実践研究助成(初等中等教育現場の実践的な研究に関する助成制度)実践研究助成(初等中等教育現場の実践的な研究に対する助成制度)

第40回特別研究指定校(活動期間:平成26~27年)

山形県米沢市立東部小学校/平成27年度1-3月期

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研究課題と成果目標
研究課題と成果目標

取組内容
取組内容

裏話
裏話

成果
成果

今後の展開
今後の展開

振り返り・評価・感想
振り返り・評価・感想

アドバイザーコメント
必見! アドバイザーコメント

 

研究課題と成果目標

 

[研究課題]

若手教員とベテラン教員の協働による校内OJTモデルの開発

[成果目標]

A:「学習規律・学習指導の手引」の作成から

  • 学習指導の基礎基本を全教員で確認、統一する。
  • 教員の経験年数にかかわらない均質な学習指導力を身につけることで、本校の学力向上につなげる。

B:ICT活用を含んだ「授業研究会」「ミニ授業研究会」

  • ICTを効果的に使った「わかる授業」の日常的な実践で、本質的な学習指導力を図る。

C:「校内OJTモデル」の開発とリーフレット化

  • OJTの日常化を推進し、開発した「校内OJTモデル」をリーフレットにまとめ、教師力の向上につなげる。また、他校へ配付し、啓蒙普及する。

本期間の取り組み内容/アドバイザーの助言と助言への対応

 

[1月]

○「TOUBOOK」を使い、学年でチェック

毎学期初めに行っている「TOUBOOK」を使って、教育公務員としての心構え、学習指導、生徒指導、保体安全指導に関する項目のチェックを行った。また、項目自体の見直しがないか検討し、それを児童生活部で集約した。

年度末に、「TOUBOOK」を改訂し、次年度初めに新メンバーで確認する研修会を実施する計画を立てた。

○若手塾

特別講座『「スキー」指導 ここがポイント!』

降雪地という特性を生かしたスキーは、冬のカリキュラムには欠かせない。その「スキー」のポイントを確認した。

スキー用具の扱い方から指導法まで、幅広く講習が行われた。最後には、滑走している映像を見て、指導のポイントを教わったり、スキーポールの操作方法を実際にやりながらのアドバイスがあったりした。

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テーマ討論⑤

「平成27年度 残り1か月半 ~うまくいっていること これからやりたいこと~」
ラストスパートに向かうこの時期に、これまで心がけてきてうまくいっている取組をあげながら、学年末に向けての展望を語り合った。

○ミニ授業研究会週間

1月25日(月)~2月5日(金) 10日間

互いに授業を見合う機会を設定し、自分の授業改善にいかすというこれまでの授業研究会のねらいに加えて、2年間のさまざまなOJT研修により、若手教員にどれだけの力がついたのかを検証することをねらい、ミニ授業研を実施した。

授業公開の希望を募ったところ、12名の先生方が希望をした。これまで同様、若手教員はもちろん、ベテラン教員の希望も多かった。

また、公開授業を参観する先生方も多く、若手教員を見るベテラン教員の温かな眼差しが印象的だった。

  • 1月28日(木)  2校時  1年1組   算数科「大きいかず」
  • 3校時  つくし学級  算数科「10000までの数」
  • 4校時  3年3組   算数科「小数」

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[2月]

  • 2月1日(月)  3校時  4年2組   算数科「変わり方」
  • 4校時  5年2組   国語科「複合語」
  • 5校時  6年2組   国語科「海の命」
  • 2月4日(木)  2校時  5年1組   社会科「社会を変える情報」
  • 3校時  4年3組   算数科「直方体と立方体」
  • 4校時  たんぽぽ学級 理科「じしゃくにつけよう」(3年)
  •        「電気と私たちのくらし」(6年)
  • 2月5日(金)  2校時  3年1組   算数科「2けたをかけるかけ算の筆算」
  • 3校時  5年4組   理科「電流がうみ出す力」
  • 4校時  6年3組   社会科「日本とつながりの深い国々」
  •  

どの学級もしっとりと落ち着いて学習している授業であった。どの児童も学習に向かう姿勢が整っているため、教師の無駄な指示がなく、すっきりと授業が進んでいた。

教科書をしっかり使い、前時を振り返ってからの本時の課題提示が意識され、穴埋めにしたまとめ➡教師の発問で紡ぐまとめ➡板書された内容を見て児童自身の力で書くまとめというように、学年に応じてまとめる力を育んでいた。

低学年からノート指導を丁寧に行ってきたため、見やすいノート、自分の考えを書き込むノートが増え、素早く板書を写す力もついている。

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○若手塾

特別講座「企業に学ぶ ~セゾンファクトリー~」

学校を離れ、「セゾンファクトリー」という企業を訪問し、社長から企業理念の説明をして いただき、工場見学などをした。

「セゾンファクトリー愛」「チームワーク」が企業の勢いにつながっていると感じた。本校も「チーム東部」でこの1年間、研究に邁進してきたので共感することができた。また、人の行動がブランドをつくり、人間性の向上、人格形成を大事にした企業理念は、教師としてのプロ意識を刺激するものであった。

学校の外に出ての研修は貴重で、学びの多い時間となった。

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○校内地留学

4回実施(2月17日、2月18日、2月26日、3月4日)

今年度も若手教員がベテラン教員に丸1日シャドウィングする「校内地留学」を4回実施した。この時期に校内地留学をするねらいは、若手教員に次年度へ向けた自分の課題を見つけてもらうことである。

校内地留学をした若手教員が提出したレポートには、「子どもにやる気を持たせる指導、支援のあり方」、「児童の気持ちに寄り添った指導」についてのヒントを得、今後の指導、次年度、別学年を担任した際にも生かしていきたいというコメントが寄せられた。

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○校内研全体会

今年度の研究を振り返り、来年度の方向性を全員で共有した。

これまでの事後研同様に、若手とベテランを組み合わせたグルーピングのワークショップ型で行った。研究の3つの柱に沿って話合いを行った。

基本的には若手からベテランへのOJTであったが、さまざまなアクションをして研究テーマに迫る過程で、学校全体での学び合いへと発展し、教師力向上につながったというまと めがなされた。

また、来年度はさらに教員の若返りが進むなか、これまで積み上げてきた本校のOJTシステムを持続可能なものにしていくかという今後の研究の課題も全員で共有して終わった。

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アドバイザーの助言と助言への対応

「静かに学ぶから学力が向上するのですよ。」

成果発表会以降、さらに子どもたちは落ち着いて、しっとりと学習に臨んでいるという評価をいただいた。

全教職員で共通理解をして学習規律を徹底させ、日常の授業の改善をするために行ってきた授業研究会の成果が表れている。研究の日常化が進み、若手教員は自信を持って子どもたちの指導に当たることができている。

➡今後も、意図的、計画的、かつ組織的なOJT研修を行い、若手教員とベテラン教員がともに学び合う研修スタイルを継続していきたい。

 

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裏話(嬉しかったこと、苦心談、失敗談 など)

 

「3学期のミニ授業研でも授業公開に立候補」

本校のさまざまなOJT研修により、若手教員の授業力がどれだけ向上したのかを検証すること、そして、他学年の授業を見て自身の授業改善に生かすことをねらってミニ研週間を設定した。今回も希望制にしたが、3学期であるにもかかわらず、ベテラン教員、若手教員を問わず12名の先生方が授業公開を希望した。

これまでのべ80以上の授業公開をしてきた先生方は、授業を公開することへの抵抗が減り、授業を公開することで自身の学びにつながるという実感を持っているからこそのことだと感じる。

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本期間の成果

 

「若手教員の安定感」

ミニ授業研で授業をする若手の表情は自信に満ち溢れていた。力まず、ねらいを絞ってICTを活用する姿、自動化した児童の姿、習得から活用までを45分で完結させる授業が公開された。

「来年度への見通し」

校内研全体会を開き、今年度の成果と課題、来年度の方向性を話し合った。これまで同様、ワークショップ型で若手教員とベテラン教員を意図的に組み合わせたグループで話合いが行われた。ベテラン教員の無駄のない進行により、研究の視点に沿って教師側、児童側の変容をまとめ、次年度、さらに研究が深まることを確信した時間となった。

また、これまで同様、どの学校においてもOJTが推進可能であるように、校務分掌の組織で研究が推進できるように、メンバー構成を検討している段階である。

2年間の成果

A:学習規律・学習指導の手引作成について

全教職員の共通理解のもとで、具体的な指導法について検討、整理し、明文化した手引を作成したことで、教育の質の向上が図られ、学校の安定につながった。

また、「TOUBOOK」を用いて学年、専門部等で確認し、項目検討を行う過程こそが、若手教員とベテラン教員の学び合いの場となった。

B:ICT活用を含んだ「授業研究会」「ミニ授業研究会」の実施について

授業力を向上させる手段の一つとしたICT活用の学び合いをきっかけに、教材研究、授業技術についてもベテラン教員と若手教員の活発な学び合いに発展した。

C:「校内OJTモデル」の開発とリーフレット化

「若手塾」「校内地留学」で、ベテラン教員が若手教員に教えることで、ベテラン教員自身にとっても学びの場となった。学校全体で教師力向上につながった。

また、市内外の視察が増え、本校のOJTを紹介し、その利点を伝えることができた。今後の普及が期待できる。

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今後の展開

 

「TOUBOOK」のさらなる活用を探る。

より東部小のルールに合ったもの、指導の手順が分かるものに改良していく必要がある。また、年度初め、学期初めに全職員で一斉に項目を再確認する時間を設けて、意思統一を図っていきたい。

ベテラン教員の視点にも迫る。

「教える」から「ともに考える」のスタンスを大切にして取り組んできたOJTは、ベテラン教員のどのような意識が働いて活性化していくのかを検証していく必要がある。

OJTシステムの啓蒙・普及

開発してきた東部小の安定的な校内OJTシステムが、さらに市内外の各校に広がっていくように、校内研究会を積極的に公開していきたい。

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2年間を振り返って、評価・感想(気づき)

 

この研究の実践を通して、本校の職員室には自由に学び合う雰囲気にあふれている。特に、若手教員は、学年部内や職員室内での普段の会話から、指導のさまざまなノウハウを教えてもらうという、本来のOJTのあるべき姿に近づいてきた。

つまり、本校のOJTモデルは、様々なOJT研修と普段の学年部や職員室内でのOJTが両輪となって進んでいる。

教師として、人間として高め合う雰囲気は、「チーム東部」の賜物であり、それが結果的に子どもたちは落ち着いて学習に臨み、学校力の向上につながっている。

研究の機会を与えてくださった公益財団法人パナソニック教育財団、そして、常に温かく、的確に指導をしていただいた東北大学大学院堀田龍也教授に深く感謝を申し上げたい。この2年間の研究は、本校の、そして教職員一人一人の財産となった。

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アドバイザーコメント

東北大学大学院 情報科学研究科 教授 堀田 龍也 先生

 
堀田先生イメージ

本校は秋のうちに公開研究発表会を行ったため,3学期は落ち着いた日々で研究のまとめに取り組んだ。学校を訪問すると,どこの教室もしっとりと落ち着いた子供たちが,静かに学んでいる様子を見ることができる。活気がないのではなく,落ち着いて学んでいるのである。学ぶということを当たり前だと感じている子供たち,それをていねいに見守る教師たちの姿がどの教室でも見られるのである。普段の教育活動の中では,ICTは淡々と活用されている。若手教師には何より大きな自信がついた。ベテラン勢は,若手に惜しみなく情報を提供する。背中で見本を示す。そういったOJTの姿は,すっかり本校の日常となった。特別研究指定校としての2年間の研究を終え,平成28年度から校内研究をどのようにするかという話し合いが持たれた。若手も多い本校では,人事異動も多い。若手はおそらく転勤先で立派にやってくれるだろう。新しく本校に着任する先生方も,本校のOJTのスタイルを当然のものとして受け入れてくれるだろう。そういった盤石な仕組みがすでに本校では確立しているし,米沢市内および近隣地区にすでに認知されている。ミッションを遂行した金校長はご勇退となった。その労をねぎらうと同時に,本校の今後に対して大きなエールを送りたい。

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