実践研究助成(初等中等教育現場の実践的な研究に関する助成制度)実践研究助成(初等中等教育現場の実践的な研究に対する助成制度)

第38回特別研究指定校(活動期間:平成24~25年)

福岡県立戸畑高等学校の活動報告/平成25年度8月~12月
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実践経過
実践経過

成果と課題
成果と課題

成果と課題
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  1. デジタル教材の開発促進
    各季休業を利用して、1・2年担当の先生方はデジタル教材の開発を、3年担当の先生方は大学入試問題を研究し、本校生徒用の解説書をデジタル化することを促した。
  2. 公開授業の実施
    普及型ICT教材の開発・実践の活用事例の公開授業および教科別協議会と研修会を福岡県内の高校の先生方、教科書出版社、近郊の塾および予備校、そして高校教育課の指導主事を招いて開催し、140人を超える参加をいただいた。
    18クラス中13クラスで同時にICTを用いた公開授業を実施した。
  3. 平成25年度教育課題研修指導者海外派遣プログラムへ参加
    「学校教育の情報化・ICTの活用」というテーマでアメリカのサンディエゴとダラスの2都市において、各学校種を視察した。

実践経過

 
  1. デジタル教材の開発促進(夏季休業・冬季休業)
  2. 公開授業の実施(10月18日)
  3. 教育課題研修指導者海外派遣プログラムへ参加(10月28日~11月8日)

10月18日公開授業
【全体会】

福岡県立戸畑高等学校の活動報告イメージ1 福岡県立戸畑高等学校の活動報告イメージ2
1 学校長挨拶  (校長 奥原広志) 2 パナソニック教育財団より
 (常務理事事務局長 下田昌嗣)
福岡県立戸畑高等学校の活動報告イメージ3  
3 本校のICTを活用した授業の取り組み
  (研修部長 大山文子)
 
福岡県立戸畑高等学校の活動報告イメージ4 福岡県立戸畑高等学校の活動報告イメージ5
4 パナソニック教育財団アドバイザーより「ICT教育の特性と世界の動向」
             (日本福祉大学 国際情報部学部長 影戸 誠教授)

【公開授業】

●コミュニケーションⅠ

福岡県立戸畑高等学校の活動報告イメージ6 福岡県立戸畑高等学校の活動報告イメージ7

[デジタル教材および工夫点] 
インターネット デジタル教科書 PowerPoint
ハイパーリンクを使ってHPにアップしている教材にリンクし、家庭学習と関連付け、定着を図る
[使用目的] 
音声指導及び読解をする上での文法事項の定着

●英語表現Ⅰ

福岡県立戸畑高等学校の活動報告イメージ8 [デジタル教材および工夫点]
PowerPoint 
簡潔かつ分かりやすくを心がけた

[使用目的] 
板書時間の削減

 

●物理基礎Ⅰ

福岡県立戸畑高等学校の活動報告イメージ9 [デジタル教材および工夫点]
PowerPoint 
デジタル教科書  
アニメーションの利用

[使用目的]
運動の様子やエネルギーの増減のイメージをしやすくする・板書時間の削減

●生物基礎Ⅰ

福岡県立戸畑高等学校の活動報告イメージ10 福岡県立戸畑高等学校の活動報告イメージ11

[デジタル教材および工夫点]
dbookPRO デジタル教科書 
教科書の図を加工した

[使用目的] 
尿の生成を視覚的に捉える。腎臓の構造の定着のため

●数学A【教材を共有して授業】

福岡県立戸畑高等学校の活動報告イメージ12 福岡県立戸畑高等学校の活動報告イメージ13

[デジタル教材および工夫点]
PowerPoint
図をなるべく見やすくする

[使用目的]
図のイメージを捉えやすくするため 板書時間の短縮

●古典

福岡県立戸畑高等学校の活動報告イメージ14 [デジタル教材および工夫点]
PowerPoint 
文章を構造的に理解できるようにした

[使用目的]
板書時間を削減し、視覚的な理解を促す

●数学Ⅱ

福岡県立戸畑高等学校の活動報告イメージ15 [デジタル教材および工夫点]
PowerPoint 
アニメーションを作り、斜交座標のイメージを掴みやすくした

[使用目的]
視覚的な理解を促すため。また、板書時間を短縮して演習時間を増やすため

●数学Ⅱ

福岡県立戸畑高等学校の活動報告イメージ16 [デジタル教材および工夫点]
PowerPoint 
図を大きくし、画面に動きを取り入れ興味を持たせるようにした

[使用目的]
図形を視覚的に捉えさせる

ライティング

福岡県立戸畑高等学校の活動報告イメージ17 [デジタル教材および工夫点]
PowerPoint 
同一文の英作と解答例を複数提示する

[使用目的]
英作文における生徒の代表的な誤りを複数提示する

世界史B

福岡県立戸畑高等学校の活動報告イメージ18 [デジタル教材および工夫点]
PowerPoint 
図を大きくし、画面に動きを取り入れ興味を持たせるようにした

[使用目的]
地図・写真を視覚的に捉えさせる

●数学ⅡB

福岡県立戸畑高等学校の活動報告イメージ19 福岡県立戸畑高等学校の活動報告イメージ20

[デジタル教材および工夫点]
PowerPoint
ベクトルの一次独立分解等を視覚的に理解できるようにする

[使用目的]
センター対策問題を効率的に説明する。ベクトルの線分比の復習をまとめて行うため

数学Ⅲ

福岡県立戸畑高等学校の活動報告イメージ21 [デジタル教材および工夫点]
PowerPoint 

[使用目的]
九州大学の入試問題を効率的に説明する

古典

福岡県立戸畑高等学校の活動報告イメージ22 [デジタル教材および工夫点]
dbookPRO 
予習内容に対応させ効率的に確認できるようにした 

[使用目的]
板書時間の削減・基本事項の確認のため

【協議会】

福岡県立戸畑高等学校の活動報告イメージ23 【ICT協議会】
本校説明者:前田毅教諭

県教育センター産業・情報教育部清田正和指導主事にご指導ご助言をいただきました

福岡県立戸畑高等学校の活動報告イメージ24 【数学科協議会】
研究授業担当者:藤島七月教諭

教育振興部高校教育課渡邊啓明指導主事にご指導ご助言をいただきました

福岡県立戸畑高等学校の活動報告イメージ25 【外国語協議会】
研究授業担当者:大山文子教諭

教育振興部高校教育課髙松大輔指導主事にご指導ご助言をいただきました

福岡県立戸畑高等学校の活動報告イメージ26 【理科協議会】
研究授業担当者:池谷康佑教諭

県立鞍手高等学校大塚春生教頭にご指導ご助言をいただきました

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成果と課題

 
  • デジタル教材の開発は登録数200を超え、年度内には目標である300を超えそうである。今年度は新規採用教員が2名おり、デジタル開発のスキルは十分にある。その若手のスキルと経験豊富な教員の授業スキルをもって共有財産としてデジタル教材を作成することで本校の知的財産が増えることとなっている。
  • 公開授業に向け、夏休み明けから、本校全職員で公開授業の準備に入った。平日の午後からを公開授業としたため、通常の授業を行いながら、多くの参加者を迎えるという点が最も苦労した。また、今年度は県から多くの指導主事を招くこともあって、スケジュール調整を早くから手がけた。主任主事から構成される会議において、本校の課題を考え、そのテーマを「定着を目的としたICT活用」とし、授業者が公開授業に備えて授業改善を目的とし、効果的にICTを利用することに努めた。公開授業を行うことで、参加者へICT利用を推進するだけではなく、本校の授業改善に役立ったと言える。 公開授業では、以下に示すような声をいただいたので、それに答えるかたちでホームページに掲載している。

【公開授業 参加者アンケート】

○ 全体会に対しての感想及びご意見をお聞かせください。
*多かった意見:非常に参考になった。

(今後の参考になる意見)

  • もっと多くの電子黒板、電子教材の実践例が見たかった。
  • (ICT協議会に出席できなかったので)もっと教材データベースの具体例を提示してほしかった。
  • 成績の伸びなどの学習効果のデータをもう少し見たかった。
  • ホームページから復習教材をダウンロードした生徒の成績の変化などに興味がある。
  • ICTの協議会にも出たかった。(教科別に出席したので)
  • 効果について具体的に聞きたかった。
  • ICTのシステム構築に対する問題点に注目したかった。
  • スカイプでは小さな字が見えませんでした。
○ICT機器の教育利用に対しての感想及びご意見をお聞かせください。
*多かった意見:今後の授業を考えるときにICT機器なしでは考えられない。
   活用していきたい。  
   戸畑高校の取り組みが良くわかった。全体で取り組んでいてすばらしい。

(今後の参考になる意見)

  • 具体的な操作方法を知りたい。
  • 素材的なものがたくさん利用できればいいと思う。
  • 視覚的に情報を与えられるという点では非常に有効だが機器操作へのなれ具合によって授業の質が変わると思う。
  • 学校として取り組まないとなかなか厳しいと感じた。
  • 管理的に問題はないのでしょうか。→ A.毎時間ロックを解除します。
  • ホームページ上で生徒がダウンロードできるところは本校でもやってみたい。
  • 教材ソフトの公開をお願いします。→ A.著作権の問題もありますので、お問い合わせ下さい。
  • 教材を作成する時間がかかりそうで不安です。レクチャーがあると助かる。
  • 時間効率をよくするためプリントを準備されていたが、生徒にきちんと解答を書く習慣をつけることや計算の途中確認が失われる気がした。
  • iPadなどのタブレット端末が使えるとより使いやすいだろう。
  • 先生の個性がだせなくなりはしないか。
  • 生徒の能動的な活動を促すコンテンツのあり方を考えたい。
  • 内容の定着という観点では教材の精選、説明の仕方など力量が問われる。
  • パワーポイントで教材を作る時間がない。
  • 生徒のプレゼンを補助するツールとしての活用も考えられてみてはどうでしょうか。
  • テンプレートやベースがなければ大変だと思う。
  • 資料集の活用に役立つのでは(地歴・公民)
  • 音は加えられますか?→ A.加えられますがデジタルテキストが最も便利です。
  • 教室の照明の扱いが難しいように思います。
○協議会に対しての感想及びご意見をお聞かせください。

協議会名( 数学 )  
 *職場環境と協力体制の良さに加えて熱意が伝わってきました。
 *一度作成すれば財産となるという言葉が印象的でした。
 ・評価方法と成果はどうやって図るのか教えてください。

協議会名( 理科 )
*問題点について考える機会になってよかった
 ・スライドの授業は眠くなるのではないでしょうか。   
 ・スライドでは生徒の手元に残らないという悩みがある

協議会名( 外国語 )
 ・どう工夫していこうか考える良い機会となった。
 ・英語教員が持っている課題の解決策を共有できました。

協議会名( ICT )
 *ICTを使うことが目的ではなく、学習者が学ぶことが目的であり、その補助としてICT活用をする「学習者主体のシステム」という言葉が参考になりました。  *これからのICT活用に何が必要か理解できた。常に研修が必要である。
 *0→1にするだけでよいという言葉に勇気がでました。
 ・実際は予算がないとできない。
 ・この取組みと新学習指導要領の趣旨とがうまく関連付けられれば、
  大きな授業改善になると思います。
  県下の職員に向け発信し続けてください。
 ・コンテンツの著作権について、明確なガイドラインを示してもらいたい。

○ アンケートにお答えして
  • 学習成果に関しては、成績の変化には複合的な要因がありますので一概に申し上げることは出来ません。  
    生徒のアンケート(授業とICT)を参考に進めています。
  • 教材作成に関しては、何でもたずねられて下さい。ご協力いたします。
  • 学校全体として取り組むためには、何人かがまずチームとなって立ち上げてみてはどうでしょう。その中から教科ごとに広めていくことが可能ではないでしょうか。
    本校では、前田先生リードのもとに数学科が先頭となって他の教科に広がりました。
  • ICT教材を作成する時間は教材研究の時間でもあります。最初は準備にも手間がかかりましたが、再利用や共有できる点を考え合わせると、のちのちすばらしい財産になりうるのではないでしょうか。また、教材によっては生徒がホームページからダウンロードもできます。
  • 先生の教え方によっては共有が困難な場合もあるということは理解できます。しかし、人材育成の観点からもスキルの高い先生の教材をシェアできることは大事だと考えています。

コミュニケーションをとって、学校全体でトライしてみませんか? 社会は刻々と変化します。授業改善は無限大です。

2学期終業式を終え、デジタル教材作りに励む職員たち。

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公開授業をきっかけにデジタル教材の開発を自ら始めた教員もおり、冬休みを利用して3学期の授業の準備を行うことができている。

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今年度の初任者研修の最終研究授業では、ICTを効果的に利用して生徒の興味・関心を引き出すことに成功した。

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裏話(嬉しかったこと、苦心談、失敗談 など)

 

・10月の公開授業に向けて数ヶ月前から準備に入りました。昨年は北九州市近郊の高校から50名の参加者でしたので、100名くらいを予定しておりました。参加調査のファックスの締め切りが各学校の体育大会あたりだったため、最初は芳しくなく、残念に思っていましたが、最終日には140名を超え、うれしい悲鳴でした。

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アドバイザーコメント

日本福祉大学 教授 影戸 誠 先生

 

■ 福岡県立戸畑高等学校の先進性

・学校の教育力・学校全体での取組

戸畑高校の特徴の一つは学校全体で取り組んでいることである。ICT活用に多いのは一部のコンピュータに強い先生だけが取り組み学校全体のICT化が進まないところにある。しかしこの学校は参観に出向いても、ほとんどすべての教科、教室で実践されている。  
継続的な全校での取り組みの中で、学校としての教育力は確実に高まっており、日常的にICTのコンテンツに触れることによって、日々の教室の学習の質も高まっていくと考えられる。

・生徒に最適なICT自作教材の提供

2年間の取り組みを振り返ってみると、文字を縦に表示しながら授業展開するICT国語教材や、黒板に直接教材を投影し、書き込みながら進める英語など、使いながらコンテンツを刷新する取り組みが見られた。生徒にとっては自分たちとのインタラクションが教材を変えていく力となり、より適切な「教室にいる生徒に最適な」ICT教材が提供されるようになった。

・デジタル教科書

2013年はデジタル教科書元年である。英語をはじめとして積極的にその活用方法が検討され、デジタルの良さを生かし(シャドーイングなど)、これまでのプリント教材を生かした複合型の展開が見られた。また ネットワーク上の教材を授業に取り入れ、より魅力的な展開がなされていた。

・Flipped Classroom

授業で使った教材を、自宅から復習教材として活用できる学習環境が整いつつある。一般の問題集などと違い、自分たちのレベルにあった教材であることから、その効果は期待できる。  ICT教材が予習課題として提供されるようになると、「反転授業」的な取り組みが可能となり、学習時間の拡大が大いに期待できる。

・今後の期待 「ICTは学力」という考え方

生徒に合った、魅力ある教材を全校で開発し、サーバーで共有しつつ、いつでも、どの教室でも活用できる取り組みは、教員のチームワークがベースとなった日本的な取り組みである。もともとあったであろうこの学校の指導体制の素晴らしさがうまくICT活用とマッチして相乗的な効果をもたらしている。  
時間の経過とともに、さらにより良い教材が提供されていくことと思われる。

 

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