ICT活用の進展を支える授業研究の充実
広島県三原市立幸崎中学校の教師たちは、昨年度に続いて、2011年度も、生徒に思考力・表現力を育むためのICT活用を追究している。そして、そのレパートリーがいっそう広がりを見せている。学校による報告にも記されているが、昨年度に定着した、電子黒板を用いて課題提示等を遂行するスタイル(数学)が確認されると同時に、書画カメラで生徒が自身の作品を発表する場面が新たに設定されている(国語)。さらに、コンピュータ室で生徒が調査結果をレポートする姿も登場している(美術)。同校では、あらゆる教師が、自身の授業改善課題にどのようにICT活用が位置づくかを検討し、それにチャレンジしているのだ。
それらのICT活用の進展は、幸崎中学校の授業研究の充実に支えられている。特に、その企画・運営上の工夫に注目したい。例えば、5月の授業研究会においては、三原市教育委員会による学力向上対策事業と連携して進められた。それゆえ、市内の中学校の数学科の教師が参加して、同じ教科の実践者としての立場から、当該研究授業に関してコメントを呈してくれていた(幸崎中学校には、数学の授業を担当する教師は、1名しかいない)。
さらに、5月や6月の授業研究会においては、前回の授業研究会で明らかになったICT活用の課題と成果を、事後協議会の開始時にていねいに確認して(写真左の小ボードにそれが記されている)、協議のポイントに据えている。同校の教師たちは、それを通じて、異なる教科の研究授業を接続させ、そこで繰り広げられたICT活用を関連づけ、学校内で共有化しようとしている。
幸崎中学校の教師たちの取り組みは、ICT活用の進展と授業研究の充実のよき関係を体現するものであろう。
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写真 幸崎中学校の6月の授業研究会(事後協議会)の様子 |