2学期は10月24日、12月6日の2回の授業公開を軸にして、授業実践を核としたPDCAサイクルを行った。
1 10月24日の授業公開に関連して
(1)授業の検討・分析
- ・8月 9日 校内研修・・・先進校の総合的な学習の時間の実践紹介
指導案検討
- ・8月22日 校内研修・・・指導主事を招いての指導案検討
- ・8月31日 授業改革委員会
公開授業の1時間だけでなく、本時のねらいに迫れるように単元を構想していった。対話に向かうための思考の整理や可視化のツールとしてICTを活用できるよう盛り込んだ。
(2)模擬授業・プレ授業・授業検討
- ・ 9月 5日 校内研修 ・・・模擬授業(国語・社会・道徳)
- ・ 9月14日 授業改革委員会・・・模擬授業(国語)
- ・ 9月28日 授業改革委員会・・・模擬授業(社会)
- ・10月12日 授業改革委員会・・・研修についての発表の検討
- ・10月19日 授業改革委員会・・・指導案検討(総合)
※国語・社会・道徳については随時プレ授業を実施。
4授業の公開に向けて、教師が生徒役となって実際にICT機器を活用したり、グループでの対話を行ったりしながら、授業を受ける形で模擬授業を実施した。模擬授業やプレ授業を録音・録画し、文字起こしの機能を用いて教師や生徒の発話を分析した。
導入での教師の説明の多さや、本時のねらいに迫るための発問の精選など、録音・録画を行ったことにより客観的に授業を分析することができ、課題が明確になった。
(3)公開授業 (1年国語、1年社会、2年総合、2年道徳)
・1年社会「社会の諸地域~アジア州~」
1年社会では、単元を通して作成した生徒の成果物を活用し、対話を通して課題の答えに迫る姿が見られた。多様な情報の中から、自分の意見の根拠となる部分を選択して活用することで、より主体的に対話に臨むことができた。また、プレ授業の課題として挙がり、修正した導入の場面は、教師から多くの資料が提示されるのではなく、生徒が作成したシートを活用したことにより、短時間で生徒の問いを引き出すことにつながった。
教師の介入によって、不安が解消されて具体的な記述が増えたり、自分の意見に自信をもつことができたりした一方で、前時までの生徒の学びの見取りをより丁寧に行うことで教師の介入がさらに効果的にはたらくことが課題として挙がった。
【1年社会 単元を通して積み上げてきたシートを活用して対話する様子】
(4)授業改革委員会・校内研修
- ・10月26日 授業改革委員会・・・公開授業のまとめ
- ・10月31日 校内研修・・・公開授業の成果と課題
公開授業を通して、生徒の対話記録を分析することにより、学びを深めるための対話に関する課題が新たに3つ見えてきた。
①前時までの生徒の見取りを生かした教師の介入
教師の介入が適切でない場面があった。前時までの生徒の活動を見取り、教師が意図的な介入を行うことで対話の活性化が見込める。
②教師の手立て
ねらいに迫るための対話を生み出すためには、生徒が必要感をもって対話に入るための教師の手立てが必要であり、現状の手立てでは不十分であった。
③まとめへのつながり
対話で生み出された意見が表出せずに埋もれてしまったり、対話で生まれた意見を用いつつも、教師の思考に寄ったまとめになってしまったりする場合があった。教師がファシリテーターとなって生徒の対話から生み出された思考をICTの活用や板書を通して可視化し、比較しながらまとめていく必要がある。
2 12月6日の総合的な学習の時間 授業公開に関連して
(1)授業の検討・分析
- ・10月28日 先進校 視察
- ・10月31日 校内研修・・・先進校視察の報告
- ・11月16日 授業改革委員会・・・指導案検討(総合1授業)
- ・11月30日 授業改革委員会・・・指導案検討(総合2授業)
各クラスの単元構想から、本時の流れや本時につながる授業の検討を行った。本時の対話で生徒の意識がねらいに迫るよう、前時に根拠をもてるような活動を盛り込んだり、対話の焦点を絞るような導入や見通しの発問を検討したりした。
【指導案検討の内容を研修主任らがファシリテーターとなり板書した様子】
(2)公開授業 (1年総合)
対話の場面だけでなく、授業全体を通した生徒の変容を見取り、いつ、誰の言葉で生徒の意識に変化が見られたのか、思考の深まりがあったのか検討することの必要性を感じた。また、クラス全体での意見の共有の場面で、教師が生徒の発言を聞き取り、黒板にまとめ、可視化していくことで生徒の思考が整理された。
(3)授業改革委員会・校内研修
- ・12月 7日 授業改革委員会・・・公開授業のまとめ 成果と課題
対話を入れたグループ活動を行った後のクラス全体の共有の場面において、教師がファシリテーターとして生徒の言葉を紡いでいく経緯を板書に整理し、思考の流れを可視化した。その成果として、生徒の思考や思いを反映させたまとめあげにつながり、生徒が活動への探究心をより強くもち、学級の活動を自分事として捉えている様子が振り返りの記述から見られた。
また、授業研究会において生徒の発話記録から学びの事実を確認する前に、抽出班の生徒の振り返りを読む活動を取り入れたことにより、生徒の意識の変容や授業を終えての思いを読み取ることができた。