研究的実践の蓄積と公開 − 広島県三原市立幸崎中学校の取り組みの特長
広島県三原市立幸崎中学校は,3学年とも単学級の小さな学校である。当然,教師の数も少ない。しかしながら,学校のレポートに記されているように,同校の授業研究会の回数は多い。一人の教師が1年間に2度,3度と研究授業を実施する。
しかも,提案される授業におけるICT活用のレパートリーが豊富だ。教師の資料提示に用いられる場合もあれば,子どもたちが発表や意見交換に用いる場合もある。それは,同校の教師たちの研究に対する姿勢によって加速している。学校のレポートにこれも記されているように, 7月5日に筆者が指摘した ICT活用の様々な可能性をすぐに検討し,9月の研究授業にて,それを実践化して確かめている。また,写真のように,教員数が少なくても,研究授業後の協議会はグループワークを中心に構成して,ICT活用に関する教員間のアイデア交流を活性化しようとしている。同校では,教師たちの研究に向かう真摯な姿勢によって,ICT活用に関する研究的実践が着々と蓄積されているのだ。
さらに,10月には,公開研究会を催し,全学年で授業公開をおこなうとともに,分科会形式で公開授業に関する協議を実施している。そして,そこで,参加者から授業改善の視点等を提供してもらっている。研究的実践の公開とそれによる授業改善の促進のよい関係を,同校の公開研究会の様子に確認できよう。
そうした研究的実践の積み重ねが功を奏しているのであろう。授業研究以外のシーン,例えば文化祭においても,子どもたちがICTを用いてプレゼンテーション等をおこなうようになっている。それも,同校の研究的実践の充実を物語る風景であろう。