実践研究助成(初等中等教育現場の実践的な研究に関する助成制度)実践研究助成(初等中等教育現場の実践的な研究に対する助成制度)

平成26年度 実践研究助成贈呈式レポートメインイメージ

■助成金贈呈式

助成金贈呈式主催者挨拶 主催者挨拶:パナソニック教育財団理事長 遠山敦子

平成26年度(第40回)助成金贈呈式の開催にあたって、当財団理事長の遠山敦子よりご挨拶をさせていただきました。

「学校全体を巻込んでICTの活用に取り組み、
その成果を地域へと発信してほしい」

遠山理事長

全国各地から、みなさまにお集まりいただき、厚くお礼を申し上げます。今年は財団40周年の記念すべき年です。これまで、財団としては実践研究助成事業や研究者への助成事業、また、研究開発の発展のために諸事業を継続し、国の文教政策の動向と呼応しながら民間財団としての特色を生かして、この分野の先駆けとしての役割を果たしてきました。

21世紀に入ると、国内外の情報化が急速に進み、情報機器の発達、ネットワークの普及がめざましくなりました。残念ながら、この面での先進的な国々に比べ、日本の学校の現状は遅れている状況です。財団としては、長年の成果の蓄積、学校関係者のみなさま、あるいは優れた情報教育の専門家とのつながりを基盤としながら、新しい情報化の時代にふさわしい教育現場での実践を支援してまいります。

将来的には、遠からず、すべての学校において、教室には有効な情報機器が備えられ、子どもたちが1人1台のタブレット端末を持ち、それらを積極的に使いこなす時代がくるはずです。一方で、子どもたちをはじめとして、手軽で便利な情報機器を使いこなす習慣がつき、それに依存している人も増えています。さらにICTを悪用する人も出てきてしまいました。 先生方には、充実した授業を行うためのツールとしてICTを使いこなしていただき、子どもたちには、ICT機器に使われる人間にならないように、学びの楽しみ、人生を豊かにするための手段としての使い方をしっかりと身に付けてほしいと思います。

実践研究を成功させるためには、教員全員がICTを使いこなそうという意識を持ち、学校全体を巻き込むことが必要です。どうか、助成校のみなさんもそのような姿勢で取り組んでいただき、実践研究の成果を地域へと発信してください。学校自らがその成果を発信することで、この制度の意義がより高まると考えています。

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助成金贈呈式来賓ご挨拶 来賓ご挨拶:文部科学省 生涯学習政策局情報教育課 課長 豊嶋基暢氏

来賓のご挨拶として文部科学省 下村博文文部科学大臣よりご祝辞をいただきました。
(ご公務により欠席のため、文部科学省生涯学習政策局 情報教育課 豊嶋基暢課長が代読)

「創意・工夫のあふれるメディアの利活用を
広く展開されることに期待」

文部科学省生涯学習政策局情報教育課 豊嶋基暢課長

厳正なる審査の結果、助成を受けられることになりました83校の学校、教育機関のみなさま、まことにおめでとうございます。 また、本日、ご参列のみなさまには、日頃より教育情報化に尽力していただいていることに厚く御礼を申し上げます。

昨年度、ICTを活用した新たな学びを推進するために重要な「日本再興戦略」「世界最先端IT国家創造宣言」「第2期教育振興基本計画」を閣議決定いたしました。文部科学省としても、21世紀に世界で活躍するグローバル人材を育成するため、学校教育、社会教育でもICTを活用した新たな学びを実現していく所存です。

ICTには時間的、空間的な制約を超える双方向性を有するといった特徴があります。 ICTを活用し、子どもたちにわかりやすい授業を実現するとともに個別学習・協働学習を通じて、子どもたちの主体的な学びを推進することは、子供たちの興味・関心を高め、一人ひとりの能力を伸ばし、21世紀にふさわしい学びを実現することになります。

パナソニック教育財団の助成校みなさんにおかれましては引き続き、さまざまな情報機器メディアを効果的に活用して、創意・工夫のあふれるメディアの利活用を広く展開されることに期待をしています。

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助成金贈呈式選考経過報告 選考経過報告:パナソニック教育財団 理事・事務局長 藤田稔

「平成26年度の採択倍率は5倍強。
エントリー内容はタブレット端末での申請が320件と最多」

パナソニック教育財団 藤田稔理事・事務局長

今年度の申請・採択の概況についてご説明すると、エントリー数は663件。昨年574件、一昨年461件でしたので、ここ3年間で急増しています。そして、実際の申請数は453件で、最終的に83件を採用し、倍率としては5倍強となりました。これは、当財団の実践研究助成に学校の先生方が高い関心をお持ちいただいている結果だととらえています。

具体的な申請内容についてご説明すると、この3年間、「タブレット端末」というキーワードで申請されている件数が多く、今年は320件(昨年259件、一昨年140件)です。その他のキーワードとしては、「活用型学習」「言語活動」「習得型学力」「協働学習」が多く、昨年度と同じ傾向となりました。 さらに、タブレット端末に関心のある方の分析をしてみると、協働学習に関心がある方が多い傾向がわかります。

審査の基準は、テーマ設定、継続性、計画性、具体性、独自性、助成金の有効性が明確になっているかという判断基準とともに、特別研究校については、還元性、普及性も加味して選考委員の方々に審査をしていただいています。

助成校の実践研究内容につきましては、財団ホームページで逐次報告し、広く広報していきますので、ぜひ、みなさんの学校での取り組みを保護者や地域の方々、さらに全国の学校に知っていただく機会として、財団ホームページをご活用いただければと考えています。

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助成金贈呈式全体講評・挨拶 全体講評・挨拶:パナソニック教育財団 常任理事・選考委員 赤堀侃司氏
(白鴎大学教育学部 教授)

「内容がきわめて深く、キラキラ光る宝のような議論ができた。
ぜひ、それを深め、その成果を広く還元してほしい」

パナソニック教育財団 常任理事・選考委員 赤堀侃司氏全体講評・挨拶

今回、4つのグループで、ディスカッションに参加させていただきました。そこですごい意見が飛び交っていたので、ご紹介させていただきます。

まずは、特別支援。特別支援には、ICTが非常に有効だと言われています。特に、指で触って、画面が変わるだけで非常に効果があるという話を伺いました。人は、「重要だな」「凄いな」などと思ったら、手が動いてしまうはずです。ここでは、手が動いたときに、画面を触ることで、自分の考えを表現するという現実的な使い方の議論がされていて、とても感心しました。

2グループ目は重大な問題である不登校の議論です。ここでは、「タブレット端末をデジタル連絡帳にしたい」という話が出ていました。もし、デジタル連絡帳で子どもの状態を動画にしてもらえたら、子どもの状況を把握でき、どのような指導が必要なのかがわかります。実現できれば、画期的な使い方になるのではないでしょうか。

次のグループは、情報モラルについてです。ネット依存という問題が注目されているものの、現状としては、これといった解決策が見いだせていません。そこで、このグループのディスカッションでの意見として出たのが、児童・生徒がどのくらいネット依存しているか客観的に判断するために、「手帳に記録」することでした。 これは、大変素晴らしいアイデアだと思います。手帳をみれば、自分がいかにネットばかり見ているかがわかりますし、客観的に自分を見直すことができるきっかけになります。

最後のグループでは、タブレット端末の重要性について議論されていました。タブレット端末は、子どもたちが、重要な場面を示しあい、協同的に思考を促せる良さがあります。しかし、このグループでは、そのメリットだけでは足りないと議論していました。要するに、道具を道具以上に高めるためにも、子どもたちの思考力・表現力を高めるためにも、もう一歩が必要だということです。タブレット端末の道具性を超えて、さらに学習の道具として実りあるものにするというのは、当財団の期待でもあります。

今回のディスカッションで話し合われている内容はきわめて深く、なにかキラキラ光る宝のような議論がほかのグループにもあったはずです。ぜひ、それを深めていただいて、また、その成果を広く還元していただきたいと願っています。

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参加者の声

大変参考になりました。自ら申請した研究とはいえ、校務多忙の中、1年間研究に対するモチベーションを保つのは大変です。その中で、このような会は意欲付けともなります。

校種(特別支援教育)が同じグループだったため、お互いの理解がスムーズに進み、活発な意見交換ができた。同様の理由で、各校の研究内容も具体的なイメージをつかむことができた。可能なら中間期間に再度集まり、進捗状況や研究のアドバイスなどを議論できたらと思う。

この時期に助成金贈呈式をはじめグループディスカッションを行っていることに感謝いたします。年度初めで校内体制が固まり、実践をスタートする時期ですので、計画の修正や改善に向けて多くの示唆が得られました。

先進校の先生方のこれまでの取り組みの報告と、助言者の先生の的確なアドバイスをいただき、この一年間の本校の目指す方向性と到達レベルについて確認することができた。個人的にグループの先生のお一人と親睦を深め、その後も連絡を取り合い、公開授業や開発ソフトについて情報をいただく確約をしていただき、研究の推進に役立てている。

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