■ 福岡県立戸畑高等学校の先進性
・学校の教育力・学校全体での取組
戸畑高校の特徴の一つは学校全体で取り組んでいることである。ICT活用に多いのは一部のコンピュータに強い先生だけが取り組み学校全体のICT化が進まないところにある。しかしこの学校は参観に出向いても、ほとんどすべての教科、教室で実践されている。
継続的な全校での取り組みの中で、学校としての教育力は確実に高まっており、日常的にICTのコンテンツに触れることによって、日々の教室の学習の質も高まっていくと考えられる。
・生徒に最適なICT自作教材の提供
2年間の取り組みを振り返ってみると、文字を縦に表示しながら授業展開するICT国語教材や、黒板に直接教材を投影し、書き込みながら進める英語など、使いながらコンテンツを刷新する取り組みが見られた。生徒にとっては自分たちとのインタラクションが教材を変えていく力となり、より適切な「教室にいる生徒に最適な」ICT教材が提供されるようになった。
・デジタル教科書
2013年はデジタル教科書元年である。英語をはじめとして積極的にその活用方法が検討され、デジタルの良さを生かし(シャドーイングなど)、これまでのプリント教材を生かした複合型の展開が見られた。また ネットワーク上の教材を授業に取り入れ、より魅力的な展開がなされていた。
・Flipped Classroom
授業で使った教材を、自宅から復習教材として活用できる学習環境が整いつつある。一般の問題集などと違い、自分たちのレベルにあった教材であることから、その効果は期待できる。
ICT教材が予習課題として提供されるようになると、「反転授業」的な取り組みが可能となり、学習時間の拡大が大いに期待できる。
・今後の期待 「ICTは学力」という考え方
生徒に合った、魅力ある教材を全校で開発し、サーバーで共有しつつ、いつでも、どの教室でも活用できる取り組みは、教員のチームワークがベースとなった日本的な取り組みである。もともとあったであろうこの学校の指導体制の素晴らしさがうまくICT活用とマッチして相乗的な効果をもたらしている。
時間の経過とともに、さらにより良い教材が提供されていくことと思われる。