実践研究助成(初等中等教育現場の実践的な研究に関する助成制度)実践研究助成(初等中等教育現場の実践的な研究に対する助成制度)

第39回特別研究指定校(活動期間:平成25~26年)

福岡教育大学附属久留米小学校/平成25年度1~3月

前へ 次へ
 

活動報告メニュー活動報告メニュー

ご覧になりたいメニューボタンをクリックしてください。

セールスポイント
セールスポイント

実践経過
実践経過

成果と課題
成果と課題

成果と課題
裏話

2年間の実践を終えた感想
1年間の実践を終えた感想

次年度の展望・目標
次年度の展望・目標

アドバイザーコメント
必見! アドバイザーコメント

 

セールスポイント

 

Ⅰ〉研究発表会(2月5日,6日)において,各教科等のICTを活用した実践を公開し,協議会において提案。

  • 算数科,図画工作科の授業を中心にICTを活用した授業公開を行い,各教科のねらいを達成する上で効果的なICT機器の活用方法を提案した。授業においてやはり大切になることは,本時の主眼を明確にすることである。主眼を,または,主眼を達成するための活動を効果的に行うためにICTを位置付けることが大切である。また,具体的な活動での教具として、ICTのみを使用することは少ない。つまり,ICTだけでなくノートやカードやホワイトボードなどの具体物と組み合わせて使用することが大切であることが明らかになった。

Ⅱ〉ICTを用いた授業づくりの校内の研修会。

  • 情報教育部を中心に,タブレットPCを用いた学び合い学習の研修会を行った。準備から後片付けまでやってみる形式での研修会を行って,普段の授業において子どもたちに使用することができるようにした。

Ⅲ〉教育課程において,ICTの活用の仕方や具体的な活動の位置付け。

  • 来年度の教育課程(教科指導の年間指導カリキュラム)において,ICT機器を使用する学習場面を想定して指導計画に掲載し,次年度の実践にいかすことができるようにした。
  • 来年度に向けて情報教育部のICT機器の管理やメンテナンスの計画を教育指導計画に位置付け,組織的に情報教育を推進できるような体制を構築した。

実践経過

 

1月

(1)情報科の授業とICTを活用した授業を公開する研究発表会の準備。

  • 情報科の授業として,B領域おいてICT機器の操作を指導する場面を公開するために,教師が機器の動作を確認したり,適切な指導方法(目的意識,教材,活動など)を検討したりしました。
  • ICTを活用した授業として,算数科,図画工作科,音楽科においてICT機器を用いた授業を構想しました。

※B領域とは、福岡教育大学附属久留米小学校が情報科学習指導で実践する3領域のうちの「情報機器」のこと。このB領域のほか、A領域「プレゼンテーション」、C領域「情報モラル」がある。

(2)Wi-Fi環境の安定化。

  • Wi-Fi環境の安定化を図るため,研究発表会会場(体育館や多目的室)によるネットワークでのデータのやりとりの確認を大学(情報処理センター)にしてもらいました。

2月

福岡教育大学附属久留米小学校 活動報告イメージ1
【文字パレットで文字入力している子ども】
福岡教育大学附属久留米小学校 活動報告イメージ2
【スタンプで文字入力している子ども】
福岡教育大学附属久留米小学校 活動報告イメージ3
【動画の加工をしている子ども】
福岡教育大学附属久留米小学校 活動報告イメージ4
【作成した動画を確認する子ども】

(1)研究発表会において,情報科の授業(ICT機器の操作に関する指導)の公開。

  • 情報科の授業として,B領域(情報機器の操作)に関する指導を3つの会場で公開しました。第1学年「文字を入力しよう」,第2学年「絵と文字を入力しよう」,第4学年「タブレットPCを使って動画を取り込もう」の3つです。
  • 第1学年「文字を入力しよう」の実践について。

    キーボード操作ができない子どもでも文字を入力できるように,平仮名の文字の画像をマウスで選択して貼り付けるスタンプの機能を使って、文字入力の操作技能を身に付けることをねらった学習です。

  • 第2学年「絵と文字を入力しよう」の実践について。
    キーボード操作による文字入力は第3学年に位置付けています。そこで,2年生では文字パレットから平仮名をマウスで選択して,漢字の部分を変換するとともに,『思い出のアルバム』の表紙づくりのために絵を入力することができるようになることをねらった学習をしました。なお,低学年ではICT機器を操作しながら「勝手に友達のデータは使わずに,ことわりを言うこと」といった情報モラルに関わる内容を意識的・計画的に指導することとしています。
  • 第4学年「タブレットPCを使って動画を取り込もう」の実践について。
    タブレット操作を身に付けるとともに,動画を編集することをねらった学習です。『菊のよさをCMにしよう』といった目的意識のもと、動画の切り取りや文字を挿入する活動を仕組みました。CMづくりを教材にすると,短い時間でそのよさが伝わるようにすることが重要になります。そのため、撮りためた動画を切り取ることにしました。授業では、実際に切り取ったCMを大きなスクリーンに映し出すことで,動画を編集することのよさを実感することができるようにしました。出来上がったCMは学級懇談会で保護者に見ていただきました。
 

(2)研究発表会において,ICTを活用した算数科,図画工作科,音楽科の授業の公開。

福岡教育大学附属久留米小学校 活動報告イメージ5

【デジカメのサンプルをもとに絵に表す子ども】

福岡教育大学附属久留米小学校 活動報告イメージ6
【本時の前と後の作品を比較する子ども】
福岡教育大学附属久留米小学校 活動報告イメージ7
【メロディーをICレコーダーに録音する子ども】
福岡教育大学附属久留米小学校 活動報告イメージ8

【電子黒板を使って説明する子ども】

  • 第2学年の図画工作科,第5学年の算数科,第6学年の音楽科において,ICT機器を用いた授業を公開しました。
  • 第2学年図画工作科単元「ゆめの ぼうけんものがたり」において,デジタルカメラとタブレットPCを用いて授業を行いました。デジタルカメラには,表現したい(生き物の)部分の表し方のサンプルがデータとして保存されており,子どもたちはそれらを見ながら自分の思いやイメージに合わせた絵の表現をしていきました。絵で表現した後の鑑賞活動ではタブレットPCを用いました。絵で表現する前のモチーフを撮影して保存しておくことで,本時で表現された作品と比較しながら自分の表現を説明することができたのです。子どもたちは,絵を描く際に、工夫したことを明確にするとともに,自分の思いやイメージに表現が近づいたことへの喜びを味わうことができました。
  • 第6学年音楽科題材「音楽に思いをこめて表そう」において,ICレコーダーを用いて授業を行いました。卒業の思いを残すために,自分の思いに合った音楽をつくりだすことをねらった授業です。一度鼻歌で歌った声をICレコーダーで録音して残しておくことで,自分の音楽表現を振り返ることができました。子どもたちは,自分の表した音楽を確認したり,自分の音楽が思いに近いていることを実感したりできました。
  • 第5学年算数科単元「角柱と円柱」において,タブレットPCを用いて授業を行いました。角柱を模型として作成するために,作図する活動を行いました。子どもたちは、作図することで側面に着目し,角柱の性質(上と下の面の形や関係)をとらえることができました。 このように,教科の特質に応じて,適切な場面でICT機器を使用することで,効率的な指導を行うことができたのです。
 

(3)ICT機器の充実と機器に関する研修会。

福岡教育大学附属久留米小学校 活動報告イメージ9

【「学び合い」のための機器の操作の研修の様子】

  • 子どもがタブレットPCを使って相互に情報のやりとりをするために、教師側の操作の技能や手順を学ぶ研修です。情報教育部が主体となり,Wi-Fiを使った教師機と児童機相互のデータのやりとりの設定(準備の配線)や「学び合い」のアプリケーションを使った子どもとの交信の操作の仕方について説明を行い,実際に教師が情報のやりとりを体験することで研修を進めていきました。そして,本年度中に情報科の授業とそれ以外の学習において使用することを確認して,これからの指導にいかしていくことにしました。
 

3月

(1)来年度の教育計画において,各教科等におけるICTを活用した学習場面の明示。

  • 情報科以外の学習でICT機器を使用して学習を進めることができるような学習場面や単元や具体的な活動を明らかにしていきました。それらを教育計画に掲載して,来年度の実践において活用できるようにしました。

福岡教育大学附属久留米小学校 活動報告

ページトップへ

成果と課題

 

<成果>

  • 発表会での授業実践や協議会において,教科等の特徴に応じたICT機器の活用の仕方を提案したり協議したりすることができた。
  • 情報教育部を中心にICTを活用した授業の進め方についての研修を行い,日頃の授業実践に組織的に取り組むことができた。

<課題>

  • ICT機器を活用した授業には,教科による偏りが見られた。教科の特質があるので,(活用の度合いは異なるが,)もう一歩積極的な活用に進めるため,活用方法を広げていきたい。

ページトップへ

裏話(嬉しかったこと、苦心談、失敗談 など)

 

◇研究発表会のアンケートのコメントから・・・

  • 情報科に関して
    情報社会において小学校段階から、その後の発達段階での見方や考え方を指導することの重要性や緊急性を理解してもらえたことがうれしかった。今後の指導を充実させて成長した子どもの姿で情報科の効果を主張できるようにしていきたいと思っています。
  • ICT機器を活用した授業(算数,図工,音楽,体育)
    公立小学校のどの学校にもICT機器が揃っているわけではありません。特にタブレットPCが40台ある本校はとても恵まれていることに改めて感じさせられました。この環境を日常的に授業の中で活かすことや様々な学習場面で活用できるようにすることが今後の課題になると感じました。また,ICT機器を使った授業では,ICT機器のみを使うのではなく,これまでメディアとして使っていた黒板,ノート,カード,ホワイトボードなどのアナログの情報伝達手段と合わせて用いることの大切さに気付かされました。つまり,ICT機器が導入されることで,全く新しい教育活動に転換するのではなく,これまでの教育技術と組み合わせて効果的な指導になるように教師が工夫していくことが大切であることを実感しました。

◇ICT機器の台数や種類が揃ってきたのですが・・・。

  • 「メンテナンスの大変さ。」これにつきます。ICT機器の種類や台数が増えれば増えるほど大変になります。いつでも使える状態にしておくことや更新データをインストールすること,そしてICT機器自体に保存されているデータを消去することなど,メンテナンスしなければいけない内容が多くあって大変でした。教師は毎日,毎時間授業を行っていますので,準備にあまり時間をかけることができません。準備の時間や片付けの時間でメンテナンスするだけでは十分ではありません。情報教育部が中心になってメンテナンスを進めてきましたが,職員全体での使い方の共通理解が必要になってくると感じています。
  • これからも環境整備を進めるためにも組織的な管理・運営体制を構築していきたいと思っています。「○○先生がいたからできた。」では組織的な取り組みにはなりません。「誰がどのような場面でも使えるよう。」というのが大切になると思っています。
  • このようにICT機器を購入したり定期的にメンテナンスしたりするのは一人の力ではできません。パナソニック教育財団の先生方や大学の情報処理センターの先生方に感謝申し上げます。

ページトップへ

1年間の実践を終えての感想

 
  1. □ICT機器を学習に応じて準備したり,普段の授業において使用できるようにしたりしたことは達成することができた。
  2. □ICT機器を使用する目的は,各教科等のねらいを達成させるためであり,各教科等に位置付ける「学び合い」や「言語活動」を旺盛にするためであることが明らかになった。
  3. □ICT機器の活用の具体的な目的は,「思考の可視化」や「活動の多様化」である。これらの目的を考慮して,各教科等に位置付ける学び合いや言語活動の手立てとして位置付けることが大切である。
  4. ■各教科等の特質に応じた活用の仕方を究明することができなかった。各教科等には子どもたちにとらえ内容があり,それを達成させるためにICT機器を活用することを目指している。そのため,各教科等の内容をとらえさせるために,ICT機器をどの段階で,どのような目的で,どのような使用方法で活用していくことが効果的であるのかについて,今後明らかにしていきたい。その際,情報の入力,情報の加工,情報の出力といった本校が考える「情報編集力」を発揮する過程において,ICT機器の活用の在り方を構想していきたい。

ページトップへ

 

次年度への思い

 
  1. □上記の課題でも記したが,各教科等の特質に応じたICT機器の活用方法を明らかにしていきたい。
  2. □運営面では,定期的な機器のメンテナンスや情報教育の研修を通した教師のICT機器の使用技能の向上を図っていきたい。
  3. □上の2つの課題を克服しながら,日常的にICT機器を活用した授業が行えるようにしていきたい。
  4. □文部科学省の研究開発学校の指定による新設教科「情報科」において,ICT機器の操作に関する技能の向上を図っていく。
  5. □来年度もパナソニック教育財団の指導のもと,授業でのICT機器の効果的な活用を図っていく。

ページトップへ

 

アドバイザーコメント

宮崎大学大学院 教育学研究科 教授 新地 辰朗 先生

 

実物投影機やタブレット型PCの導入やその使用方法の研修と並行して、授業等でのICT活用や情報編集力育成に取り組んだ一年であったように思えます。したがって、"「協同的学び合い」をつくる言語活動"等の本校の優れた研究成果と、また本校で長年培われてきた指導力と、ICT活用を相乗させる授業展開については、先生方それぞれが手がかりをつかみつつある段階にあるように感じます。新たな"学び"をもたらすICT環境との出会い、そしてICT環境を生かした教師力の発揮のためには、段階やある程度の時間を要することを考慮すると、本校の進捗は順調と言えます。平成26年度は、情報編集力の育成、情報化を要とした各教科等の学習の在り方の工夫等について、教育大学の附属学校としての蓄積やポテンシャルを生かしながら、児童によるICT活用例や教師によるICT活用指導例を示していただきたいと、期待しています。

2月の研究発表会で参観しました"第2学年 図画工作科 単元「ゆめの ぼうけんものがたり」"では、デジタルカメラのモニター画面を、教師が提供したサンプルイメージの閲覧に利用させていました。机上の作業スペースを狭めることなく、児童の手に無理なく収まるデジタルカメラをとおして、児童自身が選択したサンプルイメージを、見たい角度・方向から、参考にする姿が見られました。ICTの基本的な機能を、無理なく、しかも授業のねらいの達成に効果的に活用した好例と言えます。児童自身の創造的な情報活用能力を育む可能性のある利用としても興味深い場面でした。このような教師の経験や専門性が生かされたICT活用の蓄積・共有が、特別研究指定校としての研究課題へのアプローチに役立つものと考えます。また、そのようなICT活用場面での、児童の発言等にどのような変化が見られるのか、楽しみにしています。

福岡教育大学附属久留米小学校 アドバイザー新地先生コメントイメージ1

福岡教育大学附属久留米小学校 アドバイザー新地先生コメントイメージ2

福岡教育大学附属久留米小学校 アドバイザー新地先生コメントイメージ3

福岡教育大学附属久留米小学校 アドバイザー新地先生コメントイメージ4

ページトップへ

 
 
前へ 次へ
川崎市立平小学校の基本情報へ