実践研究助成(初等中等教育現場の実践的な研究に関する助成制度)実践研究助成(初等中等教育現場の実践的な研究に対する助成制度)

活動情報/第34回特別研究指定校活動情報/第34回特別研究指定校

上越市立城北小学校の活動報告/平成21年度1〜3月
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セールスポイント

道徳、特活、総合の統合カリキュラムでは・・・

各学年の1年間の締めくくりとなる題材を実施
  • 1年生統合カリキュラム 新入生保護者入学説明会の「学校説明会Project」(12〜2月)
  • 2年生統合カリキュラム 修学旅行Project「私は上越観光大使」(11〜3月)
  • 3年生統合カリキュラム 感謝と自立「卒業Projectを成功させよう」(1〜2月)

地域交流活動カリキュラムでは・・・

1年生で、保護者・地域の協力を得ながら11種類の交流体験活動を実施。
 

実践経過

  • 1年生統合カリキュラム 新入生保護者入学説明会の「学校説明会Project」(12〜2月)
  1. 総合 ガイダンス(趣旨説明、意見集約、学級分担)
  2. 道徳 愛校心(6年生への歓迎メッセージ)
  3. 学活 学級計画立案(役割分担、準備活動)
  4. 総合 リハーサル(他学級からの評価、修正)
  5. 総合 「学校説明会」の実施
  6. 学活 自己評価と振り返り
  写真1
  • 2年生統合カリキュラム 修学旅行Project「私は上越観光大使」
    (11〜3月)
  1. 総合 ガイダンス(意義、目的、スローガン作成)
  2. 学活 修学旅行の学級討議(委員会組織づくり)
  3. 総合 事前学習(テーマ設定、調査とレポート)
  4. 道徳 日本の伝統、郷土愛、公徳心
  5. 総合 事前学習(研修コースとシミュレーション)
  6. 学活 帰校式・事後学習(振返り、アンケート集計)
  写真2
  • 3年生統合カリキュラム 感謝と自立「卒業Projectを成功させよう」
    (1〜2月)
  1. 総合 卒業Projectの計画(卒業準備委員選出、同窓会入会、クリーン作戦)
  2. 学活 思い出と夢を綴ろう(Thank youカード、学級文集を作ろう)
  3. 総合 卒業式を成功させよう(卒業式に適した態度・所作・服装、巣立ちのことば)
  4. 学活 進学や就職の準備をしよう(面接の受け方と心構え、入試直前指導)
  5. 道徳 母校を思う、人類の幸福(『泉のおきて』、『大人の都合で無数の子どもの命が・・・』)

地域交流活動カリキュラム

写真3 地域交流体験活動の講師として地域から「ヨガ」「茶道」「フラワーアレンジメント」「バルーンアート」等11名の講師を招く。体験活動は土曜日に実施。当日は保護者の参加も募り、参加者は総勢200名以上に上った。
 

成果と課題

道徳、特活、総合の統合カリキュラムでは・・・(○成果 ●課題)

<1年生>
  生徒が、新年度入学してくる6年生の立場に立って内容を考え、自主的に取り組むことができた。互いに何でも話し合える人間関係づくりにも役立った。また、生徒が積極的にICT機器を活用し、プレゼンテーションを行う姿が見られた。
<2年生>
  修学旅行先で上越をPRするにあたって、上越のよさを改めて考え、見直す機会になった。また、知らない土地で道行く人に声を掛け、総計70人からアンケートをとることができた。この体験によって自分に自信がもてるようになった生徒が多い。
  上越をPRするにはもっと地元のことを知る必要がある。今後は、他の学習との関連をもたせ、パンフレットを自分たちで作成するなど検討の余地がある。
<3年生>
  卒業の寂しさやうれしさなどの感傷に浸ることよりも、卒業後の進路に向けてこれまで学んだことを生かしていこうという気持ちをもったり、後輩に何か残したいという意識が高まったりする姿をうかがうことができた。

地域交流活動カリキュラムでは(○成果 ●課題)

  保護者の協力を得て多くの地域の人材を発掘することができた。
  今後も生徒が地域住民や保護者と協働し、ふれあうことができるイベントを積極的に取り入れて、キャリア発達の土台作りを行っていきたい。
 

裏話(嬉しかったこと、苦心談、失敗談 など)

  • 2月に電子ボードが各クラス一台ずつ導入された。黒板の脇に設置され、レールで黒板中央まで移動できる優れものである。使ったことのない職員もまず映すところから始め、様々な使い方ができることに感動していた。次年度に向けて、全職員でICT活用の研鑽を積み、各教科等における活用を推進していきたい。
 

2年間(20・21年度)の実践を終えての感想

  • 赤堀侃司先生の訪問アドバイスで、実践の指針を示していただけたことが励みとなった。
  • 研究発表会を開催するに当たり、研究紀要の執筆、編集が大変だったが、教職員がこれまでの実践をまとめるよい機会となった。
  • ICT機器の活用にかかわって、各階に機器を整備して活用しやすくすることで、授業の中で生徒も教師も手軽に活用する姿が見られ、活用能力が向上してきた。また、ICT機器の活用が学習内容の理解と深く結び付いており、活用が進めば進むほどキャリア発達が促されることが実感できた。
  • キャリア教育は学校の教育課程全体の取組となる。会議を多くもたなければならず、教職員が時間的な制約を受け、時間調整に苦労した。しかし、生徒のキャリア発達の変容がよい方向に進むに連れて教職員のやる気も増大し、何とか研究を進めることができほっとしている。
 

次年度(22年度)以降、今回の成果をどのように展開するのか(課題、目標など)

  • きめ細かな指導を更に徹底
    コミュニケーションスキルや意欲の不足から良好な人間関係をなかなか築くことができない生徒、自分の役割を理解し責任をもってやり遂げる努力が不足している生徒などについて、今後、個々に目を向けたきめ細かな指導を更に徹底する必要がある。
  • キャリア教育の連携
    これまでは、中学校3年間の枠組みの中でキャリア教育を考えてきた。今後は、小中高の「移行」において生徒がうまく適応していくことができるよう、互いに連携しながら指導を十分に考える必要がある。
  • 新たな職員体制で創意工夫を継続
    前年度の実践とそのまま同じことを繰り返すとマンネリ化し内実が伴わなくなる。生徒の実態に柔軟に対応し、新たな職員体制で新しい発想で創意工夫を加えていくことを大切にしたい。

解説と講評

コメント:パナソニック教育財団常務理事/白鴎大学教育学部教授 赤堀侃司 先生

1. 活動の内容について
2009年11月の研究成果の発表会以降にも、キャリア教育の活動が盛んに実施されており、興味深い。成果発表後は、活動が停滞することが通例であるが、本校の場合は、そこが評価できる。
2. ICTの活用について
本活動報告にあるように、ICT活用がスムーズであり、無理なく定着しており、優れている。キャリア発達のなかに、情報活用能力が含まれているので、その趣旨が生かされており、高く評価できる。
3. 研究の継続性について
2010年4月以降にも、本研究を継続していただきたい。いくつかのノウハウが蓄積されているので、そのまま継続できると思われる。他校が、参考にするために訪問者が継続されることを、期待したい。
4. キャリア教育の今後の広がりについて
2010年度から、京都教育大学附属桃山小学校が、キャリア教育に取り組む予定であるが、城北中学校の実践上の知見を、是非反映したいと考えている。また、大学おいても、キャリア教育が必修になると予想され、きわめて重要な教育になりつつある。その背景は、大学生の就職率の低下と共に、就職は社会問題化してきており、社会に出て役立つ能力を身につけることが、強く求めれてきたことが挙げられる。
 
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