■みんなが一歩を踏み出し,教員どうしが「つながる」
2年目に入り、芝谷中学校の取り組みが加速している。まず、本年度は「全教科全教員」の授業公開を実施しようとしている。昨年度は、実施している教科以外は参加意識が低いのは否めなかった。本校の公開研究会が本年度は11月30日に実施される予定であるが、そこへ向けての準備を着々と進めておられる。特に中学校において、みんなが当事者意識を持つためには、あるいは、より成果が発信される基盤としては、何をおいても「全員が一歩」ということにこだわったほうがよいと考える。
また、それだけではなく教員がつながる雰囲気が、授業公開以外においても現れてきた。6月に同校を訪問した際、3つの授業が公開されたが、他の教員は分担して授業観察や評価を行っていた。また,その折には参観している教師がiPadで写した写真が利用され、それに基づいて各授業グループで授業後の検討会をしたり、全体会では報告されていた。こうして授業が実施者ひとりのものではなく、みんなで共有されるようになってきた。
■市内の拠点校として、つながっていく
夏休みに入りようやく、全教室に電子黒板機能つきプロジェクタと書画カメラが増設されるようになった。本校の成果が整備に結びついた、というよりは時代の流れや学校長のリーダシップにより整備された感がある。しかし、これをもって本校は高槻市内のICT活用の拠点校としても責任をもつようになった。実際に市内の多くの学校からの参観依頼が来ているという。公開研究会においては、こうした学校から多くの先生方が参観され、学んだことを持ち帰ることが期待されている。その前提として、ICT活用そのものを学習する勉強会i-workも盛況になってきているという報告を受けている。地区内の小学校からの参加者が多いのが特徴で、将来的には小中連携などが視野に入ってきた。やはり教育におけるICT活用は、地域ぐるみの学校改革のひとつのキーワードとなりそうだ。
■今後の課題は
「みんなで二歩目」を踏み出すことが今後の課題である。具体的には、授業づくりの改善である。公開授業については、メールを通して指導案にコメントするようにしているが、一般的な小学校と比較するとまだかなりの伸びしろがあるというのが現状である。少なくとも、授業目標を明確にし、授業が終わったら生徒にどのような力がついているのかがきちんと説明できるようにしなければいけない。また、いわゆる生徒に主体を委ねる授業場面(例えばグループ学習で考えさせる場面など)を入れるようになってきているが、ただ形態だけを入れているだけのようにも見える。その作業を通してどのような学びを期待するのかを考慮することもまた、必要であろう。
加えて、ようやく成果をエビデンスとしてどのように残すかが議論されるようになってきた。よい実践を行っても、それをうまく伝わるように表現しなければ、せっかくやってきた成果も半減する。そろそろ、「三歩目」として、ひとつの方向性を見出す時期に来ていると思う。