実践研究助成(初等中等教育現場の実践的な研究に関する助成制度)実践研究助成(初等中等教育現場の実践的な研究に対する助成制度)

第38回特別研究指定校(活動期間:平成24〜25年)

徳島県立盲学校の活動報告/平成23年度1月〜3月
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ポイント

実践経過
実践経過

成果と課題
成果と課題

成果と課題
裏話

アドバイザーコメント
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徳島県立盲学校イメージ11.特別支援学会で,発表を行いました。
11/22に行う研究発表会での発表もふまえて,発表を行いました。100名を超える先生方の前での発表となりましたが,取り組みがよく分かったと好評でした。

2.研究授業を行いました。
授業を通してICTの活用を討議し,すべての教員がICTを使って,授業を行いました。
金子先生より,国家試験に合格するためだけではなく,免許を取った後の治療家としてのイメージ作りをしながら指導に取り組むようにとのご指導がありました。
我々教員は,つい目先の目的に囚われてしまいます。この指導を肝に銘じて指導を行っていきたいと思います。

3.実践集録作成に向けて,取り組みを本格化させました。
載せる内容の精選や作成に向けての手順を確認し,分担して作成しています。

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実践経過

4月〜
 実践集録の作製に向けて,分担を決めて作成中です。

5月
・指導案検討会
・情報研修会
 (PDF作成や作成したPDFファイルにテキストを埋め込むなどの研修を行いました。)

6月
 6/13(木)に第4回目の研究授業・及び研究協議を行い,
 金子先生に指導を仰ぎました。

徳島県立盲学校イメージ2 徳島県立盲学校イメージ3

 特別支援教育学会校内プレ発表を行いました。

7月

 9月の研究授業についての協議
 特別支援教育学会で昨年度の取り組みを発表しました。

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成果と課題

教員,生徒ともにICTを活用した授業に慣れてきました。
しかし,見え方も違う,ICTを使う事に不慣れな生徒も入学してきました。
その生徒も,必要に応じてICTを活用し始めています。

徳島県立盲学校イメージ4

また,11月の研究発表会に向けて,実践報告書を作成するための指導案作りや付属させる予定の動画などを撮影や,編集をしています。

徳島県立盲学校イメージ5

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裏話(嬉しかったこと、苦心談、失敗談 など)

徳島県立盲学校イメージ6 7/30(木)に特別支援教育学会があり,昨年度に取り組んだ内容を発表しました。発表時間が13時ごろから17時ごろまでと非常に長時間にわたるため,発表内容に加えて,パワーポイントの作成に本当に多くの時間がかかりました。この発表が,11/22(金)に本校で開催する研究発表会につながるものとして取り組みました。この発表は,「見て分かる職業教育の取り組み」に主眼を置き,動画多めの紹介形式にしました。 また,休憩時間には発表で紹介した視覚障害の補助機器・タブレットやiPadなどを直接触れてもらう時間として設けました。これがとても好評で,多くの人に体験していただくことができました。

徳島県立盲学校イメージ7 徳島県立盲学校イメージ8

体験コーナーの準備やそこでの紹介,その他,写真撮影等も含めて,多くの先生方の協力で発表会が無事終了しました。 皆さんに本当に感謝です。

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アドバイザーコメント

明治学院大学 教授 金子 建 先生

 本校の実践研究も2年目に入った。視覚障害の生徒の職業教育でのICT活用という新しい分野での挑戦である。
 視覚障害と言ってもその実態は生徒によって様々である。単なる視力の低下のみならず、極端に狭い視野、明るさの調整困難など、一人ひとり異なる。また、盲学校高等部とその専攻科には、中途失明の生徒が多く在籍し、従って年齢幅が非常に大きい。通常の高校生の年齢から、60歳代に及ぶ。このような多様な生徒の教育にこそ、ICT活用の教育効果が期待できるとされるが、現実には容易なことではない。
 本校の場合、それに加え指導者の側にも、弱視から全盲まで視覚障害がある。盲学校における視覚障害教員の存在は、障害当事者としての共感的理解が得やすい点、生徒にとってのロールモデルの提供となる点など、その利点は大きい。しかし、全盲の教員にとっての教材作成や機器の操作は、これもまた容易なことではない。
 これらの多くの困難を、本校の実践は克服しつつある。当初は晴眼者教員でさえケーブルの配線にも苦労し、機器の設定や操作に四苦八苦しながら研究が始まった。視覚障害のある教員にとっては、文字通り手探りである。
 このような苦境脱出の原動力は、教師集団の団結力と、生徒の確かな学びであった。全盲の教員が、晴眼者教員とペアになってパワーポイントの教材を作成し、音声読み上げを併用しながら生徒に提示していく授業の様子は、感動的でさえある。生徒は、それぞれの見え方、見えにくさに応じた教材を手元で確認しながら、確実に学習を進めている。まさに一体感溢れる授業と言える。
 本校の実践のもうひとつの特徴は、五感の活用である。視覚障害のある生徒の学習において、残存機能をフルに引き出すことと、触覚や運動覚と結びつけながら確かなイメージを形成していくことが不可欠である。とりわけ、鍼灸や手技療法を学ぶ生徒にとって、「静止画」の理解のみでは意味をなさない。対象を動的に捉え、自らの身体の動きをそれに同期させていくことが求められる。国家試験に合格するだけでなく、その資格を活かし治療者・施術者として自らの生活を維持しなければならない。教室での学びは、そのための認知的基盤の築きである。
 本校の次の課題は、教育実践の記録と普及であろう。盲学校は県内では唯一、全国でも百校に満たない。児童生徒の実態は個別性が高い。どの学校でも、その一人の生徒のために苦労して教材を作成し、カリキュラムを工夫している。その学校では一人でも、他校には同様のケースがあるかもしれない。レアーケースを共有し、充実した教育を実現するには、データベースの構築とネットワークの形成が不可欠である。
 本校の実践の更なる発展を期待したい。

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