八王子市立高尾山学園
第44回特別研究指定校研究課題
~主体的・対話的で深い学びの視点からの授業改善~
八王子市立高尾山学園の研究課題に関する内容
都道府県 学校 | 東京都 八王子市立高尾山学園 |
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アドバイザー | 福本 徹 国立教育政策研究所 総括研究官 |
研究テーマ | 不登校特例校におけるICTを活用した思考力・判断力・表現力の育成 ~主体的・対話的で深い学びの視点からの授業改善~ |
目的 | 児童・生徒の不登校状態に応じて、人間関係形成能力の育成と適切な学習支援を行い、生きることへの自信と社会的自立を獲得することを目的とする。 |
現状と課題 |
(1)現状 小・中学校が併設された不登校特例校である。不登校の改善に取り組んでいるが、平成28年度の登校率は65%、29年度は68%であった。再び不登校状態になり、学校に通えない児童・生徒もいる。 (2)課題
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学校情報化の現状 | 「平成29年度実践研究助成(一般)」の助成を受け、情報化の推進体制が整い、普通教室におけるICT環境整備が進んだ。 |
取り組み内容 |
(1)教科指導におけるICT活用
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成果目標 |
(1)成果目標
(2)取り組み後の状況
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助成金の使途 | 無線LANアクセスポイント、60インチモニター、軽量机、折り畳み式椅子、先進校視察、講師謝金 |
研究代表者 | 黒沢 正明 |
研究指定期間 | 平成30年度~31年度 |
学校HP | http://hachioji-school.ed.jp/takao3g/ |
公開研究会の予定 | 不校特例校のため、関係者以外には原則非公開。 |
本期間(4月~7月)の取り組み内容
1.7月10日(火)
第1回目訪問アドバイス
アドバイザー:国立教育政策研究所 総括研究員
福本 徹 先生
研究授業13:30~14:15
5・6年合同 社会科 授業者 古澤 彰
「わたしたちの生活と食料生産」
*不登校特例校の強みを活かし、6年生は復習として授業に参加しました。
休み時間や放課後を利用し、産地調べにたっぷり時間をかけました。
目標 | 学習活動 | |
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第0時 | ○産地調べ | ○事前にお店で撮った写真や, スーパーのチラシから農産物や水産物を都道府県ごとに地図の上に貼り付けて,産地マップを作る。 |
第1時 | ①産地調べ【本時】 | ○完成させた産地マップから, 気付いたことや考えたことを話し合う。 |
第2時 | ②米づくり列島・日本 | ○日本全国の6月の米作りの様子が分かる写真や米の収穫量の資料から,米の産地について,気付いたことや考えたことを出し合う。 |
第3時 | ③農産物の産地 | ○米以外の農産物や畜産物の主な産地と特色を調べる。 |
第4時 | ④地図にまとめる | ○これまで学習してきたことをもとに,毎日食べている食べ物を生産している主な産地についてまとめる。 |
▲この場面で交流が活発に行われた。
ポイントに○印をつけたかった!
本時の展開
- 1.完成した産地マップを児童へ見せる。
-
2.完成した産地マップから気付いたことを交流する。
- ・一人調べ⇒産地の気付いたところをiPadで記録する。
- ・調べて気付いたことを友達に伝える。
- ・発表する。
- 3.普段食べている食料品が,様々な食料生産物があることに気付く。
- 4.学習のまとめをし, 次時へつなげる。
- 5.本時の学習をふり返る。
☆児童が着目したポイント
秋田県は米。山形県は野菜・果物。青森県は米、野菜・果物、魚。岩手県は、米、野菜・果物の他に、魚、肉、乳製品もある。東北地方からは、色々な種類の食料品が八王子に届いている。
関東地方は多い。特に野菜・果物が多い。
「どうして関東地方には野菜・果物が多いのだろう?」という疑問が出てくると学習課題につながる。指導の工夫が欲しい。
三重県にはシールが1枚も無い!
小学部の先生の中に三重県出身者が!三重県のこと、伝えたがっていました。これが学びのチャンス。活かせず、残念でした。
写真を見ながら、気づいたことや感じたことをまとめ、発表の準備をしました。隣の人と相談する姿も見られました。発表の練習にもなります。
写真をもとに気付いたことや感じたことを発表しました。
2.授業を行う全教室にモニターとアップルTVを常設しました。先生方にiPadを1台ずつ貸与したところ、日常の授業での活用が活発になりました。
3.出前授業「ライフプランニング」(ソニー生命)
4.その他
(1)教職員対象に高尾山学園(不登校特例校)理解研修を実施。4月5日(実施)
(2)次世代型教育推進センターのピクトグラムを活用し、「主体的・対話的な深い学び」の視点による授業改善の方向性を把握。→職員室前の廊下にピクトグラムを掲示。OJT月間①(5月)「対話的な学び」をテーマに全員が略案を作成。
(3)訪問アドバイス事前打ち合わせ 研究実施計画の確認。4月17日実施
(4)小学部での振り返り 6月14日実施
・算数に非常に学力差がある。→学年を解体した習熟度別学習に取り組む。
(5)視察:佐賀県武雄市立武内小学校 研究発表会 6月30日(土)
(6)授業の動画配信の先進校の実践研究
→マイクロソフト認定教育イノベーター説明会に参加。
・Skypeを活用した授業。
・One noteを活用した宿題提出 等
(7)チエルの教材説明 7月3日実施
・基礎・基本 計算検定、国語検定
・フラッシュ教材
・動かして教える算数、見せて教える社会科
・基礎・基本習熟プリントパック(導入済み)←日常的に活用してみる。
アドバイザーの助言と助言への対応
【助言】
1.授業について
-
(1)学級で作成した「産地マップ」を写真に撮る活動
- ①八王子で配られたチラシから産地を調べ、日本地図にシールを貼った地図はとても良い資料である。その資料を通して、注目したポイントを写真でとるときの会話が活発で、主体的に交流し、良い学びがたくさん見られた。
- ②写真が記憶のトリガーになる。つまり、写真を見ながら説明ができる。一人でまとめ、その後グループで共有するというステップが大事。児童を前に出して発表する必要もない。
- ③撮った写真のどこに注目したのか、注目したポイントを○で囲む等、写真に簡単な印をつけておくとグループで説明するときに思い出すことができる。これは大人も同じ。
- ④シールが貼られていない県に注目している子供も多かった。たとえば三重県。では、三重県では何も生産していない訳ではない。流通コスト等の事情から、八王子よりも大阪等、関西方面に出荷されている。しかし、北海道のメロンや宮崎のマンゴー等はコストをかけても十分利益が上がるので、シールが貼られることになる。この点については、5年生の学習範囲を超えてしまう。指導者には、「産地マップ」は、八王子における食料生産物の実態であることを認識しておくことが重要である。
- (2)写真も良いが、動画で見るのも良い。NHKやYouTubeのコンテンツ等で学習するのも有効である。「NHK for School」はよくできている。活用すると良い。
2.成果目標と評価方法
- ① 一人一人に着目すると良い。4月と6月を比べてみる。
- ② 前年の同じ時期と比べるのも良い。
3.タブレットPCの活用
大勢に配布するのなら安いタブレットPCを購入する場合もある。本校の場合は、児童の人数が少ない。ならば、それなりの機能のあるPCの方が良い。他校の事例を見ても、児童がタブレットPCを壊したという報告はほとんど聞かない。貸与している学校の中には、タブレットPCの「貸与式」「返還式」等、儀式的に行い、児童の意識を高めている場合もある。参考にすると良い。
4.算数の習熟度別学習の展開
- ① 「算数」というだけで、授業に参加しない児童には、「算数」という言葉を使わない。たとえば「高尾タイム」等、違う名称をつけ、子供たちを授業に参加させ、学習する内容は算数というやり方も試してみると良い。
- ② 子供がどこまで理解をしているのかをしっかり評価することが大事。また、それぞれの単元において児童がつまずきやすい個所や身に付けておかなければならない技能等を指導者が把握して授業に臨むことが重要。例えば、「ものの長さ」を測ったり、比べたりするとき、「片方をそろえる」ということが身についているのか。そういったことを今後、研究していくと良い。
- ③ 教科の構造によっても学習の仕方は異なる。好き嫌い別、関心別等、色々試してみると良い。
5.視察先
- (1)パナソニック財団の研究指定校の中から探すと良い。
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(2)例えば
- ①新潟大学附属新潟小学校:複式学級がある。
- ②広島市立藤の木小学校:フューチャースクール、学びのイノベーション事業
- ③福島県新地町立新地小学校
6.佐賀県武雄市立武内小学校の紹介
【助言への対応案・次回までの課題】
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1.算数の習熟度別学習の展開
- (1)名称を考える。
- (2)好き嫌い別、関心別等、色々な形態を試してみる。
- (3)10月26日の研究授業で、高尾山学園小学部算数授業の提案をする。
-
2.タブレットPCの活用
- (1)小学部児童、1人1台、タブレットPCを貸与に向け、貸与の仕方、約束などを決める。
- (2)成果と課題を把握する。
-
3.成果目標と評価方法
- (1)一人一人の変化を把握する。→授業参加率を調べる。
- (2)同じ時期の登校率を比べる。
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4.視察
- (1)武内小学校の視察報告をする。本校でも取り入れられる点は導入を進める。
- (2)パナソニック財団の研究指定校の中から、視察先を選び、視察を実施し、先進校の取り組みに学ぶ。
本期間の裏話
- 1.全教室にモニターとアップルTVを常設し、先生方にiPadを貸与したところ、日常的に授業でのICTの活用が進み、児童・生徒の集中力が高まったこと。(これが授業参加率につながっていることを証明する指標を探しています。)ベテランの先生のICT活用がうまい。
- 2.小学部で研究授業が実施できたこと。そこに中学部の先生方が参観されたこと。何より、児童たちが大勢の方々に見られながらも、授業のねらいに向かって学習を進めたことがうれしかった。
- 3.贈呈式で知り合った武雄市立武内小学校に、本校の先生を視察に行かせることができた。視察成果の還元は今後の課題であるが、パナソニック財団の助成金を使用して、今後も先進校の視察に行き、指導力、学校経営力を高めていきたい。
- 4.教員の人数が少なくても、共通の認識をもち、研究に取り組むことは、改めて難しいと感じた。手順を踏んでも、個人により認識の差が生じる。授業のレベルを上げていくことが本当に難しい。
本期間の成果
- 1.モニターとアップルTVを常設し、iPadを教員に貸与したことにより、教師がICTを活用し始めた。
- 2.モニターによる資料提示。焦点化したいところを拡大する。
- 3.NHK for School の活用が活性化した。
今後の課題
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1.小学部算数における、学年(5・6年)を解体した習熟度別学習の実施。
・チエルの教材を活用したら可能か。 - 2.不登校状態にある児童への学習指導。
- 3.ICTを活用した主体的で対話な授業。
- 4.メディアルームの整備。
- 5.ICT活用能力(タイピング、検索等も含めて)を高尾山学園のつけたい能力としていきたい。
今後の計画
-
1.「アップルクラスルーム」を使用できるように備品を整備する。
・小学部算数における学年を解体した習熟度別学習の実施。 - 2.先進校の視察
- 3.OJT月間②「主体的な学び」をテーマに全員が略案を作成、授業を公開
- 4.メディアルームの整備
気付き・学び
- 1.ICT活用はベテランの先生の方がうまい。そして、児童・生徒の方が操作が巧で、すぐに身に付く。
- 2.学校に来ていない児童・生徒へのアプローチには、予想以上に可能性がある。ただし、本人が活用するかどうかが一番の課題。
- 3.日本中には様々なICT活用に取り組み、実践報告をしている学校がたくさんある。本校に活用できるものは、積極的に取り入れてい行きたい。
成果目標
-
1.登校率の向上
普通教室におけるICT環境整備が進み、子供の主体性が育まれ、平成29年度は68%だった登校率を、平成30年度には69%、平成31年度には70%にする。
◇5月出席率 5年 47.6% 6年 64.3%
中1-1 65.6% 2-1 80.0% 2-2 65.6%
3-1 89.3% 3-2 66.0% 3-3 65.6%
全校 70.5%(平成29年度69.2%) -
2.ICT活用による学力向上
児童・生徒に対するICTを活用した支援を継続し、ICT活用が学力向上に効果があることを教員、児童・生徒、保護者が実感する。
☆学校評価
- 国立教育政策研究所 総括研究官 福本 徹 先生
高尾山学園は「基本情報」にもあるように、不登校の児童生徒を対象とした学校です。一般的に不登校の児童生徒は、小中学校の授業に出席していないために学習空白が生じている場合が多いことや、対人関係に難しさを抱えている場合がある、という特徴があります。高尾山学園もそうですが、文部科学大臣の指定を受けることで不登校児童の実態に配慮した柔軟な教育課程の編成が可能であり(学校教育法施行規則第56 条)、具体的な学習活動としては、不登校児童の学習状況に合わせた個別学習,グループ別学習,などの個々の児童生徒の実態に即した支援であるとか,学校外の学習プログラムの積極的な活用など指導方法や指導体制の工夫改善に努めることが求められます(総則第1章第4の2の(3)のイなど)。また、不登校は取り巻く環境によっては,どの児童生徒にも起こり得ることであり、「問題行動」と捉えるものではありません。共感的理解と受容の姿勢をもつことが,児童の自己肯定感を高めるためにも重要です。
さて、学習空白が生じているというや、柔軟な教育課程の編成が可能であるということは、学習内容をベースにカリキュラムを編成し実行するというよりは、育てたい児童・生徒像、すなわち、資質・能力に基づいたカリキュラム編成と、わかりやすい授業や参加したくなる授業、すなわち、ICT等を用いた効果的なカリキュラム実行が求められます。参観した授業では、十分な活動と自分なりのまとめを行うために、ICT(タブレットPC)を用いて記録し閲覧する、ICTを用いて個人で考察し伝え合うといった、「主体的・対話的で深い学び」の視点に基づいた学習活動と、空間的な広がりや比較・分類といった社会的な見方・考え方を生かし、社会的な事象を多角的に把握し社会の課題を把握するための思考力の育成が図られた授業でした。
今後は、タブレットPC上で動作する様々な教材等を導入して技能面の習熟を図るということですが、発達段階に応じたり、特別活動などの領域の内容を援用して、まとめて学ぶという可能性も見いだせるのではないでしょうか。
いずれにしても、これからの教育課程を考えていくにあたって、大変参考となる研究であり、今後の進展に期待します。一緒に頑張りましょう。
本期間(8月~12月)の取り組み内容
◆教員向け研修の実施
- ○チエル株式会社によるフラッシュ型教材活用研修
- ○帝京大学 福島教授によるプログラミング(Sphero)研修
◆校内環境の整備
- ○モバイル・ルーターの導入
- ○出前授業をパソコン室に中継(八王子市教育委員会 校務支援課ICT担当と連携)
- ・オリンピック・パラリンピック教育「ダブルダッチ」
- ・芸術鑑賞教室「和太鼓」
→みんなとの中に入れない児童・生徒、聴覚過敏の児童・生徒への対処として。
◆学校視察
- ○奈良県御所市立名柄小学校(少人数クラス、Skypeを使用した授業)、京都市立洛風中学校(本校同様、不登校特例校)視察
◆授業実践
【小学部算数科による実践】
-
○第2回目訪問アドバイス(10月26日(木))
アドバイザー:国立教育政策研究所 総括研究員
福本 徹 先生
研究授業 13:30~14:15
5・6年合同 算数科 授業者 西山 美和
「速さの表し方を考えよう」- ・本時の展開
- 1. Sphero SPRK+ の操作方法を知る。
今回、授業で使用したSphero SPRK+(右)と、Amazon Fire タブレット(左)。プログラミング教育の要素も含んでいます。
- 2. Sphero SPRK+ をミッションに従い、決められた距離まで動かす。
▲ 授業は体育館で行いました。
▲ 「よし、行けっ!行け行け〜」
▲ 「う〜ん、今度こそ」
- 3. 本時の振り返りをする。
結果をもとに、グループで話し合いました。
☆ 結果、距離が一定ならば、速さの数が大きくなると時間は小さくなる。時間は小さい方が速い
- 1. Sphero SPRK+ の操作方法を知る。
- ・本時の展開
アドバイザーの助言と助言への対応
- ○具体物を用いた十分な活動は、大事である。
→ブレットで操作し、ロボットが自分の指示したとおりに動く。そこから、学習内容へと結びつける。 - ○個別の学習
→ICTの利点(自己採点からデーの回収し、個別の問題提示) - ○系統性と繰り返し
- ○数学的活動を5・6年合同で行ったことは、良い。
本期間の裏話
- ○研究授業当日のタブレット操作に、慣れてもらうために、事前にプログラミング教育を行いました。「プログル」を子供たちに体験してもらいました。子供たちは、苦労しながらも集中して真剣に取り組んでいました。
▲ プログラミングでキャラクーを動かし図形を描かせます。
-
○10/19 には、帝京大学の福島教授を招き、教員向けにSphero SPRK+の講習を実施しました。先生方、子供たちより熱中して活動していました。
本期間の成果
- 小学部算数で、導入済みであったチエルの教材を利用し、学習の個別化をすすめている。学習内容を自己選択、自己決定させることで、学習意欲を高めることができている。
- 小学部算数の導入で、フラッシュ型教材を活用し意欲を高めたところで、学習に取り組み学習効果を上げてきている。
- モニターによる資料提示を、ほぼ全教科で実施している。
- 体育館での出前授業を中継。集団に入れない児童・生徒の学習の機会を確保できた。
今後の課題
- 普通教室に整備したICTを活用した主体的で対話な授業
- iPad の管理 例) 持ち帰り 等
- 不登校状態にある児童・生徒への学習指導
- メディアルームの整備
今後の計画
- 主体的・対話的で深い学びを展開できる環境を整備し、「主体的・対話的で深い学び」の視点からの授業改善。
- 発達障害のある児童・生徒に対する ICT を活用した支援。アプリを活用し、学習意欲を高める。
- 不登校状態にある児童・生徒への「教育の機会確保」としての授業動画配信の可能性を探る。
研究課題
- 小学部算数における、学年(5・6年)を解体した習熟度別学習の実施。
・チエル株式会社の教材を活用したら可能か。 - 不登校状態にある児童・生徒への学習指導。
- ICT を活用した主体的で対話的な授業。
- メディアルームの整備。
成果目標
-
登校率の向上
普通教室におけるICT環境整備が進み、子供の主体性が育まれ、平成29年度は68%だった登校率を、平成30年度には69%、平成31年度には70%にする。
◇5月出席率
【小学部】5年 : 47.6% 6年 : 64.3%
【中学部】中1-1 : 65.6% 中2-1 : 80.0% 中2-2 : 65.6%
中3-1 : 89.3% 中3-2 : 66.0% 中3-3 : 65.6%
【全 校】70.5%(平成29年度 : 69.2%)◇11月出席率
【小学部】5年 : 60.7% 6年 : 61.9%
【中学部】中1-1 : 83.7% 中2-1 : 59.0% 中2-2 : 68.4%
中3-1 : 77.1% 中3-2 : 69.0% 中3-3 : 60.2%
【全 校】 68.5%(平成29年度 : 66.1%) -
ICT活用による学力向上
児童・生徒に対するICTを活用した支援を継続し、ICT活用が学力向上に効果があることを教員、児童・生徒、保護者が実感する。
- 国立教育政策研究所 総括研究官 福本 徹 先生
今回は3回目の訪問でしたが、研究の目的がフォーカスされ、より深まっている印象を受けました。
研究課題にもあるように、高尾山学園は不登校特例校です。不登校を経験した児童生徒は、多くの場合、学習空白が生じています。この空白を埋めるために、ICTの活用とともに、学習過程の工夫が行われています。ICTの活用では、デジタル教材の導入によって、学習空白に応じた指導を行うことができます。学習過程の工夫では、例えば、算数・数学は積み上げ型(小学校学習指導要領解説算数編p.12-17に学年ごとの内容が示されています)と言われますが、分数に関する内容を一気に習得する単元構成にしたり、割り算の筆算には掛け算九九が必要となりますが、必要に応じて九九シートを見てもよい、といった学習活動とすることで、学習空白に応じた指導が可能となります。国語科はスパイラル型(小学校学習指導要領解説国語編第2節参照)であるとともに教材が前面に出てくるのですが、積み上げの要素もあるとともに、学年が上がるとともに抽象的な思考が要求されるので、より慎重な指導が必要となります。
今回参観した授業は、5・6年生合同での算数「速さ」の単元の導入部で、Spheroにプログラミングをすることで速さや時間を設定し、目標点に停止させる、というものでした。日常の事象から数学的な問題を見出すという算数科における資質・能力の育成と、体験的なプログラミング活動による情報活用能力の育成を目指し、児童自らがSpheroに働きかけることでミッションを達成する学習活動がうまく組み合わさったものでした。Spheroの実物を児童が自分で制御するという実体験は非常に大切ですし、速さの導入という算数的な視点でも有用です。また、今次の改訂では、速さの内容は6年→5年へと移行します。すなわち、5・6年生が合同で授業を行うということも、(学習指導要領移行期という大人の事情ではあるわけですが)大変良いことです。友達のデータと合わせて規則性を見出すという算数としての目標からも、5・6年生が合同で行うことで収集できるデータが多くなり、より考察が深まりますし、このような考察は今回の改訂で拡充した統計的な内容にもつながるものです。
その他に導入した教材についても、チエルの教材を使い、個に応じた学習ができることで、学習空白を埋めることもやりやすくなるでしょう。また、モニターによる資料提示は、わかりやすい授業につながりますし、学習に対する意欲を生むことでしょう。
授業の中継は、今回は出前授業の中継とのことでしたが、その授業を映し出すモニター画面には、教師や演者だけではなく、友達の様子も見ることができるでしょう。また、報告書にもあるように、認知特性に応じた支援という意味でも大変有効です。そして、配信する先は学校内の別室とは(技術的には)限られないので、今後の計画にもあるように、授業動画の配信にもつながるものです。
時数に限りがある中で、多様な児童生徒に対して、様々な手段や方法・技術を駆使して学ぶ場を整えてこられましたと思います。ICTは大変有益なツールであると改めて感じた次第です。
本期間(1月~3月)の取り組み内容
◆小学部 算数科における、学年(5・6年)で習熟度別学習の実施
- →5年教室:5年の学習、6年教室:6年の学習、パソコン室:チエル㈱の学習プリントを中心に未学習の分野を学習
◆全校にて日常的にICT機器の活用
- ○学校情報課診断システム 平均2.7 (4/20 平均2.45)
- ①プログラミング教育に取り組み、レベル1からレベル2へ。
- ②ICTを活用することによって、主体的・対話的で深い学びの授業の増加。
→ICT活用による学力向上レベル1からレベル3へ。※優良校認定申請中
◆主体的・対話的で深い学びを展開できる環境を整備し、「主体的・対話的で深い学び」の視点からの授業改善。
- ○全校にて、各学年のSSP(本校独自のソーシャルスキル・トレーニング)の実践交流。
◆ユニバーサル・デザイン研修(12/19実施)
- ○講師に高橋桐子先生(東京大学先端科学研究センター 准教授)をお招きし、UDトークなどを学ぶ。
◆アンガー・マネジメント研修(1/7実施)
- ○講師に本田恵子先生(早稲田大学 教授)をお招きし、「色のシミュレーター」、「漢字」、「ビノバ」体験。
◆道徳授業公開・道徳地区公開講座(1/26実施)
- →ICTを活用したSSP
◆八王子市小学校教育研究会 特別支援教育部会対象の施設見学(1/30実施)
【小学部道徳科による実践】
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○第3回目訪問アドバイス(2月4日(月))
アドバイザー:国立教育政策研究所 総括研究員
福本 徹 先生
研究授業 13:30~14:15
5・6年合同 道徳科 授業者 宮本 惠介
「だれが先に乗る?」- ・本時の展開
- 1. NHK FOR SCHOOL ココロ部「だれを先に乗せる?」を視聴する。
今回は、子供たち全員に話が分かるよう、画面にテロップを入れるなど工夫しました。
- 2. 5人からどの3人を選ぶか、一人一人で考える。
- 3. グループになり、グループとしての意見をまとめる。
グループ活動では、教材台本も作り、グループごとに配り、今回の話をふり返りやすくしてみました。各々が、自分で選んだ3人をグループのメンバーに伝えた後、グループの意見をまとめました。
- 4. 他のグループに説明する。
「やはり、お年寄りは大切にしないといけないから…」
「就職試験は、一生を左右する問題だから…」ただでさえ、発表するのが苦手な子供たち…よく大勢の人の前で発表してくれました。
- 5. “解決策”で、3つのグループに共通することを見つける。
「5人が納得できる“解決策”は、どうすればよかったのだろう」
ここで、さらに深く考えさせる“揺さぶり”の質問がほしかった。
- 6. 本時のふり返りをする。
「もっと、いろいろ尋ねれば、よかった」
「勝手に自分で判断しないで相手の事情をよく聞くこと」
など、改めて外見や都合にとらわれることなく、相手の様子や状況を推し量り、親切にすることの大切さに気付いた子供たちがほとんどでした。
- 1. NHK FOR SCHOOL ココロ部「だれを先に乗せる?」を視聴する。
- ・本時の展開
アドバイザーの助言と助言への対応
- ○iPadを使用したかったが…
→・今回の授業では効果が出にくい。8人であれば板書で十分である。40人であれば、また違う効果が出るかもしれないが…。
・“記録を残す”使い方に有効。1時間目で発想を広げ、2時間目でまとめ、3時間目で文章化する、あるいはデータの整理をする、第1回目の研究授業【社会】でのように、自分で気付いたところを相手に説明するなど補助資料として使用するにはiPadが有効。 - ○UDL
→・テロップ・台本起こし・登場人物などの提示は、どこを見ても分かるという面では一つの方法であるが、煩雑になりすぎないように子供の認知特性を見ながら判断する。
・UDLに関する本も、いろいろと出ているので参考にするとよい。
本期間の裏話
本校の児童は、不登校の期間にばらつきが多い。聞いていても話が入らなかったり、文字の読み書きも苦手だったりと様々である。今回の研究授業も、最初は“高尾山学園で、やってみたいこと”と題して作文で予定していた。12月には高橋桐子先生(東京大学先端科学研究センター 准教授)からユニバーサル・デザイン研修を、1月には本田恵子先生(早稲田大学 教授)からアンガー・マネジメント研修を受けた。読み書きが苦手な児童にストレスを軽減できるヒントはないかと…。研修を受け音声入力ソフトなどを使用してみるなど検討を重ねていた。しかし、以前の学校であった嫌な経験を思い出してしまう児童がいて授業を欠席したり、進捗状況にかなりの開きがでたりしたため断念することになった。
そこで、本校が力を入れている“SSP”(社会性を身に付けるための授業)で行う運びとなった。通常、教員やスタッフで寸劇を交えるのだが、ふり返りで「劇がおもしろかった」とめあてに合わない回答も多かった。今回は、どの児童にも分かる話にするということで、登場人物や重要場面の写真の提示、大型TVでNHK FOR SCHOOL「ココロ部」の映像にテロップを入れたり、ふり返りやすいよう台本を作ったりした。授業後の反応をみると話が分かりやすかったと答える児童がほとんどで、めあても、こちらが望んていた回答が多くみられた。欲を言えば、もう少しiPadを活用して視覚的に展開したかった。
本期間の成果
- ICT機器を活用した授業改善が、ほとんどの教員によって実施されている。また、それにより、児童・生徒においても主体的・対話的で深い学びとなっている。
- ICT機器を活用した授業が増加するとともに、コンテンツの整備、機器の配置などの工夫が意識されてきている。
- 基本的な操作スキルを習得させるための指導の効果について評価している。
- 情報モラル教育
今後の課題
- 家庭学習でのICTを活用との連携
- デジタル教科書の整備
- 情報活用能力を各教科の学習と関連付けて、育成するためのカリキュラム・マネかりジメント
- プログラミング教育を計画的に実施する。
- 児童・生徒が1日に1回程度活用する環境整備
- ペーパーレス化の推進
今後の計画
- 発達障害のある児童・生徒に対するICTを活用した支援
~アプリを活用し、学習意欲を高める。 - 居場所(保健室、相談室、プレイルーム)への中継授業
- 不登校状態にある児童・生徒への「教育の機会確保」としての授業動画配信の可能性を探る。
- ICTを活用した反転学習や家庭学習
- 超短焦点プロジェクタを活用した対話的で主体的で深い学びの実践。(インタラクティブクラスルームの整備)
研究課題
- 小学部算数における、学年(5・6年)を解体した習熟度別学習の実施。
- 不登校状態にある児童・生徒への学習指導。
- ICTを活用した主体的で対話的な授業。
- メディアルームの整備。
成果目標
-
登校率の向上
普通教室におけるICT環境整備が進み、子供の主体性が育まれ、平成29年度には68%だった登校率を、平成30年度には69%、平成31年度には70%にする。
◇5月出席率
【小学部】5年 : 47.6% 6年 : 64.3%
【中学部】中1-1 : 65.6% 中2-1 : 80.0% 中2-2 : 65.6%
中3-1 : 89.3% 中3-2 : 66.0% 中3-3 : 65.6%
【全 校】70.5%(平成29年度 : 69.2%)◇2月出席率
【小学部】5年 : 71.6% 6年 : 68.4%
【中学部】中1-1 : 65.4% 中2-1 : 59.3% 中2-2 : 68.4%
中3-1 : 76.8% 中3-2 : 61.2% 中3-3 : 61.7%
【全 校】 66.5%(平成29年度 : 63.8%)◇平成30年度出席率(3/15現在)
【小学部】5年 : 64.8% 6年 : 63.9%
【中学部】中1-1 : 70.0% 中2-1 : 69.8% 中2-2 : 67.2%
中3-1 : 84.7% 中3-2 : 70.3% 中3-3 : 62.5%
【全 校】 69.2%(平成29年度 : 68.0%) -
ICT活用による学力向上
児童・生徒に対するICTを活用した支援を継続し、ICT活用が学力向上に効果があることを教員、児童・生徒、保護者が実感する。
- 国立教育政策研究所 総括研究官 福本 徹 先生
これまで2回の訪問の際に見せて頂いた授業では、児童が情報機器を使う形態でしたが、今回の研究授業では、先生が提示するために情報機器を使い、児童はアナログな手段を用いて意見発表などを行う形態でした。「裏話」にもあるように、研修を受けて学んだことを生かしていろいろな角度から「高尾山学園の児童にとってふさわしい学習形態」を追究した結果だと思います。こうした研修を校内で設定したり、他の研究指定校を訪問して情報交換を行ったりすることで、教師としての力量を高めることも、助成金の有効な活用方法です。
今回使用した教材は「NHK for school」の「ココログ」でした。大型テレビに映して全体で共有した後に、NHKから提供されている教材を補助に使いつつ教室で議論するという、スタンダードな授業の進め方で良かったと思います。この番組は、良く知られているコンビタレント(アンジャッシュの渡部さんと大嶋さんでしたっけ)が出演していて引き付けやすいとともに、「だれを先に乗せる?」は答えが1つではなく、だれを選んでも一定程度の正解ではあるので、「正解探し」や「誤答の心配」がなく、自分自身の考えを披歴しやすい教材です。また、新しい学習指導要領にある「考え、議論する道徳」という点からも、大変意義のある教材です。当日の授業でも、活動報告にもあるように、紙のワークシートを用いてグループで議論し、全体の前で発表しています。ここでタブレットを使って、紙ではなくタブレット上のワークシートを用いるのは、ICT機器の特性(記録性、空間的制約を超える、双方向性、など)を生かしきれないので、紙のワークシートを選択したのは良かったと思います。
また、教材をそのまま使うだけではなく、テロップや登場人物を印刷して黒板に提示することはもとより、シナリオを文字起こししたものを児童に配布したり、様々な手段を用意し、児童に選択する環境を整えていました。こうすることで、児童自身が自分が学びやすい教材を選択することができます。これはまさにUDLの考え方であって、全体一律に同じやり方で学ぶのではなく、児童自身が表現しやすい手段を選択し、表現する過程について学ぶことで、思考力や表現力を育成することができるでしょう。しかも、グループで議論してから、全体の前で発表するという手順を踏むことで、発表へのハードルを下げています。
平成31年度からは中学部でも実践に取り組むとのことです。中学部では生徒の人数が増えるとともに、実態が小学部より多様化しますので、大変だとは思いますが、大いに期待しています。
本期間(4月~7月)の取り組み内容
◆家庭科 題材名『幼児の生活と家族』
本題材は12時間扱いとなっている。1~6時間目には、生徒たちは幼児の生活習慣や発達段階について学び、幼児の遊び道具などを製作した。7時間目には1歳・3歳・6歳の幼児の食事風景を動画で観察し、その特徴について学んだ(※図1、2、3)。
8時間目には生徒たちは前回の授業で学んだ知識を活かしながら、幼児用のおやつ作りのためのクッキー型をデザインし、iPadを使って3Dモデリングデータを作成した(※図4、5)。その後、生徒のモデリングデータを3Dプリンターでプリントし、生徒のオリジナルのクッキー型が完成した(※図6)。研究授業にあたる9時間目の調理実習ではそれを用いて実際にクッキーを作った(※図7)。
10~12時間目にかけては実際に幼児と触れ合う「命の授業」などを通して、さらに「幼児の生活と家族」の在り方について深く学んでいく。幼児に関する学習はともすると生徒にとって実感の伴わない学びになりがちである。本題材では幼児の視点に立って、幼児用の遊び道具やおやつを作ることで「自分と幼児の関わり」を意識しながら、家族の機能を学ぶことを目指した。調理実習で作ったクッキーを生徒たちが食べたところ「味が無い」「おいしくない」という感想があった。それと共に「自分と幼児の味覚が違うことが実感できた」や「栄養のバランスが大事」など生徒たちから幼児の視点からの意見を聞くことができた。そういった体験を通して、生徒たちが自分自身の成長を実感できたのではないだろうか。
アドバイザーの助言と助言への対応
- ◆3Dプリンター利用をして生徒の主体性を促し、幼児に関する学習をより深い学びにする意図は伝わった。より学習を充実させるためには、調理実習などでもっと対話的な場面などが含まれると良いというアドバイスを頂いた。改善点としては、生徒が自分のクッキー型をデザインした理由や意図を意見交換できる場面を設けることなどが考えられる。
本期間の裏話
- ◆3Dプリンターでのクッキー型のプリントは一つ当たり約45分かかり、15人分を作成するには多くの時間を要した。
- ◆クッキー型をデザインする際に生徒が3Dモデリングを理解する必要があり、家庭科の授業に美術科が参加し、ものを立体的に捉えるための基礎学習を補う必要があった。
- ◆研究協議会時に短時間で、各学年・教科等で短時間のICTを活用した授業改善の報告があった。報告を受けて全職員で共有することができ、今後の研究の参考となった。
本期間の成果
- ◆本題材では幼児の為のクッキー型を作ることで「他人ために工夫すること」を必然的に学ぶことができた。
今後の課題
- ◆あくまでICTを使うことそのものが目的ではなく、教科指導の改善を目的としていく。その際に非実用的な研究ではなく、できるだけ一般的な学習環境で活用できるような研究を目指す。
今後の計画
- ◆今後の研究授業は英語科と理科が行う。英語科ではアップルのAIアシスタントであるSiriを活用し、生徒がSiriとの会話を通して「スピーキング・リスニング技術の向上」を図る研究授業を行う。理科では「月の見え方」を学び、iPadを使ったまとめ学習を行う。
気付き・学び
- ◆今回の研究授業を通して、教科横断的な視点で(今回は美術科)授業を計画することで題材に広がりが出るとともに、生徒の深い学びに結び付くことが実証できた。研究授業時には、生徒から型の構造について改善点を指摘する声や形そのものが幼児好みのものだったか、試食した際には成長と共に失われた『味覚』についてその理由や栄養面の話し合いの交流がみられた。生徒の中には幼児期の思い出を語り合う場面も見られた。
研究課題
- 不登校特例校におけるICTを活用した思考力・判断力・表現力の育成
~主体的・対話的で深い学びの視点からの授業改善~
成果目標
- ◆本校では情報推進委員会が平成28年度から校内のICT環境などを整備しており、平成30年度には教職員に一人一台のiPadを配布し、各教室にテレビモニターを設置した。その結果多くの教科でタブレットの導入が進み、授業者側の授業改善へと繋げることができた。今年度の目標としては学習者側の一人一人の特性に応じた『学び方』の改善を目指している。生徒が主体的に学習できる環境づくりを、ICTの活用を通して今後も探る。
- 国立教育政策研究所 総括研究官 福本 徹 先生
昨年度の小学部での実践に引き続き、今年度は中学部でも実践に取り組むとのことです。中学部では生徒の人数が増えるとともに、実態が小学部より多様化しますので、大変だとは思いますが、大いに期待しています。
まず、幼児の生活習慣や発達段階という知識・技能を身に付けるとともに、その活用として遊び道具を製作しています。次に、生活習慣の中でも食事風景にフォーカスして動画で観察し、知識・技能を身に付け、その活用とともに3Dプリンタへのモデリングという技術科と美術科の知識・技能を活用し、生徒一人ひとりのオリジナルのクッキー型を作成します。報告書に掲載されている本時の授業は、このように身に付けた知識・技能とその活用による成果物を実際に使ってみるという側面と、視覚や味覚を中心とした幼児の発達段階を実際に確かめるという側面と、大型モニタによる調理手順の提示や学習内容のまとめ、といった、教科のねらい(家庭科、技術科、美術科)を達成するために、ICT活用(大型モニタと3Dプリンタ)をどのように使っていくかということを行いました。また、教科横断的な視点で単元を構成することは、学習材に広がりが出るとともに、より深い理解につながります。
3Dプリンタを利用して生徒がオリジナルの型を作る活動によって、生徒の主体性を促し、幼児に関する学習をより深い学びにすることは十分に達成できていました。単なる知識の暗記ではなく、知識の習得→活用、という学習が繰り返されています。単元の中で授業のパターンを揃えることで、生徒は次の学習への見通しを持ちやすくなり、安心感につながります。
まとめの場面では、生徒が幼児期の思い出を語り合う場面も見られましたが、小学校の生活科でも幼少期の育ちを振り返る学び(内容の(9))があります。生活科での学びを基礎として、よりメタな位置から、本単元のような家庭科の学習を捉えることもできます。小学校(小学部)での学びを中学校(中学部)の学びとつなげることは、小中学校間の接続とともに、学習空白を埋める一助にもなります。
中学校(中学部)ではより専門性が高い授業が展開されます。専門性の中でICTを活用し、より分かりやすい授業が実現されることと、学びが深まることを期待します。
本期間(8月~12月)の取り組み内容
◆英語科:ICTを活用したスピーキング・リスニング技術の向上
単元名『ONE WORLD English Course1』
① Lesson1~2の文法事項を盛り込んだスキット練習
② Lesson3 メイの好きなもの
本題材は16時間扱いとなっている。まず本校の中学1年生の実態として、識字能力や場面緘黙などの特性を抱える生徒が多い。そのような状況においてスピーキング・リスニング技術の習得をICTでどのように補助できるかを考えた結果、iPadに搭載されているAIアシスタント「Siri」を導入した。この機能は言語設定を「英語」にすることでネイティブとの仮想会話を体験できる。本単元では毎時間5分間生徒がSiriと会話をする時間を設け、AI相手に気兼ねなくスピーキングやリスニングを行うことで、英語をできるだけ体感的に学び、親しめるような学習環境を目指した。また、ライティングに関しては「書く」作業を極力減らすためにiPadに搭載されている音声入力を利用し、書くことのハードルを下げながら学習の記録を行った。最終的には、それらの経験を活かしたスキット(寸劇)を行うことで、英語学習を通した生徒の自己表現力の育成を目指した。
■英語学習室での授業の様子
- ・教室は机をコの字型に並べ、教師が各生徒と対面できるようになっている。
- ・本校での英語科の授業体制は常にT1に加えてT2・T3と補助員が付いている。
- ・正面のモニターにはAppleTVが設置されており、教師のiPadを無線で繋ぐことができる。
- ・生徒には1人1台iPadとヘッドホンが渡されている。
◆使用したICT機器
- ・50インチモニター
- ・AppleTV
- ・iPad
- ・マイク付きヘッドホン(SONY MDRZX110APWC)
※マイク付ヘッドホンはマイクに向かって喋ると小声でも音を拾ってくれるため、人前で喋るハードルをより下げることができた。
◆使用したアプリ
- ・iPadに搭載されているAIアシスタント。仮想ネイティブとの会話を通して生徒たちは自分の英語が伝わることの楽しさを感じられた。原稿(※図1)を元にSiriに質問をしていく。
- ・本来は表計算アプリだが、音声入力で文を書くことにより、より活発な言語活動を促す。セルが分割されているのでPagesよりも入力先が分かりやすい。
- ・スライド作成アプリ。寸劇の台詞が各スライドに入っている。文章と音声の両方をまねることで文構造を理解し、Siriで培ったスピーキング力をさらに伸ばす。自分のペースでスライドを進めていく。
アドバイザーの助言と助言への対応
- ◆授業では複数のアプリを使ってリスニングやスピーキングなどいろいろな要素を取り入れていた。テンポよく進められていたので詰め込み感がなく、引き込まれていく授業構成になっていた、という評価を頂いた。アプリをできるだけ効率よく使うことを意識していたので、今後も効果的なICTの活用を続けていきたい。
本期間の裏話
- ◆どのようなICT機器を導入したとしても、必ず問題になるのが機器の操作方法の習得に時間を取られてしまうことだ。そのために英語以外の教科でも事前にiPadを使う機会を増やすことでiPadの操作自体に慣れる時間をつくった。
- ◆Numbersでの音声入力はWIFIが必要となるため環境整備が必須。また音声入力は有効な手段だが、英語の場合「カンマ・ピリオド・改行」の読み取りが厳しい場面があった。また中3レベルの単語になるとなかなか読み取られない言葉が増えた。
本期間の成果
- ◆「書く」作業を極力減らし、リスニング・スピーキングに重点を置いた結果、そのあとの授業で通常の教科書を読み上げる際に明らかに人前で英語を喋ることへの抵抗感が減っていた。
今後の課題
- ◆これまでの研究から、タブレットを利用することによるメリットとして授業や学習の効率化、個々の特性への補助などが可能であることが分かった。デメリットとして、タブレットを使うことによる生徒の「学びの偏り」が考えられる。例えば理科の「化学反応式の作り方」では、ある生徒はタブレットのアプリでは解答できるが、紙面では解答できないという現象が見られた。そういった「ICTによる学びの特性」を把握することが今後の課題である。
今後の計画
- ◆高尾山学園は1クラスの授業参加人数の平均が10人、毎授業には講師や補助員が付き、大人が複数の授業体制が通常である。そのため一斉指導と個別指導の両立が可能であり、公教育の「理想的な学習環境」として想定しながら本校の研究授業は進められてきた。そういった中でもやはり発達障害や個々の特性への合理的配慮の実現は簡単ではない。ICTに限らず、個々の特性に合った学習環境の整備はまだまだ工夫が必要である。
気付き・学び
◆ASD(自閉症スペクトラム、アスペルガー)児の対ロボット情報処理について
ASD児がロボットを相手に話をしたところ、発話数が増えたという実験結果がある。
- ・一度に発生する情報が少ない。
→相手の表情や声のトーンなど、様々な情報を受け取る必要が無い。 - ・リアクションパターンが少ない。
→返ってくる反応がいくつかに限られる。 - ・同じ入力ができる。
→何度も同じ質問をしても、否定されることはなく、必ず反応が返ってくる。 - ・失敗しても相手に失礼と思わなくて済む
→上手にやり取りできなくても大丈夫だと安心して応対できる。 - 「フリーランス児童精神科医 三木崇弘氏の講演より」
研究課題
- 不登校特例校におけるICTを活用した思考力・判断力・表現力の育成
~主体的・対話的で深い学びの視点からの授業改善~
成果目標
- ◆本校では情報委員会が平成28年度から校内のICT環境などを整備してきた。平成30年度は教職員に一人一台のiPadを配布し、授業で活用できるよう情報委員会が研修会などサポートを積極的に行った。同時に各教室にテレビモニターを設置し、日常的に使用できる環境を整えた。その結果、教師だけでなく、生徒が使用する頻度も増加し、今年度は全学年でタブレットを使った学習活動が行われている。
地域の学校では総合の学習などで発表する際、グループごとに紙面による発表やPowerPointを使ったプレゼンテーションが行われている事が多い。道具の準備が煩雑であったり、PC室で行なうPowerPointやスライド作成は、指導できる教員の確保の難しさとともに、操作が長けている生徒に負担がかかったり、発表作業に参加しない生徒が出てしまうなど課題も多い。一方、本校では生徒一人一人が、iPadを使った学習を日常的に行なっている。例えば、3学年の修学旅行の事後発表では、iPadのKeynoteを使い、写真やパンフレット、インターネットからの資料を自由に取り入れまとめ発表を行った。また、1,2学年では校外学習後にPagesを使い新聞作りを継続して行っている。
不登校を経験した多くの生徒は勉強(授業参加)への苦手意識を抱えている。タブレットを利用した学習の場合は指だけで行なうことが可能であり、巧緻性が未熟な場合でも一定の操作性を確保することができることがわかった。また書字に課題がある生徒も、一定の書体で文字表現できるためハードルが下がり「授業についていける」という経験となる。今後も生徒の不安を取り除き、できることを増やす体験を積み重ねるためにどのようにICTを活用できるか考えていきたい。
- 国立教育政策研究所 総括研究官 福本 徹 先生
今回は一人一台環境という大本命の研究授業を行っていただき、ICTの特性を十分に生かし、生徒中心の学習という大きな成果が得られたと思います。
平成31年度全国学力・学習状況調査でも英語の「話すこと」調査が行われましたが、英語4技能の確実な定着は新学習指導要領でも目指されているところです。解説においても、外国語によるコミュニケーション能力の育成を意識した取組,特に「話すこと」及び「書くこと」などの言語活動が適切に行われていないことや「やり取り」・「即興性」を意識した言語活動が十分ではないこと,といった課題が挙げられています。
授業では、複数のアプリを使ってリスニングやスピーキングなどいろいろな要素を取り入れていました。Siriを使ったスピーキングで「話すこと」の力を養い、手書きではなくて音声入力によってNumbersに文章を入力し「書くこと」の力を養っています。テンポよく進められていて引き込まれる授業展開になっていました。財団の助成金で購入した一人一台のiPadを用いて、生徒の能力差に合わせた課題設定や学習が可能になっています。学習空白を補うという点で大変有効です。また、識字能力や場面緘黙の生徒にとっても、一人一台iPadの環境で、自分のコントロール下で学習を進めることができます。かといって全く一人で授業が完結するのではなく、Keynoteを使ったスキット練習など、他者とかかわりながらの学習活動も組み込まれています。聞くこと、話すことによる実際のコミュニケーションにおいて活用できる技能の育成が目指されています。
コンピュータは繰り返しの動作が得意で、人間と違って、文句を言わずに繰り返しを行ってくれます。Siriを使ったスピーキングの試行錯誤や、英作文をNumbersに入力して確かめる、といった学習活動に適しています。他にも、コンピュータやネットワークの活用によって、時間的・空間的制約を超えることや、大量のデータを処理することができます。このように、ICTの特性は何かを踏まえて、その特性がより生きるような学習活動の設計が求められます。
これまではICT環境が整っていない学校が多かったことと思いますが、この度政府が発表した「GIGAスクールネットワーク構想」では、一人一台のPCとネットワークを、2020年度中(小学5・6年生、中学1年生)・2021年度(中学2・3年生)・2022年度(小学3・4年生)に整備することとしています。つまり、今回拝見した授業のようなICT環境は数年すればどの学校でも当たり前の環境になります。
これまでの授業に少しだけICTを加えてやってみるということももちろん必要なステップですが、ICT環境が揃っていることを前提として、多様な生徒の実態を踏まえ、どんな学習が可能になるかを構想して頂ければと思います。
本期間(1月~3月)の取り組み内容
◆理科:月の満ち欠けを直感的に理解するためのICTの活用
単元名『宇宙の中の地球』~月の動きと見え方~
理科で「月の満ち欠け」を理解する際に、従来は三球儀を使用して天体を表していた。今回はiPadを陶芸用ろくろに置き、iPadのカメラを地球からの目線と仮定し、その周りに月の模型を置く。それをライト(太陽光)で照らすことで自分が日常生活で見ている空と同じ月の形をモニターに再現した。直感的に月の満ち欠けの在り方を学ぶことで「これっておもしろい」「学ぶって楽しい」という学習意欲の向上へと繋げた。
■理科室での授業の様子
- ・正面には超短焦点プロジェクターとスクリーンを設置している。正面左には50インチモニターを併設し、AppleTVを通してiPadの画面を無線で投影することができる。今回も一つの班のiPadを繋げ、実験中の様子をモニターに映した
◆iPadを使用した「月の満ち欠け再現装置」
◆授業風景
- ・生徒たちは再現装置を自分で回しながら、ワークシート(※1)の影の部分を塗りつぶしていく。
- ・答え合わせの段階で東西南北を確認しながら、太陽・月・地球の位置関係によって変化する月の見え方を確認していく。
◆ワークシートを完成させたあとに理解を深めるための例題を4問行った。
例題①は図をプロジェクターに写し、生徒たちは作者のゴッホがこの風景を見ていた時間と方角を、ゴッホが描いた月の形をヒントにしながらモデル装置を使って考える。月の形と金星の関りが分かれば解ける問題となっている。
例題②は時間と方角をヒントに月の形を考える。
※例題③④も月が写っているアニメのワンシーンを見て、①②と同様に方角や時間を考える内容とした。
アドバイザーの助言と助言への対応
- ◆月の満ち欠けをアプリで見るだけでは面白い学びにはならない。宇宙は目の前に再現することは物理的に難しく、だからこそ頭の中で考えないといけない。実際にどう見えるのかを生徒たちが再現装置をつかって試行錯誤しているのが素晴らしく、実際の生活と結び付けて考えることが大切だと考えさせられる授業だったというアドバイスをいただいた。最後にやった例題を最初に生徒に示し、課題解決のための授業構成にすることで、より深い思考力や探求心につなげていきたい。
本期間の裏話
- ◆モデル装置に使用したiPadはカメラの位置が真ん中ではなく角にあった。そのため月の満ち欠けをうまく再現するための操作に工夫が必要だった。また机上での太陽の位置や月の位置などを繊細に設定しなければならず、指示を細かく行う必要があった。
本期間の成果
- ◆本題材は、従来のやり方だと教師が一方的に知識を伝える授業になりがちである。今回は各班にモデル装置を用意し、生徒が自ら装置を触れるようにした結果、楽しみながら考える様子が見られた。
今後の課題
- ◆理科の授業では実験中に測定値をグラフ化する作業などがあり、その時に書字が苦手な生徒もタブレットを使うことで記録を容易にし、学習の補助とすることで生徒に科学的な思考力を身に付けさせたい。
今後の計画
- ◆八王子市では今年度から新しくウィンドウズタブレットが30台配備された。本校のiPadと併用していく中で、それぞれのICT機器としての特性を考えながら有効活用していきたい。
気付き・学び
- ◆本研究授業ではICTを活用した「直感的な学び」が一つのテーマとなっている。直感的な理解のための「情報の視覚化」はインパクトがあり、生徒の意欲を引き出すきっかけとしては優れているが、一歩間違えるとインパクトだけで終わってしまい、学びの定着に結びつかない。そのため、実験をした後の例題を工夫する必要があった。例題の図をあえて写真だけでなく絵画やアニメを取り入れることで、生徒の興味を引き付け、学んだ知識の定着を図った。
研究課題
- 不登校特例校におけるICTを活用した思考力・判断力・表現力の育成
~主体的・対話的で深い学びの視点からの授業改善~
成果目標
- ◆本校では情報委員会が平成28年度から校内のICT環境などを整備してきた。平成30年度は教職員に一人一台のiPadを配布し、授業で活用できるよう情報委員会が研修会などサポートを積極的に行った。同時に各教室にテレビモニターを設置し、日常的に使用できる環境を整えた。その結果、教師だけでなく、生徒が使用する頻度も増加し、今年度は全学年でタブレットを使った学習活動が行われている。
地域の学校では総合の学習などで発表する際、グループごとに紙面による発表やPowerPointを使ったプレゼンテーションが行われている事が多い。道具の準備が煩雑であり、PC室で行なうPowerPointやスライド作成は、指導できる教員の確保の難しさとともに、操作が長けている生徒に負担がかかり、発表作業に参加しない生徒が出てしまうなど課題も多い。一方、本校では生徒一人一人が、iPadを使った学習を日常的に行なっている。例えば、3学年の修学旅行の事後発表では、iPadのKeynoteを使い、写真やパンフレット、インターネットからの資料を自由に取り入れまとめ発表を行った。また、1,2学年では校外学習後にPagesを使い新聞作りを継続して行っている。
不登校を経験した多くの生徒は勉強(授業参加)への苦手意識を抱えている。タブレットを利用した学習の場合は指だけで行なうことが可能であり、巧緻性が未熟な場合でも一定の操作性を確保することができることがわかった。また書字に課題がある生徒も、一定の書体で文字表現できるためハードルが下がり「授業についていける」という経験となる。今後も生徒の不安を取り除き、できることを増やす体験を積み重ねるためにどのようにICTを活用できるか考えていきたい。
- 国立教育政策研究所 総括研究官 福本 徹 先生
天体の学習は教える側にとっても学ぶ側にとっても難しいといわれています。まず、観察が難しい、つまり、昼間の太陽を直接観察することは不可能ですし、夜の月や星を例えば学校に集合して観察することも社会通念上難しいという点や、季節を変えて天体の動きを観察しようとすると、途切れ途切れの観察が入り単元構成としての一貫性を保つのが難しくなる点。そして、地表面からの各天体の位置や地球の公転・自転を捉える際に、視点を地球上や太陽系の外側など様々に移動して思考をめぐらす必要があるという点。また、理科室などで実験室的にある天体を再現しようにも、平行光線などのように、再現することそのものが難しいという点などが挙げられます。
天体の動きを再現し提示するアプリを用いる授業も考えられますが、どうしても受動的な学びに陥りがちです。そこで、生徒の主体的な活動を意図して、このようなiPadのカメラ機能を利用した天体の再現装置を考えたことかと思います。この装置全体を捉える視点は地球と月から外側の視点ですし、iPadのカメラに写し出される世界は地表面にいる人間の視点になります。このように、生徒は観察したい場面に応じて、様々に視点を自由に移動させて月の満ち欠けを観察することができます。この装置がなければ、視点の移動を生徒自身が考える必要があり、思考力・判断力・表現力等の事項「天体の運動と見え方についての特徴や規則性を見いだして表現する」ことなく学びに挫折してしまう恐れもあります。この装置があることで、前記事項の学習がスムーズに進むでしょう。また、この装置を使って、実際にどう見えるのかを生徒たちが試行錯誤しているのが大変良い学びであり、まさに、「学びに向かう力、人間性等の涵養」を実現しているなぁ、と強く感じました。このように、授業では「目に見えにくい学力」である「思考力・判断力・表現力等の育成」や「学びに向かう力、人間性等の涵養」が図られていました。
月の満ち欠けを視点の移動によって学んだ後に、芸術作品(ゴッホの絵画)や教室から撮影した写真を使って、実際の生活と結び付けて考えることで、学習事項の定着を図っています。ただ単純に楽しかった、で終わるのではなく、教科での学びと実社会や実生活がどのように関係しているか、を意識した授業構成と言えます。
このように、ICTがあり、上手にICTを活用することで、教科の本質に迫り、生徒には資質・能力が育成されます。高い専門性を生かして、こうした授業を考えて実践し、振り返ることが、教材研究や授業研究の王道だと結論づけられます。