●令和元年7月26日に東方中学校で行われた小林市魅力ある授業づくり研修会のようす
●令和元年10月16日に東方中学校で行われたタブレットPC操作研修会のようす
⑦ 計画的な研究授業の実施や、タブレットPCを活用した校務のペーパーレス化を行った。
都道府県 学校 | 宮崎県 小林市立東方中学校 |
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アドバイザー | 吉崎 静夫 横浜国立大学 客員教授/日本女子大学 名誉教授 |
研究テーマ | 確かな学力を身に付けた生徒の育成 ~主体的・対話的で深い学びにおけるICTの活用を通して~ |
目的 | ICTを活用し、効果的に主体的・対話的で深い学びを生む授業を行う中で、生徒の思考力・判断力・表現力と情報活用能力の育成及び向上を図る。 |
現状と課題 |
●現状について 校内の学習環境に関しては、東方中学校は小林市のICT教育推 進校として、平成29年9月にタブレットPCが22台導入された。また、タブレットPC以外のICT環境(電子黒板、校内無線LAN設備、授業支援ソフトなど)も充実している。このような環境の中、生徒たちは校内のどこにでもタブレットPCを持ち運びながら学習活動を行うことができるようになっており、授業だけでなく、生徒会活動や各種行事の準備・運営などにも活用している。 生徒の学力に関しては、各種調査による生徒の学力を分析すると、全体的に2極化の傾向にあり、特別支援を必要とする生徒が数名いる。 教師の指導力に関しては、「主体的・対話的で深い学び」についての共通理解がまだできておらず、ICTリテラシーについても差がある状況である。●課題について 現状を踏まえ、取り組むべき課題は、東方中学校における「確かな学力」と「主体的・対話的で深い学び」の定義を明確にし、全職員の共通理解を図ったうえで、授業改善を行っていくことである。また、これらのことと併せて、「主体的・対話的で深い学びを生む授業・単元構成」を効果的に実践できるようICTの活用を行っていきたい。 |
学校情報化の現状 | 校内無線LANが整備されており、タブレットPC22台を用いて、1学級全員が授業を行うことができる。 |
取り組み内容 |
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成果目標 |
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助成金の使途 | タブレットPC・専用ペン、タブレットPC用キーボード兼カバー、授業支援ソフト、旅費、印刷費他 |
研究代表者 | 山口 博英 |
研究指定期間 | 2019年度~2020年度 |
学校HP | https://cms.miyazaki-c.ed.jp/4406/htdocs/ |
公開研究会の予定 | 2019年度は、11月に小林市教育委員会と連携して、授業研究会を実施する予定である。2020年度は県内・県外に広く呼びかけて、12月に公開研究会を実施する予定である。 |
対応① 研究推進委員会を中心に、東方中学校における「確かな学力」、「主体的・対話的で深い学び」の定義図と研究の全体構想図を作成した。
対応② 研究推進委員会で原案を作成し、夏季休業中に、各教科の先生方で各教科の特性をふまえた、各教科における「主体的・対話的で深い学び」を生む授業構成(案)をつくり、全体で検討していく。
対応③ 夏季休業中の校内研修で、研究目的を再確認し、アナログとデジタルのメリットを生かした研究を実践していく。
対応④ 全教科を通して、基本的な知識・技能の定着を図る工夫を積み重ねていく。
パナソニック教育財団の研究助成を受けることができ、さらに特別研究指定校に選ばれたことで、さらなる研究実践を行うことができるようになったことがとてもありがたいです。
本校はこれまでも宮崎県小林市の研究推進校として、ICTを活用した教育の研究を行っていたので、今までの研究実践をレベルアップした形で取り組んでいけばよいのではと考えています。
しかし、本校は小規模校なので各先生方の職務も多く、どうすれば先生方が多忙感を感じず、ICTを効果的に活用した授業等の研究実践が行えるか、また、小学校と連携しながら、発達段階を考慮した取組を行うことができるのか悩んでいます。
そのような中、パナソニック教育財団の事務局の皆様やアドバイザーの吉崎先生から、適切活具体的な指示や指導、助言や励ましのお言葉をいただき、全職員同じ方向性のもとで研究を進めていく意欲が高まってきています。
① 東方中学校における「確かな学力」の定義を明確にし、図式化することで、全職員の共通理解を図ることができた。
② 東方中学校における「主体的・対話的で深い学び」の定義を明確にし、図式化することで、全職員の共通理解を図ることができた。
③ 東方中学校における「確かな学力」と「主体的・対話的で深い学び」の定義をもとに、研究の全体構想図を図式化することで、全職員の共通理解を図ることができた。
④ 東方中学校における「確かな学力」の定義と「主体的・対話的で深い学び」の定義をもとに、各種学力調査の結果を分析し、生徒の実態を把握することができた。
⑤ 東方中学校における情報活用能力チェックリストを作成し、全生徒を対象にしたアンケート調査を行い、生徒の実態を調査することができた。
○ 「学力向上」というと各種学力調査の点数を上げることにとらわれがちだが、生徒が将来にわたって生きる力となってはたらく「確かな学力」という観点で考えると、「思考力・判断力・表現力」やその土台となる知識・技能の関係、情報活用能力の内容や資質・能力の必要性について、研究を通して把握できたことは大きかった。
本校の研究主題「確かな学力を身に付けた生徒の育成―主体的・対話的で深い学びにおけるICTの活用を通して―」は、まさに次期学習指導要領がめざす教育そのものです。そこでは、確かな学力として、「思考力・判断力・表現力」と「情報活用能力」といった資質・能力が取り上げられています。そして、それらの資質・能力を育成するための教育方法(授業の方法)として、「主体的・対話的で深い学び」と「ICTの活用」が取り上げられています。
本研究を通して実現しようとする教育実践は、まさにわが国の学校がめざすものであり、その研究成果が他の学校の教育実践に大きな影響を及ぼすことになるでしょう。
本研究が本格的にスタートしてまだ4ヶ月間にすぎないのに、次のような大きな成果が生まれています。
これからやるべきことは、教職員の負担を十分に考慮しながら、研究の全体構造図に示された教育実践を1つ1つ着実に積み重ねていくことです。そして、生徒の実態にもとづきながら、それらの教育実践の改善を図ることです。大いに期待しています。
⑦ 計画的な研究授業の実施や、タブレットPCを活用した校務のペーパーレス化を行った。
対応① 夏季休業中に研修を行い、各教科で、教科の特性を踏まえた「主体的・対話的で深い学び」を生む学習構成表を作成した。
対応② 対応①と同じく、夏季休業中に全職員で分担して、教科におけるICTの活用法を考えてもらい、各教科における「主体的・対話的で深い学び」を生む学習構成表に整理してまとめた。
対応③ 夏季休業中の校内研修で、研究目的を再確認し、アナログとデジタルのメリットを生かした研究を実践していく。
中学校では、9月からは体育大会や文化祭等の行事が重なってくる。そこで、研究に対する各職員の負担をできるだけ減らすために、夏季休業中を中心に作業を行った。また、どのような作業をしてもらうかを研究推進委員会で検討し、作業内容を明確にした。
本校は小規模校であるので、職員1人あたりの仕事内容がどうしても多くなってしまう。そこで、夏季休業中に作業日程期間を設定し、余裕をもたせることで、各職員の負担感を減らすことができたのではないかと思う。
① 各教科の特性を踏まえた「主体的・対話的で深い学び」を生む学習構成表(案)の例
② 全職員で作成したICTの活用法
③ 東方小・中9年間を見通した情報活用能力体系表原案
④ 東方中学校情報活用能力チェックリストと生徒の変容
⑤ 本校で、これまでに起きたICT関係のトラブルや改善点
⑥ 本校では、パナソニック教育財団特別研究指定校として研究を行う以前から、全職員が年間を通して1人1研究授業を行ってきた。本年度は研究主題:「確かな学力を身に付けた生徒の育成」、副題:「主体的・対話的で深い学びにおけるICTの活用を通して」を柱として、計画的に研究授業を実施し、各職員の授業改善を推進することができた。また、職員会議においてもタブレットPCを活用し、会議のペーパーレス化や職員のICTリテラシー向上に努めることができた。さらに、教師のICTリテラシーを高めるための研修会を小林市教育委員会と連携して実施し、研究成果の地域への波及を行うことができた。
○ 本校の研究である確かな学力(思考力・判断力・表現力と情報活用能力の2つにポイントを置いたもの)について、これまでの実践を基礎に、問題発見解決能力を育成する授業デザインを構築し、実践を積み重ねていくと最終的に本校の研究主題に到達できる見通しが立ってきた。、全ての教科でこの実践を行っていくことは難しいので、本校の教育課程の中で、できるところから実践を行っていきたい。
本校がめざす「確かな学力(つまり、教育目標)」は、各教科等の学習で育てる「思考力・判断力・表現力」と、教科等横断的な学習で育てる「情報活用能力」の2つに大別されます。そして、これらの資質・能力を育てるための教育方法として、「主体的・対話的で深い学び」と「ICTの活用」が取り上げられています。
これらの教育目標・方法は、新教育課程で求められているものであり、まさに新教育課程の一丁目一番地です。そして、本校の教育実践研究の歩みは、本年度の1学期(4月―7月)から2学期(8月―12月)へと確実に前進していることが、次の研究成果からわかります。
本校の校区は東方小学校と東方中学校で構成されている。校区内は1小1中で、以前から学校個別の校内研究ではなく、東方小学校と東方中学校が連携して合同研究会の形で小・中9年間を見通した研究を行ってきた。本期間(2020年1~3月)では、以下のことに取り組んだ。
1 東方小学校においては、川崎市情報活用能力チェックリストをもとに、小学校低学年(小学1・2年生)、小学校中学年(小学3・4年生)、小学校高学年(小学5・6年生)版の情報活用能力チェックリストを作成してもらい、小学校における実態調査を行っていただいた。また、東方中学校においては、2019年4~7月期に作成した東方中学校情報活用能力チェックリストの5月と11月の結果を分析したものを基に考察を加えた。そして、2月に行われた東方小・中合同研の中で児童・生徒の実態及び変容分析結果の検討を行い、研究紀要にまとめ、東方小・中学校全職員で共通理解を図った。次年度は、小学校においては、本年度の情報活用能力の実態を考慮し、低下している項目を中心に具体的な手立てを考え指導を行っていく予定である。また、中学校においては、ほとんどの項目が高い値を示していたので、この値を維持できるよう継続した指導を行っていく予定である。なお、小・中学校ともに次年度も定期的に情報活用能力チェックリストを使って定期的に生徒の実態や変容を調査していく予定である。
2 東方中学校では以前から宮崎県小林市のICT推進校として指定を受け、小学校と合同でICTを活用した教育について研究実践を行ってきた。その中で毎年度1回、小・中学校が分担して、ICTを活用した研究授業も行ってきた。研究授業における指導案形式についても毎年度検討が加えられている。最近は「主体的・対話的で深い学び」という言葉が教育分野におけるキーワードになっており、東方小・中合同研の指導案形式においてもICT活用の項目だけでなく、「主体的な学び」、「「対話的な学び」、「深い学び」が指導案項目の中に明記されるよう工夫している。今年度第3回目の訪問でアドバイザーに東方小・中学校合同研で作成した指導案形式を見ていただいたが、学習指導過程の中で使われている文頭記号の種類が多いので、もう少しまとめて整理した方が良いという意見であった。そこで、東方中学校がパナソニック教育財団特別研究指定校の認定を受けたこともあり、研究推進委員会や全体研究会を通して検討を重ね、「主体的・対話的で深い学び」と「効果的なICTの活用」につながる指導案形式を作成することができた。
3 研究主題にある「確かな学力」は、本校では「思考力・判断力・表現力」と「情報活用能力」を合わせたものと定義している。これまで、副題にある「主体的・対話的で深い学び」については、本年度4~7月期に本校における定義図を全職員に分かりやすい文言で作成し、全職員で考え方を共有して実践を行うことができた。しかし、「思考力・判断力・表現力」と「情報活用能力」については本校における分かりやすく明確な定義をしておらず、全職員でこの2つについても考え方を共有しておくことが必要だと考え、定義図を作成した。さらに、東方中学校における「思考力・判断力・表現力」と「情報活用能力」、「主体的・対話的で深い学び」、「効果的なICTの活用」がどのように「確かな学力」に関係しているのかを明確にするために、これらの関係図研究推進委員会や全体研究会で検討を重ね作成することができた。
4 次年度の研究の方向性について、本年度の成果と課題をもとに、研究推進委員会及び全体研究会で検討と確認を行った。
第2回活動報告の中で、アドバイザーから「これからは教科横断的な問題発見・探究型の学習に取り組んでほしい。」とのご意見をいただいたので、研究推進委員会で2つの案を検討した。1つは、各教科の授業において発展的な内容を扱う単元を設けて、教科の授業の中で問題発見・探究型の授業を行う方法である。各教科の授業で行うことになるが、発展的な内容となるので、その教科の見方・考え方だけではなく、他の教科の見方・考え方を使う場面もあると考え、ある程度教科横断的な内容に絡むと考えた。もう1つは、総合的な学習の時間の中で問題発見・探究型の単元を設けて行う方法である。総合的な学習の時間はその目的上、学習内容が各教科の内容を総合したものとなるため、教科横断的な問題発見・探究型学習を実施しやすいことが考えられる。研究推進委員会では上記の2つの案について検討を重ねたが、なかなか絞り込むことができなかったので、第3回訪問の際にアドバイザーのご意見を聞いた上で全体研究会を行い、次年度の方向性を検討・確認することにした。
第3回訪問では、アドバイザーから両方に取り組んでほしいとのご意見をいただいたが、本校は小規模校で職員数も少ないため、両方同時に進めることは難しいのではないかということと、小林市では市内の全小・中学校で総合的な学習の時間に「こすもす科」という地域独自単元を設けて学習を進めており、次年度は「こすもす科」の内容が改訂され新しい内容で実施されるので、総合的な学習の時間で進めるのは難しいのではないかということをお伝えした。そのような内容で相談を進めたところ、次年度は、まずいくつかの教科において発展的な内容で問題発見・探究型の授業を実践していくとよいということ、そして、再来年度あたりに次年度の成果と課題を生かす形で総合的な学習の時間における問題発見・探究型の学習に取り組んでいけばいいのではないかというご意見をいただいた。
そこで、研究推進委員会で検討した2つの案をもとに、アドバイザーからのご意見を考慮しながら全体研究会で検討したところ、次年度は各教科において発展的な単元を設定し、各教科の特性に応じた形で問題発見・探究型の学習に取り組んでいくことで確認した。
5 令和2年2月14日の第3回訪問において、技能教科である体育の研究授業を行い、技能教科における「主体的・対話的で深い学び」の学習構成や効果的なICT機器の使い方を研修した。
実際の授業は、バスケットボールのフリースローの確率を上げるためにはどうすればよいかを生徒たちが考えて練習する内容であった。まず始めに学習課題の説明を行い、50インチの液晶テレビとタブレットPCを使って、フリースローの模範演技を動画で確認させた。次に、タブレットPC5台をそれぞれ三脚に取り付け、授業支援ソフトとタブレットPCのビデオカメラ機能を使って、自分がフリースローをしている動作を撮影し、追っかけ再生機能を使って生徒自分自身で確認できるようにした。この手立てにより、生徒たちは画面で視覚的に模範演技の動作に自分の動きを近づける形で動作の修正を行うことができた。さらに、グループで集まり、タブレットPCに撮影されている自分たちの動作を模範演技と比較して再生することで、フリースローの動作におけるポイントについて話し合いをさせた。最後に全体で集まって、各グループからの意見を発表させ、フリースローの動作のポイントを全体で確認した。
この研究授業を通して、技能教科における「主体的・対話的で深い学び」を生む学習過程を構成する上でも効果的にICTを活用することで、学習効果を上げることができることが分かった。
次年度の研究の方向性について、問題発見・探究型の授業に取り組んでほしいと思っている。本校では総合的な学習の時間か各教科の発展的な内容として取り扱う場合のどちらかを考えられているようだが、できれば両方で取り組んでもらいたい。
年度が替わると人事異動で職員が入れ替わる。また、宮崎県小林市では総合的な学習の時間の中に「こすもす科」という単元を全小・中学校で設けており、これまでの「こすもす科」の内容が見直されるため、次年度から新しい内容で取り組むこととなる。さらに現在、コロナウイルス関連の対策で臨時休校が行われていることを考えると、問題発見・探究型の授業を次年度に設けていくことが難しいのではないかと考えられる。
よって、これまでの実践を生かしながらで、各教科の中で発展的な内容として、問題発見・探究型の授業を設定して取り組んでいきたい。
本校の研究の理論面は1年次でほぼ完成していると思われる。よって、今後は学校での教育活動全般にわたって実践及を積み重ねていくことと、研究成果の波及を積極的に行ってほしい。
本年度3月中に1年次の研究の総括を行い、全職員でこれまでの研究実践内容について共通理解を行う。また、次年度になって新たな職員構成となったときに、再度1年次の研究実践内容についての確認と次年度研究の方向性について検討と共通理解を行う予定である。なお、研究成果の波及については、次年度12月に研究公開を行う予定であるが、そのほかの機会に積極的に研究成果を発表していきたい。
1月~3月の間は高校入試などの行事があり、研究を進めることが難しいと思われた。そのような中、各先生方が積極的にタブレットPCや授業支援ソフトを活用した授業を行ってくださり、実践を積み重ねることができた。また、2月の第3回訪問に向けて、若手の体育の先生が授業を引き受けてくださり、実際の授業において、ICT機器のさまざまな使い方を見せてくれたおかげで、他の職員にとって大変勉強になった。
まず、本校がパナソニック教育財団の特別指定研究校に選ばれたことに感謝したいと思います。本校は3年前に宮崎県小林市のICT推進校に指定され、これまでに導入されていた電子黒板やデジタル教科書等に加え、校内無線LANの整備やタブレットPCと授業支援ソフトの整備が行われました。そのことに加えてパナソニック教育財団からの研究助成金をいただくことで、ICT機器のさらなる整備や職員の県外研修を行うことができ、大変助かりました。
また、これまでも東方小学校と合同でICT機器を活用した授業について研究を行ってきましたが、特別研究指定校に選ばれたことで、研究の焦点化、明確化、深化、波及を行うことができました。さらに、各職員の授業改善を図ることで、各職員の授業力の向上や生徒の学力向上に努めることができました。
まだ研究半ばですが、本校の職員一丸となって協力し、本校生徒の学力向上はもとより他校への研究成果の波及をさらに行っていきたいと思います。
この1年間のご指導、ご助言、本当にありがとうございました。
本期間においても、本校は「確かな学力を身に付けた生徒の育成」をめざして着実な研究成果を積み上げています。したがって、2020年4月からの2年目の研究成果が大いに期待できます。
昨年度末からの新型コロナウイルス感染症の影響で臨時休業が続いた中、職員の入れ替わりもあり、臨機応変な対応を強いられた期間であった。そのような本期間(2020年4~7月)では、以下のことに取り組んだ。
本年度6月上旬に本校情報活用能力チェックリストを用いたアンケート調査を行い、新1年生の実態と2、3年生の経月変化を調査した。
各領域別に見ると、1年生は4点満点中3点を大きく上回っており、小学校からの継続的な指導が効果を上げていると考えられる。ただ、質問項目別に見ると2点台の項目もいくつか見られるが、今後の指導・支援で十分向上していくと思われる。
2、3年生では、どの領域でも向上しているか、値が高止まりしているかのどちらかであり、質問項目別に見ても、令和2年6月の調査では2点台の項目は1つもなかった。このことから、2、3年生では指導・支援の成果が現れているといえる。
本年度、本校は昨年度職員11名のうち7名の職員が入れ替わった。よって、タブレットPCの操作スキルや授業支援ソフトの活用スキルが身に付いていない職員も年度当初多く見られた。そこで、職員のICTスキルを底上げするために4月から6月にかけて3回タブレットPCの操作法や授業支援ソフトの操作法について校内研修会を行った。
校内研修会では、「まずさわってみましょう。みんな最初は失敗します。大丈夫です!」をモットーに、ざっくばらんな雰囲気のもとみんなで聞き合い、教え合いながら研修を進めていった。その結果、最初はタブレットPCの操作に消極的だった職員も、次第に授業で使う場面が増え、全体的なICTスキルも向上したと思われる。
昨年度の第2回活動報告の中で、アドバイザーから「これからは教科横断的な問題発見・探究型の学習に取り組んでほしい。」とのご意見をいただいた。そこで昨年末に行った研究1年次の総括では、各教科で発展的な内容を扱う単元を設けて、教科の授業の中で問題発見・探究型の授業を行う方法を実践していくことを共通理解した。しかし、定期人事異動で職員が大幅に入れ替わったこと、昨年度末からの新型コロナウイルス感染症の影響で臨時休業が続いたことから、本年度の教科時数確保が最優先事項となり、教科の授業の中で問題発見・探究型の授業を行うことが困難となった。 そこで、本年度の職員でもう一度検討した結果、総合的な学習の時間の中で問題発見・探究型の学習を実践していくことを共通理解した。
具体的には、小林市は総合的な学習の時間に「こすもす科」という独自単元を設けており、市内の全小中学校で系統的、段階的に小林市のことやキャリア教育、ICTリテラシーなどを学習する内容となっている。本校では、その中の「小林市シリーズ」という学習内容を問題発見・探究型の学習構成に組み直して夏季休業開けから各学年で実践する予定である。
本年度6月26日に第1回のアドバイザー訪問を予定していた。ところが、新型コロナウイルス感染症の影響で、都道府県をまたいでの移動が難しい状況となった。そこで、Zoomを用いた遠隔での研究授業参観と授業研究会を行った。本校でも初めての取組であったので、マイクでの授業の集音がうまくいかなかったり、回線容量が逼迫したりなどいろいろなトラブルがあったが、全職員貴重な体験ができた。
問題発見・探究型の学習を進めていくためには、生徒の問題発見解決能力と情報活用能力を育成するために学習活動を行うことを職員全員で明確に共通理解して実践する必要がある。
本年度の夏季休業中に計画的に職員研修を行い、生徒の問題発見解決能力と情報活用能力を育成するための問題発見・探究型の学習の進め方について検討と共通理解を行う。
小林市を取り上げた地域教材で3学年系統的、計画的に問題発見・探究的な学習を進めるためには、生徒自身の当事者意識を高めることが重要である。コロナの時代だからこそ地域のよさを考えることが大切になっている。3年間を通してふるさと小林のことを学習するのであれば、1年で「小林が抱える課題は何か」、2年で「他の地域と比べて小林にはこんなよさがある」、3年で「小林の未来はどうしたらよいか」、という流れで授業設計を行うとよいのではないか。
研究推進委員会で、総合的な学習の時間で行う小林市に関する地域学習活動(問題発見・探究的な学習)について検討し、全体研究会で提案する。全体研究会で提案内容を吟味修正し、活動の流れについて共通理解を行う。その後、各学年部会に分かれ、具体的な授業設計を行っていく。各学年の作業については夏季休業中に行い、夏季休業開けから全学年で実践できるよう準備する。
昨年度末からの新型コロナウイルス感染症の影響による臨時休業には本当に参りました。本年度の全ての授業や行事について見直しをしなければならず、臨機応変に対応しなければならないことも数多く続いています。また、定期人事異動で11名中7名の職員が異動となり、研究内容の共通理解などに不安がありました。そんなピンチの中、皮肉なことにこれまでなかなか実現できなかったリモートワークやオンライン授業を行う取組がどんどん進んでいます。本校でもパナソニック教育財団の協力で、初めてZoomを用いた研究授業や授業研究会を行うことができ、貴重な経験となりました。
本期間は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で臨時休校が長くあり、しかも11名の教職員のうちの7名が定期異動で入れ替わるという厳しい状況の中で、「確かな学力を身に付けた生徒の育成」をめざして着実に理論研究と実践研究を積み重ねていることがわかりました。
本年度6月上旬に本校情報活用能力チェックリストを用いたアンケート調査を行い、新1年生の実態と2、3年生の経月変化を調査した。
グラフの結果からは、全学年、全分類において上昇傾向が見られる。この原因として、タブレットPCをはじめとしたICT機器を活用した授業が年々増えていることや、昼休みや放課後にタブレットPCを借りる生徒が増えているため、生徒の使用頻度が増えていることが考えられる。
本年度10月に、昨年度のみやざき学習状況調査活用問題を用いて、1年生と2年生を対象に、生徒の思考力・判断力・表現力の変容を調査した。
グラフの結果からは、1年生、2年生とも向上している教科とそうでない教科のばらつきが見られた。思考力・判断力・表現力については、新型コロナウイルス感染症の関係で、年1回のテストで変容を調べたことにより、結果の信頼性が乏しいと考える。よって、今後は他の評価方法も用いながら多面的に変容を調べていきたい。
8月に校内でのICT研修会を行った。また、9月には宮崎大学の小林博典先生を本校に招き、東方小学校と合同で今後の教育の進展に関して講義を受け、iPadとプログラミングロボットを使って、プログラミング教育の実技演習を行った。11月、12月は研究授業の事前研究会や各学年職員でタブレットPCの操作スキル研修を行った。
小林市は総合的な学習の時間に「こすもす科」という地域単元教材を設けている。その中に全学年共通で学習する「小林市シリーズ」の単元がある。
この単元を各学年で分担して問題発見探究型の学習過程に構成しなおした。そして夏季休業開けからの実践に取り組んでいる。
なお、「こすもす科」における問題発見・探求型学習の実践にあたり、生徒が次の5つのステップを通して学習するように工夫した。これらの5つのステップは本校が定義している「思考力・判断力・表現力」と「情報活用能力」と連携させている。
本校は11月9日に第2回訪問を兼ねてZoomによる遠隔授業研究会を実施した。問題発見探究型の授業で、3年生総合的な学習の時間、地域単元教材のこすもす科(小林市シリーズ)の授業を行った。
本校の今年度におけるパナソニック教育財団定期訪問は、新型コロナウイルス感染症の影響で全てZoomを使って遠隔授業・研究会を行っている。第1回では音声がうまく聞こえなかった反省があり、今回はマイクを3本使い生徒の声や教師の声をきれいに集音することができた。また、タブレットPCと授業支援ソフトの画面合体機能を使い、効果的にICTを活用して協働学習を展開し、授業の目標を十分達成することができた。
本校は12月11日(金)に、特別研究指定校として1年半にわたる研究の取組を広く見ていただくために研究公開を実施した。実施形態は、11月9日に行った授業研究会と同様、Zoomを使って遠隔の研究公開であった。今回のZoomは通常のZoomミーティングと違い、パナソニック教育財団の協力でZoomウエビナーを使用した。理由は、Zoomウエビナーでは登録さえしていれば、オンラインでなくても後から録画されたものを視聴できること、一般の視聴者の画面は出ないこと、視聴用の画面をホスト権限を持ったものがコントロールできることなどがあげられる。
映像や音声については、11月9日の授業研究会の通信がうまくいったので、11月9日の機材に電子黒板画面送信用とグループ活動撮影用のタブレットPC2台を追加する形で実施した。
授業は問題発見探究型の学習で、2年生総合的な学習の時間、単元はこすもす科(小林市シリーズ)、単元目標は「小林市について調べ、他地域にない『小林市のよさ』を見つけることができる。」、「他の地域と違う『小林市のよさ』について調査し、他に分かりやすく紹介することができる。」であった。
Zoomウエビナーによる研究公開は初めての取組であったが、学習している生徒たちや教師の動き・音声を明瞭に送信することができた。また、研究概要説明や吉崎先生による指導・助言と講演も円滑に行うことができた。
授業のしっかりした先生がICTを使うと鬼に金棒である。しかし、授業力や構想が不十分な教師がICTを使うと空回りになる。ベテランの教師は授業はしっかりしているがICTリテラシーやスキルが不十分な傾向があり、逆に若い先生はICTリテラシーやスキルは豊富だが授業力が追いついていない傾向がある。今後はベテランの先生と若手がチームとなり、協力して授業をつくっていくとよいのではないか。
第3回定期訪問授業研究会や今後の研修の在り方に生かしていきたい。
本校の「確かな学力」は「思考力・判断力・表現力」と「情報活用能力」が合わさったものと定義されている。本年度は総合的な学習の時間における問題発見探究型学習に取り組んでおり、生徒に身に付けさせる資質・能力として、「問題解決能力」も重要である。よって、「確かな学力」の定義として、「問題解決能力」も合わせてはどうか。
次年度に向けた研究構想に「問題解決能力」を加えて検討を行う。
Zoomを使った遠隔授業研究で、一番苦労したことが音声の集音である。試行錯誤をくり返しながら、学校にあるマイクとミキサーを使うのが最も良いことを発見できたのは大きかった。また、Zoomを使うにあたり、1番は通信速度、2番目は音声、3番目に画像が重要であることも分かった。
本期間は、「総合的な学習の時間(こすもす科)」の本格的な実践と「ビデオ会議システム(Zoom)」を活用したオンラインでの公開研究発表会が行われたことに特長がある。
本校は令和3年2月9日に行われた授業研究会において、問題発見・探究型学習の研究実践に取り組んだ。内容は、総合的な学習の時間の小林市地域教材単元であるこすもす科で、1年生が「小林市のよい点と問題点を考える。」というものである。授業では、前時にタブレットPCを活用して各生徒が考えた「小林市のよい点と問題点」について、グループをつくり、話し合いや画面での操作を用いて協働的な学習(対話的な学び)を行い、整理してまとめていく活動を行った。また、各グループがまとめた内容を代表生徒がタブレットPCを用いて発表し、全生徒で共通確認をした。最後に、地域を取り上げた動画を視聴させ、次の学習への意欲付けを行った。
授業研究会の時期が新型コロナウイルス感染症の第3波の時期にあたり、グループ学習にも細かな配慮が必要であったが、授業研究会を通して多くのこと学べる良い機会となった。
令和3年2月9日に行われた授業研究会において、本校アドバイザーの吉崎先生からいただいたアドバイスや2年間の研究の成果と課題、研究の検証結果分析などをもとに全職員で次年度研究の方向性について検討を行っている。次年度には生徒1人1台のタブレットPC環境と新学習指導要領の完全実施、改訂された教科書の配付が行われることも踏まえ、ICTの効果的な活用を基本としつつ、職員の資質や能力を向上させる研究に取り組んでいきたい。
令和3年2月9日に最後の授業研究会を行った。今回も新型コロナウイルス感染症の影響で、Zoomによる遠隔授業研究会となった。ただし、昨年12月11日にZoomを用いた遠隔研究公開を行い、遠隔授業研究会におけるノウハウの蓄積があったので、円滑に授業研究会を行うことができた。
また、アドバイザーの吉崎先生からは、本校2年間の研究の総括と成果及び課題について、プレゼンテーションでまとめてくださり、全職員大変参考になった。これまで2年間、さまざまな面でサポートしていただいたパナソニック教育財団事務局の方々に対しても感謝の気持ちで一杯である。
本校は、研究主題にある「確かな学力」の定義として、「確かな学力」は「情報活用能力」と「思考力・判断力・表現力」を合わせたものと定義している。よって、2年間の研究の成果として、「情報活用能力」と「思考力・判断力・表現力」の変容を見ていきたい。
本校は文部科学省の情報活用能力体系表や川崎市の情報活用能力チェックリストを参考に、本校における情報活用能力チェックリストを作成し、昨年度7月より定期的にアンケートを行い、生徒の「情報活用能力」の変容を調査してきた。これまでの変容の結果は以下のグラフの通りである。
情報活用能力チェックリスト各分野の満点は4点であるが、グラフより、2年間の研究期間を通して全学年、全分野とも値が向上傾向にあるか、高い値を維持している。このことから、研究実践を通して生徒の「情報活用能力」を向上させることができたと考えられる。
通常ならば年度初めの4月に実施される予定の「みやざき学習状況調査」が、新型コロナウイルス感染症の影響で実施できず、本年度は12月に2年生のみを対象として実施された。
本校の研究では、「確かな学力」の「思考力・判断力・表現力」について、「みやざき学習状況調査」の活用問題の経年変化を用いて検証することにしていた。以下のグラフが2月下旬に返ってきた「みやざき学習状況調査」活用問題の経年変化である。
青のグラフが中学1年時の県平均との差で、緑のグラフが中学2年時の県平均との差、赤のグラフが2年間の県平均との変化値である。英語については中学1年時に調査がなかったので、中学2年時の県平均との差のみ示している。
「みやざき学習状況調査」の結果分析については、研究推進委員会で基礎問題と総合(基礎問題と活用問題の合計)も併せて比較検討した方がよいという意見が出たので、その意見を踏まえて2月下旬に全職員で分析を行った。
分析の結果をまとめると、以下のようになった。
本校における「確かな学力」の定義において、「思考力・判断力・表現力の土台となる基礎的な学力」が示されている。その中には「基礎的な学力A」と「基礎的な学力B」が入っているが、「思考力・判断力・表現力」とそれらの関連も検討しながら、今後も生徒の「思考力・判断力・表現力」が向上する工夫に取り組んでいきたい。
本校ではこの2年間、「『確かな学力』を身に付けた生徒の育成」を研究主題として全職員で研究実践に取り組んだ。2年間を通して気付いたことや学んだことを上げてみると、おおよそ以下の内容となる。
本期間は、「総合的な学習の時間(こすもす科)」の実践と「ビデオ会議システム(Zoom)」を活用したオンラインでの遠隔授業研究会が行われたことに特長がある。そして、2年間の実践研究の成果と課題をふまえて、全職員で次年度の研究計画(案)が検討された。
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