実践研究助成(初等中等教育現場の実践的な研究に関する助成制度)実践研究助成(初等中等教育現場の実践的な研究に対する助成制度)

第38回特別研究指定校(活動期間:平成24~25年)

京都市立一橋小学校の活動報告/平成23年度1月~3月
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実践経過
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成果と課題
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京都市立一橋小学校活動報告イメージ1

8月から12月の間に,校内研究授業を3回(国語科2回,算数科1回)行った。また,12月4日(水)に2年間の研究のまとめとして,研究発表会を行った。校内研究授業では,授業実践の中で情報を集める力に焦点を絞り,子どもたちが主体的に情報を集める姿を求めて,研究授業を行った。2年生国語科では,「しょうかい文を書こう」の単元で,友だちのよいところ(情報)をインタビューをして,聞いたことをメモにとって集める学習を行った。

京都市立一橋小学校活動報告イメージ2

子どもたちが主体的に情報を集めることができるようにするために,友達について知りたいことや,知りたいことを知るためにはどのように質問をすればよいかということを事前に考えてからインタビューを行った。 また,インタビューしたことをメモするために,ワークシートの形式を工夫することにより,わかったことをすばやく短い言葉でメモする姿につながった。1年生の算数科では,「三つの数の計算」の単元で,絵から必要な情報を集めることと,文章(問題文)から必要な情報を集める学習を行った。挿絵を見てわかることを発表する活動の単元を通して行うことで,問題を解決するために必要な情報に注目し,それらを取り出す問題解決に至る姿につながっていった。単元終盤では,適応題で式の情報を基に問題を作ったり,教師が作った問題文から必要な情報を取り出し,式を作ったりする学習へと発展していった。
 4年生の国語科では,「調べて発表しよう」の単元で,必要な情報と不必要な情報を区別して整理する学習を行った。単元の導入部分で子どもたちは,ユニバーサルデザインについてたくさんの情報を収集した。本時では,集めた情報から自分が伝えたいことは何かを考え,最も伝えたいことが伝えられる資料を選択する活動を中心に活動を行った。自分が最も伝えたいことを伝えられる情報は何かという視点で,集めてきた情報のカードを見比べ,必要な情報を主体的に選択しようとする姿が見られた。

京都市立一橋小学校活動報告イメージ4

 12月4日(水)に2年間のまとめとしての研究発表会を行った。研修発表会では,全学級(7学級)で国語科4学級,算数科3学級の公開授業を行った。すべての学級で,子どもたちが主体的に情報を集める活動を,子どもたちの実態に即した形で入れ込んだ授業が行われた。それぞれの公開授業の教科・単元及び情報活用の実践力を育成する視点は表1に示すとおりである。

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実践経過

 
・8月 第1回 研究発表会指導案検討
・9月 2年生国語科研究授業
・10月 第2回 研究発表会指導案検討
  1年生算数科研究授業
  4年生国語科研究授業
・11月 第3回 研究発表会指導案検討
・12月 一橋小学校研究発表会
 

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成果と課題

 

京都市立一橋小学校イメージ3

京都市立一橋小学校イメージ4

研究発表会では,2年間の成果物として,情報活用の実践力を系統的に育成するための①「情報活用の実践力の小中一貫カリキュラム」,教科学習の中で,情報活用の実践力をどのように指導,育成してきたかをまとめた②「研究の記録」,子どもが情報活用の実践力を育成を意識して授業をうけたり,家庭学習を行ったりすることができるようにするための③「学習支援カード」を作成し提案した。

①「情報活用の実践力の小中一貫カリキュラム」は「情報を集める,まとめる,伝える」の3つの分野をさらに明確にし,実践で活用しやすいようにするためにそれぞれを3つずつ分け,計9つに細分化した。また,情報活用の実践力の系統性が一目でわかるような形式でまとめることができた。

②「研究の記録」は,実践の記録を基に,教科の指導・支援と情報活用の実践力の育成を関連づけ,教科学習の中で,情報活用の実践力をどのように育成してきたのかが明確に分かるようにまとめることができた。

京都市立一橋小学校イメージ3

③「学習支援カード」は,子どもが情報活用の実践力を意識して学習を行うことができるように,子どもが分かる文言に書き直し,下敷きとして配付して活用を試みた。「学習支援カード」を授業での単元の導入時に活用することで,情報活用の実践力を意識して学習を進めるきっかけを作ることができた。また,子どもが家庭での自主学習を行う際に,カードに書かれている情報活用の実践力の視点を意識して学習を進めるように指導することで,様々な学習方法を繰り返し経験することにつながった。

今後の課題としては,これらの成果物(特に「情報活用の実践力の小中一貫カリキュラム」)を教科横断的に活用し,検討をはかることであると考える。また,小中一貫カリキュラムに即した形で,「学習支援カード」を改訂することで,子どもが更に活用しやすいものにっていくと考える。

京都市立一橋小学校イメージ3

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裏話(嬉しかったこと、苦心談、失敗談 など)

 
  • 校内研究授業での,指導案作成,事前検討会等で「情報を集める」ことについての議論が深まり,教科指導と情報活用の実践力の育成について議論が深まっていったこと。
  • 教員間,検討を深め「情報活用の実践力の小中一貫カリキュラム」ができたこと。カリキュラムを完成させるに当たり,中学校の情報活用の実践力とは,どのような力なのかということやシンキングツールをどのようにカリキュラム内に入れ込んでいくかについては何度も検討し,作成することが困難であった。
  • 研究発表会前日は,管理職と担任団がそれぞれの学級を見合いながら,情報を集める視点での議論を深めることができたこと。教員の情報教育の対する理解が高まったことを実感した。
  • 研究の提案,指導案について検討を何度も行い,それぞれが意見を出し合い練り上げることができたこと。特に研究の提案は,前日深夜まで検討し,聞いていただく方々に本校の研究がよく分かるように仕上げることができたのではないかと思っている。

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アドバイザーコメント

玉川大学 教授 堀田 龍也 先生

 

本校の2年次は,対象教科の国語と算数それぞれにおいて情報活用能力をどのように育成するかを検討してきた。

算数では必要な情報の取り出しを中心とし,そのために文意にどのように注目させるかという点,授業過程のモデル化,理解させやすくするためのICT活用,そして適応題へのつなげ方などについて話題となった。国語科では情報の収集と整理について,特に整理の仕方を習得,それを学習の文脈のもとで活用させて問題を解決させるという授業展開と,そのための言語活動の充実を中核に据えて授業研究を進めてきた。

これらの授業研究の成果と併行して,情報活用の実践力の系統性について検討を進め,系統表を作成した。

12月4日(水)には,全国から参観者を集め,特別研究指定校としての研究発表会が行われた。文部科学省生涯学習政策局情報教育課からも公開研への視察があり,本校の研究への注目の高さが示された。

 

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