関係機関
    • ・研究成果の発信を通して、テクノロジーを活用した学びのあり方について、共に考え試行錯誤する仲間としてのネットワークが構築される。
アドバイザーコメント
帝京大学 大学院教職研究科 教授 田村 順一 先生

1. 活動機関 平成31年1月~3月

 

2. 今期の取り組みの意味付けについて

  • ・今期は何より2月2日に特別研究の成果についての発表会が行われ、県外を含めて外部から89人、教職員を合わせて約200名を超える参加者となった。
  • ・公開授業では、小学部から高等部まで、ipadやipad touchを利用した授業実践5件と、Pepperをプログラミングして動かすという実践が行われた。
  • ・参加者の関心ももっぱら人型ロボットのPepperに集まり、多くがこの授業(小学部1名、中学部1名、高等部2名)を参観したものと思われる。
  • ・午前の部の次はシンポジウムとして、工学、教育、就労支援の立場からロボットへの期待が語られ、良い取り合わせのシンポジウムで会った。
  • ・午後は全職員によるポスター発表が体育館で行われ、若手を中心としたそれぞれの発表は充実しており、本校の取り組みの誠実さと全職員の協力体制を感じさせるものであった。
  • ・成果報告会では、研究主任の野口教諭を中心にこれまでの取り組みが報告された。
  • ・研究の総括をかねてアドバイザーである私が講演を行い、校内の支援体制の良さや、人型ロボットに対する我々の関わり方の未来像をみあいの子どもたちが示してくれたことを評価し、閉会となった。
  • ・職員の一致団結した準備と発表の様子が印象的であり、本研究が教職員一人一人の中できちんと受け止められ、活動につながっていることを感じさせた。
 

3. 本期間の取り組み・成果の評価

  • ・報告会全体を通して配慮が行き届き、校長以下、研究部教員の準備の苦労と職員のチームワークが光る内容であった。
  • ・研究報告書は美しい仕上がりで充実しており、参加者の満足度も高いものと思われる。
  • ・報告会全体として、本校が2年にわたって取り組んできた研究内容を、的確に表現することができたものと思われる。
  • ・一方、Pepperくんの不調はいかんともしがたく、右腕部分がうまく動かないことや不意のシステムダウンが考えられ、急遽愛知工業大学から別のPepperくん個体を借り受けることができたのは幸いであった。この個体は動作異常もなく、円滑に動作した。
  • ・これら機械的トラブルへの対処と次年度以降の研究の継続をどのようにはかるかの検討がこの期間後半の大きな課題であろう。
 

4. 今後の課題・期待

  • ・まずはPepperくんの修理と今後の継続使用の方策を模索することが急務と言える。
  • ・人型ロボットと知的障害のある子どもらとの関わりはまだ様々な可能性が残されている。研究そのものは終了したとしても、今後何らかの工夫によって、2年間培ってきた研究を地道に継続する手立てを工夫したい。
 

5. 他校の参考になる助言など

  • ・知的障害のある児童生徒の人型ロボットに対する関わりが、様々なことを教えてくれた。
    知的障害の児童生徒は、その優れた感性で瞬時に仲間を見分けるものである。Pepperくんを我が校のペパ太郎として受け入れた子どもたちの感性に学ぶものは多々あった。
  • ・これからはさらに機能の優れたロボットやAI、ICT機器が開発されていく事とも思われるが、あくまで使うのは人であり、過度の依存や軽視・蔑視は好ましくない。そうした新しい存在への関わり方のヒントを本校の子どもたちが示してくれた。
  • ・そうした自然な態度を引き出したのは本校の一人一人の先生方であり、研究を推進してきたスタッフ、ペパ太郎のお父さんと呼ばれつつ機能的な課題を丁寧に解決してきたスタッフ、校内をリードしてきた歴代の管理職の皆さんの総合的な力である。
  • ・特別研究そのものは終了するわけだが、10周年を迎えた本校の持ち味を今後も維持しつつ新しい課題に取り組んでいただきたい。