実践研究助成(初等中等教育現場の実践的な研究に関する助成制度)実践研究助成(初等中等教育現場の実践的な研究に対する助成制度)

活動情報/第34回特別研究指定校活動情報/第34回特別研究指定校

上越市立城北小学校の活動報告/平成21年度8月〜12月
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セールスポイント

「研究紀要・要項」の編集・発行

内容の概略は次の通り。
  • キャリア教育研究発表会の全体指導者・赤堀侃司先生のご寄稿
  • 全体編「道徳・特活・総合の『統合カリキュラム』と『地域交流活動カリキュラム』で生徒のキャリア発達を支援する」
  • 各学年の「統合カリキュラム」と「地域交流活動カリキュラム」実践編
  • 2つのカリキュラムの評価編
研究内容の普及を図る目的でこれまでの実践をまとめることができた。執筆を機会にこれまでの取組を振り返り、当校生徒の伸びた点と今後の改善点を明確にすることができた。

11月10日「キャリア教育研究発表会」の開催

  • 参会者は、保護者・地域・教育関係者、総勢260名。
  • 当日は全クラス公開授業、研究発表、赤堀先生コーディネートによるフォーラム、永井多恵子氏のご講演
キャリア教育を各校でどのように進めたらよいかを考える有意義な一日となった。
  フォーラムの様子
フォーラムの様子

 

実践経過

道徳、特活、総合の統合カリキュラム

  • 1年生 職業の世界「働くことと生きること」
    総合:職業人なりきりインタビュー「JOB JOB WORLD」

  • 2年生 生徒会選挙に向けて「明日の城北を考える」
    学活:城北を深く知ろう「生徒会の活性化に向けて」

  • 3年生 私が選ぶ自分の進路「夢の実現に向けて」
    学活:「学び続ける素晴らしさ」
    学活:「ストレスと上手につき合おう」
    学活:「卒業後の自分を思い描く」
    道徳:「よりよい人生のイメージを描こう」
    11月10日のキャリア教育研究発表会では、上記の題材で授業公開を行った。各学年とも統合カリキュラムの流れについて綿密な打合せを行い、実践に臨んだ。

  1年生職業人なりきりインタビュー
1年生職業人なりきりインタビュー
2年生パワーポイントでの発表
2年生パワーポイントでの発表
 

成果と課題

日常の生徒の様子やキャリア教育研究発表会参会者のアンケート等から
(○成果 ●課題)

<1年生>
  職業インタビューのロールプレイでは、インタビューを受ける側の生徒が服装を工夫したり、授業の目的を十分に理解した発言や質問をしたりする姿が数多く見られた。
  参会者からは「インタビューのスキルの改善点を深く追求してほしい」「インタビューの必要感、モチベーションの高まりがあまり感じられない」などの点が指摘された。
<2年生>
  参会者から「日々の自分たちを見つめることなしに学校生活は改善されない。城北中の取組が参考になった」「ICT活用のプレゼンがうまく発表も立派」等の意見があった。
  「明日の城北を考える」では、生徒にとっての追求の動機が弱い点が気になった。
<3年生>
  参会者から「劇やパワーポイントを上手に使い発表している様子に感心」「生徒が生き生きしている様子、人間関係のよさ、自分を表現できるクラスの受容的風土に感動」「プレゼン能力の高さに驚いた」などの声が聞かれた。
3年生電子ボードによる意見発表
  教師の指導について、追求を深める板書や発問の工夫が不足、等の反省があった。
<全体として>
  キャリア教育の視点での「付けたい力」の具体的な記述や授業実践の題材が、他の学校でも大いに参考になるものであったと好評だった。
  学年が上がるに連れてICT機器の活用によるプレゼンテーション能力が向上している様子がうかがえた。

地域交流活動カリキュラムでは(○成果 ●課題)

  地域のボランティアによる様々な取組を企画・開催したが、昨年度の経験を踏まえて地域コーディネーターが中心となって活躍する機会が更に増えたことがよかった。
 
 

裏話(嬉しかったこと、苦心談、失敗談 など)

  • 多くの皆さんに参加してほしいと考え、新聞、雑誌等も含めた宣伝活動を行ったが、11月は研究会が目白押しで多く集まっていただくのは困難だった。直前には、県内の学校に電話による参加依頼を行った。その結果、参会者は総勢260名になり感謝している。
  • 研究発表会では日程の時間配分が悪く、フォーラムの時間を多く取ることができなかった。そんな中でも、全体指導の赤堀先生のテンポのよいコーディネートで話合いが焦点付けられ、短時間でも分かりやすい内容であったと好評だった。
  • 新型インフルエンザの影響で、研究会当日に1クラス学級閉鎖を余儀なくされた。また、生徒も参会者も全員マスクをして公開授業に臨み、何とか終了させることができた。
  • 研究紀要・要項は、多くの職員の文章の書き方を合わせ、限られた紙面で分かりやすく表記するのに苦労した。休日返上で取り組み、ようやく冊子にまとめることができた。
 

解説と講評

コメント:白鴎大学 教授 赤堀侃司 先生

1. 成果発表会の取り組みについて
2009年11月の研究成果の発表会は、成功であった。そのための準備には、多くの教員は多大な労力を費やしたが、その甲斐があって、実践発表・全体発表共に、有意義であった。参加者も満足して帰られたと思われるが、パナソニック教育財団の助成が、このような成果をもたらしたことは、財団の活動として評価して良い。
2. 研究成果報告書の刊行について
本報告書は、カリキュラム開発から、実践活動、評価、生徒の変容にいたるまで、丁寧に記載されており、キャリア教育の研究報告として、注目されてよい。財団のWebなどで、報告書がダウンロードできるようにできないか。多くの教育関係者に読んでもらいたいので、何らかの広報を、財団で考えていただきたい。
3. 特別研究助成制度について
本城北中学校のテーマは、キャリア教育であり、2つのテーマの中の人間力の育成に関連する研究であった。他の研究テーマはICTの活用であるので、性格が異なる。財団のこれからの助成の在り方を考えると、このような教育内容、カリキュラムに関わる研究も重要である。この意味で、本研究は、初めてのカリキュラム開発のテーマであり、意義深い。
4. ICTの活用について
本研究におけるICTの活用は、生徒達が課題を追求することで、習得する方法であり、きわめて自然であった。ICT活用は、道具の活用なので、そのこと自身が目標というよりも、手段としての活用であり、課題の解決や探求に目標があり、その道具としてのICTは、必要度に応じて、習得されることを、本研究は実証した。
5. 視覚的カリキュラムについて
本研究における重要な位置づけに、視覚的カリキュラムの活用がある。そのソフトウェアは、上越市が開発したと聞いているが、この視覚的カリキュラムは、きわめて重要な役割を果たした。今後とも、カリキュラム開発などで、活かしていただきたい。
6. 研究の継続性について
本研究を、今後も継続していただきたい。継続するためのノウハウを、来年2010年の成果発表会で、報告していただきたい。例えば、年間計画に位置づける、教員の意識を高める、地域の協力を得る、これらの具体的な方策などについて、報告していただきたい。
7. 研究成果のアクセスについて
財団の役割であるが、多くの研究成果を、なるべくわかりやすく、ビジュアルに読みやすく、公表できるような仕組みができないであろうか。本研究成果のみならず、その他の研究成果の共有化という意味で、考える必要がある。
 
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