実践研究助成(初等中等教育現場の実践的な研究に関する助成制度)実践研究助成(初等中等教育現場の実践的な研究に対する助成制度)

活動情報/第34回特別研究指定校活動情報/第34回特別研究指定校

上越市立城北小学校の活動報告/平成20年度4〜7月
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セールスポイント

道徳、特活、総合の統合カリキュラムでは・・・

1年生は模擬店舗「チャレンジショップRikka」、2年生は「上越ゆめチャレンジ」(平日連続5日間の職場体験学習)、3年生は「先輩に進路を学ぶ会」等の活動を展開した。各学年が道徳・特活・総合の関連付けを工夫しながら実践を積み上げている。

地域交流活動カリキュラムでは・・・

「愛の風ボランティア」をはじめ、地域との融合を目指している城北中学校。4月以降、地域からボランティアの募集を行い、学校支援のシステム作りに本格的に着手した。授業参画や図書館ボランティア等の支援は既に動き始めている。加えて生徒会からも、地域の中での役割を果たし、地域に役立つ行動を起こしたいという声が生まれてきた。

実践経過

<道徳、特活、総合の統合カリキュラムにかかわって・・・各学年の取組>

1. 1年生模擬店舗「チャレンジショップRikka」開店準備(開店は8月4日〜10日)
  • 小、中、高、大の連携で企画・運営される「チャレンジショップRikka」。各校種ごとに役割がある。中学校は、「人事・総務部」「広報部」「販売促進部」「営業部」「店舗デザイン部」の5部門を担当し、8月の開店に向けて準備活動を行った。
2. 2年生「上越ゆめチャレンジ」の取組(7月14日〜18日)
  • 連続5日間の職場体験学習の実施に向けて、地域の職業人に聞く会、体験先の決定、職場への事前訪問、出陣式等の活動を行った。
  • 職場体験当日は、158名の生徒が地域の48事業所に分かれ、体験を実施した。その後、お礼状作成と送付、体験レポート作成等を行った。
3. 3年生「先輩に進路を学ぶ会」「進路講話」「高等学校説明会」の実施
  • 上記の会を通して、自分の将来の進路選択について具体的に考える場を設けた。
 
写真1   写真2
2年生ホテルでの職場体験
  3年生が先輩に進路を学ぶ

<地域交流活動カリキュラムにかかわって・・・生徒の活動と基盤整備の取組>

1. 地域の福祉施設との協働による校庭の植栽活動、校内展示活動
2. 地域の方々・保護者を迎えて、お花見給食会や給食試食会等の実施
3. 地域の人材を講師に、俳句、書写、気象、豚の解剖、性教育、喫煙防止教育等の授業を実施
4. 城北中学校区「愛の風ボランティア」の募集、人材バンクの登録、ワッペンの製作
5. 特別支援教育、性教育をテーマに地域の大人のための学習会を実施
写真3
  地域の皆さんとお花見給食会
 

成果と課題

<道徳、特活、総合の統合カリキュラムにかかわって>

●成果
  • 学校企画委員会の企画・連絡・調整の下、1〜3年生の各学年部職員の創意で道徳、特活、総合的な学習の時間を有機的に関連付けながら学習活動を展開することができた。
●課題
  • 生徒の成長の姿をどう評価し、次の目標を生徒の中にどう意識化するか。

<地域交流活動カリキュラムにかかわって>

●成果
  • 「愛の風ボランティア」を募集したところ、7月末現在で当校における登録が9名に達し、既に幾つかの授業や図書館ボランティア、その他のイベントに参画している。学区の小学校でも登録の受付を始めたところである。
  • 地域の大人のための学習会は参加者が40名以上に上っており、地域住民や学区の教員の関心の高さが伺える。
●課題
  • 生徒の成長の姿をどう評価し、次の目標を生徒の中にどう意識化するか。
 
 

裏話(嬉しかったこと、苦心談、失敗談 など)

1. 1年生「チャレンジショップRikka」の商品開発では、カップケーキや飴の味、デザインなどを考えた生徒の案が採用され、実際に商品化が実現し売れ行きも好調だった。また、大学生や高校生が中学生に対してビジネスマナー、商品の並べ方等について指導している場面が見られた。買い物に来た数多くの人との様々な会話もあり、地域との活発な交流が図られた。
2. 2年生「上越ゆめチャレンジ」では、地域の48事業所の協力を得て職場体験を行った。スーパーマーケットでのスイカ売りの体験をしたある生徒は、元気のいい掛け声で販売活動を行い、1時間に30個のスイカを売り上げ、感謝された。また、一生懸命に緊張しながら取り組む中学生の様子から、多くの事業所の担当者から「初心に返って自分の働き方を見直す必要を感じた」などの感想が聞かれ、意外であった。どの事業所でも5日間のプログラムを綿密に考えて受け入れて下さっており、感謝している。
3. 3年生「先輩に進路を学ぶ会」では、当校卒業後5年以内の先輩6名に来てもらった。3年生にとってはほんの数年先の話であるだけに、先輩の生の声に真剣に耳を傾ける生徒の姿が印象的であった。先輩の話は、実体験を踏まえた説得力が感じられ、職員としては卒業後の生徒の成長ぶりに驚かされた。
4. 「愛の風ボランティア」は、日に日に登録メンバーが増えてきた。特に現役をリタイアされた地域の方が興味を示し学校に連絡を下さるケースが多い。大変嬉しいことである。「地域の学校」を創ろうとする熱意を今後もあらゆる機会を通して伝え、更に人材バンクが充実していくことを望みたい。
 

解説と講評

コメント:東京工業大学 教授 赤堀侃司先生

1. 4月から7月において1年生から3年生まで、それぞれ活発な活動を展開している。
2. 各学年とも、模擬店舗や職場体験、先輩との交流など、社会との接点を求め、自分の将来について振り返るチャンスを与えたことは、趣旨に合っている。
3. 以下の内容は、今後、出来る範囲で結構なので、検討していただければ幸いである。
  • このような活動を通した生徒たちの身につけた力を、どう評価するか、その方法について検討していただきたい。
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  • キャリア教育の目標やカリキュラムについては、ほぼ出来上がりつつあるので、他の学校でも実践できるような指導案、教材など、まとめていただきたい。
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  • 年度の終りに、まとめとしての報告会など、できればありがたい。その時、自分の生き方について、厳しく見つめてきた人の講演会なども行えれば、興味深い。ただし、謝金や旅費が必要とされるので、例えば、松下電器や教育財団に関わりのある人を講師として招くことも考えられる。
 
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