実践研究助成(初等中等教育現場の実践的な研究に関する助成制度)実践研究助成(初等中等教育現場の実践的な研究に対する助成制度)

第38回特別研究指定校(活動期間:平成24~25年)

高槻市立芝谷中学校の活動報告/平成23年度8月~12月
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実践経過
実践経過

成果と課題
成果と課題

成果と課題
裏話

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(1)2回の公開研究授業

美術 9月5日    2年 「ペンによる細密画」
英語 11月15日   2年 「最上級」

(2)研究推進委員会定着

  • 毎週水曜日に研究推進委員を開催、3教科中心に授業で生徒につけたい力を元にICTの活用について
  • 研究授業の進め方について

(3)教科会議の充実

7月に実施した数学公開研究授業のあとも、PDCAサイクルに沿った授業実践を教科会議や研究推進委員会などで報告

  • 1年数学 比例   (4章比例と反比例) つけたい力
    「地震のデータから初期振動時間と震源までの距離の関係をみつけ出し説明できる力」
  • 2年数学 1次関数
    「1関数の式やグラフを活用し、ガソリン車とハイブリッド車の経費の比較をし、そのことを説明できる力。」
  • 2年英語 比較級・最上級
    「最上級(the -est)の使い方や意味を理解し、語と語のつながりや形に注意して正しい文を言ったり、書いたりすることができる力。」
    学習の流れについては「流れ図」等を使い簡略化

(4)希望者対象のICT活用に関する「i-work」研修の実施

  • 夏季ICT研修の充実
  • 毎月定期的に実施し、外部からの参加者もあった。

5)研究授業で本格的にICTを使った授業が開始

実践経過

 
8月

(1)夏季校内研修会

1)iPadの授業活用事例

Apple 本社営業部より山本 圭氏に来校頂き下記の内容で実演を入れた講演

当日のアジェンダ
・Appleの教育への取り組み
・全国の実践事例ご紹介
・iPadハンズオン講座
・質疑応答

2)エルモ社 國枝インストラクターによる書画カメラの活用研修

卓上型2台、携帯型2台を使っての実技演習
特に携帯型は持ち運びの利便性により関心が高かった。

 
   
9月

(1)美術研究授業

1)授業の内容

単元名「ペンによる細密画」、単元計画(全6時間)の1回目の授業。
学習のねらい「自分の心の中を繊細に表現する課題への挑戦」。


<授業の流れ>
①生徒に身近な紙幣を使い、線や点などの特徴を探す活動。

iPadを各班に1台配布。主に、紙幣の拡大表示として利用。

②各自にプリントを配布し、細やかな線を引く活動。
iPadを使い、生徒が描いたプリントを撮り、大画面TVに表示。


③画家の作品や昨年の完成作品を大画面TVで鑑賞。
iPadには、事前に鑑賞したい作品を保存。

2)美術科研究協議

授業終了後、研究協議会では、教員が6つのグループに分かれ、本時の良かった点や改善点などKJ法を使い話し合いました。また、指導助言者として招かれた、石田晶大先生(大阪青山大学教授)から、芝谷中学校の研究テーマに即した助言を頂いた。

(2)平成24年9月4日(火)

寺島先生とパナソニック財団田上様の学校訪問に際し、授業見学されました。

(3)第3回i-workの開催

i-work(希望者対象第1回ICT研修会)9月(3回目)の実施日程と内容
日時:9月7日(金)PM6:30~
内容:「iPad の基本操作とデータの移管方法」について

(4)研究推進委員会

美術研究授業の振り返り
指導案の簡略化(図式チャート化)

   
10月

(1)体育の授業でiPadを利用

生徒が使い自分の演技を振り返る iPadを使い体育のマット運動の授業でも活用。グループごとにiPadで撮影した動画を見て話し合い、技の向上をめざす。

(2) 研究推進委員会

英語研究授業の内容、運営等について

(3) 第4回i-workの開催

「使えるアプリをダウンロードしよう」
無料アプリ編    Abobe Reader, iBook, Google Earthなど
標準アプリ編       写真、マップ、カメラなど

   
11月

 

(1) 英語研究授業

1)研究授業(2年英語)
単元名「New Crown 2 Lesson 7 Good Presentations Get Part2」最上級(the -est)の使い方の学習。生徒同士がつながるグループ活動に視点を置く。また、ICT活用を意識しすぎないよう、「イウ・カク・キク(speaking・writing・listening)」のバランスのよい構成を心掛けたものであった。

<授業の流れ>
①自作教材(誰/何が一番クイズ)を使ったグループ活動(speaking・listening)、及びワークシートを使った個別学習(writing)。
②一斉授業:答合せと単語のつづり確認(原級/比較級/最上級)
③生徒同士がつながる活動:クラスの中から、最上級を使って表現できる友達を探すビンゴゲーム(speaking・writing・listening)。

2)英語科研究協議
①授業後の研究協議会では
参加者の感想(評価点、改善点)として、
・テンポよく、いきいきと、にぎやかな活動だった
・教師がiPadを持ち歩くことで、躍動的なムードつくりになっていた
・TV画面が鮮明で見やすかった(社会科ならグラフに使える)
・‘イウ’と‘カク’のどちらに主眼を置いていたのか?
・生徒同士の活動(speaking・listening)にて、語学レベルに差があった
などの意見が出ました。

②講演
指導助言者である寺嶋浩介先生(長崎大学准教授)から、「授業設計で重要なこと」について解説があった。
テーマ「授業設計で重要なこと ~ICT活用~」
講師 長崎大学准教授 寺島氏
教えて考えさせる授業の提案
1)学習目標の明確化
2)目標の質とバランス            
3)授業の基本的な展開

(2)第5回i-workの開催(11月30日(金) PM6:00~)

英語研究授業で話題になった
フラッシュ教材を特集しました。
内容:フラッシュ教材について
①利用出来る場面
②使い方
③作り方
④使うときの注意点

(3)研究推進委員会

英語研究授業の振り返りなど
1)授業に関して
<良かった点>
・テンポがよかった
・フラッシュ型教材がわかりやすかった。
・本時の目標が明確であった。
・TVで写真の入ったワークシート写しだすととても綺麗だった

   
12月

 

(1) 研究推進委員会

・道徳研究会(1月15日実施)の内容、運営について
  教材1年「人に迷惑をかけなければいいのか」
    2年「美しい母の顔」
    3年「脚本家ができるまで」
・来年度の研究会の日程案
 

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成果と課題

 

<成果>

  1. ICTを活用することでまずは先生の視点からその有効性を体得できた。
    今回はフラッシュ型教材を導入したICT活用実践例よりその活用の有効性について主に下記の内容が共有できた。
    1)単純な使い方で変化のある反復練習ができる。
    2)操作が簡単にできる。
    3)みんなでシェアーすることで教材が広がる。

  2. 研究授業を終える毎にICT活用に興味を示す若手の教員が増えてきた。

  3. 教科会議の中で授業の中身について話合う時間を短時間でもとるようになってきた。

  4. 毎月のICT研修が定着してきた。

  5. 1つの教科を全員で参観する研究授業を2回(美術、英語)実施できた。

  6. 体育科など研究授業を実施しない教科でもICT活用がされるようになってきた。

<課題>

  1. 教科、教員により研究に対する温度差がまだ少し残っている。

  2. 現在iPadを管理している人以外の教師が気軽に利用できる環境整備が必要。

  3. 生徒につけたい力をしっかり持った上でICTを使うことを考えていく授業設計が十分と言えないことがある。

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裏話(嬉しかったこと、苦心談、失敗談 など)

 
  • 研究指定に対する教員の温度差が少なくはなってきているが依然残っている。

  • 機材の設置、準備に時間がかからないような工夫が必要。

  • 無線で繋げられるApple TVを使った授業が増えてきたので2台増やして合計3台になったので環境が少しずつ良くなってきた。

  • i-work研修では関心のある教員が他校からも参加された。

  • パワーポイントを使った内容に関する研修会が多くもてた。

  • 夏季校内研修会ではApple本部から山本さんを講師にお招きできたことがとても良かった。
    1)Apple社の教育への取組や全国での実践事例の紹介。
    2)iPad ハンズオン講座の開催など。

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アドバイザーコメント

長崎大学 准教授 寺嶋浩介 先生

 

 中学校において学校ぐるみで授業研究を進めるのは,小学校と比較すると難しい。しかし,ICTの活用や基本的な授業設計を切り口にすれば,その議論を活性化することができる。このことはすでに多くの学校の実践研究を通してわかってきていることである。それに対してさらに具体的なレベルでどう切り込むかが特別研究指定校としての本校の課題である。1年目,3分の2が終わったところで,成果と課題が見えてきた。

■ 成果:広がり,共有する「教えて考えさせる授業」

 本校の授業研究について議論をする場合,「教えて考えさせる授業」(市川 2008)を土台とすることの重要性をこれまで指摘してきた。本校の吉田研究主任は,授業設計の際には各先生方に「子どもに身につけさせたい学び」を徹底するように伝えている。本校の先生方の授業力量もあり,このことが定着するようになってきた。「教える」段階においては,ある程度パターン化されたICT活用となるので,みんなができるものにしていきたい。1年目の終了時にはICT活用の典型事例を掲載したパンフレットを作るようにしている。本パンフレットに掲載されているICT活用は,他の教科でも参考にできる。来年度は,すべての教科でICT活用が実施される予定である。あとは校長のリーダシップに基づくICT環境の充実をお願いしたい。

 11月に行われた英語科の研究授業においては,若手の女性の先生方が,ティームティーチングでフラッシュ型教材を活用した授業を実践された。授業後の議論は単なるICTの活用法と言うよりはむしろ,授業の本質について議論されていた。このスタンスを大事にしていただきたい。本実践での成果はそれ以外にもある。せっかく実践した授業なのだからとiWorkというICT活用法を勉強する校内のハンズオンワークショップにおいて,フラッシュ型教材作成の実際や情報提示ついて議論されたようである。今後はさらに多くの先生方がこれに参加されたり,外部にもっと開かれた会になってほしいと思う。このiWorkをきっかけに他の教科等による日常の授業公開やさらなる授業の発展につながることを期待したい。授業とiWorkの往復作用が出来れば,さらに進化するだろう。

■ 課題:教科としての授業研究の深化と実践研究成果の校外への普及

 一方「考えさせる」段階では,教科独自の取り組みが生かされなければいけない。そのために本校で実施されている教科会議を質的に充実させることが必要である。時には教科内のミニ授業研究を行い,教科会議をその議論に充てたりすることもあってよいだろう。まずは各教科においてどのように授業について議論しているかについて,校内で情報共有できるようになればよいと思う。ある教科の良い議論の事例をヒントにして情報を共有しながら,他の教科でも応用させて取り組みたい。

 また,来年度は,自校の研究の充実は当然であるが,財団の事業として周辺地域への普及についてもさらに積極的に考えていただきたい。例えば,研究授業の取り組みにおけるICT活用をさらにiWorkで共有し深化させているが,ここではさらに多くの外部参加者を期待したい。さらに,高槻市との連携もできているので,両者がタイアップしたワークショップの開催により,成果公開だけではなく,学校の枠を越えた研究会を実施するのも面白いかもしれない。

 

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