・グランドデザインを整理し,組織で研究が推進できるよう,3つのプロジェクトを立ち上げ,それぞれの部署内で検討を始めた。
三条市立大島中学校
第44回特別研究指定校研究課題
~深い学びを実現するキャリア教育の推進~
三条市立大島中学校の研究課題に関する内容
都道府県 学校 | 新潟県 三条市立大島中学校 |
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アドバイザー | 後藤 康志 新潟大学 准教授 |
研究テーマ | 地域社会との協働と連携による課題対応力の育成 ~深い学びを実現するキャリア教育の推進~ |
目的 | ICT機器の活用を工夫しながら、実社会との関わりを重視した,よりリアルで深い学びを実現するキャリア教育のカリキュラム開発と実践を行う。 |
現状と課題 |
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学校情報化の現状 | 情報機器を活用した実践がなされていない。そのためにも活用環境の整備が急務である。 |
取り組み内容 |
【具体的取組1】
◎授業のユニバーサルデザイン化を目指した「学び合い」の授業<授業力向上研修> 【具体的取組2】
◎地域の教育資源を活用したカリキュラム開発と実践 <教科・領域> <総合的な学習の時間>
【具体的手段】教育活動におけるICT機器の活用の工夫
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成果目標 |
【取り組み後に期待される状況】
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助成金の使途 | iPad Pro 12.9 インチ、 Smart Cover、Smart Keyboard、iPad 9.7 インチ、ソフトウェア、講師旅費・謝金、先進校視察、研修会参加 |
研究代表者 | 山﨑 寛山 |
研究指定期間 | 平成30年度~31年度 |
学校HP | http://www.city.sanjo.niigata.jp/ojimachu/ |
公開研究会の予定 |
◯その他、学校ホームページ等で広く成果を公開予定。 |
本期間(4月~7月)の取り組み内容
【ICT環境整備】
- ・助成金を活用し,タブレット端末(iPad Pro :7台及びiPad第6世代:7台)とカバーを購入し,授業で活用できるように環境を整えた。また,4階教室に大型モニタ(テレビ台付き)とAppleTVを常設し,授業ですぐに活用できるような環境整備を行った。
- ・学校の基幹ネットワークとは別のネットワークインフラを新規に立ち上げるために,モバイル通信サービス(UQ WiMAX2+定額プラン)を2年契約した。
【研究推進】
- ・研究推進部会を月2〜3回行うとともに,毎月の職員会議後に短時間で研究推進部会によるミニ校内研修を行った。主に研究の概要と当面のスケジュールを確認した。
- ・上記とは別に校内研修を2回行い,全職員で参加した。
- <1回目> 5月上旬
- ・校長から研究の概要説明(校内研究グランドデザイン・下図)と研究主任による当面の研修の方針について説明を行い,2年間の研究について全職員で共通理解を図った。
- <2回目> 5月31日(木)の午後
- ・外部講師として,常葉大学佐藤和紀講師をお招きして,全校生徒を対象とした全校道徳(メディア・リテラシーと情報モラルの講演会)及び,職員対象のICT機器活用研修(iPadの授業活用を含む)を行った。
-
- <1回目> 5月上旬
【事前調査】
- ・本校の研究協力者であり,人間工学が専門の東京福祉大学柴田隆史教授の協力を仰ぎ,5月に事前調査としてタブレット端末を使った学習に関する健康面を中心としたアンケート調査(意識調査)を生徒と教職員に実施した。
- ・キャリア教育に関する意識調査のアンケートを7月に生徒全員に実施した。
【授業実践】
〇具体的取組1(授業のユニバーサルデザイン化を目指した「学び合い」の授業)
日常の授業の中で,キャリア教育の5つの資質・能力を意識した授業ができるように,各教室にマグネットシートを用意し,本時の課題が特にどのキャリア教育の視点にあたるのかを明示できるようにした。また,道徳の「5つの約束」を各教室の前方に掲示し,学び合いを行う上で大切であることを常に意識できるようにした。
<教師のタブレット端末の活用>
多くの先生方が各授業や学級活動,部活動において,資料提示など授業で活用できる場面で大いに活用した。
(実践例)
-
・道徳の授業(第1回校内授業研修会)において,教師がグループで話し合ったホワイトボードをカメラ機能で撮影し,大型モニタに映し出しながら提示する試みを行った。
<生徒によるタブレット端末の活用>
授業において,グループ活動やペア活動で活用がさかんになってきた。
(実践例)
-
・保健体育の授業において,生徒がタブレット端末の「カメラ」機能を活用し,クラウチングスタートの姿勢について,模範の映像(紙ベース)と比較してフォームを確認するグループ活動を行った。生徒たちは各自で直に自分の動きを確認することで,フォーム改善に活かそうと積極的に活用していた。また、どの角度で撮れば良いかをお互いに相談し合う場面も見られた。
- ・英語の授業において,アプリケーション「Kahoot!」を用いて復習問題に取り組むペア学習を実践した。生徒は画面に出される問題に対して,4択の選択肢から正しい答えを選ぶ。ペアで相談しながら体を前に乗り出し,意欲的に問題に取り組む姿が見られた。
〇具体的取組2(地域の教育資源を活用したカリキュラム開発とその実践)
<教科・領域>地域と連携・協働した授業(寺子屋授業)
7月9日(月)に,「マイ箸づくり」の実践(1年生24名)を行った。地域の事業所である「マルナオ(株)」に出向き,地域の方からものづくりについて指導いただき,キャリア発達を促す機会となった。
アドバイザーの助言と助言への対応
<助言>
- ・先生方が情報機器に慣れるためにも,まずやれそうなところからやってみることが大切。ある先生がやってみてよかったという実践をどんどん共有することから始めてはどうか。情報機器の活用が苦手な先生がいたら,得意な先生が支援してあげる体制を作り,味方を増やすことで普及が進んでいく。
- ・生徒が使用する時のポリシーなどは,研究協力者である佐藤和紀先生(常葉大学)が小学校で実践された時の財産があるはず。それを参考にして生徒に示したらどうか。
- ・iPadに入れるアプリケーションは,まずはタブレット端末に既に導入されている「標準のアプリ」でできることからやってみる。
- ・この実践のゴールはカリキュラム開発と評価のルーブリック開発と考えられる。他校の先生方が「自校でも日頃から」使えるようなものを作成していく。子どもたちに自己評価させながら,項目の妥当性や信頼性を確立させたり,子どもたちに項目を作成させたりするのも方法である。
- ・端末とネットワークを介しての遠隔で結ぶ実践は,アプリやメンテナンスの問題があるので,個人の端末を利用した方が良い場合もあるので様々な方法を検討する。
<対応>
- ・アドバイザーの後藤先生より,「iPadは大きなカメラ」というイメージで,まずはカメラ機能から活用してはどうかというアドバイスを受け,多くの先生からカメラ機能や標準のアプリ機能を積極的に使ってもらった。
- ・佐藤先生と相談した際,「生徒たちに考えさせてもよいのでは」という助言をいただいたので,実際に佐藤先生が来られたときの全校授業及び3年生の学級活動でポリシーについて検討する機会を設けた。後日,生徒会を中心に大島中学校としてのタブレット端末活用のポリシーを策定する予定である。
本期間の裏話
- ・先生方が様々な場面でタブレット端末を利用しようと試みてくれたことが何よりも嬉しかった。研究に対して理解があり,協力的な体制づくりができてきている。
- ・中学校では学校行事や部活動,生徒指導など,毎日が多忙である。授業準備や研究推進が思うように進まないことにもどかしさを感じている。
- ・職員数が少ない環境なので,プロジェクトごとに分担するなど,全校体制で少しずつ研究を進めていくことにした。
本期間の成果
- ・研究の方向性や具体的な目標が定まり,研究のグランドデザインも完成させることができた。
- ・1学期はICT環境の整備と,タブレット端末の積極的利用(まずは先生方が触ってみる,生徒たちに使わせてみる)だったので,概ね達成できたと考える。
今後の課題
- ・引き続き,各授業で「学び合い」を視野に入れたタブレット端末の活用を考える。また、データの管理方法や生徒個人のID管理について早急に検討を進める必要がある(夏休み中に,Google社のG Suite for Educationの整備を進める)。
- ・ルーブリックは,子どもたちがこの実践を行った後,「最終的にどういう自分になっているか」を基準に項目を検討する。→まずは年間指導計画を見直し,キャリア教育の視点で視覚的カリキュラム(各教科の単元とキャリア教育との関連)の作成を行う。※7~8月の職員研修時に行う予定。
今後の計画
-
・9月19日(水)午後 第2回校内授業研究で授業を公開(アドバイザー訪問を兼ねる)
- 内容:
- 授業見学(総合的な学習の時間など),これまでの進捗の確認と今後の研究推進についての協議
- ・11月17日(土)一日 オープンスクールで公開授業(これまでの成果報告)を予定。
気付き・学び
研究推進部が思っていたよりも,先生方がICT機器の活用に興味を示し,授業等で積極的に活用していることに驚いた。特に,大型モニタを常に使える環境にある教室では多くの実践が生まれていることから,各教室の環境が活用に大きく影響していると思う。今後もできるだけ授業準備に時間がかからないように環境を整えていきたい。
成果目標
- ・研究推進部を中心に,本校の研究主題を整理し,校内研究グランドデザインを策定することで「何をいつまでにどうするか」のビジョンを明確にする。
- ・教員がタブレット端末の利用に慣れ親しみ,自身の授業で使いたい場面で有効に活用できるようになる。
- 新潟大学 教育・学生支援機構学位プログラム支援センター
准教授 後藤 康志 先生
三条市立大島中学校に訪問させていただいて最初に感じたことは「社会に大きく開かれた学校」である,ということです。学びあい,キャリア教育,ICT活用の研究者の参画が計画段階から行われているだけではありません。地域の教育力も自然な形で位置付いているのです。むしろ「どうするとこのような学校体制が構築できるのか?」に強く惹かれたほどです。それはさておき,特別研究指定校のミッションは,自校で優れた実践を行うことだけではなく,広く他のモデルを提供することです。その点で,「深い学びを実現するキャリア教育」を受けた生徒が卒業時にもつべき資質・能力及び態度を,生徒自身,保護者,地域を含む社会,そして学校教職員が共有できるような成果に期待します。
参観した学級で,iPadが導入されたことについて生徒に感想を聞いてみました。彼は,はっきりと「これでますます便利になります!」と発言してくれました。この感覚が大事だと思いました。新しいメディアが入るということは,生徒にも教師にも学びを問い直す良い機会なのだと思います。教室に1台,印刷機が入ったとしましょう。ある教師は「よし,これで計算プリントと漢字プリントをいっぱい印刷して基礎・基本を定着させよう」と考えるかも知れません。一方で,「うん,文集を作って一人一人の作文や詩をみんなで味わおう」と考える教師もいるでしょう。私はそのどちらも正しいと思います。「深い学びを実現するキャリア教育」を支えるツールとしてのICTの有効性について,実践を通して見いだして欲しいと思います。
本期間(8月~12月)の取り組み内容
【ICT環境整備】
- ・助成金を活用し,情報機器環境の整備を行った(AppleTVの追加購入,無線ルータの新規導入など)。これにより,各教室に大型提示装置(モニタまたはテレビ)及びBDプレイヤー,教育用パソコン(Windows10),AppleTVを整備し,常に使える環境となった。
- ・10月~年度末まで市教委経由で書画カメラをレンタルし,各教室に常設し,日常的に授業で使えるように整備した。
【研究推進】
- ・研究推進部会を月1~2回行った。2学期は学校行事や出張が多く,決まった時間に実施できなかったため,全体への情報提供は,職員会議後の15分程度でミニ校内研修時を中心に行った。
- ・上記とは別に校内研修を2回行った。
- (1) 1回目:8月1日(木) 校内プロジェクト会議
- ◇今後の研修推進の方向性を提示したり,9月に行われる校内研修の流れの確認,11月に行われる成果報告会の準備について教職員間で情報共有を図ったりした。
- ◇当面は各学年の総合プロジェクトを進めるとともに,カリキュラムプロジェクトを優先的に進めることで一致した。
- (2) 2回目:12月20日(木) 常葉大学・佐藤和紀講師来校
- ◇外部講師として,常葉大学の佐藤講師をお招きして,職員対象のICT機器活用研修の2回目を行い,ICT機器を活用した実践事例を紹介いただいたり,情報活用能力を教科でどのように育成するかを考えるカリキュラム・マネジメントの実習を行ったりして,理解を深めることができた。
- (1) 1回目:8月1日(木) 校内プロジェクト会議
- ・公開授業を2回行った。
- (1) 9月19日(水)第2回校内授業研究会(兼パナソニック教育財団アドバイザー訪問日)
- ◇第1回同様,本校の授業研修会のアドバイザーである一柳智紀准教授(新潟大学大学院)より一日参観いただき,「学び合い」の視点から授業に対する指導をいただいた。当日は5限に2年A組の総合的な学習の時間を公開授業として,職場体験のまとめとして作成したスライドを相互に評価し,アドバイスをする授業を公開した。
- (2) 11月17日(土)パナソニック教育財団研究成果報告会(1年時)
- ◇午後(5時間目)の授業を全学年公開授業として,キャリア教育に関連する授業を公開した。
- (1) 9月19日(水)第2回校内授業研究会(兼パナソニック教育財団アドバイザー訪問日)
- ・研究推進部が中心となり,立ち上げた3つのプロジェクトについて,各プロジェクト長を中心に,分担して研究を進めた。各部会の主な活動内容は以下の通りである。
- (1) 学び合いプロジェクト
- ◇授業におけるタブレット端末の活用場面として,授業の中で大きく分けると3つの活用場面が見られた。
- ▷教師がタブレット端末を1台持ち込み,教室等で資料の提示をする場面。
- ▷授業内で生徒がグループ活動や実習活動の様子を記録し,観察する際に活用する場面。【授業実践】「学び合い」で紹介。
- ▷体験学習で学んだことをスライドにまとめ,タブレット端末に表示,操作しながらスライドの表現やデザインを相互評価(中間発表)したり,本番(研究成果報告会)でタブレット端末を操作しながらプレゼンテーションしたりする場面。→【授業実践】「総合プロジェクト」で紹介。
- ◇校内研修,研究成果報告会に向けての指導案検討及び授業準備を行った。
- ◇授業におけるタブレット端末の活用場面として,授業の中で大きく分けると3つの活用場面が見られた。
- (2) 総合プロジェクト
- ◇3年間のストーリー性のある「総合的な学習の時間」についての検討(授業計画づくり)を行った。
- ▷各学年の「総合的な学習の時間」担当教諭が集まり,来年度の3学年分の年間授業計画を見直し,キャリア教育と絡めて改定案を作成した。
- ◇三条おおじま学園(大島中学校区)の「総合的な学習の時間」の小中9年間を見越したカリキュラムの検討(計画の見直し)を進めた。
- ▷中学校区で担当者が集まる会議にて,小学校と中学校で重なっている単元について,内容を明確にし,発達段階に応じて適切に接続されているかを確認したが,まだまだ担当者で検討する必要がある。
- ◇3年間のストーリー性のある「総合的な学習の時間」についての検討(授業計画づくり)を行った。
- (3) カリキュラムプロジェクト
- ◇各教科・領域の年間指導計画を活用したキャリア教育の関連表(視覚的カリキュラム表)の作成を始めた。
- ▷カリキュラム・マネジメントの視点を基に,年間指導計画を見直し,キャリア教育に関連する各教科・領域の単元及び,外部講師を招聘して授業(寺子屋授業)ができそうな単元に印を付け,視覚化した。
- ◇各教科・領域の年間指導計画を活用したキャリア教育の関連表(視覚的カリキュラム表)の作成を始めた。
- (1) 学び合いプロジェクト
- ・先進校視察に行き,情報を研究推進部で共有した。
- ◇11月8日に,第43回特別研究指定校である,川崎市立川崎高等学校附属中学校の研究報告会(2年目)に視察に出向いた。英語や総合(キャリア教育)の授業を見学後,全体会に参加した。
- ◇全体会では附属中で大切にしている3つのキーワードと教科との関連を「学びの地図」というかたちで一覧にしてあり,これは当校が作成しようとしている視覚的カリキュラム表と類似していたので,大変参考になった。
【授業実践】
-
・当校の校内研究グランドデザインの定義に合わせ,3つの具体的取組にまとめて紹介する。
- (1) 授業のユニバーサルデザイン化を目指した「学び合い」の授業
- ◇授業内で生徒がグループ活動や実習活動の様子を記録し,観察する際に活用する場面が増えた。特に,インターネットを活用した検索機能や,「カメラ」機能を有効活用している教師が増えた。
- ▷1年生の社会科で,インターネット上の資料を検索し,情報を収集するグループ活動で,大小のタブレットを2台活用して実践。
- ▷2年生の英語科で「将来の夢」について各自が作成したスピーチ原稿を,グループ内で録画し,相互評価したり自己分析したりすることで,英語の発音や抑揚だけでなく,表情やジェスチャーといった表現について再考する実践。
- ◇授業内で生徒がグループ活動や実習活動の様子を記録し,観察する際に活用する場面が増えた。特に,インターネットを活用した検索機能や,「カメラ」機能を有効活用している教師が増えた。
- (2) 地域と連携・協働した授業(寺子屋授業)
- ◇例:家庭科「三条おおじま弁当」づくり
- ▷11月に地元の食材を生かしたオリジナル弁当づくりの実践(2年生29名)を行った。地域の惣菜屋の社長より講話をいただいた。その後,生徒が食材や盛り付けをデザインし,当日,社長より直にご指導いただきながら,グループ毎に弁当を創作した。今後,商品化を目指し,ICT機器を活用しながら指導やアドバイスをもらう予定である。
- ◇例:家庭科「三条おおじま弁当」づくり
- (3) ストーリー性のあるキャリア教育のカリキュラム開発(総合的な学習の時間)
- ◇例1:職場体験(2年生)
- ▷7月に3日間,19の地元企業で体験学習を行う。体験学習で学んだことをスライドにまとめ,タブレット端末に表示,操作しながらスライドの表現やデザインを相互評価(中間発表)したり,本番(研究成果報告会)でタブレット端末を操作しながらプレゼンテーションしたりした。
- ▷事前,事後まで一貫したカリキュラムを作成することで,各自のキャリア発達を促すだけでなく,情報活用能力の育成を目指した。
- ◇例2:地元の農業高校との商品開発(2年生)
- ▷関西を訪れる来年4月の修学旅行で,地元特産の果物を使ったパウンドケーキを販売する。果樹産地の地元を発信する取り組みで,販売の際に来客に説明できるように,地元の農業高校の生徒に作り方を教わりながら,試作を行った。
- ▷高等学校と連携しながらキャリア教育の実践を進める良いきっかけとなった(昨年度は地元の果物を使ったジャムの試作を共同で行った)。
- ▷これからメール等,ICT機器を活用した交流を図っていく。
- ◇例1:職場体験(2年生)
- (1) 授業のユニバーサルデザイン化を目指した「学び合い」の授業
アドバイザーの助言と助言への対応
<助言>
- ・今回(9月の校内公開授業研修で行った授業)は間違いなく,社会に出て役に立つ内容であった。
- ・学び合いの授業の中で,生徒が目標の達成のために,自分たちでツールを選べるようになるとより良い。今回はだれを対象にプレゼンすることを目的にすれば,子どもたちのやる気が出るのか,検討する必要がある。
- ・交流ツールとしての情報機器の活用については,特研校でも事例がいくつかあるので調べて見るとよい。遠隔授業の実践に応じてくれる学校を教育工学会等の機会を通じていろいろな学校にアプローチしてみるとよい。
<対応>
- ・11月のオープンスクールに向けて,それぞれの学年が総合的な学習の時間で学んだことを伝える予定だが,対象をだれに,どのような内容をプレゼンするか,そのためにはどんなツールが必要かを検討していく。
- ・11月のオープンスクールに向けて,プロジェクト毎の当面の目標を明確にし,研究推進の成果をまとめていく。特にカリキュラムプロジェクトは年間活動計画とキャリア教育との関連を整理する作業を早急に進める必要がある。
- ・学び合いにおいて,どのツールを使うと目的に対して効果的であるかを実践を通しながら考えていきたい。例えば,一人用ホワイトボードで思考を深めてからグループで話し合うのか,いきなりタブレットを使うのか,など。
- ・交流ツールとしての情報活用は,まずは電子メールを協力先に送ることから検討を始め,次第に交流の方法を考えていきたい。
本期間の裏話
- ・先生方のICT活用がさかんで,当たり前のように授業等で使ってもらえるようになった。情報機器端末に知識のある生徒が準備を手伝ったり,教師にアドバイスをする場面さえ見られた。
- ・2学期は行事や校外学習,突発的な生徒指導などが入り,思うように研究実践が進まなかった。中学校で研究実践することの難しさを感じた。
本期間の成果
- ・各教室(学級)にICT環境の整備ができたことで,授業でいつでもすぐに使える環境が整った。このことにより,ICT機器を活用した授業実践がかなり増えた。また,授業に限らず,生徒会活動や部活動など,多岐にわたる活動で当たり前のように使う場面が多く見られた。次は,生徒が日常的にタブレット端末を使う機会を増やしていきたい。
- ・プロジェクト毎に職員を割り振り,具体的な取組について話合いを始めることができた。
- ・前回の打ち合わせで,研究の方向性や具体的な目標が明確になってきた。
→「キャリア教育のカリキュラム開発とその評価のためのルーブリック開発」で現在は検討している。
今後の課題
- ・3つのプロジェクトが立ち上がったが,日頃の多忙な業務の中,なかなか進まない。計画的にプロジェクト活動を行う日を設定する必要がある。
- ・タブレット端末14台の管理体制が整っていない。例えば,撮った写真をどのように保管し,共有するかなど。一括管理するシステムや,ファイルが共有できる校内サーバの整備や,外部サービスとの連携などを検討していく必要がある。
- ・研究課題におけるルーブリック評価の項目(尺度)を明確にしていく必要がある。
今後の計画
-
・1月23日(水)午後:第3回校内授業研究で授業を公開(アドバイザー訪問を兼ねる)
内容:
授業見学(総合的な学習の時間など),これまでの進捗の確認と今後の研究推進についての協議
気付き・学び
- ・生徒にペアやグループでタブレット端末を使うように指示すると,想像していた以上に生徒がスムーズに活用していた。近年,子どもの方が積極的に活用しており,機器操作の方法についても習得が早いことが分かった。
- ・撮影の仕方など,自分たちで試行錯誤しながら最善の方法を見付けようとする傾向が見られた。あえて教師が細かく指示を出して教えるのではなく,子どもたちに触らせながら気付かせ,それを全体でシェアしていくことで情報活用能力が育成されていくように思った。
成果目標
- ・研究推進部を中心に,「何をいつまでにどうするか」のビジョンを明確にする。
- ・キャリア教育を中心に据えた,社会に拓かれた3年間のカリキュラム・モデル(視覚的カリキュラム表)を作成する。それに準じた評価(ルーブリック)項目を検討することを本研究のゴールに位置付ける。
- 新潟大学 教育・学生支援機構学位プログラム支援センター
准教授 後藤 康志 先生
三条市立大島中学校の取り組みの特徴は,地域に根ざしたキャリア教育にICTを有効活用しようとしている点です。
既に効果を挙げつつある点としては,地域の企業や農業高校を直接訪問するだけでなく,ICTを活用しながら学びを深めたり,拡げたりしている点が挙げられます。報告にもあるように,使いやすい環境が構築され,具体的な取り組みが蓄積されつつあります。実際に使って見て,新たな活用方法が見いだされることも多いので,まずは使ってみることだと思います。写真の管理体制など今後,整備しながらより使いやすい環境を構築していけると思います。拝見した授業では,職場体験をいかにして後輩に伝え,情報を共有するかという点からプレゼン資料を見直す生徒の姿が見られました。誰を対象に,何が伝えたいのかを振り返りながら,情報を整理し,分かりやすく伝えようとする姿が見られました。
今後,成果が期待される点としては,キャリア教育とICTの組み合わせによる効果ではないでしょうか。通常の教科学習と異なり,実習先での豊かな体験や気づきは,写真や動画,コメントなどの形でポートフォリオとして蓄積されていくはずです。こうして蓄積される情報が,キャリア教育のルーブリックと関連づけられ,エビデンスとして活用されるようになっていくと考えられます。学習者が何をエビデンスとして自己評価したのか,それは教師や他者の目からみてどうなのか。その違いが,地域に根ざしたキャリア教育の成果をより多角的に捉える上での視点を提供してくれるように思います。
取り組みの参考になる点として,外部の人材や知恵を活用し,相乗効果を上げている点があるでしょう。「社会に開かれた教育課程」といっても,実際にどのように行えばいいのか,それによってどのような効果があるのか,不安だったり疑問に思ったりすることもあるかと思います。大島中学校の取り組みをみると,点と点をつないでいるうちに線になり,線と線をつないでいくうちに面となっていくような,「社会に開かれた教育課程」のひとつのモデルを示しているように思われます。こうした取り組みを支える教員集団作りも,大変参考になると思います。
本期間(1月~3月)の取り組み内容
●ICT環境の整備(「情報収集・活用」ツールとしてのICT機器の活用)
□ネットワーク環境の整備
◇どの階の教室からもネットワーク(無線LAN)が使えるように,機器を導入し,シームレスにつながるように調整を行った。
□G Suite for Educationの導入
◇Google社の提供する教育機関向けのG Suite for Educationを全学年の生徒が使えるように整備した。個人IDを所有し,オフィス系のソフトウエアを始め,様々な機能を使えるように設定した。タブレット端末で作成したデータをコンピュータ室のパソコンで編集することが可能になったため,いつでもどこでも最新の状態で作業ができるようになった。
●総合的な学習の時間の実践(「ストーリーのある総合的な学習の時間のカリキュラム開発」)
□修学旅行での特産物販売における各学年の進捗状況
◇1年生:地域を紹介するCMづくり
・これまで地域について学習してきたことを生かしたCMづくりを行い,3月12日にコンテスト形式で発表した(発表は当校アドバイザーの訪問日に実施)。タブレット端末に標準でインストールされているアプリ「iMovie」を活用して,15秒のCMを個人で作成した。発表後はクラスメイトやアドバイザーの先生から意見をもらい,仲間の作品の良いところに気付いたり,自分の作品について改善点を見付けたりすることができた。ここで作成した地域を紹介するCMは,2年生が修学旅行の際に,実際に公開する予定である。
◇1年生:地元の農業高校生との商品開発実習(ジャム作り)
・2月22日に大島地区の特産物を使った新たな商品開発を目指し,地元の農業高校の2年生20名(及び教師2名)から来ていただき,中学1年生に果物を使ったジャム作りを指導していただいた。今後はジャムを新商品開発の一つとして位置付け,来年度以降,企画・販売に向けての学習を進めていく。
・現役高校生と直接話せる場面もあり,「なぜ農業高校へ進学したのか」等,自分の進路選択に関わる貴重な経験談を聞かせてもらう良い機会になった
◇2年生:修学旅行における特産物販売準備(金融教育)
・4月中旬に関西方面への修学旅行に行く際,京都(ゼスト御池)にて大島の特産物を販売する体験を行う。
・2月20日に地元の介護福祉施設(杉の子工房)が製作した「桃とル・レクチェのパウンドケーキ」と「さつまいものサブレ」を試食し,商品の値段設定やアピールポイントをグループで話し合う活動を行った。
・販売に向けて,修学旅行準備と並行し,プロジェクト班(ポスター班,パンフレット班,iPad班,デザイン班)を立ち上げ,準備を進めている。
アドバイザーの助言と助言への対応
①大小のタブレットを効果的に活用した学び合い活動の実践方法について
<助言>
・大きなタブレットはグループで使うときに,集まってのぞき込んで見やすい。また,解像度が高いので,美術の授業などで鑑賞に使われるケースを聞いたことがある。小さなタブレットの方は,学習者用のデジタル教科書を提示するように使うことがある。他にも事例がないかを今後,調べてお知らせしたい。また,大小がそろっている学校は珍しいので,それ自体が研究の視点になる可能性がある。 今回のCMづくりの実践では,一人1台ではなく,2人で1台利用したことで,お互いペアで教え合いが行われ,それが良い学びを生んでいるとも考えられる。4人グループに4台タブレットを配付し,実践しているケースもある。
<対応>
・大小のタブレットの活用については,本校の研究のテーマでもあるので,様々な実践事例を調べながら,学び合いの学習の中(道徳や総合的な学習の時間など)で実践を試していく。例えば,大きなタブレットをホワイトボード代わりに活用したり,小さなタブレットをネットの検索に活用したりするなどが考えられる。
②今回の実践のゴールである評価方法を明確にしていくための方略(ルーブリックの評価基準,評価規準の作成,アンケート等の調査項目の活用)について
<助言>
・今回の授業では,授業内容や情報活用能力の評価よりも,キャリア教育として,研究主題と照らし合わせて,その主題に近づけたかどうかや職員が意識して授業できたかを評価すべきである。その点で,評価軸として可視化されたルーブリックが必要であるし,そのルーブリック作成こそが本研究のゴールになっていくと思われる。また,ルーブリックを作成する時に,具体的にこの生徒がS評価にあたると名前が挙がるくらいでないといけない。
<対応>
・来年度に向けて、至急、評価のルーブリックを研究推進部を中心にたたき台を作成し、項目を見直しながら磨き上げていく。具体的な生徒の姿を想像しながら妥当性、信頼性の高いものを作成していきたい。
③G suite for Education等を活用したデジタルポートフォリオのような,学びの履歴が刻まれるような効果的な方法について(現在は紙の振り返りシートに記入)
<助言>
・もともとG suiteはビジネス用のツールを教育用に使えるようにしたものなので,活用に工夫が必要。本来は「ロイロノート」のような専用アプリを使って,ポートフォリオを残していくのが良いが,現状,パソコンとの併用を考えたときは,G suite for Educationを使ってポートフォリオ的な記録をどう残していくかは今後の研究の一つになりうるので,試行錯誤してみる必要がある。また,管理できる人を研究主任以外の人を含めて育成していく必要がある。
<対応>
・来年度からの本格運用に向けて、3月に試行をくり返したい。2,3年生で試験運用を開始しているが、概ね順調である。Google Classroomをうまく活用していくことで、ポートフォリオ的に情報を蓄積できるのではないかと考える。
④11月に行う研究会の内容について(本校の研究項目の一つである金融教育との関連)
<助言>
・金融教育とその講演会を絡めたキャリア教育の研究発表会は大変素晴らしいと思う。できれば金曜日開催の方が他校の教員を動員しやすいのでは。地域の方を巻き込んで行うことは賛成。早めに日時を確定していく必要がある。
<対応>
・現在、11月中旬の金曜日に開催予定であるが、詳細を検討し、早めに決定し、連絡を徹底したい。研究主題に「地域と連携した」という文言が入ることから、当日は、地域の方にも参加していただく内容を検討していきたい。
本期間の裏話
- ・3学期は期間が短く,進路事務や卒業式が重なってしまったこともあり,2学期ほど研究推進の時間を割くことができなかった。
- ・その中,1学年は地元の農業高校が訪問して共にジャムづくりの研修を行った。地元の食材を生かした商品開発に,直接高校生が指導する地域連携及び中高連携事業として,大変ありがたかった。大島中出身の高校生の先輩が久しぶりに来校し,元気な姿を見せてくれたのも嬉しかった。今後は,中学生が高校生とICT機器等を活用しながらやりとりを行い,具体的な商品開発について共同で作業を展開していくことを考えたい。
- ・2年生は4月の修学旅行を目前に,学級の班編制や2日目の班別自主研修のルートを考えることと並行して,商品販売のプロジェクトを立ち上げ,グループ毎に作業を進めたが,授業時間のやりとりが難しかった。
本期間の成果
- ・タブレット端末を授業に持ち込んで,資料提示や動画再生をする機会が日に日に多くなってきた。使いたいときに,どの教材を活用するか,選択する幅が広がったためと考えられる。
- ・授業のみならず,部活動や放課後活動,調べ学習などで生徒が自主的に活用する場面が増えた。
- ・1学年は地元の農業高校が訪問して共にジャムづくりの研修を行った。地元の食材を生かした商品開発に,直接高校生が指導する地域連携及び中高連携事業として,大変ありがたかった。大島中出身の高校生の先輩が久しぶりに来校し,元気な姿を見せてくれたのも嬉しかった。このように,中学生と高校生が実際に交流し合うこと自体が中学生にとってキャリア発達を促す良い機会であると思われるので,今後も継続していきたい。
今後の課題
- ・校内での情報伝達や部会,研修が思うように進まない。3つのプロジェクトが立ち上がったが,日頃の多忙な業務の中,進捗状況がよくない。現状では研究推進部会が月曜日の4時間目に設定されており,休日や出張に重なり,月2,3回ペースでの部会が進行しなかった。来年度はスケジュールを見直し,週1回の校内運営委員会(兼研究推進部会)と月1回程度の計画的な校内研修の時間の確保に努めたい。
- ・タブレット端末14台の管理体制がまだ整っていない。例えば,撮った写真をどのように保管し,共有するかなど。取り急ぎ,画像データや文書データが校内で共有できる校内専用サーバの導入を年度末までに進めたい(Mac MiniにMac serverを導入予定)。
- ・研究課題における評価項目(尺度)がまだ明確になっていない。ここがこの研究の中核となるので,キャリア教育の視点から,教師が「どんな資質・能力を子どもたちに身に付けたいか」を検討し,学校独自のルーブリックを作成し,それを基に評価できるようにまとめていく必要がある。
今後の計画
<来年度>
- ・年3回以上の校内授業研究会(財団の方との打ち合わせを含む)
→実施時期については5月中旬,10月上旬,1月中旬で後藤先生と調整,検討する。 - ・8月上旬 中間報告会(1日,大阪?)
- ・11月15日(金) 2年目研究成果報告会(オープンスクール)
※講演会等の都合で別日になる可能性があります。
1年間を振り返って,成果・感想・次年度への思い
- ・この1年間を振り返って,今年度の成果として大きく3つ挙げられる。
- 先生方の授業が変わった(ICT環境の整備と学び合いにおけるICT活用)
今年度、いただいた助成金と市の予算を活用し、各教室に大型提示装置とパソコン、インターネット環境、書画カメラやAppleTVを導入した。総合的な学習の時間だけでなく、各教科教育において、書画カメラによる資料提示やデジタル教科書の利用、NHK for Schoolを活用した番組の活用等、先生方の機器活用が大いに向上し、生徒アンケートでも「授業が分かる」という回答が上昇傾向にある。また、話合いや学び合いの場面でも、ペアやグループで作品を製作したり、校外学習の際に撮影に活用したりと、次第に生徒の活用場面が増えていった。生徒からは「今後も活用した授業をもっと受けたい」という声も多いので、健康面に配慮しながら活用できる場面に工夫を凝らした活用を進めていきたい。 - 地域とつながる機会が増え、子どもたちが学校外の人たちと多くふれあうことができた。
この1年間で、外部講師を招いての寺子屋授業や大学の先生方による講義、地元の農業高校の訪問や特産物の商品開発や販売のための外部人材の事前訪問など、非常に多くの人と学校内外でふれあう機会があった。それは、生徒のキャリア発達を促す大きなきっかけとなった。特に商品開発については生徒は大変意欲的に取り組み、世の中の仕組みにふれながら学習を進めることができた。今後はアンケート調査やルーブリック評価等の結果を踏まえながら、客観的に評価できるようにしていきたい。 - 職員間でプロジェクトが立ち上がり、情報交換が盛んになった。
3つのプロジェクトが立ち上がり、それぞれ分担しながら作業を進めている。校務多忙の中、進度が思うようではないが、担当間で連絡を取り合いながら、新しい学習指導要領に対応した学び合いの授業づくりやカリキュラムづくりが進んでいる。1にも関連するが、教員間でICT機器の活用のことや、来年度の授業体制や各教科間の連携について話し合う機会が増え、情報交換が以前に増して活発になった。
- ・来年度に向けて、当校のゴールは、「キャリア教育のカリキュラム開発とその評価のためルーブリック開発」であることが明確になってきている。まだまだ未確定なところや準備をしなければならないことは多いが、一つずつ全員で取り組み、子どものキャリア発達を促していきたい。
成果目標
- ・キャリア教育を中心に据えた,社会に拓かれた3年間のカリキュラム・モデル(視覚的カリキュラム表)を作成する。それに準じた評価(ルーブリック)項目を検討することを本研究のゴールに位置付ける。
- 新潟大学 教育・学生支援機構学位プログラム支援センター
准教授 後藤 康志 先生
三条市立大島中学校の取り組みの特徴は,「地域に根ざしたキャリア教育にICTを有効活用しよう」としている点です。1-3月の取り組みをみても,キャリア教育,教科学習とICT活用がうまく連携しながら効果を上げていることが見て取れます。研究のゴールを「キャリア教育のカリキュラム開発とその評価のためルーブリック開発」に見据えつつ,成果を振り返ってみましょう。
1年を振り返って,3点挙げられています。まず1点目の「ICT環境の整備と学び合いにおけるICT活用」を通して「先生方の授業が変わった」という点。キャリア教育のみならず,ICTを活用することで教科学習が変わり,キャリア教育が変わり,先生方の授業が変わりました。ICT活用が示す新しい生徒の可能性に,先生方が敏感に反応し,生徒と授業を創り上げる姿が確実に広がっていった,と考えます。例えばCM作成の授業では,これまでの授業では見られなかった生徒の可能性を,先生方が引き出し,他の生徒と共有していました。大島中学校の先生方は,今後ICTが導入されていない学校に異動されたら,「何故ICT環境がないのか,何故大島で出来たあれが,なぜ今目の前の生徒に出来ないのか」と思われるのではないでしょうか?
2点目に地域とつながる機会が増えた経験を評価に繋げる重要性について指摘されています。1点目で挙げられたようなICT活用の成果については,他の助成校でも見る事が出来ますが,冒頭述べた通り大島中らしさはキャリア教育にあります。キャリア教育において,大島中は卒業生にどのような力を身につけさせたいのか。もちろん「A君はこういう所が良い」「B君はこういう所が足りない」という個別の評価は重要ですが,生徒も,教師も,地域も共有できる目指す姿が欲しい。例えば,稲垣忠教授(東北学院大学)が提唱している「学びの質ルーブリック」のキャリア教育版のようなものが出来たら,大島中のキャリア教育の学びが可視化でき,生徒も,教師も,地域も共有できるかも知れません。今後の課題でも述べられていますが,学校独自のルーブリックを作り,磨き上げていくことが良いと思います。ここでも,ICTはeポートフォリオとして,ルーブリック評価のエビデンスの役割を果たせることでしょう。
3点目に,プロジェクトの連携と教職員間のコミュニケーションの活性化が挙げられています。「やらされ観」のある研究ほど消耗するものはありません。限られた時間の中で,新しい学習指導要領に対応した学び合いの授業づくり,カリキュラムづくり,ICT機器の活用,授業体制や各教科間の連携が語り合われる,ということは,個々の先生方のニーズにもあった研究になっている,ということの証左ではないでしょうか。
「効果のある学校」は全力投球型であり,成果が豊富でありすぎるために,研究成果の取りまとめが難しくなることもあります。実際,大島中はキャリア教育以外の部分でも特別研究指定校として十分な成果を挙げていると思いますが,2019年度は公開の年,「キャリア教育のカリキュラム開発とその評価のためルーブリック開発」に焦点化し,成果を還元して欲しいと思います。おそらく,参観される先生方は「キャリア教育」の部分を別の「○○教育」に置き換えて,自分に引き寄せて考えて下さることでしょう。ブレずに自信を持って進んで欲しいと思います。
本期間(4月~7月)の取り組み内容
●研究推進の方向性についての検討
□職員会議(4月初め)及び校内研修(5月中旬)を行い、再度、校長及び研究主任から本校が目指す生徒の姿やそれに向けての具体的取り組み、共通実践事項を整理し、教職員で共有した。
□研究推進委員会で話し合い、今年度の取組の中心を「キャリア教育を中核に置いた教育活動」とし、これまで行われてきた各種行事や活動を、全てキャリア教育の視点で見つめ直し、育成する力を見据えて指導にあたることとした。
●「情報収集・活用」ツールとしてのICT機器の活用
□G Suite for Educationの活用
◇Google社の提供する教育機関向けのG Suite for Educationの整備を行い、全学年に整備IDを配付し、Classroomをはじめとした使用方法を指導した。
◇ホワイトボードアプリの「Jamboard」を用いた道徳の授業では、各班に毎回活用しているホワイトボードの代わりにタブレット端末(大)とデジタルペンを配付し、情報を共有しながら班の意見をまとめて提示する取組を行った。
↑デジタルペンで班の意見をまとめる様子
↑Jamboardの記述内容を教員機で確認
◇今年度より、「キャリア・パスポート」をデジタルポートフォリオとして作成することにした。子どもたちがGoogle Formを使い、毎学期末に入力することで、データを蓄積する。
◇Google Formで集まったデータをGoogleスプレットシートで展開し、差し込み印刷をすることで、一人一人のキャリア発達を促し、高等学校にも提供することを目的とする。
◇働き方改革の一環として、教員間においてもChat(G Suite専用のチャット)機能を用いた「職員間情報共有サイト」を設けることで、毎朝の職員朝会を廃止し、連絡、連携をスムーズに行える状況を作り出すことができた。
●総合的な学習の時間の実践(「ストーリーのある総合的な学習の時間のカリキュラム開発」)
□修学旅行での特産物販売体験(3年生)
◇3年生が4月上旬に修学旅行で関西方面に出掛け、2日目に京都「ゼスト御池」で特産物販売を体験した。商品の企画からパッケージのデザイン、値段の決定や販売の実践などを経験し、旅行当日に見事に全て販売することができた。
↑生徒による販売の様子
↑タブレットで商品や地域の紹介をする様子
↑生徒による紹介パンフレットの作成(実際に配付したもの)
◇修学旅行での販売体験とその過程と成果について、プレゼンテーションソフトにまとめ、タブレットに発表することができた(5月24日の公開授業)。
◇発表では、1、2年生に聴衆役として参加してもらい、評価をお願いした。評価の観点は以下の通りである。
①声の大きさや話す速さはよかったか。
②発表内容が良く理解できたか。
③スライドや写真は内容を理解する手助けになったか。
□商品開発の企画書の作成と発表(2年生)
◇4月より、地域(大島地区)の特産品を調べるとともに、他の地域でどんな商品が開発、販売されているかを検索しながら、特産品を活かしたオリジナルの商品企画を行い、企画書にまとめ、発表した。
◇これらの中から実際に商品化し、来年度の修学旅行で販売するために、発表会(7月上旬)の際には市内の洋菓子店の方などに来校いただき、ご意見をいただいた。
◇今後は商品化できそうなものに絞って、グループやクラス全体で具体的な商品開発を目指す(11月の研究発表会で企画商品のプレゼンを行う予定)。
□環境教育を通して地域を知る活動(1年生)
◇学校周辺の草花の環境を調べることで、地域の環境について理解を深める取組を行った。
◇講師として、小林良範先生(三条市環境アドバイザー)をお招きし、外来種の草花に関する学習を行った後、実際に校舎外を散策した。各班にiPadを配付し、必要な草花の写真を撮り、事後のまとめに活かした。
◇「大島中学校校舎周辺草花マップ」をGoogle Mapsの「マイマップ」上にレイヤーとして作成し、全員でネットワーク上に写真や情報を載せた。
●安全面や健康面に配慮したICT活用の追究と寺子屋授業の実施
□情報モラルや健康面に関する配慮が必要と考え、生徒が主体的に関わる情報モラルの実践を行った。
◇情報モラルについて、生徒に「小学生に情報モラルの大切さを伝えるとしたらどうするか」を考えさせ、最終的に中学校区の小学生に配付できるリーフレットの作成を目指して生徒会を中心に活動を進めた。全校の意見を聞いてまとめた結果、A4裏表1枚にまとめ、生徒会有志がコンピュータで作成し、小学校高学年と中学生全員に6月末のいじめ見逃しゼロスクール集会時に配布、説明することができた。
◇健康面は、外部講師として、東京福祉大学教授の柴田隆史先生をお招きして、寺子屋授業を実施した。目の見え方に関することやなぜ近視になるかなどを詳しく説明いただいた。今後は懸念されるタブレット端末と目との距離(視距離)を計測し、目に安全な使い方を探っていく予定である。
アドバイザーの助言と助言への対応
●本校の研究主題である「課題対応力」がよく分からない
現状(5月24日のアドバイザー訪問日)
◇現状:課題対応力が不十分な生徒が
処遇(手立て):ICTによる「学び合い」、「情報収集・活用」、「連携・協働」を行うことにより、
効果:課題対応力を身に付けた生徒になる
ということだが、初期状態の定義が不明確なために、効果測定も不明確。「大島中はいろいろやっているけど、結局、どういうことなの?」と言われかねない。
◇今回(5月24日のアドバイザー訪問日の公開授業)のワークショップが「課題対応力」の本校の定義に照らし合わせると、相互評価シートからはこの学習成果は読み取れない。→評価用のルーブリックの作成を早急に進める必要がある
改善策(アドバイス)
◇ルーブリック評価の規準作成にあたって、①手立てを書かないこと、②研究が進むことで課題対応力が深化するのは望ましい(当初の申請書にとらわれる必要はない)こと、③きれいに分離できない場合や分離すると評価しにくい場合は、当面、分離しない状態で運用してみる、の3点をアドバイスいただいた。
対応策
◇たたき台となる評価項目を夏休み中をめどに作成し、教職員(各教科担当や学年部)で検討する。共通の評価事項(評価ルーブリック)を作成し、どの活動にも共通して評価でき、それを蓄積できる仕組み(Google Formsなど)を考えていきたい。
本期間の裏話
- ・アドバイザーである後藤先生(新潟大学)より、ズバリの御指摘をいただいた。「課題対応力が分からない」と題されたプレゼンには、今の大島中学校の研究推進の課題が的確に指摘されていた。アドバイスをいただいた中で、あまり難しく考えずに、まずは評価用のルーブリックを作ることが大切であることが分かった。研究も後半戦、たたき台を作りながら、全職員でよりよい評価項目を作っていきたい。
- ・各学年が積極的に創意工夫されたキャリア教育に取り組むことができた。3年生では修学旅行先で予定終了時間を待たずに完売。感動的だったと聞いた。2年生は来年度の修学旅行に向けて、1から商品企画を行っている。中には業者の方から「これは良さそう。実現できるのではないか」という言葉をいただき、嬉しかった。
本期間の成果
- ・全職員で、今年度の研究の方向性、年間予定、授業でできること(ICT使用環境)、授業でしなければならないこと(共通実践事項)、授業で行ってもらいたいこと(具体的取組)を整理することができた。また、11月の研究会に向けて各学年の取組を明確にすることができた。
- ・キャリア教育を中心とした3年間の総合的な学習の時間のカリキュラムをおおよそ作成することができた。2年目は追実践を行いながら、年間計画を確認したり、カリキュラム・マネジメントの視点から、他教科との連携を考えたりしながら、整理してまとめていく。
- ・授業だけにとらわれず、ICT環境を取り巻く情報モラル面や健康面について、大学の先生からお話しいただいたり、全校生徒で考えたりすることができた。特にリーフレット作成については、後日、小学生に伝わるように表現を修正し、配付することができた。
- ・G Suite for Educationを多くの授業の中で活用することができた。ブラウザ上で多様な活用が可能であり、特にFormsはデジタルポートフォリオ的な活用を試験的に運用し、学びの履歴を蓄積する仕組みを構築できた。今後のポートフォリオ評価にも活用していきたい。
今後の課題
- ・評価のためのルーブリック作成を具体的に進めていく。アドバイザーの後藤先生よりご指導いただいたスタイルで評価の枠を確定し、各種活動の評価を確実に行えるように内容を検討していく(11月の研究発表会に公表)。
- ・11月の研究会に向けて準備期間が少なくなってきたので、計画的に準備を進めていく必要がある。もう一度プロジェクト等を再編成して、分担して作業を進めていきたい。
- ・授業について、具体的な内容を全職員で検討していく。キャリア教育の視点を明確にすることと、ICT機器の活用をどの場面でどう使うかを夏休み中から考え、準備を行っていきたい。
今後の計画
- ・10月4日(金):第2回パナソニック教育財団特別研究指定校訪問アドバイス
午前:中堅研修校内授業研修(英語) 午後:授業公開(全体公開)、全体会、研究に関する話合い
※第2回大島中学校区校内授業研究会を兼ね、当日は新潟大学教職大学院准教授・一柳智紀様より御指導をいただく予定。 - ・11月15日(金) パナソニック教育財団特別研究指定校2年目研究成果報告会(オープンスクール)
12:15 受付開始
12:20~12:40 販売体験 (体育館)
※1学年生徒が考案したおおじま弁当及び3年生が開発した商品の販売等
12:45~13:15 昼食時間 (体育館)
※歓迎よさこい、あいさつ、学校概要及び授業観察の視点の説明
13:30~14:20 公開授業
1年:数学(キャリア教育) 1A教室
2年:総合(商品開発発表) 2A教室
3年:学活(金融教育) 3A教室
14:40~15:30 講演会(体育館)※金融教育講演会と兼ねる
演題:『未定』 講師:ダニエル・カールさん(予定)
15:40~16:40 協議会(研究の概要、ご指導、金融教育協議会、校長挨拶等) - ・1月16日(木):第3回パナソニック教育財団特別研究指定校訪問アドバイス
午後:授業公開、全体会、研究に関する話合い
成果目標
- ・キャリア教育を中心に据えた、社会に拓かれた3年間のカリキュラム・モデル(視覚的カリキュラム表)を作成する。それに準じた評価(ルーブリック)項目を検討することを本研究のゴールに位置付ける。
- 新潟大学 教育・学生支援機構学位プログラム支援センター
准教授 後藤 康志 先生
課題対応力で生徒を語る
「カリキュラムマネジメントは全教員が関わるもの」と言います。この意味するところのひとつは,教科を越えた汎用的な資質・能力を,一人一人の生徒が身につけるように,全教員が取り組むということではないでしょうか。大島中学校の場合,テーマに据えた課題対応力とは何か,個々の生徒が課題対応能力をどのように身につけているかを語れるようになって欲しいと考えます。研究が進むにつれ,課題対応力も研究当初に考えていたものから具体化し,バージョンアップしていっていると感じています。個々の実践は確かに素晴らしいです。生徒が育っていることも伝わってきます。その中で,取り組みの成果を生徒で語って欲しい。
その一つの提案がルーブリックです。ルーブリックとは,「どのようになって欲しいか(規順)」と「それはどのくらいになって欲しいか(基準)」のリストとも言い換えて良いでしょう。最初から完成版を作るのではなく,具体化しながら議論することが重要です。網羅的に体系的にキレイなルーブリックを作りたいという誘惑に駆られるかも知れません。ましてや研究会で提案するとなったら尚更です。しかし,大島中の課題対応力は概念的に作り出されるものではなく,むしろ実践を通して生徒が教えてくれる側面もあると思います。キレイにかっこよくまとめよう,という誘惑に負けず,育てたい生徒の姿に即したルーブリックを提案して欲しいと思います。
課題対応力の評価を支えるICT活用
ルーブリック評価を支えるエビデンスを提供するのがポートフォリオですが,ここで有効なのがICT活用だと思います。報告を見ると,デジタルポートフォリオとしてのキャリアパスポート,Jamboard, Googleスプレッドシート,Googleフォームなど,ICT活用が一層進んだことがわかります。
デジタルポートフォリオを使うと,「Aさんは,この規準に対してこの基準にある,そのエビデンスは・・・」という形でICTから引用することも出来るのです。後輩が何をどこまでやればいいのかのイメージを持つために使うことも出来ます。
そうした具体的なエビデンスに基づいてルーブリックそのものも見直して行けば良いし,人によって評価が分かれてもいいのです。その違いを手がかりに,さらに議論が進むと考えられるからです。
課題対応力を育む「しかけ」
育成すべき課題対応力とは何かを教員手段が共有し,全ての教師が全ての生徒に対していく。文字で書くのは容易ですが,実際に行うとなると非常に難しい。これをクリアするためのヒントを大島中の実践は与えてくれています。それが,地域社会との連携と協働に支えられたホンモノ体験という「しかけ」です。報告にある修学旅行先での販売体験ですが,気の小さい私などは計画を聞いたときに「誰も買ってくれなかったらどうなるのか,生徒にとって修学旅行が悲しい思い出になってしまうのではないか?」と思ってしまいました。ところが,先生方の的確な助言もあり,予定時間を待たずに完売したとのこと。これ自体は素晴らしいのですが,また気の小さい私は「完売自体がすごいことなのに,来年度行く今の2年生はこれ以上の成功が求められるのか?」とまた心配になってしまいました。2年生の取り組みを聞くと,先生方のお導きもあって1からの商品開発が専門業者の方から「いけそうだ」との評価を得たとのこと。この姿をみて,課題対応力を育む地域社会との連携と協働に支えられたホンモノ体験というしかけが有効に機能していることがわかります。
実践そのものは素晴らしいので,そこで育んだ課題対応力を他者に伝わる形で生徒の姿として示していただけることを期待しています。
本期間(8月~12月)の取り組み内容
●第2回パナソニック教育財団特別研究指定校訪問アドバイス(10月4日)
- ▷午前に,英語科教諭の中堅研修校内授業研修授業,午後に,授業公開(全体公開),研究に関する話合いを行った。
- ▷授業公開では2年生の総合的な学習の時間を公開し,商品開発のための企画書づくりをグループで行った。当日は,新潟大学より,アドバイザーの後藤准教授の他に,校内研修講師として一柳准教授からも参観いただき,意見をいただいた。
- ▷授業後の振り返りの中で,「タブレットを活用する必然性があるかどうか慎重に考える必要がある」こと,「グループ活動で使う際に占有してしまう生徒がおり,話合いにならないケースがあることに対応する必要がある」ことの2つの意見が挙げられた。これらはICT活用の授業において重要な視点であり,共通理解できて有意義であった。
●研究成果報告会(11月15日)に向けた研究推進部会の開催と準備
- ▷定期的に研究推進部会を行い,研究の進捗状況を確認するとともに,役割分担等を確認し,研究成果報告会に向けて準備を進めた。また,夏休み中に全体会を開き,研究のまとめ方について,研究主任より提示し,研究の概要を8ページ程度のリーフレットにまとめること及びカリキュラム・マネジメントを兼ねた教科・領域の年間指導計画一覧表をキャリア教育の視点でまとめることを確認した。
- ▷当日の授業では,全学年を公開し,金融教育公開授業と並行して行うこととした。
●研究リーフレットの作成
- ▷本研究を分かりやすく,一般の方々へ広く公開するため,A4観音開き(計8ページ)のリーフレットにまとめた。それぞれのページに研究の概要や骨子を図や写真を用いて視覚的に伝わるように工夫した。
◇研究の概要について(表紙),健康面の配慮について(裏表紙)
- ・本研究は2年間で実社会との関わりを重視したキャリア教育を展開することを目指して進めていることを端的に示した。
- ・裏表紙には,ICT活用を進める中で,安心・安全に活用することを念頭に置き,「情報モラルに配慮した取組」及び「健康面に配慮した取組」の2つについて,大学の先生から指導を仰ぎながら進めてきたことを明示した。
◇研究の概要及び研究グランドデザイン(改訂版)について
- ・当校が目指している「社会に開かれた教育課程」の実現には,「授業改善」と「カリキュラム・マネジメント」が必要で,そのためのツールとしてICTがあること,また,具体的に3つの柱で実践を深めていくことを図示した。
◇「情報収集・活用」ツールとしてのICT機器の活用について
- ・大島中学校のICT環境の整備について紹介するとともに,3つのツールとしての活用をまとめた。
- ・「学び合い」ツール
各教科・領域の授業においてペアやグループ活動で,様々な課題を仲間と協力して解決する場面に用いる。 - ・「情報収集・活用」ツール
授業や校外活動の様子を記録する等,行うことで情報活用能力を高める。 - ・「連携・協働」ツール
外部人材と遠隔通信機器として活用することで,学校の学びと社会とをつなぐ。
◇評価について(ルーブリック評価,キャリア・パスポート)
- ・授業で行う毎時間の振り返りにおいて,課題対応力に関する自己評価を,作成したルーブリックを用いて行う(リーフレットには試行中の生徒用のルーブリック例を掲載)。
- ・キャリア・パスポートを自校化し,毎学期末にコンピュータ室でパソコンを用いて行う。Googleフォームを活用し,入力したものが独自のExcelシートに自動入力し,図のように1枚のシートで閲覧できるようにした。
◇「3年間のストーリーのある総合的な学習の時間のカリキュラム」について
- ・カリキュラム・マネジメントを行い,3年間の総合的な学習の時間を一つのストーリーとして展開する様子を写真を元に紹介した。「地域を知る」,「地域で学ぶ」,「地域を考える」一連の流れを図示することを心掛けた。
●研究成果報告会における公開授業の実施
▷1年A組 数学 「円とドルの関係を考えよう!」
- ◇「学び合い」ツールとしてのICT活用を,数学の「比例」の単元で行った。
- ◇全体授業時に,大型提示装置と実物投影機,タブレットを活用した。生徒への資料提示はNumbers(表計算アプリ)を,グループ活動では,Google Jamboard(協働学習用ツール)とAppleTV(無線ミラーリング機能)を用いて行った。
- ◇本時のめざす課題解決力は,「やり抜く力」:課題提示,「かかわる力」:話合いでの活用の2つであった。数学は単元ごとの振り返りシートを作成し,毎時間後の振り返りにルーブリック評価を行い,課題対応力について見直しを行っている。
- ◇途中,通信トラブルが生じたが,生徒は新たな視点で比例を考えるきっかけとなった。また,円とドルの関係を考えることは初めて経験する生徒が多く,金融について意識するきっかけにつながった。
▷2年A組 総合的な学習の時間 「郷土を PR する商品を開発しよう!」
- ◇「3年間のストーリーのある総合的な学習の時間」における商品開発において,子どもたちが「深い学び」を行いながら商品の提案ができるよう,三条商業高等学校の先生と遠隔通信を用いて協同授業を行った。
- ◇始めに高校の先生から中学生の企画書を見てもらいながらアドバイスをもらい,その後は遠隔通信及び電子メールを使ってコミュニケーションをとりながら50分行った。
- ◇「連携・協働」ツールとしてのICT活用として,遠隔通信専用タブレット(Androidタブレット)を相互に用意し,Google Meet(遠隔通信アプリ)を用いて高校=中学校を接続し,遠隔授業を行った。
- ◇本時のめざす課題解決力は,「やり抜く力」:課題提示,「かかわる力」:話合い,「支える力」:教え合い,の3つである。
- ◇遠隔での授業について,始めに高校の先生からアドバイスやポイントのおさらいを,時折ホワイトボードを写しながら説明いただいた。回線が心配されたが,50分,トラブルが起きることなくスムーズに進められた。
- ◇商品の価値付けや差別化について,専門的な知見を得ることができ,それをもとに生徒たちは深い学び合いを行うことができた。最終的な企画書を作成し,それを写真撮影し,高等学校の先生にメールで送信した。今後も連携・協同ツールとして活用を進めていく予定である。
▷3年A組 学級活動 「一人暮らしにかかるお金はいくら?」
- ◇子どもたちが10年後の将来,一人暮らしにはどのくらいのお金が必要かをシミュレーションし,現実とのギャップを体験しながら将来のお金の遣い方を考える活動をパソコンを用いて行った。
- ◇社会人として一人暮らしをしている会社員(当校職員の家族)にゲストとして登場してもらい,実態を提示してもらうとともに,子どもたちに社会人として働くことへの助言をいただいた。
- ◇「情報収集・活用」ツールとしてのICT活用を考えた。一人一台PC環境として,コンピュータ室のノートパソコンを用いて予め用意したGoogleスプレットシートのファイル上に予想される金額を入力して算出した。結果は共有され,プロジェクタを用いてコンピュータ室前面に提示された。
- ◇本時のめざす課題解決力は,「えがく力」:個の学び,「見つめる力」:振り返り,の2つである。
- ◇子どもたちは普段,生活費について考える機会があまりないため,将来を考える良い機会となった。ゲストティーチャーの実際を見て,比較することで,10年後の自分たちを想像することができた。また,お金の使い方について考えるきっかけとなった。
●各教科・領域のキャリア教育の視点におけるカリキュラム・マネジメント
▷各教科・領域担当の先生方にキャリア教育の視点で年間指導計画を見直し,キャリア教育に特に深く関わりのある(と思われる)単元について,色づけするようにお願いした。具体的には以下の通りである。
- ◇「青色」:直接的キャリア教育(職業人や専門家を招いて講演や実習を行える)の可能性がある単元
- ◇「黄色」:間接的キャリア教育(働くことや進路などに関わる単元)に該当する単元
アドバイザーの助言と助言への対応
●ルーブリック評価について
▷現状(11月15日のアドバイザー訪問日)
- ◇今回作成したリーフレットに掲載した生徒用のルーブリックが形になったことは大変良かった。生徒がS,A,B,C評価を付けるのだが,S評価項目に道徳に関する評価が含まれている。これだとA~C評価の観点に,S評価として道徳の観点が合わさっているので,結果として2つのレイヤーが重なっているかたちになっている。
- ◇実際に数学のルーブリック評価を見ると,SやA評価が多い。B評価を標準として,S,A評価の内容を改善していく必要がある。
▷改善策(アドバイス)
- ◇実際に運用してみることで分かることがある。これで完成ではないので,何度か試行しながら最終的な評価ルーブリックができれば良い。先に示したように,道徳の観点と各教科・領域の観点とが乖離しないように文言を工夫すること,そしてB評価が標準となるように見直す(S評価の文面を考えたとき,クラスの1,2名の生徒が思い浮かぶかが大切)ことが必要である。
▷対応策
- ◇今回の生徒用ルーブリックをもう一度見直し,参考にしながら,各教科・領域で試行をくり返していく。実際に英語の授業では,単元(レッスン)用のリフレクションシート(一枚ポートフォリオを採用)を作成し,そこにルーブリック評価を用いて試行した(S評価は設けないこととした)。
本期間の裏話
- ・研究成果報告会までは,本当に当日を迎えられるのか不安であったが,先生方の協力,生徒の熱心に取り組む姿や地域の方々の支援などがあり,何とか当日を迎え,大きなトラブルなく行うことができた。当日は多くの参観者があり,それが喜びにもなった。
- ・遠隔通信は本番の前の週に試験的に高校と中学校を繋いだが,昼休みに近い時間帯だったためか,回線に遅延が見られた。また,音声が途切れたり,教室の後ろまで聞こえなかったりと,実際にやってみてわかることがたくさんあった。しかし,本番はトラブルなく実施できて,一番ホッとしたことである。
本期間の成果
- ・キャリア教育の視点をもった授業づくりを考えるようになり,本時(や単元)では,どんな力を付けさせたいかを教師側が授業を行う視点がより明確になってきたことが大きな収穫であった。それは,今回の研究成果報告会を準備するにあたって,全職員が関わりながら,授業改善やカリキュラム・マネジメントに取り組んできたためではないかと思う。
今後の課題
- ・ルーブリック評価を具体的に進めていきながら,モデルを確立していく。アドバイザーの後藤先生よりご指導いただいたことを踏まえて改善を図っていく。
- ・大島中での2年間の研究の概要と成果を広く公開できるように,自校のWebページに公開するなど,研究のまとめと並行して行っていく。
今後の計画
- ・1月16日(木):第3回パナソニック教育財団特別研究指定校訪問アドバイス
午後:授業公開、全体会、研究に関する話合い,研究成果のまとめ映像の撮影,等 - ・1月31日(金):情報モラル講演会(常葉大学講師・佐藤和紀先生来校予定)
- ・2月19日(水):ホワイトボードミーティングⓇ研修会(ファリシテーションスキルの向上を目指した大学講師による研修会を1,2年生対象に実施)
成果目標
- ・キャリア教育を中心に据えた、社会に開かれた3年間のカリキュラム・モデル(視覚的カリキュラム表)を作成し,広く公開する。また,それに準じた評価(ルーブリック)項目を検討する。
- 新潟大学 教育・学生支援機構学位プログラム支援センター
准教授 後藤 康志 先生
本期間(1月~3月)の取り組み内容
【研究推進・授業公開】
令和元年度パナソニック教育財団特別研究指定校訪問アドバイス(2年次第3回)
- ▷1月16日(木)に最終となるアドバイザー訪問(都合により担当の後藤先生は欠席)が行われた。午後に「3年間のストーリー性のある総合的な学習の時間」における商品開発の授業(2年生・総合的な学習の時間)の授業公開が行われた。また,財団によるプロモーションビデオ撮影が並行して行われた。
- ▷当日は,「おおじまPR会社部門別会議」と題して話合いを通して,修学旅行の2日目に予定している新商品販売・大島PR活動に向けた準備を行うことをねらいとした。
- ▷2つの業者と打ち合わせを同期ツール(遠隔通信)と非同期ツール(Eメール)を用いて商品検討を行った。
- ◇業者(洋菓子店)とGoogle Meet(遠隔通信アプリ)を使って商品について質問したり,要望を伝えたりした。
- ◇業者(和菓子店)とGoogleドキュメント等で改良案を作成し,Eメールで送信し,意見を伺った。
- ▷その後,両業者と打ち合わせを継続し,試作及び試食を行ったりした。
●【授業実践報告】
3年間のストーリーのある総合的な学習の時間
- ▷1年生 地域をPRするCM制作
- ◇地域の特産品や事業所など,三条市をPRするCMを作成した。クラスを12グループに分け,各グループにiPadを配付し,ビデオ作成アプリiMovieを活用して15秒のCMを作成した。
- ◇作成するにあたっては,CM作成の手法について,NHK for schoolの番組「プロのプロセス」第10回・PR動画の作り方や番組「メディアタイムズ」第15回・記憶に残るCMづくりを生徒に視聴させたうえで作業に入った。
- ◇集めた資料をもとに,短い時間でどう表現するか,生徒は試行錯誤しながら協力して制作活動にあたる姿が見られた。また,ナレーションを録音したり,BGMを工夫したりと情報の受け手を意識した作品を仕上げることができた
- ▷2年生 PR商品の販売準備(商品開発)
- ◇地域の和菓子屋と洋菓子屋の協力を得て,修学旅行で販売する商品の開発を行った。商品の開発(計画)→打ち合わせ→試作→試食→商品化の決定→値段の交渉という一連の流れで準備が行われた。
- 2月10日 和菓子商品開発実習(笹団子づくり)
- ・和菓子商品の開発をお願いする業者より来校いただき,商品づくりの実習を行った。実際に販売する予定の商品を全員で調理し,試食しながら具体を考えた。調理後は担当課(班)が試食をしながら最終的な材料の選定や比率を決定した。
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- ◇2月21日 洋菓子商品開発実習(パウンドケーキ作り見学)
- ・洋菓子商品の開発を行う業者に担当班が出向き,商品づくりの見学を行った。実際に販売を担当する商品の製造先でどのように作られているかを見学し,実際に制作者と意見交換する中で,具体的な商品イメージを膨らませ,完成に近づけることができた。
- ◇2月21日 洋菓子商品開発実習(パウンドケーキ作り見学)
- ▷3年生 卒業論文~未来への提言~
- ◇3年間の学びを踏まえて各自でテーマを決め,地域の未来について自分の考えを載せた論文集を作成した。制作にはワープロソフト(コンピュータ室のPCを使用)を用いて図や表などを含めて行った。
- ◇2年次の職場体験や商品開発,3年次の修学旅行での販売体験などをテーマに独自の切り口で論を展開しているものが多く,大変興味深い内容となった。
●【カリキュラム・マネジメント】
情報活用能力の育成とキャリア教育の推進を目指した年間単元指導計画の作成
- ▷再来年度から中学校で新学習指導要領が実施されることに伴い,情報活用能力育成について,中学校版の単元表を仙台市教育委員会のものを参考にしながら単元表を作成し,公開した。また,昨年11月に本校が作成,公開したキャリア教育に関する教科・領域指導計画一覧表を改定し,一枚の表で年間指導計画が見渡せるようにした。※下図は1学年の例で令和元年度のもの。
●【安心・安全なICTの活用を目指して】
情報モラルに配慮した取組
- ▷12月末と,1月末の2回の授業(講演)を行った。第1回(12月23日)は,中学生の実態調査を元に,本校教諭が講演を行った。第2回(1月31日)は,外部講師として佐藤和紀先生(常葉大学教育学部講師)をお呼びして,最新の傾向とメディア・リテラシーについて事例を元に学習した。
- ▷第1回の授業では,昨年度の流れと同様に,小学生に情報モラルを指導する内容のリーフレット作成を冬休みの課題として提示した。それらを元に,学校で1枚のリーフレットにまとめる作業を今後実施予定である。
※健康面に配慮した取組について,3月9日に外部講師の柴田隆史先生(東京福祉大学教授)を招聘して,生徒及び保護者対象の講演会を行う予定だったが,新型コロナウイルス発生に伴う臨時休校のため,中止となった。
本期間の裏話
- ・本期間は2年生の修学旅行で販売する開発商品の商品化が主であった。3学期は学年末のまとめの時期であり,2年生にとっては修学旅行自体の準備があわただしい時期に,商品の開発(計画)→打ち合わせ→試作→試食→商品化の決定→値段の交渉という一連の流れが重なった。多忙を極めたが,職員と業者の打ち合わせがスムーズだったことや,子どもたちが予想以上に意欲的に笑顔で活動していたことが何より嬉しいことだった。
- ・残念ながら新型コロナウイルス感染症対策に伴い,修学旅行が中止になってしまった。しかし,2つの業者の方が親身になって相談に乗ってくださったり,実習を計画してくださったりと,改めて地域と連動することの楽しさや意義の大きさを感じることができた。なお,今回開発した商品を修学旅行以外の場(公の場)で販売できないか,計画中である。
本期間の成果
- ・本期間は「3年間のストーリーのある総合的な学習の時間」を本格実践する期間であった。計画に沿って各学年で活発に活動が行われた。
- ・どの取組も計画に従いながら,生徒は意欲的に取り組み,それを形として残すことができた。教職員の学年部間の連携や地域の方々との協働が素晴らしかったことが計画通りに進んだ要因と考えられる。
2年間の成果
- ・キャリア教育の視点に立った授業改善
- ◇何よりも先生方が「生徒が学習していることが,社会とどのようにつながっているか」を意識して授業するようになったこと(本校ではキャリア教育の5つの資質・能力)。どの授業もこれからの進路や社会生活につながっていて,「何のために学ぶか」を生徒が意識して授業に臨めるようになったこと。
- ・ICTを「普段から」活用した授業の実践
- ◇普通教室にICT環境が整ったことで,いつでもどの授業でもすぐに活用できるようになったため,先生方が当たり前に使ってもらえるようになった。例えば生徒に分かりやすく提示できるように,実物投影機で拡大して写したり,資料として番組をNHK for schoolを活用して提示したりと手軽にできるようになった。
- ◇授業でより深い学びにつながるような「学び合い」の授業を,ICTを活用して行えるようになった。グループにタブレットを2台ずつ配付し,大はホワイトボード的に活用し,小は検索用に活用するなど,工夫が見られた。
- ◇実践前と実践後の学校教育情報化認定制度(日本教育工学協会が主催)の各項目の数値に飛躍的な向上が見られた。その後,学校教育情報化認定を申請したところ,優良校として認められた(2019年2月19日~2022年3月31日までの3年間)。
今後の課題
- ・来年度以降も「3年間のストーリーのある総合的な学習の時間」を計画に従って実行していく。その中で,取捨選択しながら持続可能なかたちで引き継いでいきたい。
- ・キャリア教育におけるルーブリック評価を各教科,単元に広めて実施していきたい。例えば,総合的な学習の時間におけるルーブリック評価方法の検討や,各教科におけるキャリア教育に関連する単元について,5つの資質・能力を授業の中でどう評価するか,そのためのルーブリック評価の開発を来年度以降も継続して行っていく。
成果目標
- 2年間の研究のまとめ及び報告書の作成を行う。
- 来年度初の修学旅行に向けて,2年生の商品開発プロジェクトを中心に,地域と連動した活動を展開する。
- 当校の研究概要や研究推進の内容を広く普及(資料の積極的な配付及び,Web上に公開する等)する。
2年間を振り返って
- ・教育活動を進める中で,キャリア教育が今後の教育にいかに大切であるかを実感した。今回はICTをキャリア教育推進のためのツールとして活用したが,様々な場面で有効であることが,実践を通して気付くことができた。
- ◇「学び合い」のツールとして
- ・授業全般や行事等の中で,生徒が学び合いをする際のツールとして様々な活用を行った。これまでも学び合いは行ってきたが,タブレットを有効に活用することで,できることの幅が広がるだけでなく,時間を短縮できたり,学びを蓄積できたりすることが可能となった。
- (例)タブレット(大)にデジタルペンで書いた班の意見を,まとめとして大型提示装置に提示しながらクラス全員で共有する。それを保存しておき,次回の授業で復習として再提示して活用する,など。
- ◇「情報収集・活用」のツールとして
- ・授業や校外学習など様々な活動で活用した。始めは保健体育の授業でクラウチングスタートの方法について「写真」機能を用いて分析を行ってから,実際に学校での活動時間中は,タブレットが不足するほどとなった。9月~2月の授業で活用した平均回数(授業数)は1.90回(教師の提示による使用は1.43回,生徒による使用は1.06回)であり,1日平均して6時限の授業の中で2回程度の使用率であった。
(例)授業での活用例(1年・地域をPRするCM制作)
必要な情報の収集(担当する特産物や事業所などの情報を検索,写真撮影)
↓
分析(必要な情報の取捨選択)
↓
処理・加工(ビデオ制作アプリで編集)
↓
発信(15秒CM作品としてビデオファイルとして提出,公開)
※最終的にはここでできた作品は,修学旅行先でCMとして公開する予定。
- ・授業や校外学習など様々な活動で活用した。始めは保健体育の授業でクラウチングスタートの方法について「写真」機能を用いて分析を行ってから,実際に学校での活動時間中は,タブレットが不足するほどとなった。9月~2月の授業で活用した平均回数(授業数)は1.90回(教師の提示による使用は1.43回,生徒による使用は1.06回)であり,1日平均して6時限の授業の中で2回程度の使用率であった。
- ◇「連携・協働」のツールとして
- ・子どもたちにとって,学校での学びと社会とをつなげるためには地域や外部機関との連携が不可欠である。しかし,学校から出向いたり,来校してもらったりすることは容易ではない。そこで,遠隔通信ツールを活用することで,リアルタイムの通信を行ったり,電子メール等のツールを使ったりすることで,学校にいながらこれらが可能となった。
(例)地元の商業高校の先生から遠隔通信ツールを活用して接続し,リアルタイムのコミュニケーションを行い,商品販売の具体について指導や助言をいただいた。その後は,地元の洋菓子店と同ツールを使って,商品開発の内容について意見交換を行った。
- ・子どもたちにとって,学校での学びと社会とをつなげるためには地域や外部機関との連携が不可欠である。しかし,学校から出向いたり,来校してもらったりすることは容易ではない。そこで,遠隔通信ツールを活用することで,リアルタイムの通信を行ったり,電子メール等のツールを使ったりすることで,学校にいながらこれらが可能となった。
- ◇「学び合い」のツールとして
- ・何より教職員及び地域の方々の協力なくしてはこの実践は行うことができなかった。1つの目標があって,それに向かって心を一つに努力することの大切さを実感した。また,「2年間の成果」にも書いた通り,先生方のキャリア教育に対する意識が大きく高まった。そのことが授業改善やカリキュラム・マネジメントに大きく関与したし,効果的なツールとしてのICT活用が活発に進んだ。
この場を借りて,このような機会を与えてくれたパナソニック教育財団の方々に深く感謝の意を表したい。
- 新潟大学 教育・学生支援機構学位プログラム支援センター
准教授 後藤 康志 先生