大阪府立東百舌鳥高等学校
第41回特別研究指定校研究課題
~一人一台のタブレット端末によるe-Portfolio活用~
アドバイザーコメント
- アドバイザーとして、授業を見学、研究会でアクティブ・ラーニング(AL)についての協議に加わり事例を紹介する…
研究活動経過報告
大阪府立東百舌鳥高等学校の研究課題に関する内容
学校名 | 大阪府立東百舌鳥高等学校 |
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研究テーマ | ICTを活用したアクティブラーニングの実践と評価
~一人一台のタブレット端末によるe-Portfolio活用~ |
目的 | 自他敬愛・自他幸福の精神を持った生徒の育成
一人一台のタブレット端末を活用したアクティブラーニングの実践を積み重ね、評価方法を確立する |
現状と課題 |
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取り組み内容 |
1年目
2年目
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予想される成果 |
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助成金の使途 |
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研究指定期間 | 平成27〜28年 |
都道府県 | 大阪府 |
研究代表者 | 勝田 浩次 |
学校HP | http://www.osaka-c.ed.jp/higashimozu/ |
アドバイザー | 影戸 誠(日本福祉大学 国際福祉開発学部 教授 ) |
大阪府立東百舌鳥高等学校の取材記事
本期間の取り組み内容/アドバイザーの助言と助言への対応
取り組み内容 |
①ICTを活用した、生徒の主体的な学習意欲に応じて授業を展開できる教室、
4月にALRを完成させることができました。今後すこしずつ実践を通して教室の仕様は改善していく予定です。中規模の教室をベースとして、生徒が活動しやすいように絨毯仕様にしています。稼働式の机と椅子を22セット導入して、授業の展開に応じて教室環境を変化させることできるように工夫しました。選択授業など、中規模の人数で行う授業を対象としています。 (写真1〜2枚目参照) ②「マルチメディア」、「政治経済」、「日本史演習」の授業において、アクティブラーニングの実践を行う 4月に完成したALRにて「マルチメディア」の授業を1学期間(計20回)行いました。生徒が主体となり行う「オリジナルショートムービーの作成」では、各チームがテーマに沿ったコンセプト、伝えたいメッセージを考え、効果的に伝えるための方法を考えながらiPadでの撮影・編集に挑みました。(写真3枚目参照) ③e-Portfolioに生徒の学習履歴を蓄積していくことで、アクティブラーニングの評価に活用する 現在e-Portfolio導入のためのサーバを設定している最中です。そのため、まずはアナログデータで生徒の学習記録を蓄積していく「学びのポートフォリオ」を作成し、毎授業、授業の最後に「今日の授業で自分が何を学んだか」の記述をさせています。 ④アクティブラーニングを推進する組織「Total Plan委員会(TP)」を組織する 様々な教科の教員が集まり、20名程度の組織を作りました。4月から会議はすでに14回行い、アクティブラーニングを促進していくための方向性となる、「生徒に身につけさせたい力」と「アクティブラーニングの定義」について話し合いをしました。「生徒に身につけさせたい力」としては、「自他敬愛・自他幸福のこころで主体的に学ぶ力をもった生徒を育成する」という目的を、「アクティブラーニングの定義」については、「教員が目標を明確にした上でその達成のために、生徒が主体となり考える練習をする時間をつくること」と定義をしました。2学期からは、まずTPのメンバーがアクティブラーニングの実践を行い、他の教員に示すモデルケースとして実践を蓄積していきます。 ⑤ICTを活用したアクティブラーニングの実践方法・評価方法についての研修を行う 5月から各月に一度、研修を行い、ICT活用やアクティブラーニングについての理解を深めるための研修を行いました。参加者は合計で60名にのぼりました。 |
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アドバイザーの助言と助言への対応 |
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裏話(嬉しかったこと、苦心談、失敗談 など)
参加者25名越え!
5月に「ICTを活用したアクティブラーニング」をテーマとした研修を学外にも公開して開催したところ、25名の学校長や教諭の方が参加してくれました。このことからも、「ICTを活用したアクティブラーニング」というテーマへの関心が非常に高いことが伺え、より一層研究に力を入れていこうと思った瞬間でした。
成果
- ① ALRの設置ができた
- ② ALRにおいてアクティブラーニングの手法を取り入れた授業を1学期間通して行えた
- ③ 紙媒体での「学びのポートフォリオ」の作成と継続的な活用ができた
- ④ アクティブラーニングを推進するTP委員会の設置と継続的な議論の場が創出できた
- ⑤ ICTを活用したアクティブラーニングの研修を5月から1ヶ月に1度、計2回開催できた
今後の課題
夏休み中にMoodleサーバをたてる予定なので、その中に先生たちが利用できるアクティブラーニングの実践を蓄積していけるプラットフォームを用意する予定です。
このプラットフォームを用いて先生方で授業に関する知見を共有し、全教員がアクティブラーニングを行えるようにサポートしていくことが今後の目標です。
公開研究会の計画
10月中旬に公開研究授業(ALRでのアクティブラーニング実践)、外部向け公開研修会(ICTを用いたアクティブラーニングについて)を予定。
- 日本福祉大学 国際福祉開発学部 教授 影戸 誠 先生
4月から5月にかけて2回訪問させていただいた。その中で強く感じたことは「学校教育力」である。情報関連のプロジェクト推進において最も大切なのは「校長先生、担当教諭のマネジメント力」「教員の連携力」=学校教育力であると考える。魅力ある「校長ブログ」がすべてを物語る。校長先生自らがデジタルカメラを持ち、ブログを更新している。ICTが人と人とを繋ぎ、より豊かなひと時をもたらすことを実践していらっしゃる。校長先生との会話も楽しみである。また担当の勝田先生も教員のみなさんと同じ方向を向いて、アクティブラーニングを推進する組織「Total Plan委員会(TP)」を開催している。連携ある高校、顔の向きがしっかりした学校、それを強く感じた。
アクティブラーニングを活性化させるためには「場」が必要と思う。座ったとき顔がどちらを向くのか、黒板なのか、友達の顔なのか、「対面」する対象でモチベーションはかなり変わってくる。この4月に10教室、本学で作ったが、その効果はてきめんである。たしかに「環境」は意識を規定する。「絨毯」「自由に組み合わされる机」など教室も見せてもらったが準備は整いつつある。 5月の段階では、特徴ある情報教育の展開を見せてもらうにとどまったが、9月以降、洗練された机の配置、授業展開が期待できる。 一人1台の端末が①どのように学習をサポートして、②どんな学習OUTCOME(自ら確認できる学習成果)をもたらすのか楽しみである。
タブレットPCそしてそれを支えるLMS(MOODLE)と(Mahara)を使う予定である。夏休み中に準備を済ませ9月から活用の予定である。Moodleは大学ではよく使われる。私も3つの授業で使っているが、モデルとなる作品の配布、授業成果の保存など効果的である。またmaharaは記録の貯蔵書である。班やクラスで情報の共有ができる。作ったプレゼンテーションの共有が指定したグループ内で可能となる。アクティブラーニング中で、話し合いを促進させる。他者と、そして自らとの対話を深めていくことだろう。 そのような活用モデルがやがて出されるだろう。
本期間の取り組み内容/アドバイザーの助言と助言への対応
取り組み内容 |
8月から12月にかけては、一人一台のiPadの貸与や、LMSを活用したe-Portfolio作成に特に力を注いできました。また、本校40周年記念事業として全普通教室に単焦点型電子黒板機能付きプロジェクターを設置しました. ①一人一台のiPad貸与 9月の購入から、セキュリティなどの設定を行い、10月に一人一台の貸与を開始しました。現在は「マルチメディア」の受講生16名に貸し出しをしており、授業での活用を行っております。授業中の生徒の活用としては、発表のための資料作成に活用することはもちろん、ディスカッションの中でクラスメイトに説明をするための根拠を示したり、あらかじめ家で準備してきた資料を用いてディスカッションを進めたりしているグループも見られました。生徒は、それぞれの活用方法を模索している段階です。 ②Moodle,Maharaによるe-Portofolioの作成 LMSであるMoodleとMaharaを用いて、生徒の学習履歴を残していくe-Portfolioの取り組みを進めています。生徒は授業が終わるとMoodle上に設置されたディスカッションボードに「今日の授業で自分が何を学んだか」を書き込みます。Moodle上で授業内容に関する振り返りを受講生同士が共有し、次回の授業では、授業担当者がその振り返りの内容を用いて授業の導入を行います。Moodleのディスカッションボードに記載した振り返りの内容は、Maharaと同期することができるため、各回の学習事項はMahara上に蓄積されていきます。これまで紙ベースで行ってきた作業をWeb上で行うことにより、生徒は文字だけでない、マルチメディアを用いた振り返りが行えるようになりました。また、学習内容に対する教員からのフィードバックがMoodleを通じて容易に行えるようになりました。 ③単焦点型電子黒板機能付きプロジェクターの導入 夏休み中に全普通教室に単焦点型電子黒板機能つきプロジェクターを設置し、9月の2学期開始から活用をすすめています。現在、75%の教員が授業で活用するなど、教員のICT活用率が格段に上がりました。また、プロジェクターを導入することにより、従来口頭で説明していたものを図で表示したり、板書を書かずに投影したりすることで、5分から10分ほどの余剰時間を確保することができるようになりました。この時間を活用して、協働学習や、教えあいの学習を取り入れる教員も見られるようになりました。 ④Total Plan委員会によるALのモデルケース冊子作成 この特別研究指定校事業を推進しているTotal Plan委員会において、委員の教員がALの実践を持ち寄り、その実践を東百舌鳥高校のALモデルケースとして冊子にまとめました。今後は、この冊子を校内研修などで配布しながら、各教員がALを取り入れた授業について考えるきっかけとしたいと考えています。 |
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アドバイザーの助言と助言への対応 |
アドバイザーの助言は以下のとおりです 『教員のICT活用と、アクティブラーニングを行っていく姿勢は良い方向に変化してきているが、生徒がICTを活用して、協働学習などの、考えをまとめ、発信できる機会をこれまで以上に確保する工夫が必要。また、学習の結果、「できないことができるようになった」という《Outcome》をICT活用により可視化する仕組み作りが必要。』 助言から、課題を3点に絞りました。
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裏話(嬉しかったこと、苦心談、失敗談 など)
iPadキッティングの際の留意点
- 一度に大量のApple IDを発行する場合、事前に教育機関としてIDを作成するという旨をサポートセンターへ連絡する必要があります。大量のID発行を許可なく行う場合、制限がかかってしまうので、その制限を解除するためです。学校のメールアドレスや登録するIPアドレスなどを通知する必要があります。
- 一度発行したApple IDは削除できません。
- Apple Configuratorで一括してセキュリティなどの設定は行えます。
成果
- ① 一人一台のiPad貸与を16名に行うことができた
- ② MoodleとMaharaを用いたe-Portfolioの運用を開始することができた
- ③ Total Plan委員会によるALのモデルケース冊子の作成ができた
- ④ ICTを活用したアクティブラーニングの研修を5月から1ヶ月に1度、計7回開催できた
- ⑤ 本助成による成果を学会・研究会にて5回発表、公開研究授業を1回行うことができた。
- ⑥ 本校の取り組みの様子が教育新聞(11月19日)に掲載された
- ⑦ 大阪府立高校では初の学校情報化優良校として日本教育工学協会から認定された
今後の課題
- 協働学習を基盤としたALの普及
- LMSによる学習内容の可視化(ハード面)
- LMSによる学習内容の可視化(ソフト面)
今後の計画
- 協働学習を基盤としたALの普及
- 生徒のICT活用(主にタブレット)促進
- 作成したe-Portfolioを活用して、評価のモデルを作成すること
今後の公開授業・公開研究会
- 2月上旬に特別研究指定校の取り組みの一年間のまとめとして、公開研究授業を行います
- 日本福祉大学 国際福祉開発学部 教授 影戸 誠 先生
アクティブラーニング成功の5つの条件
-「ICTを活用したアクティブラーニングの実践と評価」に参加して-
授業も見せていただき、企画立案推進を担当する同校の「トータル・プラン委員会」のみなさんと論議を進めてきました。勝田先生を中心に熱心に研究をされ、私たちの智見を共有し、これまで実践方向を探してきました。
その中から 半年の実践の中で、見えてきたものを「成功の条件」にまとめてみたいと思います。
成功の5つの条件
- 環境があること 顔の向き AL教室 ICT、話し合いの経験
- 生徒に問いがあること なぜ 参加意欲 チャレンジ
- 話し合いがあること 意見の外化 比較 主体的なかかわり
- アウトカムがあること 喜び OUTCOME enjoy
- 振り返る教員集団 振り返り Reflection 理論があること
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環境があること
空き教室を利用してActive Learning Roomを作った。単焦点のプロジェクタもあるし、ワークシートの配布もネットワークを介してできる。集中して授業して授業に取り組むことができる。機器操作のわずらわしさ(学習ノイズ)が大きく減るデザインとなっている。
座ったとき友達の表情が目の前にある。学習のマインドセットを変え、「意欲的なスタート」となる。 -
生徒に問いがあること
問いは探求を支える。「なぜ、どうして」の問いが仲間との話し合いで深められている。しかし、その輪に入れない生徒が時にいる。全員が入ることのできる「教師の発問」「作業の準備」が条件の一つとなる。教科により、単元により異なるが、ファシリテーターとしての教師の力量が問われる。 -
話し合いがあること
協働学習の場面で、グループの「論議の成果」を出していく。その過程で個々の生徒の情報発信が確保され、積極的なかかわりが保証される。情報発信には多くの力量が必要となる。話す順番、聞き手の分析など。しかし、回を重ねていくことでパターン化していく。レポートとして、結晶化していく。 -
アウトカムがあること
発話し、それが比較の中でもまれ「新しい形の智」ワンランク上の知識になっていく。一緒に学べてよかったという気持ちとなる。
同校では、Moodleや、Maharaを使っている。生徒のデジタル教材を、感想や、まとめ それぞれにフレーズに分けて格納できるシステムである。日付や内容に応じて、瞬時に取り出すことができる。数か月前の自分の作品と今日の作品の比較が容易にでき、(育つ自分を確認できる)、まさに学びがEnjoyできる。 -
振り返る教員集団
この学校には「トータル・プラン委員会」があり、アクティブラーニングのデザインと実践を行っている。集団で考え実践するところに最もこの学校にマッチした授業案や、インタラクションの形、協働学習の形態が出てくる。教員自体が振り返り、評価していくその体制が実践を大きく支える。先生自体が「アクティブラーニング」の学習者である。
・先生方と話し合いで使ったいくつかの表
本期間の取り組み内容/アドバイザーの助言と助言への対応
取り組み内容 |
1月から3月にかけては、この一年間のまとめである研究成果報告会の実施に向けた準備に特に力を注いできました。
1.研究成果報告会へ向けた準備 研究成果報告会を実施するにあたり、この一年の目標であった「ICTを活用したアクティブラーニングの実施」を念頭におきながら話し合いを進めていきました。特に、「東百舌鳥高校のAL(アクティブラーニング)の定義」については何度も議論を重ねました。その過程で、「ALとは何なのか?」、「ALで養いたい力は何か?」という2点についてはTP委員会の中でかなり念入りに議論をしました。何度も議論を重ね、何度も改訂を経て、最終的に東百舌鳥高校のALの定義は以下のようにまとまりました。 教員が目標を明確にし、その達成のために生徒が主体となり活動をする学習方法のこと。
1-1.AL(アクティブラーニング)とは何なのか? 「ALとは何なのか?」については、「教員が目標を明確にし、その達成のために生徒が主体となり活動をする学習方法のこと。考える・まとめる・発表するなどの、思考と行動の両方を活発化させる活動を伴う。」という内容にまとまりました。特に、「考える・まとめる・発表する」という過程が大事だと考えています。これまでの学習では、教えられた内容を記憶し、再現することが求められてきましたが、社会の変化に伴い、自ら問題意識を持ち、社会の中で問題解決を行う力が必要であることが求められるようになってきました。もちろん、問題解決の過程で必要となる「思考」をするためには、「知識」が必要です。そのため、本校では「知識」と「思考」の両方を活性化させる必要があるという結論に至り、その両方を活性化させるための授業での取り組みがALであるという結論に至りました。 1-2.ALで養いたい力は何か? 「ALで養いたい力は何か?」に関しては、「①十分な知識・技能」、「②答えが一つに定まらない問題を自ら発見し、解を見いだしていく思考力・判断力・表現力」、「③主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度」という具体的な3つの力に絞りました。
2.研究成果報告会当日の様子 研究成果報告会では、「英語」「理科」「情報科」「数学科」の4教科が公開授業を行いました。さらに、授業後には、これまでの本校での取り組みに関わってくださった影戸先生から、本校の取り組みの特徴についてお話しいただき、本校での取り組みの概要を説明するという流れで授業検討会を行いました。成果報告会には合計50名の参加があり、他府県からの参加もありました。行った授業の内容は以下のとおりです。 1.日 時 平成28年2月12日(金)13:15〜17:00 (受付開始12:30〜)
5限の授業について 図1 コミュニケーション 英語Ⅱの様子 図2 数学Aの様子 図3 化学基礎(5限)の様子 2-3 コミュニケーション英語Ⅱ
コミュニケーション英語Ⅱの授業では、教員が電子黒板上に投影した複数枚の写真をもとに、生徒が質問を考え、選んだ写真について他の生徒に質問を投げかけ、英語でやりとりを行うという取り組みを行っていました。やりとりの後には、考えた質問や気づいた内容について文章で記述させ、文法事項の確認や、わからない部分を調べるという内容でした。電子黒板で具体的な写真を示せることで、生徒への興味喚起につながり、楽しみながら英語を用いたやりとりをすることができていました。 1-4 数学A
数学Aの授業では、情報科と連携した教科横断型の授業を行いました。情報科の授業で行っている「冬休みの生活のビッグデータの分析」と関連させて、「データの分析」をするための数学的な思考法について授業を行いました。具体的には相関係数を用いて、大量にあるデータの中から、関連するデータを見つけるという内容です。例えば、「娯楽時間」が多い生徒ほど、「携帯使用時間」が長い。といった具合に、生徒自らが仮説を立て考え、その検証を、数学的手法(相関係数の算出)を用いて行うという内容でした。 1-6 化学基礎
化学基礎の授業では、中和滴定について取り扱いました。準備が大変な実験を、あらかじめiPadで撮影・編集し、実験の様子を生徒に見せていました。その過程で、道具の使い方や、実験の結果から考えられる化学物質の量の推測などをさせていました。授業の際には机を寄せ合い、すぐに話し合える環境で授業を行うことで、生徒同士の教えあいを重視しながら授業を行っていました。 6限の授業について 図4 化学基礎(6限)の様子 図5 コミュニケーション 英語Ⅰの様子 図6 情報の科学の様子 1-1 化学基礎
6限の化学基礎の授業は、5限の授業とは授業者がちがいますが、単元は同じく「中和滴定」です。この授業では、実際に生徒の代表者が実験を行い、グループで滴定量から水溶液の濃度を求めるレポートを作成することが課題でした。授業者は、実験の手順についてあらかじめ動画で示すことで、要点をわかりやすく示していました。イメージを持たせることができるため、生徒は実験へ取り組みやすいようでした。理解が複雑、イメージが湧きにくい実験の手順を動画で示すことで、時間を短縮し、実験の際に考える時間を十分確保することができたり、興味喚起をしたりしていました。 1-5 コミュニケーション英語
「We are the World」を題材にし、授業が展開されていました。この授業では、2人一組になり、生徒が生徒全員に教えるという、いわゆるリトルティーチャー活動を取り入れていました。授業者はあらかじめ電子黒板を用いて視覚的に今日のゴール(この時は、最後に自分たちが担当したパラグラフの説明を行うこと)をわかりやすく示し、大まかな考えるポイントを生徒に説明して授業の導入を行っていました。授業者からの導入が終わると生徒は机を隣同士でくっつけて、自分たちが担当するパラグラフの和訳や文法、新出単語などを調べ、どのように説明すればわかりやすいかということについて話し合っていました。 1-7 情報の科学
この授業では、数学科と連携した教科横断型の授業を行いました。数学科の授業で行っている「データの分析」での数学的な思考法、分析の方法を活用して「冬休みの生活のビッグデータの分析」を行い、「生活から見える学校の特徴、自分たちの生活の改善策」を考える問題解決型学習を行いました。生徒は自分たちが冬休みに記録した4000行を超える大量のデータから、「自分たちの主張」を考え、その主張を裏付ける根拠とするため、データを加工して、意味のある情報へと大量のデータをまとめていきます。具体的には、関数を用いて平均値を出したり、比較・割合などのグラフを作成したりします。データを意味のある情報にするためにはどのように加工する必要があるのかを考え、最終的にはレポートにその主張と根拠をまとめていくという内容でした。授業の最後には、その時間に学んだ内容をLMSのMoodle上にあるフォーラムに書き込み、授業の記録を蓄積していきます。その時々の自分が「学んだこと」を記録して、いつでも見返すことのできるe-Portfolioを作成しています。 図8 全体会の様子 |
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アドバイザーの助言と助言への対応 |
・助言 「東百舌鳥高校なりのアクティブラーニングのカタチを作ること.そしてそれを外部の学校にも波及させられる取り組みとしていくこと」が必要であるという助言をいただきました。 ・助言への対応 助言への対応助言を受けて、今年度末までに実現する課題として2点を挙げます。
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裏話(嬉しかったこと、苦心談、失敗談 など)
TP委員会内でのALの定義の定着
本校のALの定義は3回改変されました。話せば話すほど、様々な内容がALには含まれており、その重要なポイントを学校の実情に合った形に文章でまとめることは一度では難しいことでした。しかしながら、話し合いの過程でALのイメージ像がどんどん明確化していき、共通の理解を持つことができ、TP委員会のなかでは、深い共通の理解を持つことができました。このように、組織として共通の認識をもてたことがとても嬉しかったことです。次の年度では、TP委員会で共有したこの共通理解をいかに他の教員に浸透させていくかがポイントになってきます。
成果
- ① 2月12日に研究成果報告会を行い、50名を超える参加者が参加してくれたこと
- ② 雑誌「教育PRO(2月23日号)」に本校のALの取り組みが掲載された
- ③ TP委員会による「東百舌鳥高校のALの定義」が完成した
- ④ 1年間、TP委員会として組織的にICTを活用したALの実践に取り組むことができた
今後の課題
- ① 全教員でのALの実践
- ② 今年度の実践をALのモデルケースとしてわかりやすくまとめる
- ③ ALの評価について大まかにパタナライズし、場面ごとの評価方法についてまとめる
今後の計画
- ①ALの定義を他の教員にも浸透させる(ALに関する理解を深めるための冊子作成)
- ②ALの実践を全教科での取り組みにしていく(研修、定期的な研究授業の実施)
- ③e-Portfolioを活用したALの評価方法を情報科が中心となって確立させる
1年間を振り返って、成果・評価・感想(気づき)・次年度への思い
今年度はTP委員会を中心として、「アクティブラーニングの実践を行っていくこと」.そしてその過程で「東百舌鳥高校のALの定義」を定めることができました.また、選択マルチメディアの授業、情報の授業では、e-Portfolioを活用した「学びの蓄積」ができたことが成果です。
これらの取り組みから、組織内での目的(なぜする)と目標(なにをする)の共有、また、共通言語としてしっかりと定義することが必要であることに気づくことができました。また、e-Portfolioで何より重要なポイントは、いつでもどこでも自分の気づきを蓄積していける環境だと気づくことができました。そのため、iPadを貸与し、個人のラーニングデバイスとして活用することが必要でした。今年度は選択授業を受講している16名へ貸与しました。全体として利用できる端末に限りはあるため、個人持ちのデバイスを活用することも視野に入れていく必要があるかと考えました。
次年度は、今年度TP委員会ですることのできた、「アクティブラーニングの実践を行っていくこと」。「東百舌鳥高校のALの定義」を他の教員にも浸透させていくことが目標です。
ALの評価に関しては引き続き情報科を主体に行い、総合的な学習の時間などにもe-Portfolioの活用を広げていくことで、特別研究指定校としての取り組みをすすめていきます。
- 日本福祉大学 国際福祉開発学部 教授 影戸 誠 先生
学習負荷が適切に
「生徒が主体となり活動をする学習方法のこと。考える・まとめる・発表するなどの、思考と行動の両方を活発化させる活動を伴う。」
と東百舌鳥高校では、アクティブラーニングの活動をイメージしています。これらは 探求のための学習として、よく引用されるBloomの分類法からみても、非常にポイントをついた基準といえます。
これまでの「受け身型」「知識伝達型」(知識をためる銀行型)から脱皮して、知識を活用し、より一人一人が考え、「発表する」(Apply)ことによって、深い定着と、自分への自信を取り戻させる学習 活動として、アクティブラーニングが提起されてきました。授業評価において、写真やビデオ録画は大変有効な手段といえます。
授業参観の後、振り返ってみると、やはり、方向性はみえるものの、「先生の語る」時間が多く、「主体的に活動する時間」の割合がまだ少ないように思うこともありました。
従来一人で、解説し、1時間の授業をこなしてきた先生が、急に大きく舵を切るには不安もあるかと思います。今後、どのレベルの生徒も「主体的に取り組める」ことが、ICT活用によって実現し、「質問、問いかけ」が 図や写真などの見える形で提起されるようになれば、より一層生徒主体の時間帯が確保できると思います。
一人一台のICT
一人一台を実現することによって、端末が生徒の作業をサポートし、学習目標をしっかりと堅持することができます。
図は、助成校の一つ中学の様子です。天気図 > 一斉配信 → 一人一人で記入 → 比較の中で、ICTを活用しています。それぞれが天気図に書き込み、即座に比較することによって、思考を深める好例かと思います。
「一人一台のタブレット端末」が東百舌鳥高校の実践キーワードになっています。我々の訪問時には見ることができなかったのですが、今年度は実践が計画されていると思います。
生徒が、課題を自らの端末で確認し、それに書き込む、あるいは音声を入れ、グループで比較し、「主体性」と「発話」を確保するデザインを見せていただきたいと思います。
どんなデーターを一人一人に送信するのか
東百舌鳥高校では、アクティブラーニングのコンセプトも確定し、その部屋も出来上がりました。それを推進するトータルプランニング委員会も設置されています。試行錯誤の中で、モデル化も進みつつあるので、今後の取り組みとして、
- 一人一台をベースにした事例とモデルを作り上げること。
- 生徒に前半で配信するデータのデザインを研究する。主体的に思考し、協議していくうえで重要なのでその要件を明確にする。
- Maharaに残すデータの形と、データのレイティング、(単なる資料か、生徒の論文の構成要素か)について明らかにする。
これらを共に考えていきたいと思います。
本期間の取り組み内容/アドバイザーの助言と助言への対応
[本期間(4~7月)の取り組み内容] |
※ AL = アクティブラーニング ■計画
■実績
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アドバイザーの助言と助言への対応 |
■アドバイザーの助言
■助言への対応
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裏話(嬉しかったこと、苦心談、失敗談 など)
■ICT活用場面の拡大
授業の中で日常的にiPadや電子黒板をはじめとしたICTを活用する先生が増えてきました。また、授業改革に対しても前向きに取り組み、観点別評価の考えをもとに、多面的に生徒の学習活動を捉えるという雰囲気ができてきつつあります。
成果
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・全教職員に対する啓発活動を行えた
e-Portfolioを活用して実現したい評価は、知識・理解の定着を確認する数値による評価ではなく、「関心・意欲・態度」や、「思考・判断・表現」のような、数値化することが難しい部分に対する評価の「授業のめあて」や「形成的評価(その時間に学んだこと・考えたこと)」に対する意識付けができた
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・1to1卒業生へのインタビュー
昨年度情報デザインコースで1to1を体験して卒業した一部の生徒へのインタビューを行ったところ、e-Portfolioのあり方や、最適な活用の方法に関する知見が得られた。
今後の課題
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・iPadのキッティング
1to1へ向けて、昨年度のデータのバックアップを取った上で、再設定しなおす。Appleへ申請→手動でApple IDの作成→IPアドレスを手動入力し、internet参加
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・ICTを生徒が活用したアクティブラーニングの実施
活用希望科目・場面に対して活用出来る台数の不足をどうするか
今後の計画
- 1to1の開始(7月)
- 1to1導入のステップをドキュメントにまとめる
- BYODに対応するため、校内の規約をつくる
- e-portfolioのマニュアル作成
気づき・学び
本校では、1to1をするために台数が不足しており、どうしてもコース選択生などの限られた対象者にのみ貸与を行っていたが、自分が持っている端末を使って授業の中でさせればいい。という声も先生の中から上がってきており、前向きに1to1の問題について考えることができている。
- 日本福祉大学 国際福祉開発学部 教授 影戸 誠 先生
アウトカムデザイン
研究2年目を迎え、「主体的な学び」をデザインする実践の中で、明らかになりつつあるいくつかの成果(Outcomes)を、関心を持つ他校教員と共有できるよう、文章化の取り組んでほしい。実践が是非多くの高校でモデルとなり、さらにアクティブラーニングが広がることを願っている。
リフレクティブラーニング
この段階では、一度振り返り、どのように実践を「手渡せる形」にしていくかに取り組んでいく時期と思う。「メタ認知」といわれる手法であるが、懸命に取り組んでいる姿を、見える化する作業が必要と思われる。
私たちに伝えてほしいこと
私が期待するものは次のものである。
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アンケート結果
一人一台だと何がいい?
タブレット端末とインターフェース
一人一台の環境で扱う場合と、数台で扱う場合のインターフェースの違い事前・事後のデータ比較
アクティブラーニングによって活性化したか?
一人での思考、仲間と考える、発表、発見などの学習者意識の変遷
タブレットのインターフェース評価(表示、書く、比較)
一人一台となると、どのような利点があるのか(主体的な思考、協働での思考)話し合いと学習者意識 -
ポートフォリオサーバーの活用
ネットワークでこそできる学習成果の活用方法は?
蓄積データの種類
データの活用法
リフレクティブラーニングの視点から
アンケート 自分の成長が見えたか、どんな学び方が適切か? など -
アクティブラーニング
教科共通の東百舌鳥モデルの提示
一人で考える場面、仲間ととともに考える場面、発表、まとめ(端末の活用方法)
教科に独自の取り組み例 (化学、英語、数学、情報など)
課題の提示モデルと一人での思考と仲間との論議の方法(机の配置、役割分担)
転送データ例 表の提示、画像の提示、動画の提示 (学習負荷の観点から)
教員のリフレクション
トータルプランニング委員会 -
これから取り組もうとする学校への提言
「時間がかかりとても、教科の内容をとりあつかえない」
「記憶させる教育でも一定の成果はある」
「協働学習の場面で、とりのこされる、発言できない生徒がいる」
「一人で考えさせ場面の提示するデータの要件は?」
本期間の取り組み内容/アドバイザーの助言と助言への対応
[本期間(8~12月)の取り組み内容] |
1.選択科目「マルチメディア」の授業において一人一台の実践 情報デザインコース3年生の選択科目「マルチメディア」において一人に一台タブレット端末を貸与し,授業を行った(予算で購入した残りのタブレット端末は他の授業でスポット活用)。
①いつでもどこでも,必要な情報にアクセスできる ②ふりかえり(ポートフォリオ)の蓄積 以下,それぞれ具体的に説明をする。 ①いつでもどこでも,必要な情報にアクセスできる 授業用のデータサーバー(本年度はGoogle Drive(無料)を活用)を設け,授業で使用した資料を全てアップすることにより,いつでもどこでも必要な情報にアクセスできるようになった。昨年度は学校内に設けたサーバーでMoodle・Maharaを活用していたが,学外からのアクセスができないことや,操作の煩雑さといった問題があることから,本年度は無料で学外からのアクセスができ,操作が直感的に行えるGoogle Driveをデータサーバーとして選定した。 基本的なデータサーバーの使い方は2種類ある。1つは,生徒どうしの情報共有,2つめは,授業で使用した資料の共有である。この2つの活用は一人一台のタブレット端末があるからこそできる活用法だと考える。 実際の活用については,授業を例に挙げて説明する。
②ふりかえり(e-Portfolio)の蓄積 単元の終了時に毎回ふりかえりを行った。ふりかえりは,「学んだこと」「考えたこと」を基本に,スライドに単元で学習した内容がわかりやすいよう写真やテキストを用いてまとめさせる形式をとった(e-Portfolio,写真)。自分専用のタブレット端末があることで,端末の中に蓄積した写真のデータを使用しやすくなったり,授業で使用した資料などを引用しやすくなったりした。 また,サーバー上に自分のふりかえりをアップし,そのふりかえりを教員と共有することが容易にできることで,単元ごとの学習記録をe-Portfolioとして蓄積してゆくことができた。 生徒が蓄積した授業での学習履歴 生徒のふりかえりシートの例 生徒がふりかえりを作成している様子 生徒がスマートフォンを活用して小テストを解いている様子 2.BYOD(生徒のスマートフォン)を活用した実践 昨年度からの実践により,多様な教科・先生が電子黒板機能つきプロジェクターやタブレット端末などのICTを活用した実践を行うようになってきた。しかしながら助成金を用いて購入することができたタブレット端末は,数に限りがあるため(42台),全校的にタブレット端末を活用することが困難であるという課題があった。 そこで,生徒が所有しているスマートフォンを活用したBYODを実施するために利用ポリシーの策定(写真)を行うなど準備を進めてきた。 3学期からの本格運用をめどに,8〜12月では実験的に運用を行った。具体的には,知識の定着を確認する「小テスト」と,授業の理解度を確認する「ふりかえり」での活用を行った。活用したツールは,いずれもアプリを入れずにブラウザベースで動作するQuizizz(小テスト)と,Google Forms(ふりかえり)を用いて行った。
①時間の短縮 これまで,小テストや,ふりかえりは生徒の形成的な評価を行う上では非常に大事な取り組みであると認識されていた。しかしながら,一旦回収し,チェックし,再度生徒に返却するという手間と時間がかかっていたため,思うように実施できないという課題があった。今回生徒の端末を使い,媒体をアナログからディジタルに置き換えオンラインで行うことで,小テストにおいては点数が即座に生徒にフィードバックされ,ふりかえりはいつでも書き込めて,授業後の回収も可能となった。 ②データの蓄積 小テストやふりかえりを行う理由は,授業で習った知識の定着や理解度を先生と生徒が共有することで,よりよい授業を行うことである。生徒の端末を活用し,オンラインで小テストやふりかえりを行うことで,データの蓄積・分析がこれまで以上に容易に行えるようになった。 例えば,小テストで活用しているツール,Quizizzでは,行った小テストの結果を自動的にスプレッドシートにまとめて,問題ごとの正答率を示してくれる。先生はそのスプレッドシートを開き,正答率を確認することで,どの部分を補足する必要があるかを瞬時に知ることができる。また,ふりかえりにおいても同様に,その授業での生徒の理解度や,わからなかった部分をすぐに知ることができるため,次の授業への反映がしやすいといったメリットがある。 スマートフォンの利用ポリシー Quizizzの画面の一部 先生はQuizizzの正答率をすぐに確認することができる Google Formsによるふりかえりの画面 3.東百舌鳥高校アクティブラーニングモデルの構築 これまでの実践をもとに,全教員が無理なくICTを活用したアクティブラーニングを行えるように,本校ではアクティブラーニングのモデルを構築した。以下がその内容である。授業のめあてを示し,ふりかえりを記入させることは,授業において生徒に「何を学ぶか」,「何を学んだか」を考えさせるきっかけとなり,授業へ主体的に参加することを促す意味合いがある。 |
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アドバイザーの助言と助言への対応 |
一人一台だと何がいい? 取り組み内容でも触れたように,「いつでもどこでも必要な情報にアクセスできること」,「共有が容易に行えること」,「知識の定着や理解の状態を確認しやすいこと」,「時間の短縮ができること」,「データの蓄積・分析が行いやすいこと」です。 ネットワークでこそできる学習成果の活用方法は? 2つあります。1つは先生による活用,2つめは生徒自身の活用です。 先生による活用に関しては,ネットワークを介することで,小テストやふりかえりの結果を蓄積・分析することが容易にできるようになり,学習した知識の定着や生徒の理解の状態を把握しやすくなります。これらのことは授業をより分かりやすくするための材料として利用できます。 生徒自身の活用としては,自身の学習成果を蓄積していくことが容易になります。また,これまでの内容をふりかえるという活動を多く取り入れることができるようになることで,授業のつながりを理解しやすくなることなどが挙げられます。 ALの基本デザイン
の3つを授業の中に取り入れることで,無理なくALを実施することができるのではないかと考えています。ただし,毎回ALを行うことが目的ではなく,興味喚起や既存の知識の応用などをするために手段としてALを取り入れることが目的のため,必要に応じて行う必要があります。 その他学校への提言
毎回行う必要はないと考えています。「興味喚起」「既存の知識の応用」を行う際にALを手段として取り入れてください。 「協働学習で,とりのこされる,発言できない生徒がいる」 ICTを活用することで,授業のヒントを即座に与えることができたり,視覚的に提示することで,理解を共有しやすくなり,発言の促進につながります。 |
裏話(嬉しかったこと、苦心談、失敗談 など)
「授業のReデザインの難しさ」
「授業にALを取り入れる」「授業でICTを活用する」ということは,授業を見つめ直すことです。それぞれの教科・科目・先生によってめざすものが違うことを受け入れた上で,「学校としてどのような生徒を育てたいか」ということを一緒に考えるということが重要であるということがわかりました。
成果
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「東百舌鳥高校アクティブラーニングモデルの確立」
学校全体でALを推進するために,全教員が無理なく,取り入れやすくするために東百舌鳥高校のアクティブラーニングのモデルを作成しました。
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「生徒の端末の活用」
活用にあたってルールや活用のポリシーを定めました。実験的に導入し小テストを行った結果,生徒からは,「これを来週もするなら,単語を覚えてくる!」といった反応がありました。興味喚起をするために役立ったと感じています。
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「e-Portfolioのプロトタイプ作成」
アクティブラーニングの「評価」について先行的に実施している情報科の選択授業では,あたらしいプラットフォームに変えることで蓄積・共有が容易になり,これまで以上にe-Portfolioを残しておきやすくなりました。これをe-Portfolioのプロトタイプとして,3学期が終わる頃には,e-Portfolioの活用モデルとしてアクティブラーニングの評価方法を確立させたいと考えています。
今後の課題
- 「生徒のスマートフォン活用の本格実施」
- 「e-Portfolioによるアクティブラーニングの評価モデルの作成」
今後の計画
1月 | 最終成果報告会
生徒のスマートフォン活用の本格実施 3年生の1年間のポートフォリオ作成 |
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2月 | 1年間の取り組みについて,生徒にアンケート実施 |
2〜3月 | e-Portfolio活用モデル作成
アンケート結果分析 |
- 日本福祉大学 国際福祉開発学部 教授 影戸 誠 先生
ICTが支えるアクティブ・ラーニング(AL)
教育の改革は世界同時進行である。日本ではどうなっているのかと質問を受けることがある。「深い学び(Deep Learning)、対話的な学び(Interactive Learning)そして 主体的な学び(Self-directed Learning)が日本ではアクティブラーニング型として提唱されている。2020年の指導要領のなかでも指針となっている。」
と説明すると、すぐにその本質を理解してくれる。オーストラリアでもアメリカでも、「黙って聞き、知識を覚える」ことよりも、人に伝え「発信(apply)」することや新しい智を発見する「創造(Creation)」が教室にもたらされている。世界はその方向で動きPISAにおいても実施されつつある。
別の言い方をするとALとは脳の血流を増やし、学習者が能動的に考え、行動することである。教室には多種多様な学習者がいるので、それぞれに、手を伸ばせば届くそれぞれの「学習課題」が必要であり(ZPD)、そのデザインに現場は苦労している。直観性に強いICTであればかなり助けとなる。課題が理解できた時「学習負荷」が最適化され、「よしやろう」「できそうだ」と能動的な学びとなる。
ALにICTは必要か?
ICTがなくとも、巧みな話術や資料があればALは可能である。しかし、スーパーティーチャーでなくてもICTを活用することで、多くの教室で一人一人に適切な学習負荷をかけることができる。さっと手元にインパクトある図や写真を配ることができるのだ。そのデータは次の活動を指し示す。何が問われており、次の活動が何かが一目瞭然だ。手元に図や端末があれば、コーディネータとしての教師がそれらを使って集中してタスクに取り組ませることができる。
一人一台のスマホ
東百舌鳥高校はこれをやってのけた。1月の研究発表会では、一人一台のタブレットの活用もあったし、BYODとしてスマートフォンを使った。一人一台を操作するわけだから、反応に一人一人の責任がある。
授業内容の確認でオンラインクイズ
ICT機器を活用した、「見せる」「拡大する」「比較する」前半の授業の後、内容の確認として、生徒が一斉にスマートフォンを出す。自分のスマホであることから、QRコードを読み込むことは簡単である。
その先彼らは、先生の出題に答えていく。正解のパーセントも表示されるし、自分の理解度や友達と出した回答への理解がグラフに表示される。
「学びに対する評価」は即座になされるほうが教育効果は高い。誰もがプロジェクターに映し出される画面に集中している。慌ててノートを確認する生徒もいる。
ALを決めるもの
先生の力・・生徒が見える、生徒の次の一手が見える先生。学習負荷が見える先生が、いい問題や課題を与えることができる。また。ICT活用時の生徒の反応も予測できる先生である。ICTを使うことによって生徒の反応、行動が予測できる「魚眼」が必要である。
先生の不安と型
何十年も先生たちはしゃべりつづけ、情熱をもって知識を伝授してきた。一挙手、一投足に生徒が反応する。これをやめるのか?
全国、いろんな学校を見てきた。このように生徒が話法によって生徒を動かせる先生は、ICTを使わせるとさらに生徒を大きく動かす。要は生徒が見えているかどうかだ。
魅力的な先生はさらに魅力的になっていく。
ただ、先生がしゃべるのを止めるとき、幾ばくかの不安があるのも事実だ。その時には、「5分間で次の発言のためのキーワードを3つ書き出してね」などの支持をあたえて次に机間巡視である。生徒の発話場面でも「いつものプレゼンパターンに従って進める」などのルールをきめてあれば、どんな生徒にも可能となる。「型」をICTで容易に共有できるのである。
生徒がひたすら活動をしていく。それがALの形だろう。
ICTは流れを決める
この2年間ALについて、そのモデルを東百舌鳥高校と考えてきた。
その中で、次の図は一つのモデルともいえる。ICTなくしてはスムーズ授業展開はできない。
- 1.ICT一斉配信 問題提起の 図や表を得る。
- 2. 図を見て思い出す、読み取る あるいは選ぶ 発話の準備 (一人)
- 3. グループ内で「発話」。発話パターンを踏襲する。発話による情報の整理 発信 比較
- 4. 他のグループとの比較 比較による理解
- 5.再度 自分でまとめる。取捨選択する
- 6.次時 再度振り返り 定着する
- 7.しばらくしてまた アーカイブから 振り返る 自分の学びの振り返り
ICT活用の流れ
ICTがもたらすアクティブラーニング
ZPD・・最近接発達領域の学び 仲間同士の学びは教師が介在するより、より深い学びが起こる
Task・・与えられた課題をこなすことで、達成感とより明確な学習成果を体感する
BYOD・・Bring Your Own Device 自分の端末を使う
型・・授業内で発表方法を決めておく プレゼンの進め方、枚数、構成など
本期間の取り組み内容/アドバイザーの助言と助言への対応
[本期間(1~3月)の取り組み内容] |
■計画 ■実績 ・ICTを活用したアクティブラーニング『東百舌鳥スタイル』の確立 本校ではこれまでアクティブラーニングの定義などを定め、「どのような力を生徒に身につけさせたいか」という部分を基本として授業におけるICTを活用したアクティブラーニングについて考えてきた。その結果として本校独自のALのスタイル,『東百舌鳥スタイル』を確立した。キーワードは、「めあてを示す」、「思考を伴う発話場面をつくる」「授業のふりかえりを行う」の3つである。これらの3つを意識した授業を行うことで,「生徒に考えさせること」,「知識の定着や授業内容についての考察を深めること」「内容に関して興味関心をもつこと」をねらっている。 ・最終成果報告会 1月18日(水)にパナソニック教育財団特別研究指定校最終成果報告会を行った。府内の公立・私立高校だけにとどまらず、他府県の高校や、教育行政関係者、企業、他校種、保護者からの参加を賜り、合計で92名の方に参加していただくことができた。
表1.最終成果報告会のスケジュール 表2.公開研究授業実施科目一覧 5限:現代社会
5限:(学)マルチメディア
6限:化学基礎
6限:情報の科学
以上のように,一人一台のiPad・スマートフォンを用いることにより,本校のALのスタイル,「めあてを示す」,「思考を伴う発話場面をつくる」,「授業のふりかえりを行う」ことがよりスムーズに行えるようになった。最終成果報告会を通して,「調べてまとめて発表」だけでなく,理解度の確認や,話し合った内容へのフィードバック,学んだ成果を蓄積し「見える化」するなどの工夫を見てもらうことができた。 ・3年生の1年間のポートフォリオ作成 情報デザインコースの生徒にはiPadを一人一台貸与している。生徒はこれまでの学習の成果を自身のiPad及びGoogle Driveをはじめとしたクラウドサービスに保存している。それらの学習成果物を用いて,「自分が1年間で何を学んだか」を見える化するために,まとめ用e-Portfolioを作成した。 図.生徒のまとめe-Portfolioの例 学習の成果をこのようにe-Portfolioとしてまとめることで,「ふりかえることで自分が1年間でどのように成長したかがわかってよかった」,「自分の成長を実感することができた」などの生徒からのコメントがあった。 |
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アドバイザーの助言と助言への対応 |
学習負荷、ICT活用に関して、以下4つのポイントを意識した授業設計ができているか?
『東百舌鳥スタイル』として、授業の展開に関して「思考を伴う発話場面をつくる」ことを取り入れた。クラスメイト同士でお互いに学び合うことで「最近接発達領域の学び」を促すことをねらっている。 ②Task・・与えられた課題をこなすことで、達成感とより明確な学習成果を体感する 教員が本時の「めあて」を示すことで、生徒に「何を学ぶのか」ということを意識させるよう工夫をしている。今後はさらに協働的な学習を促すための課題の提示のしかたについて議論を深めてゆく。 ③BYOD・・「Bring Your Own Device」 自分の端末を使う 生徒の端末を用いる際の指針を定め、それに則って授業での活用を本格的に開始した。 ④型・・授業内で発表方法を決めておく プレゼンの進め方、枚数、構成など 『東百舌鳥スタイル』として本校独自のALのスタイルを確立した。キーワードは、「めあてを示す」、「思考を伴う発話場面をつくる」「授業のふりかえりを行う」の3つである。 |
裏話(嬉しかったこと、苦心談、失敗談 など)
研究授業の参加者90名越え!
2年目の最終研究成果報告会を1月に開催した。どのくらいの人が来るのかが不安でもあったが、結果、予想を大きく上回る92名の方に参加していただくことができた。
大阪のみならず他府県からもご参加いただき、改めて特別研究指定校としての役割の大きさを感じた1日であった。さらに嬉しいことに、この最終研究成果報告会の様子を毎日新聞、大阪日日新聞に大きく取り上げていただくことができた。少しでも他の学校の「ICTを活用したアクティブラーニングの実践と評価」に役立てていただくことができたらと、思いを新たにし、最後の報告集の作成をに取り掛かりたい。
成果
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「最終研究成果報告会の成功」
90名を超える方に参加していただき、16科目の授業を公開することができた。授業の中では、「めあてを示す」「思考を伴う発話場面をつくる」「授業のふりかえりを行う」といった3つの活動を含めた『東百舌鳥スタイル』を取り入れた授業を見ていただくことができた。
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「e-Portfolioの完成」
情報デザインコースの生徒に対してiPadを一人一台貸与し、1年間の実践を行ってきた。これまで学習してきた成果物を最終的にe-Portfolioにまとめることで、自分の成長を実感してもらうことができた。
2年間の成果と課題
ICTの活用が日常的になった
本校のプロジェクタの使用率は1年目の75%から2年目では90%近くまで上昇した。特別研究指定校としての活動を行う中で、ICTは「使わなくてはいけないもの」ではなく、「授業をする上で欠かせないツール」となった。教員自身もiPadやスマホを活用する頻度が増えたことで、生徒にもICTを積極的に活用させて授業を行おうと考える先生が増えた。
アクティブラーニングについて考える機会が多くなった
特別研究指定校としての研究活動を行うにあたり、トータルプラン委員会を設立し、この2年間議論をし、試行錯誤を行ってきた。結果、トータルプラン委員会の実施回数は月に1回以上の頻度で行うことができ、1年目は18回、2年目は17回、会議を行った。
トータルプラン委員会で話し合う内容を職員会議などでも逐一報告していたためか、職員室などで教員同士の授業に関する話し合いの回数が増えたように感じる。
本質に迫る議論ができるようになった
影戸先生をはじめとしたパナソニック教育財団の方に学校視察にきていただき,その都度アドバイスや厳しい意見をもらうことで,「本当に今すべきことは何か?」ということについて考えるようになった。例えば,アクティブラーニングひとつをとっても,「なぜ,アクティブラーニングを行うことが良いのか?」「生徒にどのような力をつけさせたいのか?」「ICTはアクティブラーニングとどう関係しているのか?」のように教員同士で本質について考える機会を多く設けることができた。決して言われたことをやるだけでなく「なぜ?」と考え,本当に生徒に対して良いことは何か?という本質に迫りながら取り組みを進めてゆくことができた。
生徒の成長
特別研究指定校の取り組みをはじめて,1年目にはこれまで頑張っても手が届かなかった難関私大に合格する生徒が現れた。単に知識の詰め込みによる一般入試での成果ではなく,その生徒の特性を生かし,表現することのできるAO入試による合格であった。また,2年目には全国の高校生の代表として,スマートフォンの使用方法や情報モラルの教え方について政府に提言を行うという大役を務める生徒を育てることもできた。
今後の展開
継続的な議論
『東百舌鳥スタイル』を確立させたことはゴールではなく,スタートであると考えている。あくまでもひとつの一般化したモデルを作ったことにすぎないため,それぞれの教科・科目に合わせたアレンジが必要になってくると考えている。次のステップでは,各教科・科目ごとに「生徒に身につけてもらいたい力」を考え,その力を身につけさせるためにはどのような活動を取り入れ,さらに学習を深めていくことができるか?という議論をしていく必要があると考える。
2年間を振り返って、自己評価・感想
特別研究指定校としての取り組みを始めたころに目標としていたことは概ね達成することができ,2年目には以下のように1年目の目標をさらに深めた目標を立てることができた。
①教科・科目を限定せず、できる限り多くの授業において、アクティブラーニングの実践を行う。
②e-Portfolioに生徒の学習履歴を蓄積していくことで、アクティブラーニングの評価に活用する。
③ICTを活用したアクティブラーニングの実践方法・評価方法についての研修を行う。
①〜③それぞれにおいて最大限出来ることを1月の最終研究成果報告会で授業として公開したが、公開することによりまた新たな発見をすることができた。「2年目の成果と課題」、「今後の展開」で書いた内容をふまえ、より生徒が「主体的、協働的に、深く学ぶ」ことのできる授業を学校全体で実現していくために継続して「ICTを活用したアクティブラーニングの実践と評価」に取り組んでいきたい。
特に、「評価」の部分に関しては、生徒のアクティブな学びを評価するためのルーブリックをはじめとしたパフォーマンス評価に力を入れていきたい。これまで、英語科、社会科、情報科などをはじめとした教科・科目においてルーブリックによるパフォーマンス評価を行ってきたが、これらの実践から得られた知見を学校全体で共有し、高等学校におけるパフォーマンス評価についても『東百舌鳥スタイル』を模索してゆきたいと考える。
- 日本福祉大学 教授 影戸 誠 先生
2年間で大きく変わったもの
アドバイザーとして、授業を見学、研究会でアクティブ・ラーニング(AL)についての協議に加わり事例を紹介する、先生方の検討委員会であるトータルプラン委員会への参加など行って来た。
このプロジェクトに取り組むなかで東百舌鳥高校がどう変化したか、そして他校でも活用できる「型」についてのべ、まとめとしたい。
1 先生方の意識
学校としてのプロジェクトとして位置づけられ実践されたこと。一部のすべてに長けた先生が全体を牽引するというよりも、教師集団が論議を重ね、「学校として養いたい力は何なのか?」など明確にしつつ展開していった。
アクティブ・ラーニングが個々の生徒が主体的に取り組むデザインであるならば、そのロールモデルとなる教師集団がまずその方向性を探求し、実践していったところに大きな特徴がある。管理者・校長先生と、プロジェクト担当者の連携が示された。
生徒側から見たときに、「大切にされ」「どの先生も工夫してくれていて」「今まで以上に話す機会、考える機会が増えた」状況がもたらされた。
2 ICTの活用
訪問日、あるいは研究会のあるとき、なるべく多くの教室を訪問させてもらった。アクティブ・ラーニングに取り組みつつ、どの先生も授業の中でのプロジェクターを活用していた。わかりやすさ、拡大、図の有効活用など自然に取り組まれており、ICTの特性が活かされており、アクティブ・ラーニングへの発展が容易であったように思った。それも、ほとんどの教科で、取り組まれていた。
3 他校でも活用できる型
ICTの特性を活かした実践が試みられ、成果を評価しつつ、定着へと展開している。その事例を見てみる。
3-1 ネットワークを介した課題配布
授業で生徒の取り組む課題が、ネットワークを通して、与えられる、「スクールタクト」などの事例である。40名にプリントを配り、指示を与え、作業を課すパターンよりはるかにスピーディである。またその課題がネットワークでつながり、データが他者との連携の中で書き込まれていく。思わずのめりこみ、考えてしまう。書き込み作業の中で自らの考えもより明らかになっていく。アクティブ・ラーニングの大きな特徴である。
見せるだけでなく、手元に配布し、活動させる、この環境が「考えさせ」「協議させる」仕掛けとなる。
3-2 ICTとアクティブ・ラーニングが生徒に挑戦をもたらす
アクティブ・ラーニングのダイナミックな展開に協働的な学びがある。ICTによって提供される画像、動画、PPTの具体性が、発話を促進させる。発話とは「順序を考え」「相手を見て」「言葉を選び」「より正確に伝える」ことである。デジタルでまとめるE-Portfolioにもこの手法が使われる。以前の学習と最も異なるのが、「発話(APPLY)」といえる、ICTのサポートがあればその学習活動もハードルが低くなる。図や表を使えば、それらの情報に支えられ、自らの考えを伝えることができる。そのような挑戦を与えるのがアクティブ・ラーニングとICTといえる。
3-3 振り返り
フォームから確認テスト
一人一台の活用で、学びの振り返りにフォームを活用している。「集計時間」「蓄積」「理解度の分析」などの視点から有効であるとしている。学んだが忘れてしまうことを繰り返し、生徒たちは自分への自信を失ってしまう。
フォームの活用で、「振り返る」ICT活用が、自分との対話時間を増やし、より多くの「智」へと導く。他者がどのように学んでいるのかも見ることができる。アクティブ・ラーニングの流れの中で重要な部分といえる。
3-4 無料ソフトの活用
同校の報告にもあるように、定着ための「小テストが楽しくなった」と生徒たちが述べている。学びには反復学習が必要なこともある。単語は覚えなくてならない、それが「負担感なく」「ゲーム的」に展開されることで、授業にリズムも出てくる。QRコードなどを使い、アクセスを容易にする工夫も、生徒目線で考えられている。
ICTがもたらすアクティブラーニングモデル
まとめ
「聞くだけでなく、これまで以上の能動的な学習」であるアクティブ・ラーニングはICT活用とともに深まりつつある。
生徒がこれまで以上に「考える時間」「発表する時間」「振り返る時間」が他の生徒の繋がりの中で展開されることがアクティブ・ラーニングの素晴らしい特徴だろう。
東百舌鳥高等学校の挑戦と成果に学び、「学校教育力」が他校でも育つことを願っている。生徒が学びを通して、自らへの信頼感を高め、あるいは回復していく、そんな授業がアクティブラーニングであることを、この学校の成果が示しているように思う。