芝谷中学校の1年間を振り返って
特別研究指定校である芝谷中学校の1年間の取り組みが終了した。ほとんどなにもないところから,多くの先生方の創意工夫によって実践が進められてきた。
まず成果であるが,ICTを活用した授業が少しずつ定着していっている様子がうかがえる。特に若手の先生方が中心であるが,研究授業でない授業を参観した折にも,授業の意図に応じて活用をされる先生が出てきた。まだ環境整備が充分でないけれども,次年度はより充実した実践が期待できると思う。また,先生方がただ単に利用するだけではなくて,何を情報として見せれば良いか,どのような形で情報を見せれば良いかなどにこだわりを持って臨まれているのが素晴らしいことだと思う。2月に行われた社会科の研究授業でも,社会科の樋口教諭・岡村教諭がオリジナルの教材を作成し,生徒たちを引き込んでいた。ICTを活用したことよりもむしろ,その中身に着目されていた点を特に評価したい。
課題であるが,まだICT活用について全員が一歩踏み出せていない点にある。確かに,中学校としての教科の特性,環境整備などの原因もあるかも知れない。しかしそれでも様々な事例を考え,発掘もしているし,2013年度は環境も整うので,これまで経験された先生方のサポートも受けながら,まずやってみる,ということが必要だと思う。加えて,すでに日常的にICTを活用されている先生は,授業設計や展開という普段の授業の充実を考慮したうえで,ICTを活用していただきたい。「つながる学び」をキーワードとするなら,全体的に一斉指導の占める割合がまだ多すぎる。
最終的には,学校の組織として一体的に授業研究をICTの活用という視点から進め,教師集団により生徒の学力向上に寄与できるか,が問題になる。生徒の「つながる学び」を強調する以上,学校組織としても「つながる学び」が求められよう。