実践研究助成(初等中等教育現場の実践的な研究に関する助成制度)実践研究助成(初等中等教育現場の実践的な研究に対する助成制度)

第40回特別研究指定校(活動期間:平成26~27年)

山形県米沢市立東部小学校/平成27年度8-12月期

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研究課題と成果目標
研究課題と成果目標

取組内容
取組内容

裏話
裏話

成果
成果

今後の課題
今後の課題

公開研究会の計画
公開研究会の計画

アドバイザーコメント
必見! アドバイザーコメント

 

研究課題と成果目標

 

[研究課題]

若手教員とベテラン教員の協働による校内OJTモデルの開発

[成果目標]

A:「学習規律・学習指導の手引」の作成から

  • 学習指導の基礎基本を全教員確認、統一する。
  • 教員の経験年数にかかわらない均質な学習指導力を身につけることで、本校の学力向上につなげる。

B:ICT活用を含んだ「授業研究会」「ミニ授業研究会」

  • ICTを効果的に使った「わかる授業」の日常的な実践で、本質的な学習指導力を図る。

C:「校内OJTモデル」の開発とリーフレット化

  • OJTの日常化を推進し、開発した「校内OJTモデル」をリーフレットにまとめ、教師力の向上につなげる。また、他校へ配付し、啓蒙普及する。

本期間の取り組み内容/アドバイザーの助言と助言への対応

 

[8月]

○TOUBOOK第3版配布

2学期がスタートする前にTOUBOOKを先生方に配布し、それを読み返し項目にチェックしていくことで、改めて指導の確認をした。

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○若手塾

  • ・ベテランからの指導講座5
  • 「机間指導で 何をする」
  •  ~だれもがやっている机間指導について あらためて考えてみましょう~

[9月]

○第3回公開校内研究会の実施、米沢市研究主任部会視察

 本校の校内研究を市内小学校の研究主任の先生方にも参加していただいた。校内研究の概要を説明した後、公開授業の参観、事後研究会でのグループ討議への参加、堀田先生のご助言を通して、本校研究の意義を理解していただいた。
 今回から、午前中にミニ授業研Ⅰ・Ⅱ、午後はフルサイズ授業研を設定した。それぞれが授業公開をした立場(プレーヤー)になることで事後研究会の話合いが深まることをねらった。

  • ・ミニ授業研Ⅰ(3校時)
  • ①1年2組  算数科「大きさくらべ(1)」
  • ②4年1組  算数科「2けたでわるわり算のひっ算」
  • ③5年3組  算数科「分数(1)」
  • ④6年2組  社会科「明治の国づくりを進めた人々」
  • ⑤5・6年わかば学級  算数科「分数(1)」「速さ」
  • ・ミニ授業研Ⅱ(4校時)
  • ①2年2組  国語科「大すきなもの、教えたい」
  • ②4年2組  算数科「2けたでわるわり算のひっ算」
  • ③5年4組  理科「台風と天気の変化」
  • ④6年1組  算数科「図形の拡大と縮小」
  • ⑤6年3組  算数科「速さ」
  • ・フルサイズ授業研(5校時)
  • ①1年1組  算数科「おおきさくらべ(1)」
  • ②3学年 習熟度別学習(4学級)
  •   算数科「あまりのあるわり算~あまりを考えて~」
  • ③4年3組  算数科「式と計算の順じょ」
  • ④5年1組  国語科「和語・漢語・外来語」
  • ⑤2年つくし学級  国語科「どうぶつ園のじゅうい」

・ワークショップ型事後研究会

 「学習規律の徹底」、「ICTの効果的な活用」、「『めあて』から『まとめ』までの授業のつながり」の3つの視点で、各グループの話合いが活発に行われた。
堀田先生からは、
◇あと一部の児童に対して学習規律を徹底させる指導をしていく。
◇ICT活用は申し分ない。
◇教科書をしっかり読み込み、どこを教え、どこを考えさせるのか軽重をつけるこ
 とで、1時間の中に習得から活用への授業の組み立てが課題となった。

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○若手塾

2学期からは、各回テーマを設定し、それについて若手塾受講者内で提案者1名、発言者2名、司会者1名、書記1名の役割を分担し、討論形式での若手塾がスタートした。討論内容を書記がまとめ、ベテラン教員が助言をした。昨年度もこの形式を経験している若手は、各自の経験や日ごろ感じている課題を出し話し合っていくことで、今後の指導の方策をつかんでいた。

  • ・第6回 若手教員によるテーマ討論①
  • 「教材研究のやり方 ~私はこんなふうに しています~」
  • ・第7回 若手教員によるテーマ討論②
  • 「係・当番活動でつけたい力 ~私はこんなふうに取り組ませています~」

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○専門部会

 11月20日の成果発表会での各指導部による「ポスターセッション」に向けた話合い、準備が進められた。
 各部で進めてきた校内OJTに関する取組をどのようにまとめ、発表していくか基本的な方向性を確認した。

[10月]

○第4回公開校内研究会の実施

 若手教員が生き生きと授業をしている様子が多く見られた。本時中心の学習指導案には、教師の働きかけや補助発問などが細かく書かれていた。たくさんの授業公開を経験し、自身で授業を振り返る「授業研だより」を発行してきたことにより、授業力が向上していると実感した。
また、前回から3学年は習熟度別授業の公開をしてきた。学校全体で学習規律を統一して指導してきたことで、学年オープンでクラス分けをして、担任以外の指導者であったとしてもスムーズに、落ち着いた雰囲気の中で授業が進んでいた。

  • ・ミニ授業研Ⅰ(3校時)
  • ①1年1組  算数科「ひきざん(2)」
  • ②2年2組  国語科「お話のさくしゃになろう」
  • ③3学年 習熟度別学習(4学級)
  • 算数科「1けたをかけるかけ算の筆算~(2けた)×(1けた)の筆算~」
  • ④6年3組  算数科「資料の調べ方」
  • ⑤3・6年たんぽぽ学級 生活単元「かずとかんじ」算数科「円と球」

  • ・ミニ授業研Ⅱ(4校時)
  • ①2年3組  国語科「お話のさくしゃになろう」
  • ②4年3組  算数科「がい数とその計算」
  • ③5年2組  国語科「大造じいさんとガン」
  • ④6年1組  算数科「比例と反比例」
  • ⑤6年2組  社会科「長く続いた戦争と人々のくらし」

  • ・フルサイズ授業研(5校時)
  • ①1年3組  算数科「たしざん(2)」
  • ②2年1組  算数科「かけ算(1)」
  • ③4年2組  算数科「がい数とその計算」
  • ④5年1組  社会科「わたしたちの生活と工業生産」
  • ⑤5年4組  理科「流れる水のはたらき」

・ワークショップ型事後研究会

 若手教員が生き生きと授業をしている様子が多く見られた。本時中心の学習指導案には、教師の働きかけや補助発問などが細かく書かれていた。たくさんの授業公開を経験し、自身で授業を振り返る「授業研だより」を発行してきたことにより、授業力が向上した。

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○若手塾

  • 第8回 若手教員によるテーマ討論③
  • 「テストの活用 ~事前指導 事後指導 こんなふうにしています~」
  • 第9回 若手教員によるテーマ討論④
  • 「『道徳』の学習を どうすすめるか ~子どもの生活にいかされていますか~」

[11月]

○教科書深読みの会の実施

 第4回の事後研究会で堀田先生の助言を受けて、堀田先生ご講演DVD「ICT活用はどこに向かうか‐教科書を見直す‐」を見て、教科書読解の勉強会を行った。授業準備等で忙しいなか、全職員が参加した。その後、教科に分かれて、または学年に分かれて、教科書を手元に置いての指導案検討が行われた。

○成果発表会に向けたポスターセッションの準備

校内OJTに関して4つのテーマで、各部がポスターセッションをする成果発表会に向けて発表練習を全体で行った。

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○特別研究指定 成果発表会の実施 11月20日(金)

  • ・全体会
  • 校長挨拶、パナソニック教育財団理事長様のご挨拶、本校研究概要の説明

  • ・授業公開Ⅰ
  • ①2年1組  算数科「かけ算(2)」
  • ②2年2組  国語科「おもちゃの作り方」
  • ③2年3組  国語科「あったらいいな、こんなもの」
  • ④4年1組  算数科「面積」
  • ⑤4年2組  算数科「面積」
  • ⑥4年3組  算数科「面積」
  • ⑦6年1組  算数科「資料の調べ方」
  • ⑧6年2組  社会科「新しい日本、平和な日本へ」
  • ⑨6年3組  算数科「およその形と大きさ」
  • ⑩3・6年たんぽぽ学級 
  •      生活単元「おみせやさんをしよう」
  •      算数科「買えますか?買えませんか?」
  • ⑪2年つくし学級 国語科「おもちゃの作り方」

  • ・授業公開Ⅱ
  • ①1年1組  算数科「かたちづくり」
  • ②1年2組  算数科「かたちづくり」
  • ③1年3組  算数科「かたちづくり」
  • ④3学年 習熟度別学習(4学級)
  • 算数科「分数~はしたの数の大きさ~」
  • ⑤5年1組  社会科「自動車をつくる工業」
  • ⑥5年2組  国語科「天気を予想する」
  • ⑦5年3組  算数科「単位量あたりの大きさ」
  • ⑧5年4組  理科「物のとけ方」
  • ⑨5・6年わかば学級  算数科「分数(2)」「比例、反比例」

  • ・ポスターセッション
  • 教務部「校内OJTモデルの開発」
  • 学習指導部「学習規律・学習指導の手引作成と活用」
  • 児童生活部「TOUBOOKの作成と活用」
  • 保体安全部「学習しやすい環境づくり・課外指導におけるOJT」

  • ・ご講演
  • 「教師の力量向上をめざしたICT活用と学校OJT」
  • 東北大学大学院 情報科学研究科 教授 堀田 龍也氏

 全学級の授業公開、全職員で分担して発表したポスターセッションを通して、本校のベテラン教員と若手教員のOJTの成果、「チーム東部」として全職員が同じベクトルを向いて養育活動に取り組んでいる様子を見ていただいた。

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○若手塾

  • 第10回 特別講座
  •  「『書き初め』指導 ここがポイント!!」

アドバイザーの助言と助言への対応

  • 「教科書読解=教材研究」
  • そのページだけを教えているわけではないので、前後のページのつながり、単元間のつながりを意識して教科書を読む。また、教科書の記述、言葉、吹き出しなどには意味があるから、教科書一つ一つの言葉にこだわって徹底的に読む。そうすることが深い教材研究へとつながる。
  • ➡教科書読解の勉強会を設定。堀田先生出演DVD「教科書を見直す」を全職員で視聴
      し、教科書読解とは、どうすればよいのかという具体的なイメージを持った。その
      後、学年部、教科部で教科書を読み込んで、授業検討をする機会を設けた。指導案
      が再検討され、より授業の流れが明確になった。
  • ➡事後研でのグループ討議では、指導案と板書、教科書を手元において話合いがなさ
      れた。
      「教科書にこう書いてあるから…」という発言が多く聞かれ、教科書にこだわって
      授業をしていく意識がより強くなった。
 

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裏話(嬉しかったこと、苦心談、失敗談 など)

 

「北は北海道、南は沖縄まで」

  • 本期間も市内外の先生方に本校に来ていただき、校内研究会への参会、学校訪問をしていただき、ご指導をいただいた。
    パナソニック教育財団の特別研究指定を受け、これまで多くの方々に来校していただいたことで、授業を見られることにも慣れた子どもたち、先生方。外側から本校研究について評価していただくことで、研究のよさ、課題が明確になった。

「米沢弁がイタリア語に聞こえる!?」

  • 成果発表会でのポスターセッションで、学習指導部は「学習規律の統一」に関するこれまでの歩みを寸劇を交えて発表した。若手がベテランに学習指導法やその指導を行う意義について教えてもらう場面を再現。その寸劇はよりリアルさを求め、オール米沢弁で行われた。
    県外からいらっしゃった先生方から好評で、「米沢弁がイタリア語に聞こえる。」という声も聞かれた。
    その他の部も、趣向を凝らしたポスターセッションとなった。そして、何より各部の発表を全職員で分担して行い、「チーム東部」の団結力を示すことができた。

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成果

 
  • 「ICT『も』使う」
  • 全教職員が、ICTは快適な授業環境を整えるための道具であって、それをいかに使い子どもの思考をいざなっていくかという視点で授業を組み立てられるようになった。板書に残すもの、実物投影機に映すものを区別し、提示の工夫もできるようになった。学校全体で、ノートもしっかり使わせる指導も積み重ねてきた。
  • 「のべ80授業の公開」
  • 成果発表会での全学級の授業公開など、毎回の公開校内研究会では多くの先生方が授業公開に立候補した。その都度、本時中心の学習指導案を書き、事前に模擬授業を行い、互いの授業を見合う機会を経験し、一人ひとりが自分の授業と向き合い、授業力向上につながった。

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今後の課題

 
  • 「研究のまとめ、そして、持続可能な研究へ」
  • 指導者の力量向上をはかるとともに、学習規律の統一、ICTを活用した授業づくりを行ってきたことで、子どもがどのように変容したのかを捉えなければならない。また、成果発表会後も、先生方の共通理解のもと校内研究が持続していくスタイルを模索し、本校研究が他校のモデルになっていくようにしていく。
  • 「自立した学習者を育てる」
  • 授業場面を通して学習技能、学習スキルを身に付けさせる。各教科を通して学び方を教えるようにしていく。

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公開研究会の計画

 
  • 1月
    ミニ授業研究会週間

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アドバイザーコメント

東北大学大学院 情報科学研究科 教授 堀田 龍也 先生

 
堀田先生イメージ

特別研究指定校2年目の2学期,いよいよ公開研究会の時期となった。 1年目に始めた東部小スタンダードについての説明書「TOUBOOK」,ベテランが若手を指導する「若手塾」などの取り組みを,市内の教頭会,教務主任会をはじめとする全国各地からの視察が多くなり,本校の校内OJTが他校・他地域に広がり始めた。
2学期は授業研究会が繰り返される中,公開研究会に向けた諸準備が各部会によってスタートした。これにより,ベテランも若手も,自校で取り組んでいることの価値を再理解するようになり,目的的に行動することが多くなり,結果として先生方に自信がみなぎってきたように感じられた。
校内OJTに関する各取り組みを,管理職がリーダーシップをとって評価した。全教員に対し,「校内OJTでどんなことが変容したか」を教員と児童それぞれについてアンケートをとり集計した。多くの教員が取り上げた変容は,学習規律の徹底によって授業が安定し,児童の学校生活も安定したこと,校内OJTで自分に確実に力がついていることが自覚されたということだった。これらの変容が,「校内OJTのどの取り組みによってもたらされたか」を追調査したところ,ベテランは全校統一の動きが学校を変容させたと評価する一方で,若手は職員室でいつでもベテランに尋ねることができる明るい雰囲気があるという同僚性の有り難さを指摘していた。これらの結果は,全日本教育工学研究協議会の場で学校長自らが報告した。
12月の公開研究会には,全国各地から多くの方々が参集した。本校の取り組みを授業でしっかりと体現させ,全教員で取り組んだ研究発表,ポスターセッションも堂々としたものだった。参観者が,「こういう学校に憧れる」「自校もこのような教員集団を育てたい」という思いを持つに至るすばらしい公開研究会であった。米沢市教育委員会,山形県教育委員会からも指導主事等が参観し,他校・他地域への今後の広がりが期待される。特別研究指定校としての役割を見事に果たした公開研究会であった。 3学期は,来年度以降に本校のこの安定的な校内OJTシステムをどのように残していくかを検討していく時期になる。

 

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