国立大学法人 大阪教育大学附属天王寺小学校

第50回特別研究指定校

研究課題

STEAM教育を通したカリキュラム・マネジメントの動的サイクルの実現
~カリキュラムに関わる教員の意識変容に着目して~

2024年度04-07月期(最新活動報告)

最新活動報告
(4/5)事前に撮影しておいた歴代PTA役員・学校長との対談動画を視聴しながら......

アドバイザーコメント

小柳 和喜夫 先生
大阪のJR天王寺駅(東口)から,徒歩7分ほどで,大阪教育大学附属天王寺小学校......

国立大学法人 大阪教育大学附属天王寺小学校の研究課題に関する内容

都道府県 学校 大阪府 国立大学法人 大阪教育大学附属天王寺小学校
アドバイザー 小柳 和喜夫 関西大学 教授
研究テーマ STEAM教育を通したカリキュラム・マネジメントの動的サイクルの実現
~カリキュラムに関わる教員の意識変容に着目して~
目的
  • ・カリキュラム・マネジメントを促進するための教員を向上させる。
  • ・個々の教員の学びの過程を分析し、効果的な研修方法を見出すとともに教員自身の学びをメタ的に振り返るシステムをつくる。
現状と課題
  • ・令和2年度の研究テーマであった「STEAM教育の実現」に取り組んだ教員とそれ以降に赴任してきた教員との間で、カリキュラム・マネジメントへの取り組みの差が生じている。
  • ・カリキュラム・マネジメントを実施した際の授業評価と学習評価の分析が十分できていない。
学校情報化の現状 業務改善のためのICT環境は整っているが、教員のICTに対する意識や知識・技能に差が生じている。この差を埋めるべく、具体的な活用方法を授業を通して検討をしていきたい。
取り組み内容
  • ・紙ベースで作成しているカリキュラムをデジタル化していく。
  • ・教員の個々の学びを記録(Record)していき、教員の意識向上のために活用する。
  • ・授業評価と学習評価を関連させてデータ化し、それをもとにしたカリキュラムの更新を行う。
成果目標
  • ・カリキュラムの修正・更新が、どれくらいできたか「量的」評価を行う。
  • ・他校でも実践可能なカリキュラムであるかどうか「質的」評価を行う。
助成金の使途 タッチスクリーンディスプレイ、ディスプレイ設置工事、ディスプレイ接続用PC、講師謝金、リーフレット製本、 実践記録用・保管用タブレット
研究代表者 國光 妙子
研究指定期間 2024年度~2025年度
学校HP http://www.tennoji-e.oku.ed.jp/
公開研究会の予定 7月29日(月)、1月31日(金)、2月1日(土)

本期間(4月~7月)の取り組み内容

(4月前半:研究体制構築期)*原則、毎週木曜日午後2時半から研修研究会議実施

〇新年度研修

  • ①(4/5)事前に撮影しておいた歴代PTA役員・学校長との対談動画を視聴しながら、学校教育目標や学校文化について、共有を行った。
  • ②(4/9)昨年度研究の成果と今年度研究の方向性について、研究部より説明し、理解を図った。

<本研究を推進するために共有したこと>

  • *積極的にSTEAM教育を実践していくために、授業コンセプトについて簡潔にまとめた「Conceptシート」(各教科をどのように関連させて、STEAM教育を実践していくのかをA4用紙1枚にまとめたもの)を作成する。
  • *教員ひとりひとりの問題意識を明らかにし、個々の授業力向上をめざして「Progressシート」(個々が感じている課題や問題意識をA4用紙1枚にまとめたもの)を作成する。
  • *毎週木曜日の会議の際に、個々の振り返りを行うこと。
  • ③(4/11)パナソニック教育財団初回訪問にて、特別研究指定校についての説明とアドバイザーの先生からのご助言を受け、2年間の研究の見通しについて共有した。
  • ④着任1年次授業実施
    (4/17)3年算数 (4/23)4年理科
    (4/26)4年国語 (5/ 2)4年体育

*基本的な授業とは?を共有することを目的とした研修授業

〇保護者向け集会実施

(4/8)本研究の意図・目的について、全校保護者集会にて説明し、理解を図った。

〇昨年度カリキュラムの見直しと今年度カリキュラム(案)の作成

(4/15)昨年度の実践を振り返ったり、新教科書の単元配列を見直したりしながら、今年度のカリキュラム(案)を作成した。

(新転任の先生方にも本校のカリキュラムの概要を知ってもらったり、各学年・各教科での取り組みを共有したりした。)

(4月末~7月中旬:研究第1ターム)

〇Progress授業実施

授業教科 実施学年 教員歴 本校勤務年数
4/11 理科 3年 30年 14年目
4/22 社会 3年 28年 25年目
4/22 社会 5年 13年 6年目
4/25 国語 6年 12年 6年目
4/26 国語 2年 9年 3年目
4/26 算数 2年 6年 2年目
4/26 体育 6年 9年 5年目
5/16 外国語 4年 30年 5年目
5/17 国語 5年 21年 4年目
6/ 4 総合 3年 19年 8年目
6/ 4 体育 2年 11年 2年目

(会議の時間を30~40分に限定しているため、個々の感想等は、Googleフォームを 活用して伝えるようにしている。)

全員が全ての授業を参観することはできないが、授業後に、それぞれの年齢や経験に応じて、問題意識に共感したり、助言したりする場を設定した。

〇STEAM教育の実践に向けての準備

(4/25 各教科で重視していることをまとめ共有した。この場は地域の公立小学校との合同研修として位置付けた。)

(5/9,5/23 Conceptシートを作成するために、低・中・高のグループに分かれて 話し合う場を設定した。)

〇研修コラム発行(6/6~6/27)

 STEAM教育を実践していくために、コラム形式で、本校のこれまでの研究の流れや、今、求められている力についてまとめた。(本校は令和2・3年度にSTEAM教育を研究テーマとしていたが、それ以降に着任してきた先生たちとの知識や経験の差をうめるため。)

6/ 6「なぜSTEAM教育なのか?」

6/13「STEAM教育を進めていくために」

6/20「STEAM教育を具体化するために」

6/27「STEAM教育の評価について」

〇第1回アドバイザー訪問・7/29公開授業研究会に向けての授業実践

 ここでは、学年(高学年は教科担任制のため、各教科)で検討したSTEAM教育の授業実践を行った。Conceptシートは学年主任が作成し、そのコンセプトに対しての自身の課題や問題意識を(学年主任以外の)各教員がProgressシートにまとめた。同じコンセプトで授業実践を行っても、個々のProgressシートが異なるため、それぞれの授業スタイルは、教員の個性が表出するものとなった。

学年 アプローチ 単元名 関連させている教科や内容
1年 テーマ ありがとうがいっぱい 生活・国語・道徳・(ICT)
2年 テーマ 野さい名人大作せん 生活・算数・国語
3年 トランス はっしん!147ぼうさい探検隊 総合・社会・国語・(ICT)
4年 インター インタビューでよろこview 総合・国語・算数
5年 テーマ 夏の情景を「デジタル暑中見舞い」で紹介しよう 国語・図工・(ICT)
テーマ 「庄内平野」の秘密を様々な視点でさぐると…? 社会・理科・算数・家庭科
テーマ わたしのオリジナル時間割を伝え合おう 外国語・総合・国語・社会
インター “絶対に当たる”天気予報クイズをしよう 理科・実生活・情報活用能力
6年 インター 宮沢賢治作品の魅力を伝えよう 国語・図工・算数
テーマ 目標を支える思いって何だろう? 道徳・特別活動
インター 臨海学舎の伝統を受け継ごう 体育・総合・道徳

(注)本校のSTEAM教育では、教科の統合度合いによって、以下のように分類している。

各教科個別の学習 Disciplinary アプローチ
(本校通称:教科アプローチ)
各教科で個別に概念とスキルを学習する
統合の度合い
低い
Thematic アプローチ
(本校通称:テーマアプローチ)
共通の主題やテーマに関して行うが、各教科で個別に概念とスキルを学習する

Interdisciplinary アプローチ
(本校通称:インターアプローチ)
さらに知識とスキルを深めるために、2つ以上の教科から深く結びついた概念とスキルを学習する
高い Transdisciplinary アプローチ
(本校通称:トランスアプローチ)
実世界の課題やプロジェクトに取り組むことで、2つ以上の教科の知識やスキルを活用し学習経験を形成する

4年「インタビューでよろこview」
(自分たちの学校生活を支えている方々へのインタビューを行った子どもたち。その想いを受けて、今度は自分たちができることはないかを考えている様子。)

6年「宮沢賢治作品の魅力を伝えよう」
 (宮沢賢治作品の魅力を伝えるポップを作成し、それを実際の近隣の書店で活用してもらえることが決定し、売り上げに貢献できるポップを考えている様子。)

アドバイザーの助言と助言への対応

  • ○トリオタイムや校時表の工夫等、カリキュラム・マネジメントが進められている。
    ⇒他校へ本実践を広めていくための工夫について、検討する。
  • ○STEAM教育を実践していく中で、先生方の個性が表出する授業になっているのは面白い。
    ⇒それぞれの授業の評価の在り方について、検討する必要がある。

本期間の裏話

 本校ですでにSTEAM教育を実践したことのある先生方と、新しく着任された先生方との知識・経験のギャップを埋めることが難しかった。そのために、Googleフォームを活用して個々の想いを聞いたり、課題図書を設定して読み合ったり、研究部が作成したコラムを読んでもらったり、試行錯誤を重ねてきた。その結果、「誰もがわからない・経験したことがないことに挑戦していくのが、STEAM教育を推進していくために必要なことだ。」という点は、共有できたのではないだろうか。それは、7月上旬に実施された、本校伝統行事の1つである「臨海学舎」での先生方のチーム力からも感じることができた。

 また、先生方が、挑戦していく姿勢を見せていくことで、保護者の方々も、新しいことに挑戦してみようという意識が強くなってきていることは、うれしいことである。

本期間の成果

  • ○全学年、Conceptシートを作成するという目標を設定したことで、全ての教員が、STEAM教育を実践することができた。
  • ○Progressシートを提案したことで、個々の課題・問題意識に注目することができた。

今後の課題

  • ○校内授業研究の効果的・効率的な進め方の検討
  • ○これまで実施したGoogleフォームの解答共有の方法や評価についての検討

今後の計画

  • ○夏休み以降の研修研究会議(校内授業研究授業)の計画作成
  • ○本研究実践をまとめた「教育ノート」(冊子)の発行

気付き・学び

  • ○実践者として、日々の授業や各教育活動を楽しんではいるが、それを、まとめたり、発信したりすることが十分でなかった。今後は、本校での取り組みを周知していくことにも重点を置いていきたい。

成果目標

 夏休み中に、4月からの取り組みを振り返り、カリキュラムの修正を行う。その際、「本校の子どもたちにとって深い学びとなったか」という視点と「他校での取り組みも可能かどうか」という視点で、カリキュラム評価を行う。その上で、この2つの視点をもちあわせている実践については、本校HPにて公開していく。

アドバイザーコメント
小柳 和喜夫 先生
関西大学
教授 小柳 和喜夫 先生

1.はじめに

 大阪のJR天王寺駅(東口)から,徒歩7分ほどで,大阪教育大学附属天王寺小学校に到着する。背の高いビルの多い町中に,緑に覆われた学校が現れる。学校の中に入ると,学校のシンボルのフクロウがお出迎えしてくれる。教育と研究の歩みが分かる多くの掲示物等とともに,明るく楽しく,季節感が感じられる学びの環境を学校が工夫し,手づくり感が良くわかる。出会う子どもたちが笑顔で元気に声をかけてくれるとともに,多くのおうちの方が学校の様々な場所で,活動し,学校の支援や保護者同士の交流を行っている。

 この度,大阪教育大学附属天王寺小学校は,「STEAM教育」「カリキュラム・マネジメント」「教員の意識変容」の3つを柱に,「STEAM教育を通したカリキュラム・マネジメントの動的サイクルの実現―カリキュラムに関わる教員の意識変容に着目して―」という研究主題に取り組んでいる。詳細は学校の報告に記されている。

2.研究テーマ

 4月11日に最初に伺った際には,学校の環境を見せていただき,これまでの学校の取り組み(とりわけ「STEAM教育」)とともに,学校全体でこの研究主題にどのようにこれから取り組んで行こうとしているか,その見通しについてお話を聞く機会をいただいた。「STEAM教育」に関しては,これまでの学校での研究成果に基づきながら,教科の統合度合いによって3つのアプローチを定め,授業者がそれぞれの授業実践の目的や内容から選択できる工夫がされている。1) 共通の主題やテーマに関して行うが、各教科で個別に概念とスキルを学習するテーマアプローチ,2) さらに知識とスキルを深めるために、2つ以上の教科から深く結びついた概念とスキルを学習するインターアプローチ,3) 実世界の課題やプロジェクトに取り組むことで、2つ以上の教科の知識やスキルを活用し学習経験を形成するトランスアプローチの3つである。この設定の工夫は,どのようなアプローチを取るかを授業者自身が意識化し,意思決定し,「STEAM教育」の積極的な取り組みに参画していく余地を持たせた工夫と思われた。

 そして課題となっていることとして,「カリキュラム・マネジメントの動的サイクルの実現」に向けて話も伺えた。職員室に行くと,壁に学校のカリキュラムが大きく掲示され,どのようにそれぞれの学びがつながっていくのか,情報の共有と各授業の関連の意識化を促す工夫がされていた。しかし印刷物のため動的サイクルに柔軟に築くことができず,そのデジタル化が課題という話を伺えた。

 また4月に教職員の異動もあったことから,全教職員参加の下,出発点の意識合わせを,この訪問時にも,重ねてする機会を作っていただいた。学校組織として研究課題の柱の一つでもある「教員の意識変容」にみんなで挑んでいこうとしている機運をつくってくれていることが感じられた。

3.研究テーマと関わる取り組みの工夫について

 学校の活動報告書に説明されているように、大阪教育大学附属天王寺小学校では,「STEAM教育」を積極的に実践していくために、次のようなユニークな進め方が取られている。

 学年(高学年は教科担任制のため、各教科)で検討した授業コンセプトについて簡潔にまとめた「Conceptシート」(各教科をどのように関連させて、STEAM教育を実践していくのかをA4用紙1枚にまとめたもの)を学年主任が作成する。そしてコンセプトに沿って授業デザインを,教員ひとりひとりが行い,それを通じて問題意識を明らかにし、個々の授業力向上をめざすために,「Progressシート」(個々が感じている課題や問題意識をA4用紙1枚にまとめたもの)というものを作成し,実践の振り返りをそのままにしない,時間を設定した(毎週木曜日の会議の際)、個々の振り返りを行う体制を築いている。このことは短期だけでなく中長期的に教員ひとりひとりの専門的な学びやその成長に生かす振り返りの工夫がされている。

 7月11日に訪問した際には,「STEAM教育」と関わって,「Conceptシート」と「Progressシート」を実際に運用した全学年ですべてのクラスで授業公開をしていただいた。先にも述べたが,教科の統合度合いによって設定されている3つのアプローチが,それぞれの授業の中で,まさによく理解できる機会となった。学年等で定めた「Conceptシート」に沿った授業ではあったが,その進め方などは,各教員に任されているため,その教員が大切にしている授業観,学習観が良くわかる機会となった。

 授業後には,グループに分かれた振り返りの研修に参加させていただいた。グループごとに活発な話し合いがされ,その記録もデジタルで残す工夫がされていた。このような一定の方向性の合意形成は学年団で,しかし実際の授業実践については,各教員が自由に舵を取れる組み合わせが,それぞれの教員の専門的な学びを支援し,互いに違いを認め合い,良いと思ったことは吸収していく学校組織の雰囲気を作り,目指されている柱の1つ「教員の意識変容」へも影響していく仕掛けと思われた。

 限られた時間ではあったが,この2つのシートを用いた取り組みは,他の学校が,ある教育のテーマ(STEAM教育に限ることないという意味で)に即して,「カリキュラムに関わる教員の意識変容」,職能成長支援をしていく取り組みを学校全体で考えるならば,とても参考になるアイディアであると思われた。

4.本取り組みを支えているもの

 7月11日に訪問した際に,本研究テーマとは直接かかわるわけではないが,学校が日常取り組まれているユニークな取り組みと遭遇する機会を与えていただいた。それは,1年生から3年生の毎日1時間目に共通で設定されている「トリオタイム(15分)とそれに続く基礎基本タイム(移動時間を入れて30分)」である。

 「トリオタイム」は,1学期と2学期でグループ編成が変わるということであったが,1学期は,同性を中心とした1年生から3年生が1つのグループになって学び合う(1年生は学校に入学してトイレ利用や教室利用などまだ慣れていないため,話しやすい同性を基軸にして編成する配慮等から)。1年生から3年生担当の全教員がそれぞれの得意分野を活かした学びの場の提供をする時間へ,1年生から3年生が1つになった各グループが定期的に変更しながら,参加し学び合う時間である。それぞれの教員が出店の世に,あるテーマと関わる学びの空間を用意し,そこに子どもたちを迎える仕組みのようであった。これは,子供たちが,1年生から3年生担当の様々な教員と出会う機会となる。教員も,1年生から3年生の子どもと出会う機会となるため,より一層子ども理解を豊かにしていく機会になる。

 これまで,1年生に対しては,6年生がペアになって導入プログラム行う取り組みなどを見せてもらってきたが,比較的年齢が近い3つの学年を活かしているところがユニークと思われた。3年生はリーダーの役割を果たし,2年生はその姿を見て学び,1年生は,2年生と3年生に同じクラスの友だちとは異なる少し上のお兄さんやお姉さんの知り合いができる仕掛けとなっている。学校に異学年の友達がいて,この時間は話し合い,学び合う活動が多いため,必然,自ら話す機会は多くなる。そして1時間目に設定されているので,待っている友達がいるため,遅れないようにみんな喜んでやってくるなど,いろいろな波及効果があるようであった。

 それに続く基礎基本タイム(30分)は,子どもたちは,それぞれ自教室に戻って学ぶ時間となる。担任は,クラスの子供たちの様子を見ながら,他の授業につながる活動の時間だったり,習熟の時間だったり,柔軟に内容を調整できるカリキュラムを運用していく際の潤滑油のような役割を果たす時間のように思われた。

 このトリオタイム(15分)とそれに続く基礎基本タイム(移動時間を入れて30分)」は毎日のことである。そのため積み重ねによる経験とそこから生まれる成果は,子どもにとっても教員にとっても,本研究課題の「カリキュラム・マネジメントの動的サイクルの実現―カリキュラムに関わる教員の意識変容」と,テーマの学びを経験する点で,「STEAM教育」の入り口の経験として,下支えになる取り組みとして意味を持つのではないかと思われた。

5.今後の期待

 以上の大阪教育大学附属天王寺小学校の取り組みは、他の学校にはなかなか見られない。しかし多くの学校にとって今後参考になることが豊富に含まれている。

 本校での取り組みを他の学校にも情報提供していくには,研究主題に即して,これから2年間,実践研究が進められる中で,どのような子供の姿をどのような取り組みが導いているのかを見つめていくことが重要となる。

 成果の評価(子どもの姿,行動や意識が変わることの評価)と取り組みの評価(その姿を導いた取り組みは何であったか,どのような工夫が生きたのか,一方で無理に行わなくても,あまり必要でないことは何であるのかなどを探る評価)を,視点を定めて行うことが意味を持ってくる。そのことは,本実践研究の理論的裏付けも明確にしていくことにつながると思われるからである。これからの取り組みに期待したい。