平山小とICT
言うまでもなく、今の子どもたちにとっては、現在普及している電子書籍端末やゲーム機、ケータイをはじめとした情報端末には抵抗感がなく、(それが大人にとって賛成であろうが反対であろうが)日常的に当たり前のように「そこにあるもの」である。このような状況の中で考えると、ある意味、自然の流れとして情報端末一人1台の教育活用の可能性を検討する必要も出てきたと思われるし、学校にある電子黒板やデジタルカメラなど、他のICT機器への抵抗感も少ない。
しかし、一方で、まだまだ多くの学校では、教師の方に抵抗感やとまどいがあり、せっかくのICTが活かされないという話はよく聞く。もちろん、道具の1つに過ぎないので、使える箇所で使えば良い。そこを抜けるといろいろな効果や課題も見えてくると思う。そこで、平山小でいつも感じる特筆すべきことをあげながら、他校への留意点(参考)とさせていただく。
1)ICTと非ICTの使い分け・組み合わせの検討
どんなにすばらしいICT機器やデジタル教材が登場しても、それだけで授業が成立するとは思えない。そうなると、紙の教科書とどのように併用していくのか、板書とどのように組み合わせるのか、その役割を十分に検討していく必要がある。つまり、うまく紙の教科書やノート、あるいは板書との役割分担を追究していくことで、より教育効果があがる可能性がある、ということだ。平山小の教師を見ていると、従来の授業スタイルである非ICT的な部分(黒板や教科書、実物、紙のワークシート、実験や具体物の操作など)と電子黒板等のICT機器と教科書のデジタル化教材などをうまく使い分けたり、組み合わせたりしている。
2)どんどん使ってみる&テクノロジープッシュに留意する
先に述べたようにICTはあくまでも道具であるので、それにふりまわされない配慮は必要だ。しかし一方で、まずはどんどん使ってみて、「これはこういうことにも使えそうだ!」という発想や、教師間の情報交換そのものが、授業研究にもつながる。平山小では、テクノロジープッシュに留意しつつ、どんどん使ってみるということのおりあいをうまくつけているようにいつも感じる。
いずれにしても、これはどのような授業形態にもあてはまることだが、従来の授業のやり方がベースにあることはまちがいない。情報端末やICT環境がどんなに向上しても、教師が個々の子どもをどのように把握しているのか、板書がどのようになっているのか、実験をどのように進めるのか、などが重要であることは変わりない。